甲状腺微小乳頭癌に対する長崎甲状腺クリニック(大阪)の考え方  [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

「非手術経過観察中の甲状腺微小乳頭癌」に対するセカンドオピニオンは、お断りしております。

甲状腺微小乳頭癌」に対する長崎甲状腺クリニック(大阪)の考え方は、本ページに記載した通りです。どのように考えるかは、患者様自身、医療機関により異なります。

「非手術経過観察」か「積極的手術」か、現時点で、どちらが正しく、間違っているかの答えは存在しません。

「非手術経過観察」に納得できないなら、主治医とよく相談されることをお勧めします。

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見①甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等   糖尿病編 をクリックください

Summary

長崎甲状腺クリニック(大阪)は「甲状腺微小乳頭癌は手術すべきでない」という極論には反対。手術不要も多いが、絶対手術すべき浸潤型微小乳頭癌も存在。40歳未満の甲状腺微小乳頭癌では、15年間で約60%が3mm以上サイズ増大、約40%がリンパ節転移と隈病院も認めています。

甲状腺微小乳頭癌とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)の方針として「甲状腺微小乳頭癌は一律に手術すべきでない」という極論には反対です。特に、癌センターなどでは、「甲状腺乳頭癌など癌ではない」と言い切る癌専門医もいるようです。確かに手術しなくて良い甲状腺微小乳頭癌が多くある一方で、絶対手術すべき甲状腺微小乳頭癌が存在するのも事実です。

[長崎甲状腺クリニック(大阪)は内科系甲状腺専門医ですので手術自体は大阪市立大学 内分泌外科に依頼します]

甲状腺微小乳頭癌の増加

甲状腺微小乳頭癌は1cm 未満の微小な甲状腺乳頭癌です。日本では35歳以上の女性の3.5%に存在するとの報告があります(Takabe et al. KARKINOS 1994)。超音波診断装置(エコー機械)の進歩に加え、肺CTや頚動脈超音波(エコー)検査で偶然見つかる甲状腺乳頭癌が増えているためで、アメリカでも甲状腺微小乳頭癌増加しています(甲状腺乳頭癌の49%)(JAMA. 2006, 10;295:2164-7)。

甲状腺微小乳頭癌の割合

近年、手術しないで経過観察するのが主流になりつつあります。絶対手術すべき甲状腺微小乳頭癌も紛れており、見逃してはいけません。

甲状腺微小乳頭癌を手術する根拠

甲状腺微小乳頭癌の中には、浸潤・転移しやすい浸潤型微小乳頭癌が確かに存在します。浸潤・転移しやすい甲状腺微小乳頭癌か否かを調べるのは現時点では不可能で、浸潤・転移するかどうか経過観察するしかありません。

  1. 「周囲リンパ節腫大がなく、遠隔転移が無い症例では、80%の症例で5 年以上経過をみても何の変化もなく、生命にかかわることもなし。」との根拠で、甲状腺微小乳頭癌は手術しない方針を打ち出している医療機関が複数あります。

    甲状腺微小乳頭癌でも1%は(10年では3.8%)経過観察中にリンパ節転移します(隈病院公表データ: Thyroid,24;7-34,2014)
    実際、橋本病バセドウ病では甲状腺周囲のリンパ節は複数腫れていることが多く、甲状腺微小乳頭癌が発生してもよほど典型的な形状の転移リンパ節でなければ、区別は難しいです。
    (穿刺細胞診は必ずしも確実でなく、全身麻酔によるリンパ節生検も余程疑わしくない限りおこなえません。)

    甲状腺微小乳頭癌でも、経過観察中に肺に遠隔転移すれば甲状腺全摘出して放射線療法が始まります[こうなると最初から手術していれば甲状腺半分だけの摘出で(全摘したとしても)、放射線治療しなくて済んだのに・・・と言う事になります]。肺CTで肺転移の有無を定期的に確認せねばなりません。

