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小児クレチン病(先天性甲状腺機能低下症)・発育障害・遺伝子異常[甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査の長崎クリニック(大阪)]

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見①甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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長崎クリニック(大阪) ゆるキャラ 甲Joう君(原案)

長崎クリニック(大阪) ゆるキャラ Jo君(原案)

動脈硬化した血管に甲状腺が! バセドウ病の甲状腺がモデル)

Summary

小児甲状腺ホルモン(FT3,FT4)甲状腺刺激ホルモン(TSH)基準値、小児の甲状腺の病気、クレチン症・先天性甲状腺機能低下症・発育障害、新生児マススクリーニング、中枢性甲状腺機能低下症等を説明します。

小児甲状腺ホルモン基準値

小児甲状腺ホルモン基準値は成人と異なります。しかし、日本人の小児甲状腺ホルモン基準値は、ほとんど皆無です。海外の小児甲状腺ホルモン基準値を流用しています。そもそも甲状腺ホルモン基準値自体、施設により(測定キットにより)微妙異なるため基準を作り難いという理由もあると思います。

日本甲状腺学会雑誌(2014 Vol.5 No.1,14-19)で伊藤病院の吉村先生が、日本人の小児甲状腺ホルモン基準値を発表されていました。測定キットの違いによる長崎クリニック(大阪)の基準値との差は補正すれば解決します。

小児甲状腺刺激ホルモン(TSH)基準値

小児甲状腺刺激ホルモン(TSH)基準値
小児甲状腺ホルモン(FT3)基準値

小児甲状腺ホルモン(FT3)基準値

小児甲状腺ホルモン(FT4)基準値

小児甲状腺ホルモン(FT4)基準値

小児甲状腺年齢という考え方(甲状腺容積測定)

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の80%は甲状腺自体の低形成・無形性・位置異常(異所性)であり、超音波検査で甲状腺の大きさ・位置を確認すれば診断可能です。クレチン症で甲状腺が年齢相応の大きさでなければ、低形成ということになります。右は6歳以降の正常な甲状腺容積です。6歳未満は成長速度が速く、正常値を決めにくいため、甲状腺専門医の経験で判断するしかないようです。

甲状腺容積(ml)=0.479×縦(cm)×横(cm)×深さ(cm)

甲状腺形成不全は、胎児期の甲状腺形成に関与するTTF1、TTF2、 Pax8の異常で発症します。

クレチン症、低身長・成長障害

  1. 甲状腺ホルモンの子どもの成長に対する影響
  2. 新生児マススクリーニング
  3. 新生児期・乳児期の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
  4. 幼児期の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
  5. 学童期・思春期の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
  6. 新生児マススクリーニングをすり抜けるクレチン症(中枢性甲状腺機能低下症)
  7. 新生児マススクリーニングの動向と問題点

甲状腺ホルモンの子どもの成長に対する影響

小宇宙 3

甲状腺ホルモンも、成長ホルモン同様に子どもの成長に大きな影響を及ぼします。これは、甲状腺ホルモンが骨などの臓器の新陳代謝を活発にすると同時に、成長ホルモン(GH)の分泌をうながすためです。甲状腺ホルモンの不足状態(甲状腺機能低下症)は成長障害をおこしますが、甲状腺ホルモン剤を一日1回飲むことで治療できます。

しかし、逆は必ずしも言えず、長期間の成長障害は、甲状腺ホルモンを補充しても、充分な身長のキャッチアップが得られない事もあります。先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)のみでは、説明できない何かがあるようです。(第58回 日本甲状腺学会 専門医教育セミナーⅡ 小児の甲状腺疾患)

右は2、3世紀のガンダーラ地方の仏陀の彫刻です。「大きな甲状腺腫と愚人顔貌、太鼓を背負った小柄な人」が描かれています。太鼓が耳の横にあり、難聴があると思われ、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の典型像です。

特に、胎生期・新生児期・乳幼児期での甲状腺ホルモンの重要性

甲状腺ホルモンは胎生期・新生児期・乳幼児期の神経髄鞘(神経のさや)形成に不可欠で、特に脳神経の発達に重要です。この時期の甲状腺ホルモン不足は不可逆的な知能障害起こす[下記:先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)]ため、すみやかに見つけて治療せねばなりません。

新生児マススクリーニング

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は、新生児マススクリーニングで、最も成果があがっている病気です。日本では1979年に開始され、約2,000人に1人見つかり、治療がなされます。 

新生児マススクリーニングの大半は、ろ紙血(ろ紙に染み込ませた血の)TSHのみを測定する簡易検査なので、先天性甲状腺機能低下症の1%を占める中枢性甲状腺機能低下症を見逃す可能性があります。[一部の自治体(札幌市、神奈川県、山口県、徳島県、東京の1部)では、甲状腺専門医の意見に耳を傾けTSHとFT4の両方測るところもあります]

