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甲状腺低分化がん   [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波検査(エコー) 内分泌の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺の基礎知識を、初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が解説します。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 甲状腺編 part3 を御覧ください。

甲状腺腫瘍何がどれくらいみつかるの?

近年、甲状腺腫瘍が増え続けています。これは、エコー機械の進歩に加え、肺CTや頚動脈エコーで偶然見つかるものが増えているためです。人間ドックで甲状腺エコーをおこなうと20%位に甲状腺腫瘍がみつかるとの報告が最も多いです。甲状腺腫瘍には以下のようなものがあります。

  1. 良性と言われていたが、高頻度に悪性がみつかる事が報告された腺腫様甲状腺腫
  2. 良性濾胞腺腫(いわゆるアデノーマ)
  3. 濾胞腺腫だが良悪鑑別困難例(境界病変)
  4. 悪性の甲状腺濾胞癌甲状腺乳頭癌甲状腺髄様癌甲状腺未分化癌甲状腺原発悪性リンパ腫

 (甲状腺癌の内訳は右の図)

甲状腺癌の種類と頻度

甲状腺低分化がん

Summary

甲状腺低分化癌のリンパ節転移と局所浸潤、遠隔転移、サイログロブリン、超音波(エコー)検査、細胞診、症状、治療、10年生存率、甲状腺低分化癌乳頭癌型を解説。甲状腺低分化癌は、甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)の遺伝子変異で発生する場合と無関係な場合があります。

甲状腺低分化癌とは

甲状腺低分化癌は、甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)と甲状腺未分化癌の中間的性質を持ちます。手術時平均年令は、甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)で48歳、甲状腺低分化癌で55歳、甲状腺未分化癌で63歳で、年令が高いほど分化度の低い癌が発生しやすいと言えます。(Cancer, 52: 1849-1855,1983.)

甲状腺低分化癌は、

  1. 甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)の遺伝子変異で発生する場合
  2. 先行病変なしに、いきなり発生する場合
甲状腺低分化癌発生機序

があると考えられています。隈病院で手術された甲状腺低分化癌64名中、約半数の33名に甲状腺乳頭癌の核所見・組織所見を認めたとの事です(隈病院の第10回神戸甲状腺診断セミナー)。

図は、日本甲状腺学会雑誌 2015, 6(2)113-118. 

甲状腺低分化癌のリンパ節転移と局所浸潤/遠隔転移

甲状腺乳頭癌甲状腺低分化癌のリンパ節転移率に差はないですが、甲状腺低分化癌は局所浸潤性と遠隔転移率は高いです。(耳鼻と臨床Vol. 36 (1990)  No. 5Supplement4  p. 874-877 )

しかし、隈病院の第10回神戸甲状腺診断セミナーでは、

  1. 甲状腺低分化癌甲状腺乳頭癌由来のリンパ節転移率は42%だが、リンパ節に低分化成分を含んでいるのに限定すると15%
  2. 先行病変なしに、いきなり発生する甲状腺低分化癌は、リンパ節転移率は19%(もちろん全て低分化成分)

甲状腺低分化癌のサイログロブリン

分化度の低い甲状腺低分化癌サイログロブリンは、低値と思われがちだが、実際はほとんどの症例で高値になる。甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)由来であり、かつ、それらより増殖能が高いためと推察される。

甲状腺低分化癌の超音波(エコー)検査

甲状腺低分化癌の超音波(エコー)検査所見は、甲状腺乳頭癌由来であれば甲状腺乳頭癌の超音波所見、甲状腺濾胞癌由来であれば甲状腺濾胞癌の超音波所見、(写真:隈病院 第10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

甲状腺低分化癌(乳頭癌由来)

甲状腺低分化癌(乳頭癌由来)

甲状腺低分化癌(濾胞癌由来)

甲状腺低分化癌(濾胞癌由来)

先行病変なしの甲状腺低分化癌は、

  1. 桑の実状
  2. 腫瘍内血流豊富
  3. 卵殻石灰化をともなう
  4. 内部の不均一性が強い
  5. 甲状腺原発悪性リンパ腫のように見えることも
甲状腺低分化癌(未分化癌様)
甲状腺低分化癌(内部不均一)

甲状腺低分化癌(内部不均一)

甲状腺低分化癌(悪性リンパ腫様)

甲状腺低分化癌(悪性リンパ腫様)

