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甲状腺と人格変化、異食症、神経性やせ症〈神経性食思不振症〉・神経性過食症 [橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。人格変化、異食症、神経性やせ症(神経性食思不振症)・神経性過食症自体の診療は行っておりません。

また、妄想・幻覚・幻聴などで精神科治療中の方、待合室で叫ぶ方、暴れる方、被害妄想で他の患者さんに暴言を吐く方、その他、マスクを外す方、不衛生な行為をする方など、他の患者さんに迷惑を掛ける方は、当院では手に負えません。精神科と内分泌内科のある総合病院を受診して下さい。

神経性やせ症(神経性食思不振症)

甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。

  1. 甲状腺機能亢進症精神神経病
  2. 甲状腺機能低下症精神神経病  
  3. 不眠症

甲状腺と人格変化、異食症、神経性やせ症〈神経性食思不振症〉・神経性過食症(本ページ)

Summary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の精神障害、橋本脳症で人格変化。異食症は土・紙・毛・氷などを食べる。甲状腺機能低下症/橋本病、甲状腺機能亢進症/バセドウ病で起こる鉄欠乏性貧血・亜鉛欠乏症、精神的ストレス(妊娠など)、精神疾患、精神発達遅延、認知症が原因で、抜毛症→食毛症→毛髪胃石。神経性やせ症〈神経性食思不振症〉は、やせ願望や肥満恐怖から極端な食事制限を行う。やせ、低栄養による代謝機能低下、低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)により甲状腺機能低下症と同じ症状、検査所見。神経性過食症は、むちゃ喰いと自己誘発性の嘔吐・下剤乱用を繰り返す。

Keywords

甲状腺機能亢進症,バセドウ病,人格変化,異食症,甲状腺機能低下症,橋本病,毛髪胃石,神経性やせ症,神経性食思不振症,神経性過食症

甲状腺と人格変化

突然、人格が一変し、穏やかな性格が、怒りっぽく、攻撃的、凶暴な人格になる事があります。常識的に考えれば、何かの病気である可能性が高いですが、甲状腺が原因の事もあります。

  1. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の精神障害(甲状腺機能亢進症/バセドウ病の精神異常 )
  2. 橋本脳症

鑑別を要する疾患は、

  1. 本当の認知症
  2. 前頭葉の脳腫瘍、脳動脈瘤、脳動静脈奇形(AVM)、脳出血後の血腫
  3. 自己免疫性脳炎
  4. 本当の精神病(統合失調症、多重人格、双極性障害)

などです。

甲状腺と異食症(いしょくしょう)

異食症(いしょくしょう)は、栄養価の無いもの(要するに食料じゃない物)を無性に食べたくなる病態。土・紙・毛・氷などが代表的。日本では、19歳以下が87%、女性が97%とされ、甲状腺の病気と同じく女性に多いとされます(臨外会誌1984;45:1500 -3.)。

  1. 甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病で起こる鉄欠乏性貧血亜鉛欠乏症;特に氷食症、土食症が多い。脳の酸素不足により、満腹中枢障害や体温調節障害が起こるためとされます。
     
  2. 甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病で悪化する極度の精神的ストレス(妊娠ストレスも含む)、精神疾患、精神発達遅延、認知症が原因で、抜毛症→食毛症→毛髪胃石。ストレスによるセロトニン不足が一因とされます。

毛髪胃石

胃石とは胃内で食物・異物が不溶性の結石を形成したものです。構成成分により植物胃石、毛髪胃石、その他胃石に分けられます。日本では植物胃石が胃石の大多数を占めます。

毛髪胃石は、異食された毛髪が胃内で胃液の作用を受け塊状となったもの。大きくなると

  1. 食事摂取不能
  2. 潰瘍や穿孔
  3. 毛髪胃石が小腸に移動し腸閉塞

内視鏡的摘出は困難で外科摘出になる事があります(Surgery 1968 :2: 339-43.)(Gastroenterol Endosc 1993; 12:3110.)。最近では、コカ・コーラなどの炭酸水による溶解療法が注目され、炭酸ガスにより線維密度が緩くなるためと考えられます(Gastroenterol Endosc 2014;56:3340-6)。

