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甲状腺髄様癌   [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波検査(エコー) 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺髄様癌の細胞診

甲状腺の基礎知識を、初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が解説します。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 を御覧ください。

以下の超音波および病理写真には、長崎甲状腺クリニック(大阪)のオリジナル以外に、神甲会 隈病院より御提供いただいたものを含みます(第9,10回神戸甲状腺診断セミナー)。この場を借りて、宮内 昭院長、病理診断科の廣川 満良先生他、隈病院の諸先生方に感謝の意を表します。

甲状腺腫瘍何がどれくらいみつかるの?

近年、甲状腺腫瘍が増え続けています。これは、超音波(エコー)診断装置の進歩に加え、肺CTや頚動脈エコーで偶然見つかるものが増えているためです。人間ドックで甲状腺超音波(エコー)検査をおこなうと20%位に甲状腺腫瘍(甲状腺結節)がみつかるとの報告が最も多いです。

甲状腺結節取扱い診療ガイドライン2013では、甲状腺結節の約2-3%が甲状腺癌とされます。

甲状腺腫瘍には以下のようなものがあります。

甲状腺癌 頻度
甲状腺癌の種類と頻度
  1. 良性と言われていたが、高頻度に悪性がみつかる事が報告された腺腫様甲状腺腫
  2. 良性濾胞腺腫(いわゆるアデノーマ)
  3. 濾胞腺腫だが良悪鑑別困難例(境界病変)
  4. 悪性の甲状腺濾胞癌甲状腺乳頭癌甲状腺髄様癌甲状腺未分化癌甲状腺原発悪性リンパ腫

 (甲状腺癌の内訳は右の図)

甲状腺髄様癌

Summary

甲状腺髄様癌カルシトニンを作る甲状腺C細胞の癌で、約30%は遺伝性(FMTC,MEN2型)のRET遺伝子変異。約70%は非遺伝性(散発性)。カルシトニンCEAが上昇、リンパ節転移する。エコーは約50%で良性濾胞腺腫腺腫様結節と同じで、特徴的な粗大斑状石灰化は20%のみ。細胞診の診断率は60%、細胞像は多様。核内クロマチンは粗くゴマ塩状、アミロイド様物質も。確定診断後の遺伝子診断が保険適応に。根治切除不能なら分子標的薬バンデタニブ(カプレルサ錠®)など。10年生存率は散発型甲状腺髄様癌が88%、MEN 2A型が93%、MEN 2B型が92%、家族性甲状腺髄様癌が100%。

Keywords

甲状腺髄様癌,遺伝性,RET遺伝子変異,カルシトニン,CEA,リンパ節転移,FMTC,MEN2型,分子標的薬,10年生存率

甲状腺髄様癌とは

甲状腺傍濾胞細胞(C細胞

甲状腺髄様癌は、カルシトニンというホルモン(骨形成に関与する)を作る甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)の癌で、甲状腺癌の1-2%を占めます(少数派)。教科書的には、特徴ある細胞像のため診断は容易とされますが、実際は60%程度の診断率で、超音波(エコー)所見も典型的でない事が多く、血清カルシトニン値の方が有用な事も多いです。

甲状腺髄様癌の原因

甲状腺髄様癌の型

甲状腺髄様癌は約30%は遺伝性(常染色体優性遺伝)であり、

  1. 約70%は非遺伝性(散発性)です。
  2. 20%は、遺伝性の多発性内分泌腫瘍症2型[Multiple Endocrine Neoplasia type 2、略してMEN (メン) 2型]です。
  3. 10%は、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)です。

染色体10番長腕に位置するRET遺伝子(受容体依存性チロシンキナーゼ遺伝子)の変異が、

  1. MEN 2型および家族性甲状腺髄様癌(FMTC)の約95%
  2. 非遺伝性(散発性)甲状腺髄様癌の約50%

に証明されます(JAMA 1996;276:1575-1579.)。

遺伝性甲状腺髄様癌のRET遺伝子変異

(専門的過ぎます。医療関係者以外の方は無視してください。)