甲状腺低分化癌の細胞診

甲状腺低分化癌の細胞診

甲状腺低分化癌の病理組織・細胞診は、多形性細胞(様々な形の異常な細胞)が、乳頭状・濾胞状でなく索状・胞巣状、充実性・浸潤性に増殖。(写真:隈病院 第10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

甲状腺低分化癌(乳頭癌由来)は、全部が甲状腺低分化癌の組織で無く、むしろ高分化乳頭癌の組織像の方が主体の事あります。エコー上、甲状腺低分化癌(乳頭癌由来)が疑われる石灰化で囲まれた部分などから穿刺細胞診しなければ、たたの甲状腺乳頭癌の診断になってしまいます。

甲状腺低分化癌の治療

甲状腺低分化癌の治療は、

  1. 甲状腺全摘と広範囲なリンパ節郭清行いますが、それが甲状腺低分化癌の予後を改善するという明確な根拠は存在しません。
  2. 放射性ヨードを取り込めば131-I内照射、取り込まなけれな外照射。
    放射性ヨードを高率に取り込むという報告があります(Cancer 2006;106:1286-1295.)が、甲状腺低分化癌の予後が改善すると言う明確な根拠は存在しません。
  3. 生物学的製剤と、あらゆる治療法を駆使すべきという意見が出されています(J Surg Oncol 2004;86:44-54.)

甲状腺低分化癌の10年生存率

甲状腺低分化癌の10年生存率

甲状腺低分化癌の10年生存率は、

  1. stage I,IIは甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)は92%、甲状腺低分化癌は81%
  2. stage III,IVは甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)69%、甲状腺低分化癌は48%
    (図説臨床〔癌〕シリーズ, no 11頭頸部癌 pp. 114~122, カルビュー社 (東京), 1987.)

と言うように、予後の関しては、通常の甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)より10-20%悪いのみです。平均生存期間半年の甲状腺未分化癌とは全く異なります。よって、甲状腺低分化癌を、甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)と甲状腺未分化癌の中間病変と考えるのは適切ではないと思います。

甲状腺低分化癌の予後を決める因子

伊藤病院の報告では、甲状腺低分化癌の予後を決める因子は、腺外浸潤(甲状腺の外に広がっている)です。よって、甲状腺低分化癌の予後を改善するには、全て採りきる根治切除を目指す必要があります。(第55回 日本甲状腺学会 O-03-01 甲状腺低分化癌の予後因子)

甲状腺低分化癌乳頭癌型  (専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

甲状腺癌取り扱い規約第7版では、低分化癌の診断基準はWHO分類と整合性がとられ(無理にすり合わせたとしか思えませんが)一部改変され、「低分化成分が腫瘍の50%以上を占め、乳頭癌に典型的な核所見はみられない」と言う事になりました。

これは、甲状腺の臨床を行う者にとっては、極めて非現実的で、顕微鏡で見える物しか見えない病理屋さんの(臨床の現場を知らない)発想です。

甲状腺癌取り扱い規約第7版に従うと、以下の甲状腺低分化癌乳頭癌型は存在せず、充実型乳頭癌にまとめられてしまいます。しかし、本来の充実型乳頭癌は、転移・浸潤するが予後良く、予後の良くない甲状腺低分化癌乳頭癌型とは似て非なるものです。病理屋さんにも困ったものです。

甲状腺低分化癌乳頭癌型は、すりガラス状の核、核溝など甲状腺乳頭癌の特徴をもつ細胞ですが、甲状腺乳頭癌よりも異形性が強く、充実型乳頭癌とは明らかに異なります。(写真:隈病院 第10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

甲状腺低分化癌乳頭癌型は、乳頭状・濾胞状配列はなく、胞巣状構造

甲状腺低分化癌乳頭癌型は、乳頭状・濾胞状配列はなく、索状構造

甲状腺低分化癌乳頭癌型は、核溝など甲状腺乳頭癌の特徴をもつ細胞ですが、甲状腺乳頭癌よりも異形性が強い

甲状腺低分化癌乳頭癌型は増殖能が高く、細胞増殖周期のG1、SからM期までの細胞核内に現れるMIB-1を染色すると、茶色に染まる癌細胞が多数認められます。

長年、甲状腺専門医をしていると「普通の甲状腺乳頭癌型のはずなのに、なんでこんなに急に大きくなるの?」という症例に出くわすことがあります。それは甲状腺低分化癌乳頭癌型なのです。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

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