甲状腺機能低下症が合併すると、

  1. 身体活動性の低下
  2. 精神神経障害・認知症の増悪
  3. 胃の蠕動機能低下
  4. 脱毛

などが加わり、毛髪胃石が起こり易くなるとされます(写真含みGastroenterol Endosc 1998; 40:896-900.)。

毛髪胃石

その他の胃・腸内異物

小児・認知症・精神発達遅滞では、口に入る物は何でもあり、思うもよらない物の事があります。CT画像で異物を特定するのは困難。

神経性やせ症〈神経性食思不振症〉、神経性過食症と甲状腺

神経性やせ症〈神経性食思不振症〉(制限型)では、やせ願望や肥満恐怖から、自己体重・体型を過剰に気にして、極端な食事制限を行います。既に低体重になっているのに、自分は太っていると思い込み、極端な食事制限を続けます。

その結果、著しいやせ(るいそう)状態となり、

  1. やせ、低栄養による代謝機能の低下
  2. 鉄欠乏性貧血
  3. 低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)
  4. 視床下部/下垂体性無月経;体重減少によりGnRH分泌が抑制→低ゴナドトロピン性(LH,FSH)、低エストラジオール(20pg/mL未満)血症、腹部超音波検査で未発達の子宮・薄い子宮内膜
  5. 成長ホルモン抵抗性
  6. 高コルチゾール血症
  7. 低ナトリウム血症
    (Nat Rev Endocrinol. 2017 Mar;13(3):174-186.)

から

  1. 徐脈、心嚢液貯留(22~71%)、僧帽弁逸脱症(Mehler and Brown Journal of Eating Disorders, 2015; 3: 11.)
  2. 低体温
  3. 浮腫
  4. 皮膚乾燥、黄染(柑皮症)
  5. 産毛密生、脱毛
  6. 無月経不妊妊娠出産した場合でも低出生体重児(将来、糖尿病・脂質代謝異常など生活習慣病になりやすい)
  7. 骨粗鬆症
  8. 便秘

が生じ、状腺機能低下症と同じ症状になります。血液検査も甲状腺機能低下症と同じ様に、肝機能異常、高コレステロール血症、貧血の所見を示します。

小児・思春期では、成長発育障害に繋がります。

神経性過食症では、やせ願望や肥満恐怖があるものの、極端な食事制限を続ける程、意思が強くなく、むちゃ喰いと自己誘発性の嘔吐や下剤の乱用を繰り返します。また、無理な食事制限を繰り返すと、エネルギーを体脂肪として蓄えやすい体質になって、逆に太りやすいくなる場合があります。(心理的サポートが必要な肥満症神経性過食症)になります。

吐き癖のある人は、胃液で歯が汚れていたり、口の周りや中が荒れています。

小児の虐待とその後の甲状腺障害

小児虐待と甲状腺

小児虐待は、親になり切れない大人が、欲求不満を子供にぶつけるために発生します。令和2年の小児虐待(児童虐待)加害者数は、養親・継親が314人に対して実親が1,583人と圧倒的に多い(令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況)。

小児虐待の経験は、被害児に生涯にわたる生物学的、心理学的、行動学的な影響を及ぼす最も広範で悪質なストレス因子です(Dev Psychobiol. 2010 Nov; 52(7):671-90.)。

小児虐待を受けた経験を持つ

  1. 非妊娠女性は、甲状腺機能障害の頻度が高いです。(Child Abuse Negl. 2006 Jun; 30(6):589-98.)(Int J Dev Neurosci. 2015 Dec; 47(Pt B):304-8.)
  2. 妊婦は、妊娠中甲状腺機能低下症になる危険が高いとされます。視床下部-下垂体-甲状腺系のバランスを崩すためとされます(Psychoneuroendocrinology. 2017 Oct;84:190-196.)。
  3. 出産後女性は、甲状腺機能障害の頻度が高いです。(Psychiatry Res. 2012 Dec 30; 200(2-3):329-35.)
  4. 自己免疫疾患の罹患率が高い(もちろん、橋本病バセドウ病も含む)(Psychosom Med. 2009 Feb; 71(2):243-50.)(Psychol Med. 2004 Apr; 34(3):509-20.)

