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先端巨大症(成長ホルモン)・プロラクチンと甲状腺 [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見①甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

先端巨大症

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血族結婚を繰り返した昔のヨーロッパの王族、特にスペイン王室には病気の王族が多かったとの事です。カルロス2世は先端巨大症だったと言われます。

Summary

下垂体から大量の成長ホルモン(GH)が分泌される先端巨大症は、鼻・口唇・手足など先端部が異常増生、甲状腺機能低下症同様の睡眠時無呼吸症候群がおこります。甲状腺機能亢進症/バセドウ病同様の代謝亢進症状(発汗過多など)、糖尿病、高血圧、心肥大、脳血管障害を併発します。また、腺腫様甲状腺腫甲状腺癌ができやすくなります。

先端巨大症とは

先端巨大症

下垂体腺腫から大量の成長ホルモン(GH)が分泌される先端巨大症[成長ホルモン(GH)産生下垂体腺腫]は、

  1. 鼻・口唇・手足など先端部が異常増生
    眉間(みけん)・頬骨の突出・下顎の突出(噛み合わせが悪くなり口腔外科・歯科を受診)・巨大舌
    手・足のサイズが大きくなる(指輪・手袋・靴が入らなくなる)
    皮膚が分厚くなる・剛毛化
  2. それにともなう甲状腺機能低下症同様の睡眠時無呼吸症候群・神経圧迫による手足のしびれ(手根管症候群)や関節痛がおこります。
  3. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病同様の代謝亢進症状(発汗過多など)、糖尿病、高血圧(GH・IGF-Iは腎臓でナトリウム再吸収に作用)
  4. 両心室の心肥大・弁膜症
  5. 心血管障害、脳血管障害(IGF-Iは、血管平滑筋の増殖・遊走を促進し動脈硬化が進展)を併発し、健康人より平均寿命が10年短かくなります。
  6. 成長ホルモン(GH)による細胞増殖刺激と細胞自然死(アポトーシス)抑制により、大腸ポリープ/大腸がんができやすくなります。
  7. 月経不順、不妊

先端巨大症(下垂体性成長ホルモン分泌異常症)が甲状腺に与える影響

先端巨大症(下垂体性成長ホルモン分泌異常症)が甲状腺に与える影響として、

  1. 成長ホルモン(GH)により臓器も腫大するため、甲状腺腫(甲状腺のサイズが大きくなる事)が生じます
  2. 成長ホルモン(GH)による細胞増殖刺激と細胞自然死(アポトーシス)抑制により、甲状腺に腫瘍(腺腫様甲状腺腫76%, 甲状腺癌7%)ができやすくなります。
  3. 下垂体での成長ホルモン(GH)過剰産生と同時に、他の下垂体ホルモンの産生低下し、下垂体機能低下症・中枢性甲状腺機能低下症(甲状腺は萎縮せず、逆に腫大するのが特徴)
  4. TSH不適切分泌症候群(SITSH)の一つ、TSH産生下垂体腺腫では、下垂体からTSH(甲状腺刺激ホルモン)と同時に成長ホルモン(GH)プロラクチンが分泌されることがあります。
先端巨大症 超音波(エコー)画像

先端巨大症[成長ホルモン(GH)産生下垂体腺腫]の原因

先端巨大症[成長ホルモン(GH)産生下垂体腺腫]の原因は、下垂体の成長ホルモン(GH)産生細胞が

  1. GNAS遺伝子の活性化突然変異:成長ホルモン放出蛋白(GRP)受容体の刺激伝達経路にあるGs alpha subunitをコードする遺伝子の変異で、散発性の成長ホルモン(GH)産生下垂体腺腫の40%に見られます。(Endocrine. 2016;54(3):762-767)
  2. AIP(aryl hydrocarbon receptor interacting protein)遺伝子変異:稀な家族性単発性下垂体腺腫 (FIPA) の15-20%に見られます。(J Endocrinol. 2015; 226:T141-60)
  3. GPR101反復変異:散発性の成長ホルモン(GH)産生下垂体腺腫に見られる事があります。(N Engl J Med. 2014; 371:2363-74)

先端巨大症の診断確定

先端巨大症診断確定には

  1. 成長ホルモン(GH)測定:間欠的に分泌され、半減期短いのでソマトメジン-C(IGF-1)より信頼性低く、75gブドウ糖負荷試験必要
    75gブドウ糖負荷試験:1-2時間後健常人は成長ホルモン(GH)が抑制されますが、先端巨大症ではほぼ全例で抑制されず、20%では逆に上昇。
  2. ソマトメジン-C(IGF-1)高値:肝で成長ホルモン(GH)に応答して産生され、成長促進作用、インスリン様作用、細胞の分化増殖作用を有します。
  3. 下垂体ダイナミック(造影)MRIまたはCTで下垂体腺腫の所見を認める

を満たさねばなりません。

先端巨大症に特徴的な検査結果

成長ホルモン(GH)以外の下垂体ホルモンの分泌を調べるTRH,CRH,LH-RH,ブロモクリプチン負荷試験:正常では反応しないTRH,CRH,LH-RHに刺激され、成長ホルモン(GH)が上昇します。[成長ホルモン(GH)の奇異反応]

TRH:甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン=TSH放出ホルモン
CRH:副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン=ACTH放出ホルモン
LH-RH:性腺刺激ホルモン放出ホルモン=ゴナドトロピン(LH、 FSH)放出ホルモン