  1. MEN2AのRET遺伝子変異:エクソン10(コドン609, 611, 618, 620)、エクソン11(コドン634)(変異の80%)など
  2. FMTCのRET遺伝子変異:エクソン10( コドン609,611, 618, 620)、エクソン11(コドン630, 631, 634, 649, 666),エクソン13(コドン768)、エクソン14(コドン804, 819, 844)、エクソン15(コドン866,891)
  3. MEN2BのRET遺伝子変異:95%がエクソン16(コドン918)

MEN2A、FMTC、MEN2BのRET遺伝子変異は似ていますが、実は全く異なります。[Medullary thyroid carcinoma. Endocr Pract 19(4):703-711, 2013] 

(表;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

遺伝型髄様癌のRET遺伝子変異

甲状腺髄様癌の腫瘍マーカー

甲状腺髄様癌は、甲状腺超音波(エコー)検査・細胞診断も当てにならないため、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、甲状腺腫瘍が見つかれば、カルシトニンCEAを測定します。

カルシトニンの測定結果が出るのに1週間要するため、他の甲状腺専門病院/クリニックでは、通常測りません。長崎甲状腺クリニック(大阪)では、絶対に甲状腺癌を見逃してはならないと考えているため、カルシトニンCEAを測定し、1週間後に再診していただきます。

※大阪の国民健康保険では、「甲状腺髄様癌の疑い」でCEAカルシトニンと同時に測定する事を認めていません(筆者は、国民健康保険のレセプト審査員の医者から減点を食らいました)。医学生が使う教科書でさえもカルシトニンCEAが上昇すると記載されているのに・・・・。そのような理不尽な理由で、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、国民健康保険の方にCEAを測定できなくなりました。社会保険(会社の保険)では、カルシトニンCEAの測定を認めています。

甲状腺髄様癌の超音波検査(エコー)

甲状腺髄様癌の超音波検査(エコー)所見は多様で、画像のみでは診断が付き難いです。

  1. 約50%で良性濾胞腺腫腺腫様結節と同じ
     
  2. 甲状腺乳頭癌の砂粒状石灰化よりも粗大な斑状石灰化は20%のみ(斑状石灰化は甲状腺濾胞癌甲状腺乳頭癌腺腫様結節でも見られます。)
    ただし、牡丹雪状の石灰化が、上極寄り1/2~1/3に折り重なるように存在すれば、ほぼ確定的です(下記エコー写真参照)
    また、非常に珍しいですが卵殻状石灰化を伴う症例も報告されています(第60回 日本甲状腺学会 P1-8-9 甲状腺髄様癌とEBV-positive diffuse large B-cell lymphoma の合併を呈した若年女性の1例)。
     
  3. 甲状腺乳頭癌甲状腺原発悪性リンパ腫のように見えることも多い
     
  4. 遺伝型髄様癌は甲状腺の外側寄り、上1/3辺に両側性・多発性に発生する事あるため、1個と言う先入観を持ってはいけない

ため、超音波検査(エコー)でも簡単に診断できません。

甲状腺髄様癌 超音波(エコー)画像

甲状腺髄様癌 超音波(エコー)画像;写真のような斑状石灰化は、見る人が見れば分かりますが、実際、他の腫瘍の石灰化と区別難です。

甲状腺髄様癌 超音波(エコー)画像(ドプラー)

甲状腺髄様癌 超音波(エコー)画像(ドプラー)

甲状腺髄様癌(エラストグラフィー)

甲状腺髄様癌(エラストグラフィー);当然、硬いためエラストグラフィーでは青色に見えます。

甲状腺髄様癌のように見えるが濾胞性腫瘍

甲状腺髄様癌のように見えるが濾胞性腫瘍

単一ですが斑状石灰化を伴い、甲状腺髄様癌のように見えますが濾胞性腫瘍でした。境界も平滑で、甲状腺髄様癌のような粗雑さはありません。

甲状腺髄様癌のように見えるが腺腫様結節

甲状腺髄様癌のように見えるが腺腫様結節

斑状石灰化を多数認め、甲状腺髄様癌のように見えますが、腺腫様結節でした。

甲状腺髄様癌のように見えるが腺腫様結節(拡大)

甲状腺髄様癌と比べると、斑状石灰化のカーブの仕方が異なります。甲状腺髄様癌では、上に凸から下に凸に変わります。腺腫様結節では、上下いずれかに凸です。

甲状腺髄様癌の細胞診

(以下の細胞診の所見は、医療関係者以外の方は無視してください。写真のみご覧になり、「こんなものか」と思っていただければ十分です。)

