検索

未知のIgG4関連疾患(IgG4甲状腺炎とは異なる)      [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査の長崎クリニック(大阪)]

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見② 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

リーデル甲状腺炎 超音波(エコー)像

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   内分泌代謝(副甲状腺/副腎)・痛風/肥満/禁煙等  (下垂体・妊娠/不妊等)  糖尿病編 をクリックください

Summary

IgG4関連疾患におけるIgG4関連甲状腺炎(IgG4甲状腺炎とは異なる)について解説。リーデル甲状腺炎,ミクリッツ病,自己免疫性膵炎,IgG4関連肺疾患,IgG4関連腎臓病,後腹膜線維症についても説明します。

IgG4関連疾患とは

IgG4関連疾患とは

免疫グロブリンの一つIgGの3%がIgG4です。

甲状腺領域、甲状腺外の領域でも、IgG4は最もホットな話題の一つです。IgG4関連疾患は、どの臓器にも発生する可能性があります。血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の組織浸潤/腫瘤形成が特徴で、自己免疫性膵炎、ミクリッツ病などをおこします。

 厚生労働省班研究グループの包括的診断基準として、1)血清IgG4が、135 mg/dl以上、2)組織におけるIgG4陽性細胞高倍率視野で10個以上、IgG4/IgG比40%以上、が提唱されています

IgG4関連疾患の免疫異常の正体

IgG4関連疾患の免疫異常は、Th2およびTregサイトカインが病因と言われます。

ヘルパーT細胞には、Th1細胞(細胞性免疫)Th2細胞[液性免疫:免疫グロブリン(TSH受容体抗体:TRAb)による]があり、どちらが優位になるかで、橋本病バセドウ病いずれになるか決まります(橋本病とバセドウ病は入れ替わる---元は同じ自己免疫性甲状腺疾患)。

Th1優位になれば橋本病Th2優位になればバセドウ病になります。また、バセドウ病にはTregも強く関与していると言われ、不思議なことに、IgG4関連疾患の免疫異常は、橋本病よりバセドウ病に近い事になります。

岡山大学の報告では、IgG4関連疾患Th2およびTregサイトカインは、Th2優位の代表である花粉症(アレルギー性鼻炎)・アトピー性皮膚炎で有名なマスト細胞(肥満細胞)で作られるとのことです(Mod Pathol 2014 Jan 3. doi: 10.1038/modpathol.2013.236)

IgG4関連甲状腺炎

IgG4関連甲状腺炎とは

20%に甲状腺機能低下症を認めますが、橋本病の一亜型のIgG4甲状腺炎橋本病型IgG4甲状腺炎)とは異なり、むしろ組織がガチガチに線維化する(線維化する肉芽腫性炎症の)リーデル(Riedel)甲状腺炎に近いものと考えられます(IgG4関連甲状腺炎)。いずれも組織中のIgG4/IgG比が50%以上ですが、リーデル(Riedel)甲状腺炎の線維化が甲状腺内外に広がるのに対し、IgG4関連甲状腺炎は甲状腺内に限局した線維化です。

甲状腺内に地図状低エコー領域を認め、ステロイド治療等で縮小します。
甲状腺癌の合併が今まで2例報告されます(頻度は多くありません)。

IgG4関連甲状腺炎

(右)IgG4関連甲状腺炎の組織:線維組織の著明な増生とIgG4を産生する形質細胞の浸潤を認めます。

(右)線維化した部分はエラストグラフィーで青く(硬く)見えます。

IgG4関連甲状腺炎の症状

IgG4関連甲状腺炎の症状は、急激な

  1. びまん性甲状腺腫大
  2. 甲状腺機能低下症
  3. 気道圧排(気管切開しなければならない時ある)

などです。リーデル(Riedel)甲状腺炎のような、発熱・頚部痛は起こらないようです。

(第55回 日本甲状腺学会 P2-05-08 IgG4 甲状腺炎により、著明な甲状腺機能低下と急速な気道閉塞を来した一例)