産後うつ病では小児期の性的虐待で橋本病抗体が上昇

産後うつ病の女性では、小児期の性的虐待が、橋本病自己抗体[抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)]の陽性率を上昇させ、視床下部-下垂体-甲状腺系のバランスを崩す危険因子とされます(J Affect Disord. 2010 Apr;122(1-2):159-63.)。

小児虐待の早期発見

小児虐待の早期発見

幼い子どもは周囲に助けを求めることができません。育児中の母親や子どもが出しているサインを見逃さないことが、虐待の早期発見につながります(ただし、これだけでは、虐待の防止になりません)。地域の保健師による母子訪問などで、子供が予防接種を受けていないために虐待が発覚する事も。

小児虐待は早期発見して、行政(児童相談所)・司法(警察・検察・裁判所)の権限で救い出すしかありません。民間人が直接立ち入る事はできません。子供を診察する医師は、虐待の証拠を見逃さず、迅速に児童相談所、傷害罪の可能性があれば警察に通報しなければなりません。

自分の子供を虐待する程、追いつめられている母親は、

  1. 笑顔が少ない
  2. 子どもに声をかけない
  3. 子どもにイライラして声を荒げる、怒鳴る
  4. 子どもの体を揺さぶったり、叩いたりする

などの特徴があります。

一方、虐待を受けている子どもは、

  1. 表情に乏しい(甲状腺機能低下症のよう)
  2. 爪や髪が汚れている(ネグレクトされている)
  3. 衣服でおおわれた部分に複数のあざや傷(医師、看護師は絶対に見逃してはいけない)
  4. 母親や周囲の大人を警戒して近づかない
  5. 逆によく知らない大人に過剰に甘える(助けを求めている)

などの特徴があります。

自傷行為

自傷行為は10代から20代に多く、様々な精神障害によるストレスで起こり得ます。意識下、あるいは無意識で、命に別条がない程度に身体を傷付けます。体を傷つけることで、精神的な苦痛を和らげようとする代償行為と考えられます。

自傷行為を行う青年期の女性では、視床下部-下垂体-甲状腺(HPT)軸の機能が低下します。コルチゾール値に有意に相関は認められませんでした。(Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2021 Dec 20;111:110345.)

自傷行為

自殺目的で甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS錠)を大量服用

自殺目的で甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS錠)を大量服用した人の報告があります。チラーヂンS錠は劇薬ですが、血中半減期は約7日なので、飲んですぐに死ぬわけではありません。不思議にも、甲状腺全摘出した人が飲む一般的な用量(100μg)の50倍〜100倍(5〜10mg)を服用した多くの小児は、甲状腺中毒症の症状(発汗、動悸、嘔吐・下痢など)がほとんど、または全くありません。日本甲状腺学会で報告された22歳の女性では、大量飲酒時の嘔吐のみです。そして、結果的に自殺未遂になるのがほとんどです。

この様な患者は当然、入院となります。治療は、

  1. βブロッカー;甲状腺ホルモンから心臓を保護
  2. 副腎皮質ステロイド剤;過剰な甲状腺ホルモンにより、副腎皮質ホルモンが分解され、副腎クリーゼ(急性副腎不全)が起きるのを防ぐ。同時にT4→T3への変換を抑制する。
    投与例としてデキサメタゾン(ベタメタゾン) 4mg =プレドニゾロン 25mg、またはヒドロコルチゾン300mg/日

2週間も経てば、血中甲状腺ホルモン値は正常近くに。

(J Pediatr Endocrinol Metab. 2013;26(1-2):129-31.)(第64回 日本甲状腺学会 14-3 レボチロキシン大量服用による甲状腺中毒症の1例)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区にも近い。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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