あきれたことに、ろ紙血TSH値の基準値は、自治体によって大きく異なり、自治体により先天性甲状腺機能低下症が公然と見逃される危険があるのです。

生後3日までは、出生後TSHサージという出生に伴うTSHの急上昇がおこるため、新生児マススクリーニングは生後4-6日でおこないます。治療は生後2週間以内に甲状腺ホルモン補充療法(10μg/kg/日)を開始しくます。原因を調べるより治療が優先されます。

TSHサージ:胎児の視床下部-下垂体-甲状腺の制御システムは未発達で、出生時の寒冷刺激によりTSHサージがおこり機能し始めます。

日本小児科学会ガイドライン(1998年)では、血清TSHで30mU/L以上、FT4で1.5ng/dL以下の場合、治療を優先するよう勧めています。

軽度の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が持続する場合、生後6ヵ月頃を目途に治療開始します。

(右)バーチャル臨床甲状腺カレッジより引用

新生児期・乳児期の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)

甲状腺ホルモンは、新生児期から乳幼児期にかけて脳の発育に必須であり、不足すると知能障害を来します。また、甲状腺ホルモンは骨、肝臓など、臓器機能を維持するのに重要で、不足していると、活動性の低下、低体温、心拍数・心機能の低下、遷延性黄疸(せんえんせいおうだん)、哺乳(ほにゅう)不良、体重増加不良などの症状を示します。

新生児期に発見されて治療を受けないと、知能障害や低身長などの成長発達障害が残り先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)と呼ばれます。したがって、早期の診断と適切な治療開始が必須になります。

ほとんどは新生児マススクリーニングで見つかりますが、中枢性甲状腺機能低下症の中にはマススクリーニングすり抜けるものがあります。

新生児マススクリーニングで先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が見つかれば、脳の発達を守るため直ちに甲状腺ホルモン剤[T4製剤レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)]を開始します。

母親が甲状腺機能亢進症/バセドウ病で、抗甲状腺薬を妊娠中飲んでいた場合、新生児の体内には抗甲状腺薬が残っているため、一過性甲状腺機能低下症になります。重症の場合、甲状腺ホルモン剤の治療が必要。

母親が妊娠中や分娩後にヨード(ヨウ素)を過剰摂取すると、胎盤を通り、母乳から新生児の甲状腺にヨード過剰負荷がおこり、一過性の甲状腺ホルモン合成障害をおこします。新生児一過性甲状腺機能低下症になり、重度の場合は甲状腺ホルモン薬の治療が必要になります。 

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の治療は、甲状腺ホルモン薬[レボチロキシンナトリウム0.01%散剤(チラーヂンS散)]を10μg/kg/日で飲みます。血清TSHが1~2mU/L、FT4が基準範囲の上半分(一般に1.5~2.0ng/dL)になるよう投与量を調節します。

体重1kgあたりの甲状腺ホルモン薬治療量は、新生児期から思春期にかけ徐々に減少します。

幼児期の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)

  1. 一過性甲状腺機能低下症が疑われる場合
  2. 治療中に一度もTSHが5~10mU/L以上に上昇しなかった場合

には、生後2~3歳で、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が持続しているかどうか「再評価」を行います。休薬後、TRH試験行い、TSH過剰反応があれば、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が持続していると判断し、治療を継続します。

一過性甲状腺機能低下症だった場合、治療は必要なくなります。)

5~6歳時に「病型診断」おこない、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の原因を確定します。異所性甲状腺など甲状腺の形態異常、甲状腺ホルモン合成障害(有機化障害、濃縮障害、TSH受容体異常症、サイログロブリン異常症)が推定されます。

学童期・思春期の先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)

成長ホルモンと同様に脳と体の発育に甲状腺ホルモンは必要不可欠です。発育が終わるまで甲状腺ホルモンが不足する事態があってはなりませんが、先天性甲状腺機能低下症では新生児期以降に甲状腺ホルモンが低下する事もあるため新生児マススクリーニングをすり抜けるものもあります。

新生児マススクリーニングをすり抜けるクレチン中枢性甲状腺機能低下症

  1. 中枢性甲状腺機能低下症:脳(脳下垂体・視床下部)でのTSHの合成・分泌不全で、TSHが上昇しないため、新生児マススクリーニングをすり抜けます。先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の1%を占めます。
  2. 早産児・低出生体重児(出生体重2,000g未満)、ダウン症候群視床下部・下垂体系の発達が悪く、TSHが上昇しない。
    ※日齢4~6の1回目スクリーニングが正常であっても、2回目スクリーニングを1)生後1ヶ月、2)体重が2,500gに達した時期、3)医療施設を退院する時期のいずれか早い時期に行うことが推奨されます。
  3. TRα(甲状腺ホルモン受容体アルファ)異常症