甲状腺原発悪性リンパ腫・甲状腺乳頭癌との鑑別

IgG4甲状腺炎 細胞診

極めて低エコー(要するに真っ黒)に見える部分は、

  1. 甲状腺原発悪性リンパ腫(形質細胞への分化を伴うMALTリンパ腫)
  2. 甲状腺乳頭癌

との鑑別が必要な場合があります。穿刺細胞診では、

  1. 好酸性細胞(核溝もあり)
  2. 形質細胞
  3. リンパ球

を認めます。

リーデル(Riedel)甲状腺炎

リーデル(Riedel)甲状腺炎は、原因不明ですが、IgG4関連甲状腺炎に似て線維化が著明です。

  1. 発熱
  2. 頚部痛(痛みの部位に一致して低エコー、硬い)
  3. 甲状腺中毒症から甲状腺機能低下症に移行
  4. 急速に進行して気道狭窄

おこし、

  1. エコー上IgG4関連甲状腺炎に似て、硬く、気道狭窄
  2. 生検で著明な線維化・多彩な炎症細胞浸潤
リーデル甲状腺炎 超音波(エコー)像

認め、甲状腺低分化癌甲状腺原発悪性リンパ腫との鑑別が必要になります。治療は

  1. ステロイドパルス、その後のステロイド経口投与:リーデル甲状腺炎の活動性収まらず年単位の投与になります。時期を逸する前に、外科手術に踏み切るのが良いと考えます。
  2. 気管切開
  3. 甲状腺の前方を外科手術(時期を逸すると周囲に癒着し中々はがれません)

甲状腺乳頭癌が合併

IgG4関連疾患甲状腺乳頭癌(1例は乳頭癌由来低分化癌)が合併した症例が報告されています。偶然なのか、それとも何らかの免疫機序が関連するのか謎です。1例はIgG4関連下垂体炎・後腹膜線維症、もう1例は自己免疫性膵炎に合併したとの事です。(第58回 日本甲状腺学会 P167 IgG4関連疾患に甲状腺乳頭癌を合併した2例)

甲状腺以外のIgG4関連疾患

IgG4眼症

IgG4眼症は、甲状腺眼症・バセドウ病眼症と同じく、上眼瞼炎、眼筋炎、眼窩内脂肪織炎を認めます。(第55回 日本甲状腺学会 P2-07-04 橋本病と木村病に外眼筋腫大と眼瞼腫脹を合併し高IgG4 血)症を呈した一例)

単純CTでは、それらの病変に評価は難しく、MRIの方がはるかに優れています。ただ、単純CTではミクリッツ病(Mikulicz病)の涙腺腫大は良く解ります。

IgG4眼症・ミクリッツ病 CT画像

ミクリッツ病(Mikulicz病)

ミクリッツ病 超音波(エコー)像

ミクリッツ病(Mikulicz病)はシェーグレン症候群と非常に類似しているが、シェーグレン症候群に特異的な抗SS-A抗体はほとんど陰性です。

IgG4関連下垂体炎

IgG4関連下垂体炎の症状

IgG4関連下垂体炎は、リンパ球性下垂体炎(自己免疫性下垂体炎)の一種です。症状は、

  1. 下垂体周囲組織の障害で、視力視野障害、脳硬膜髄膜炎(肥厚性硬膜炎)、海綿静脈洞炎(海綿静脈洞腫瘤)、副鼻腔炎、Tolosa-Hunt 症候群
  2. 下垂体前葉機能低下症下垂体後葉機能低下症尿崩症
  3. 自己免疫性甲状腺疾患である橋本病(慢性甲状腺炎)の合併も多い

IgG4関連下垂体炎の診断

です。IgG4関連下垂体炎の診断は

  1. 血中IgG4 濃度が高値を示さない場合もあります。
  2. MRIにて下垂体・下垂体茎の腫大おこし、下垂体腫瘍と区別しにくいことあります
  3. IgG4関連下垂体炎の確定診断は生検や手術による下垂体または下垂体茎の組織所見によりますが、実際には生検が困難なことが多いです。(Endocr J 2009; 56(9): 1033–1041.)
  4. 下垂体生検出来ない場合、治療的診断としてステロイド投与して下垂体腫瘤が縮小・消失するか確認。

