検索

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 (FDH);甲状腺ホルモン偽高値(本当のFT3,FT4は正常だが異常値になる)[長崎甲状腺クリニック 大阪]

このエントリーをはてなブックマークに追加

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科(内分泌骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等において学術目的で使用可能なもの(Creative Commons License)、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

タンパク質ゲル電気泳動装置

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症の確定診断に用いるタンパク質ゲル電気泳動装置(Wikipedia より改変)

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編    甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など)  糖尿病編 をクリックください。

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 : 日本人家系

Summary

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 (FDH)は、常染色体優性遺伝性に甲状腺ホルモン(T4とT3)と高い親和性を持つ異常アルブミンを有する病気。顕著なFT4偽高値と軽度のFT3偽高値を呈す。TSH不適切分泌症候群(SITSH)と鑑別要。本当のFT4・FT3値は2ステップ測定法アーキテクトで測定(反応液中のアルブミン・T4・FT4 複合体を除去)。家族性異常アルブミン性高トリヨードサイロニン血症(FDH-T3)も報告されている。診断はゲル濾過分析(アルブミン・T4・FT4 複合体の証明)、確定診断はアルブミンの遺伝子解析。

Keywords

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症,FDH,異常アルブミン,家族性異常アルブミン性高トリヨードサイロニン血症,FDH-T3,ゲル濾過分析

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症とは

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症[familial dysalbuminemic hyperthyroxinemia (FDH)]は、常染色体優性遺伝性に甲状腺ホルモン(T4とT3)と高い親和性を持つ異常アルブミンを有する病態。

詳しい機序は不明だが、何らかの原因で、血液検査における高サイロキシン(T4)血症(FT4偽高値)とT4程ではないが高T3血症(FT3偽高値)を呈します。アルブミン遺伝子R218 部分の一塩基変異が多い[Clin Chem. 2009;55(5):1044-1046.]。 TSH不適切分泌症候群(SITSH)との鑑別が必要です。

見かけ上、free T4(FT4), free T3(FT3)がTSH抑制を伴わず高値を示し、特にFT4が測定限界を超える特徴的なTSH不適切分泌症候群(SITSH)パターンになるため、その不自然さから家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 (FDH)を疑われます。異なる測定キットを使うと、正常なFT4、FT3値の結果になることがあります。

もちろん、実際のFT4、FT3は正常値につき、何の症状もありません。

千葉大学の報告によれば、HPLC を用いたゲル濾過法で、家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 (FDH)患者血清のAlb分画を分離しT4・FT4 を測定すると、T4・FT4 がピークを示してFT4/T4 比は0.63。すなわち、アルブミンとT4・FT4 が通常よりも強く結合しており、FT4測定過程で添加されるバッファや抗体などにより遊離し、試験管内ではFT4 が偽高値を示すと推測されます。(第56回 日本甲状腺学会 O8-2 HPLC を用いたサイズ分画分離による家族性異常アルブミン性高サイロキシン血(FDH)患者血清におけるT4 結合の解析)

近年、 高T3血症(FT3偽高値)のみで、高T4血症(FT4偽高値)を伴わない家族性異常アルブミン性高トリヨードサイロニン血症(FDH-T3)も報告されています[Biochim Biophys Acta. 2016 Apr;1860(4):648-60.]。

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症の診断

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症と診断するには、ゲル濾過分析してアルブミン(Alb)のT4 に対する親和性増加を証明すれば良いのですが、研究室でなければ不可能です(日常診療では無理)。

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症の確定診断は、アルブミンの遺伝子検査(遺伝子解析)しかありませんが、簡単に行える施設はほとんどなく、しかも保険診療不可の高額な検査です。アルブミン遺伝子のR218部分が一塩基変異した(白人ではp.R242H、日本人ではp.R242P変異)報告例が多い[Clin Chem. 2009;55(5):1044-1046.][J Pediatr Endocrinol Metab. 2021 Jun 18;34(9):1201-1205.]。

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 ゲル濾過分析

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 ゲル濾過分析[Endocr J. 2017 Feb 27;64(2):207-212.]

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症で本当のFT4値を出すには

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 (FDH)で本当のFT4値を知るには、どうすれば良いか?測定過程において、反応液中のアルブミン・T4・FT4 複合体を除去してしまえば良い事になります。ならば、2ステップ測定法[アーキテクト®(アボットジャパン)]で測定するのが1番です。

千葉大学の報告によると、アルブミンの影響を受けやすい1ステップ測定法のルミパルス®(富士レビオ)を用いたFT4値は1.86-2.35 ng/dL(基準値0.70-1.70)となってしまい、2ステップ測定法[アーキテクト®(アボットジャパン)]には及びません。(第59回 日本甲状腺学会 O2-3 家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症(FDH)患者の異なる測定系によるFT4 値の比較)

以下は家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 (FDH)患者のFT4・FT3値を、1ステップおよび2ステップ測定法の異なるイムノアッセイ法で測定した結果です。やはり、2ステップ測定法[アーキテクト®(アボットジャパン)]が優れています。[Eur J Endocrinol. 2020 Jun;182(6):533-538.]

家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

診療時間電話番号や地図はこちら