いずれも視床下部から放出されるペプチドホルモンで、下垂体前葉に作用

院長の論文

先端巨大症の薬物療法

ドパミン作動薬

ドパミン作動薬のブロモクリプチン(パーロデル®)、カベルゴリン(カバサール®)は内服薬で、脳内のドーパミンの分泌促進により成長ホルモン(GH)分泌を抑制します。

下記のソマトスタチンアナログやペグビソマントと併用します。

ソマトスタチンアナログ(根治療法でないため長崎クリニックでは取り扱いません)

ソマトスタチン作用機序

ソマトスタチンは脳の視床下部・消化官の内分泌細胞・膵ランゲルハンス島から分泌されるホルモンで、

  1. 脳下垂体の成長ホルモン(GH)プロラクチン・TSH(甲状腺刺激ホルモン)分泌抑制 (甲状腺ホルモン系にも関与)
  2. 消化官の内分泌細胞
  3. 膵ランゲルハンス島のインスリン・グルカゴン産生・分泌抑制
  4. バセドウ眼症の線維芽細胞のソマトスタチン受容体(SSTR-2,-5)に結合し、増殖を抑えるとされますが、無効とのRCT(ランダム化比較試験)があります。[N Engl J Ned. 2009; 360(10)994-1001]
ソマトスタチンアナログ

などの作用があります。ソマトスタチンアナログ[酢酸オクトレオチド(サンドスタチン®)、ランレオチド酢酸塩(ソマチュリン®)]の保険適応は

  1. 先端巨大症
  2. 消化管神経内分泌腫瘍
  3. 膵臓内分泌腫瘍インスリノーマ・グルカゴノーマ
  4. 緩和医療での消化管閉塞症状の改善(腫瘍ではありません)

です。保険外適応は

  1. TSH産生下垂体腺腫
  2. プロラクチン産生下垂体腺腫(不妊・生理不順 高プロラクチン血症)

です。ソマトスタチンはホルモン分泌低下、腫瘍縮小効果ありますが、ホルモン産生腫瘍がなくなる訳ではありません。効果不十分の場合、ガベルゴリン(プロラクチン産生下垂体腺腫のみ保険適応)併用

副作用は中枢性甲状腺機能低下症・徐脈・消化器症状

成長ホルモン受容体拮抗薬ペグビソマント

ペグビソマント(ソマバート®)

成長ホルモン受容体拮抗薬(成長ホルモンアンタゴニスト)のペグビソマント(ソマバート®)は、成長ホルモン(GH)をブロックするだけで、腫瘍縮小効果なく、あまり意味ないと思います。

下垂体腺腫の手術療法と治療効果

成長ホルモン(GH)過剰が長期になると、前述のような合併症が起こり、死亡率が2-4倍になり、寿命が平均10-15年短くなるとされます。手術で腫瘍を可能な限り残さず摘出するのが、一番です。取り残しすと、成長ホルモン受容体拮抗薬ペグビソマントやソマトスタチンアナログを生涯自己注射する事になります。もちろん、いくら努力して取り残しが無いようにしても、取り切れない事があるのも事実です。(第55回 日本甲状腺学会 P1-07-06 先端巨大症を合併し、甲状腺全摘出、内照射、オクトレオチド・ペグビソマントによるIGF-1値制御にて管理中の甲状腺乳頭癌の1例)

手術方法は、経蝶形骨洞的腫瘍摘出術(Hardy手術)が基本ですが、内視鏡的に行う施設もあるようです。長崎クリニック(大阪)では、大阪市立大学 代謝内分泌内科で精密検査後、脳外科へ転科していただきます。

先端巨大症(下垂体性成長ホルモン分泌異常症)の手術療法が甲状腺に与える影響

先端巨大症(下垂体性成長ホルモン分泌異常症)の手術療法が甲状腺に与える影響として、甲状腺腫瘍の縮小が最も有名です。(第55回 日本甲状腺学会 P1-07-07 GH産生下垂体腺腫摘出術施行後、合併する糖尿病と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善とともに縮小効果を認めた甲状腺良性腫瘍の1例)

先端巨大症(下垂体性成長ホルモン分泌異常症)の手術療法が甲状腺以外に与える影響

先端巨大症(下垂体性成長ホルモン分泌異常症)の手術療法が甲状腺に与える影響として、

  1. 睡眠時無呼吸症候群の改善
  2. 糖尿病の改善

があります。(第55回 日本甲状腺学会 P1-07-07 GH産生下垂体腺腫摘出術施行後、合併する糖尿病と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善とともに縮小効果を認めた甲状腺良性腫瘍の1例)

おまけ---ウルトラQ第2話「五郎とゴロー」

甲状腺ホルモンと成長ホルモン ウルトラQ第2話「五郎とゴロー」

--「甲状腺ホルモンのバランスが崩れて、異常な発育を示すことが、我々人間の場合にもあります。 そうです。ここは全てのバランスが崩れた恐るべき世界なのです。これから30分、貴方の目は貴方の体を離れて、この不思議な時間の中に入って行くのです。」

 石坂浩二さんがナレーションを担当していたウルトラQ第2話「五郎とゴロー」の昭和40年代を彷彿とさせる懐かしのオープニング。いや~子供のころを思い出すわ―!

戦時中、衰弱した兵士を回復させるため開発された「青葉クルミ」を食べたサルが甲状腺ホルモンに異常をきたし巨大化するストーリーです(現実にはありえません)。

甲状腺ホルモンも、成長ホルモン同様に子どもの成長に大きな影響を及ぼします。これは、甲状腺ホルモンが骨などの臓器の新陳代謝を活発にすると同時に、成長ホルモンの分泌をうながすためです。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療     長崎クリニック(大阪)

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