IgG4関連下垂体炎の治療

副腎皮質ステロイド投与で、劇的に画像上の下垂体腫大も改善します。

また、IgG4関連下垂体炎と診断されておらず、単なる下垂体前葉機能低下症として、補充目的で甲状腺ホルモン剤と副腎皮質ステロイド剤を内服した場合、副腎皮質ステロイド剤の影響でIgG4関連下垂体炎が治まり甲状腺ホルモン剤が必要なくなることあります。(副腎皮質ステロイド剤は中止するとIgG4関連下垂体炎が再発するため、慎重に減量)

(第55回 日本甲状腺学会 P2-05-06 IgG4 関連疾患による下垂体性甲状腺機能低下症―ステロイド投与による回復についての考察―)

肥厚性硬膜炎て「IgG4 関連疾患」?

肥厚性硬膜炎は,脳脊髄硬膜が線維性に肥厚し,頭痛,多発脳神経麻痺をきたす疾患でIgG4関連疾患の可能性が報告されています。

IgG4関連肺疾患

IgG4関連肺疾患:高齢男性に多く、間質病変が主で、縦隔リンパ節腫大あり。KL6上昇なく、sIL-2Rは高値で悪性リンパ腫との鑑別要。ステロイド反応性良好。

自己免疫性膵炎

自己免疫性膵炎おこします。自己免疫性膵炎は高齢男性に多く、腫瘤状の膵臓(腫瘤性膵炎)になり、膵癌と区別しにくいです。MRI[正確には磁気共鳴膵胆管造影(MRCP)]で膵管の狭細化を認め、膵癌と同じです。ダイナミックMRI平行相にて腫瘤形成性膵炎は早めのピークで比較的濃染され、膵癌は漸増性。

無題
自己免疫性膵炎

びまん性自己免疫性膵炎はCTでも診断可能
局所性自己免疫性膵炎はEUS-FNAで穿刺細胞診が有用です。

自己免疫性膵炎ではインスリン分泌が低下し、糖尿病悪化することあります。

自己免疫性膵炎と1型糖尿病・甲状腺機能亢進症/バセドウ病合併

自己免疫性膵炎1型糖尿病甲状腺機能亢進症/バセドウ病合併する症例が報告されています。3つとも血糖を上昇させるため、インスリン導入でしか治療できません。(第55回 日本甲状腺学会 P2-05-11 自己免疫性膵炎を合併した1 型糖尿病合併バセドウ病の1 例)

原発性硬化性胆管炎

原発性硬化性胆管炎(PSC; primary sclerosing cholangitis)の合併もあります。肝臓内・外の胆管に炎症、線維化、狭窄を起こし、胆汁うっ滞を来します。

後腹膜線維症

後腹膜線維症は、内臓を包む腹膜の背中側がガチガチに線維化します。腎臓から出て膀胱へ至る尿管を巻き込むため、尿の通過障害が起こります。結果、尿が腎臓へ逆流し水腎症や急性腎盂腎炎を発症します。、

 腸間膜脂肪織炎もIgG4関連疾患

 腸間膜脂肪織炎は原因不明とされてきましたが、IgG4陽性のものが報告されています。

IgG4関連腎臓病

IgG4関連腎臓病はほぼ全例に尿細管間質病変を、40%に糸球体病変(膜性腎症、稀に半月体形成性糸球体腎炎)を認めます。尿タンパク・血尿から腎機能低下まで多様な病態です。造影CTで腎実質の多発性造影不領域を認める事あり。腎がんとの鑑別が必要になります。

  1. IgG4IgG4関連疾患以外の反復感染、悪性腫瘍、自己免疫疾患、血管炎、間質性肺炎などでも上昇
  2. 抗ラクトフェリン抗体、抗carbonic anhydlase Ⅱ抗体が陽性のことあり。
  3. IgG4甲状腺炎同様、抗核抗体陽性のことあります。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎クリニック(大阪)


広告

長崎クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 地下鉄 谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

診療時間電話番号や地図はこちら

ORSコード