腹水・胸水と甲状腺(粘液水腫性腹水、CA125)[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学附属病院 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。
甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。
甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等 糖尿病編 をクリックください
長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。腹水の病気の診療は行っておりません。
Summary
甲状腺機能低下症の4%未満に腹水(蛋白濃度が高い粘液水腫性腹水)。粘液水腫性腹水自体が腹膜を刺激し、卵巣癌の腫瘍マーカーCA125 の産生を増加させる。甲状腺ホルモン(チラーヂンS)補充療法により腹水は消失し、約1カ月遅れてCA125も正常値に。特に甲状腺ホルモン値(FT4,FT3)が低いと粘液水腫性腹水(腹水穿刺・利尿剤に反応悪く改善に時間を要す)・胸水(利尿剤で速やかに消失)・心嚢液(肺水腫、呼吸困難、右心不全、陰嚢・両下腿浮腫)貯留、腸管浮腫[甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)吸収障害]が出現。甲状腺乳頭癌、甲状腺未分化癌の腹膜播種がある。
Keywords
腹水,CA125,胸水,甲状腺,腹膜播種,乳頭癌,粘液水腫,甲状腺機能低下症,橋本病,チラーヂン

粘液水腫性腹水自体が腹膜を刺激し、卵巣癌の腫瘍マーカーCA125 の産生を増加させると考えられています。大量の腹水があり、血清CA125が異常高値なら卵巣癌の腹膜へのびまん性転移(癌性腹膜炎)が疑れますが、実は卵巣癌はなく甲状腺機能低下症が原因なのです。報告では血清CA125が822 U/ml(<35U/ml)まで上昇します。
甲状腺ホルモン(チラーヂン)補充療法により腹水は消失し、CA125は正常値になります(甲状腺ホルモン正常化後、約1カ月遅れて)。
(第53回 日本甲状腺学会 P-18 腹水貯留と平行してCA125 レべルの上昇を認め小脳出血も併発した慢性甲状腺炎の一例)(Endocr J. 2007 Dec;54(5):751-5.)(Endocr J. 2007 Aug;54(4):601-4.)
CA125は、卵巣甲状腺腫 でも上昇することがあります。
甲状腺機能低下症で、特に血中の甲状腺ホルモン値(FT4,FT3)が低いと、粘液水腫による腹水・胸水・心嚢液が貯留し易くなります。
- 心嚢液貯留から肺水腫起こせば、呼吸困難→2次的な右心不全から陰嚢・両下腿に浮腫
- 胸水は利尿剤で数日で速やかに消失
- 腹水は腹水穿刺・利尿剤投与にあまり反応せず、 改善に時間を要します
- 腸管浮腫で甲状腺ホルモン剤(チラーヂン)吸収障害
透析患者は0.7-26%に腹水貯留が起きますが、原因は心不全・肝硬変・低アルブミン血症・膵炎・癌性/結核性/細菌性腹膜炎が主で、甲状腺機能低下症による粘液水腫性腹水は稀です(Dial Transplant 11: 708-710, 1982)。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区も近く。