    私がこれまで遭遇した症例には、肺転移が先に見つかり、全身の原発巣を調べた結果、甲状腺微小乳頭癌にたどり着いたものが数例あります(浸潤型微小乳頭癌)。
     
  2. 同じ甲状腺微小乳頭癌でも年齢によって予後が違います。通常の甲状腺乳頭癌とは逆で、40 才以下で、サイズ増大・リンパ節転移しやすいです。高齢者の甲状腺微小乳頭癌は進行しにくいです。
    これは、40才以下の甲状腺微小乳頭癌には大きくなる途上のものが含まれ、高齢者の甲状腺微小乳頭は長年小さいまま変化しないのがほとんどだと考えられます。


  3. 甲状腺微小乳頭癌でも10年では10%以下は経過観察中に3mm以上のサイズ増大します(隈病院公表データ: Thyroid,24;7-34,2014)。若年者では10%です。サイズ増大してから手術すれば間に合うとの見解ですが、1例のみ手術後の残存甲状腺に再度甲状腺微小乳頭癌が現れたそうです。
甲状腺微小乳頭癌の累積増大率

2014年の隈病院の最新データでは、15年後に3mm以上のサイズ増大した甲状腺微小乳頭癌の累積率は、なんと!20%(つまり、15年後には甲状腺微小乳頭癌の5人に1人は3mm以上のサイズ増大する)。(Thyroid,24;7-34,2014)

40歳未満の若年者に限定すれば、甲状腺微小乳頭癌発見後15年で、約60%は3mm以上のサイズ増大、約40%はリンパ節転移するというトンデモナイ(15年間癌の恐怖におびえた挙句、結局手術になるやん。リンパ節転移する前に手術していれば、手術後の再発を一生恐れる精神的負担から解放されるのでは?)

隈病院の見解では、「手術すれば0.2%に永続性反回神経麻痺の合併症がおこるから、それでも手術せずに経過観察の方が良い」と言う事ですが・・・・

甲状腺微小乳頭癌の年齢別 累積増大率

甲状腺微小乳頭癌の年齢別 累積増大率

甲状腺乳頭癌の年齢別 リンパ節転移率

甲状腺微小乳頭癌の年齢別 リンパ節転移率

4. 甲状腺乳頭癌に特徴的な微細石灰化を持たない甲状腺微小乳頭癌は進行しやすいとのことです。石灰化は同じ場所に長くとどまらなければ起こらないため、微細石灰化を持たない甲状腺微小乳頭癌は短期間で成長していると推察されます。

石灰化の無い甲状腺微小乳頭癌 超音波(エコー)画像

石灰化の無い甲状腺微小乳頭癌 超音波(エコー)画像

石灰化の無い微小乳頭癌(拡大) 超音波(エコー)画像

石灰化の無い甲状腺微小乳頭癌(拡大) 超音波(エコー)画像

以上から、長崎甲状腺クリニック(大阪)の方針として甲状腺微小乳頭癌も患者さん本人が希望する限り手術すべきと考えます。「甲状腺微小乳頭癌は絶対手術しない」という癌専門医も、自分の甲状腺に甲状腺微小乳頭癌が見つかったら、多分、真っ先に手術を受けると思います。

浸潤型微小乳頭癌

前項でも述べた通り、浸潤型微小乳頭癌は、浸潤・転移しやすい甲状腺微小乳頭癌です。確かに、その頻度は甲状腺微小乳頭癌の1%以下と考えられます。浸潤型微小乳頭癌である危険性を考え甲状腺微小乳頭癌をすべて手術するなら、結果的に無駄な手術も増えるでしょう。他の領域の専門医に比べると甲状腺専門医の数は遥かに少なく、甲状腺外科専門医・内分泌外科専門医は更に輪を掛けて少ないのが実情です。進行癌など優先順位を考えれば、とても手が回らないのも事実です。

浸潤型微小乳頭癌は、筆者も幾度か遭遇しています。大抵、肺転移が先に見つかり、原発巣を探していくと甲状腺微小乳頭癌にたどり着くと言うものです。野口病院の報告では、遠隔転移治療目的で放射性ヨード内用療法施行し、原発巣が甲状腺分化癌(甲状腺乳頭癌,甲状腺濾胞癌)だった112 症例(甲状腺乳頭癌:99、甲状腺濾胞癌:13)の内、