中枢性甲状腺機能低下症

新生児マススクリーニングをすり抜けた中枢性甲状腺機能低下症は、

  1. 臍ヘルニア、小泉門開大
  2. 遷延性黄疸、不活発、体重増加不良
  3. 便秘、皮膚乾燥、巨舌、嗄声、四肢冷感、浮腫

などの臨床症状で疑うしかありません。

先天性中枢性甲状腺機能低下症の分類
下垂体TSH合成・分泌

先天性中枢性甲状腺機能低下症(視床下部下垂体腫瘍・炎症など2次的な中枢性甲状腺機能低下症を除く、遺伝性のもの)には、

  1. TSH 単独欠損:TSHβ鎖遺伝子異常症
  2. TRH 受容体遺伝子異常症:TSH+PRL(プロラクチン)欠損を起こす
  3. 複合型下垂体ホルモン欠損症(CPHD):先天性中枢性甲状腺機能低下症の70% は他の下垂体ホルモン欠損症を合併します。
  4. Immunoglobulin superfamily member 1(IGSF1)の異常:X 染色体に存在するIGSF1はラトケ嚢、成人下垂体、成人精巣に発現、視床下部-下垂体のTSH、TRH制御に係るだろうとされます。IGSF1遺伝子異常で、
IGSF1の役割

出生時の過体重、低身長
軽度の発達障害
乳幼児期からの肥満、成人での脂質代謝異常
思春期遅発、精巣の腫大
内分泌学的にはTSH+PRL(プロラクチン)分泌不全、30%程度にGH(成長ホルモン)の分泌不全が合併
(J Clin Endocrinol Metab 98 (10), E1682-E1691. 2013.)

TRα(甲状腺ホルモン受容体アルファ)異常症

甲状腺ホルモン(FT4, FT3)作用のほとんどは、甲状腺ホルモン受容体に結合することでおこります。最近発見されたTRα(甲状腺ホルモン受容体アルファ)異常症は、世界で12家系が報告されています(2016.11現在)。

TRα異常症の症状は、

  1. 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)症状(便秘・徐脈・遷延性黄疸など)
  2. 成長障害(骨や歯牙の発達遅延・骨格形成異常・短下肢,頭蓋骨縫合の閉鎖遅延・大頭症)
    発達障害(認知障害・てんかん・穏和な性格)
  3. 甲状腺腫が無い

TRαは下垂体の甲状腺ホルモン調節機構(ネガティブフィードバック機構)に関与しないため、TRα異常症の検査所見は、

  1. 甲状腺刺激ホルモン(TSH)/甲状腺ホルモン(FT3)が正常、FT4 軽度低値(T4/T3 比の低値)
  2. rT3(リバースT3)低下:3型脱ヨード酵素(DOI3)は、TRα依存性

[mutation in thethyroid hormone receptor alpha gene. N Engl J Med. 2012;366(3):243-249.]

新生児マススクリーニングの動向と問題点

第58回 日本甲状腺学会で、千葉県での新生児マススクリーニングの動向が詳細に報告されました。1998-2014の17年に及ぶ統計で、血清TSH≧10mU/Lの先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は、

  1. 年々、増加している
  2. 2009,2010,2014年を除き、冬場で有意に多い。
  3. 2009,2010年のインフルエンザ流行年に多く、流行前の夏場から増えだす。

というものです。(第58回 日本甲状腺学会 O-1-3 新生児マススクリーニングにおける先天性甲状腺機能低下症陽性率と濾紙検体TSH平均値の季節変動:AH1pdm09の影響)

長崎クリニック(大阪)の独自解釈

あくまで長崎クリニック(大阪)の独自解釈と断った上で、以下のように考えます。

  1. 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が年々増えているのは、環境ホルモンが原因ではないでしょうか?環境ホルモンの中には、甲状腺ホルモンをブロックするものがあります。(環境ホルモンの甲状腺ホルモン作用への影響
  2. 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が冬場で有意に多いのは、甲状腺ホルモンは冬場に需要が増え、不足が大きくなるためと考えられます。甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にし、熱を産生する代謝ホルモンなので、寒いほど多く必要になるのです。
  3. インフルエンザ流行年に先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)が増える理由:インフルエンザ流行すると言う事は、年間の気温が低い(冷夏、極寒など)可能性があり、甲状腺ホルモンの需要が増える

甲状腺機能低下症の遺伝性障害

異所性甲状腺・甲状腺片葉欠損症

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の80-85%は甲状腺自体の低形成・無形性・位置異常(異所性)で、家族性は2%程度とされます。異所性は舌根部にあれば超音波検査で見つけられます。超音波検査で見つかれば、本当にそれが甲状腺の組織なのか、123-Iシンチグラフィーで確認します。

異所性甲状腺

舌甲状腺腫

舌甲状腺腫は口の中をみれば、舌が盛り上がっているので判ります。舌甲状腺腫は、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)だけでなく橋本病(慢性甲状腺炎)約50%・バセドウ病約4%合併するとの上條甲状腺クリニックの報告があります。

甲状腺片葉欠損症

甲状腺片葉欠損症は、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)だけでなく橋本病(慢性甲状腺炎)約50%・バセドウ病約25%・甲状腺乳頭癌約4%合併するとの上條甲状腺クリニックの報告があります。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
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