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低リン血症による骨軟化症.FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症,腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症)[長崎甲状腺クリニック 大阪]

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内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺専門内分泌代謝長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科学教室で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等において学術目的で使用可能なもの(Creative Commons License)、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症)

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。低カルシウム血症、ビタミンD欠乏、低リン血症性くる病・骨軟化症の診療を行っておりません。

Summary

安易な抗RANKL抗体デノスマブ(ランマーク®、プラリア®)投与で、けいれん・意識障害を伴う大変な低カルシウム血症をおこす。リン利尿因子FGF-23は①近位尿細管のリン(P)再吸収阻害②ビタミンD活性化阻害するためFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を生じる。FGF-23 を産生し、腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症)を引き起こした甲状腺未分化癌の報告あり。甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者の血漿FGF23と血清リン値は高く、治療により甲状腺機能正常化後も高いまま。

Keywords

FGF23関連低リン血症性くる病,FGF23関連低リン血症性骨軟化症,腫瘍性骨軟化症,腫瘍原性骨軟化症,甲状腺未分化癌,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,甲状腺

安易な抗RANKL抗体デノスマブ(ランマーク®、プラリア®)投与で、大変な低カルシウム血症に

安易な抗RANKL抗体デノスマブ(ランマーク®、プラリア®)投与で、けいれん・意識障害を伴う大変な低カルシウム血症をおこすことがあります。

RANKLは、破骨細胞分化誘導因子の1つです。分子標的薬:抗RANKL抗体デノスマブ(ランマーク®、プラリア®)は、骨が溶け出す過程に関与するRANKL受容体を阻害し、破骨細胞の働きを抑え、骨粗しょう症を改善する薬です。

また、ランマーク®・プラリア®(デノスマブ)は、固形がん骨転移の骨関連事象(skeltal related events: SRE=骨転移の進行による麻痺や骨折など)の予防・遅延効果において、ビスフォスフォネート剤のゾレドロン酸(ゾメタ®)より優れるとされます。甲状腺がん骨転移に対しても保険適応があります[甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)骨転移の治療]。

ランマーク®・プラリア®(デノスマブ)は、6ヶ月に1回の皮下注射です。低カルシウム血症は、皮下注射後1週間で起こりやすく、特に腎不全などビタミンDの作用不全がある人におきます。副甲状腺ホルモン(PTH)は代償性に上昇します。カルシウムと同時にビタミンD製剤を投与します。

末期腎不全患者でとんでもない事に

末期腎不全患者にデノスマブ(商品名:プラリア)投与すると、血中カルシウム(Ca)・リン(P)は減少し、急激な2次性副甲状腺機能亢進症を来します。一時的に、Ca剤・ビタミンD製剤の増量が必要になります。(第113回日本内科学会 P112 末期CKD患者におけるDenosumab投与の効果)

2か月してから起きる症例も

さらに、使用して2か月後に、血中カルシウム濃度が正常値の半分になり、意識を失って死に掛ける症例も報告されています。(第209回 日本内科学会近畿地方会 演題32 デノスマブ投与によって著明な低Ca血症を来した慢性腎不全の1例)

骨粗しょう症でランマーク®、プラリア®(デノスマブ)の定期投与が遅れたら?

骨粗しょう症でランマーク®・プラリア®(デノスマブ)の定期投与が遅れたら、骨折の危険(ハザード比)が大きくなっていきます。

  1. 4週間以内に次の投与(遅延なし)ハザード比1.00
  2. 4-16週の遅れ(短期遅延)ハザード比1.03(95%CI 0.63-1.69)
  3. 16週以上の遅れ(長期遅延)ハザード比1.44(95%CI 0.96-2.17)

(Ann Intern Med. 2020 Oct 6;173(7):516-526.)

低リン血症による骨軟化症.FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症,腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症)

低リン血症による骨軟化症

低リン血症による骨軟化症の原因は、

  1. 腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症);FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
  2. 先天性FGF-23分解異常;FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
     
  3. 腎尿細管性アシドーシス
  4. ビタミンD欠乏症
  5. 薬剤性(イホスファミド、アデホビルピボキシル、バルプロ酸、含糖酸化鉄など)

FGF23 関連低リン血症性くる病・骨軟化症

腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症)

[J Endocr Soc. 2021 Jun 2;5(9):bvab099.より改変]

腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症:tumor induced osteomalacia)

腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症)は、悪性腫瘍または間葉系の良性腫瘍がリン利尿因子であるFGF-23(fibroblast growth factor-23)を過剰産生・分泌するのが原因。FGF-23は、

  1. 近位尿細管でのリン(P)再吸収を阻害
  2. ビタミンDの活性化を阻害

するため、著しい低リン(P)血症による、くる病・骨軟化症(FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症)が生じます。

FGF-23 を産生し、腫瘍性骨軟化症(腫瘍原性骨軟化症)を引き起こした甲状腺未分化癌の報告があります(Bone Rep. 2016 Feb 17;5:81-85.)

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の症状

FGF23 関連低リン血症性くる病・骨軟化症の症状は

  1. 治療抵抗性の腰痛
  2. 胸郭変形、多発骨折、身長が縮む
  3. 歯の痛み、う歯(虫歯)

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の検査所見は、

  1. 血清カルシウム(Ca)濃度は低値-正常範囲内低め、著しい低リン血症
  2. ALP上昇(骨由来)
  3. リン利尿因子であるFGF23(fibroblast growth factor 23)高値
  4. 25-(OH) ビタミンDは正常値

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療

FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療には、経口リン酸製剤「ホスリボン®配合顆粒」(有効成分:リン酸二水素ナトリウム一水和物及び無水リン酸水素二ナトリウム)も併用します。

FGF23 と甲状腺機能亢進症/バセドウ病

甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者の血漿FGF23と血清リン値は、健常人と比べて高い。[Clin Endocrinol (Oxf). 2007 Jun;66(6):854-8.]

治療により甲状腺機能正常化後(中央値)1.6年経ったバセドウ病患者の血清FGF23と血清リン値は高いままだった。[Osteoporos Int. 2019 Nov;30(11):2289-2297.]

筆者は、高リン血症に対する代償反応として、FGF23が増加すると考えます。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

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