  1. 甲状腺微小癌が5症例[甲状腺乳頭癌:4 例(4%)、甲状腺濾胞癌1 例(7.7%)]みられた。
  2. 平均年齢は66.4 歳(51-82)
  3. 転移病巣は肺転移3 例、骨転移1例、肺転移と骨転移両方1 例
  4. 5 例中4 例は転移を契機に発見され、1 例は術後経過観察中に転移を指摘
  5. 原発巣の大きさは5 例中3 例が5mm 以下、5mm 以上の病変は石灰化を有した
  6. 2 症例にリンパ節転移を認めた。

との事です。(第57回 日本甲状腺学会 P1-065 分化型甲状腺微小癌の遠隔転移についての考察)

浸潤型微小乳頭癌の肺転移

浸潤型微小乳頭癌の肺転移は、必ずしも、びまん性多発性小粒状とは限りません。孤立性で原発性肺がんと鑑別困難な症例も存在します。

しかも、TBLBで採取した組織が甲状腺分化癌に特有のサイログロブリンを発現しないことあります。

浸潤型微小乳頭癌の肺転移

絶対手術が必要な甲状腺微小乳頭癌

甲状腺微小乳頭癌でも

  1. すでに遠隔転移(肺転移・骨転移・脳転移)しているもの。アイソトープ(放射性ヨウ素, 131-I)治療するため甲状腺を全部摘出せねばなりません。
  2. 気管に浸潤する可能性がある・甲状腺背面に接し反回神経に近いものは、気道内への出血・反回神経麻痺の危険から(隈病院の外科でもオペするそうです)、甲状腺を半分切除~全部摘出せねばなりません。
     
  3. 石灰化が甲状腺微小乳頭癌内部だけでなく、甲状腺微小乳頭癌の周囲にも広がっている場合は、リンパ管に沿って周囲へリンパ行性に広がっています。
    また、甲状腺内転移がある場合も同様です。
甲状腺微小乳頭癌(気管・反回神経に接する)

ただし、家族性(遺伝性)甲状腺微小乳頭癌は進行性の甲状腺微小乳頭癌にはならないと言う隈病院の見解です。(写真:第15回隈病院甲状腺研究会より提供)

甲状腺微小乳頭癌と通常型甲状腺乳頭癌の違い

  1. 約50%は被膜直下型で、被膜陥凹をおこすもの、被包型(被膜に包まれ周囲へ浸潤してなさそう)のものが多いという隈病院のデータです。
  2. 石灰化のパターンも違いがあり、微細石灰化と卵殻状石灰化の頻度は通常の甲状腺乳頭癌と同じですが、甲状腺微小乳頭癌は破片状・塊状石灰化の頻度が多いのが特徴です。
  3. 若年者の甲状腺微小乳頭癌は、通常型甲状腺乳頭癌より、増殖能力が高く、進行が速いです。MIB-1ラベリング(Ki-37標識率)は、増殖している細胞のみに結合し、発色させる方法で、甲状腺微小乳頭癌通常型甲状腺乳頭癌より高値です。(図:第16回隈病院甲状腺研究会より提供)。

詳細は、甲状腺微小乳頭癌は超音波(エコー)検査でどう見えるか? を御覧ください。

MIB-(Ki-37標識率)1ラベリング 方法

MIB-1ラベリング(Ki-37標識率) 方法

MIB-1ラベリング(Ki-37標識率) 組織別

MIB-1ラベリング(Ki-37標識率) 組織別

妊娠中の甲状腺微小乳頭癌

隈病院の統計では妊娠中甲状腺微小乳頭癌の45%がサイズが増大するとのことです。もちろん、女性ホルモンの影響が大きいと思われますが、あまり気持ちの良いものではありません。

甲状腺微小乳頭癌が見つかった時の転移検索

甲状腺微小乳頭癌の中には、転移しやすい浸潤型微小乳頭癌が確かに存在します。転移しやすい甲状腺微小乳頭癌か否かを調べるのは現時点では不可能です。よって、長崎甲状腺クリニック(大阪)では甲状腺微小乳頭癌が見つかれば、肺・上半身骨CT, 脳MRIをお勧めしています。

甲状腺がん転移検索CT 肺モード

甲状腺がん転移検索CT 肺モード

甲状腺がん転移検索CT 骨モード

甲状腺がん転移検索CT 骨モード

甲状腺関連の上記以外の検査・治療     長崎甲状腺クリニック(大阪)

広告

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区も近く。

表示:PC