甲状腺髄様癌の細胞診断は比較的容易と強科書に書いてありますが、実際、それほど容易でなく、45.7-63%の診断率とされます(J Surg Oncol.2005;91:56-60, Endocr Pract.2013;19:920-7.)。筆者自身の経験でも、それ位です。

甲状腺髄様癌の細胞像は

  1. 腫瘍細胞は少なく、多形細胞・類円形細胞(豊富な細胞質の細胞、核は偏在)、紡錘形細胞など多様
  2. 細胞間の結合性は低下し、散在傾向
  3. 大型核や多核もあるが、核膜は薄く不整が無い
  4. 核内クロマチンは粗くゴマ塩状(神経内分泌腫瘍の特徴である)、核内細胞質封入体を認めることも
  5. 背景にアミロイド様の無構造物質がみられることも
甲状腺髄様癌の細胞像

(右)多形細胞・類円形細胞、()紡錘形細胞

ヨードMIBGシンチグラム(123-I MIBGシンチグラフィー)/オクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン)

ヨードMIBGシンチグラム(123-I MIBGシンチグラフィー)/

教科書的には、比較的簡単に診断できるとされる甲状腺髄様癌。しかし、必ずしもカルシトニンが上昇せず(前述の如くカルシウム負荷では上昇、FNA-カルシトニンで陽性)、超音波検査(エコー)でも腺腫様結節と区別難、甲状腺髄様癌と確定できないのでRET遺伝子検査も行えない。この様な場合、副腎の褐色細胞腫の診断に欠かせないヨードMIBGシンチグラム(123-I MIBGシンチグラフィー)が有用な事あります。甲状腺髄様癌も、副腎の褐色細胞腫も同じ神経内分泌細胞が起源なので当然と言えます(両者が合併する多発性内分泌腺腫症2型(MEN2)があります)

ただ、甲状腺髄様癌に対するヨードMIBGシンチグラム(123-I MIBGシンチグラフィー)の感度はさほど高くなく、38.7%とされます(Q J Nucl Med Mol Imaging. 2008 Dec;52(4):430-40.)

ヨードMIBGシンチグラム(123-I MIBGシンチグラフィー)は、褐色細胞腫しか保険適応がありません。

オクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン)

オクトレオチドシンチグラフィーの有効性も報告されています。認可されているオクトレオスキャンは膵臓、消化管、肺、気管支などの神経内分泌腫瘍に保険適応があり、医学的には甲状腺髄様癌も含まれますが、保険診療上は認められない可能性が高いです(おそらく、審査する側は専門知識が無いため)。オクトレオチドシンチグラフィーは、ソマトスタチン受容体シンチグラフィーとも言われます。

甲状腺髄様癌などの神経内分泌腫瘍は、ソマトスタチン受容体を持っているため、放射性同位元素(アイソトープ)でラベルしたソマトスタチン様の合成ホルモンと結合します。(ソマトスタチンは、神経内分泌細胞のホルモン分泌を制御するホルモンです)

しかし、困った事にオクトレオチドシンチグラフィーは、分化型甲状腺癌乳頭癌濾胞癌)でも、甲状腺髄様癌と同率で陽性になるため、意味ない様です。

甲状腺髄様癌のRET遺伝子検査

甲状腺髄様癌のRET遺伝子検査が、2016 年4 月より保険適応となりました(但し、甲状腺髄様癌が確定した患者のみで、血縁者は自費)。

甲状腺髄様癌が、確定または、ほぼ確定すると、RET遺伝子変異の種類から甲状腺髄様癌の型(甲状腺髄様癌の原因)を診断し、切除範囲の決定、予後の予測等を行います。RET遺伝子変異のほとんどはミスセンス変異であるため、正常の遺伝子多型との区別が必要です。遺伝子多型(polymorphism)を遺伝子変異と誤って解釈すると、不必要な予防的甲状腺全摘手術が行われる可能性あります。

具体的なRET遺伝子変異は上記 甲状腺髄様癌の原因 を御覧ください。

現時点では、検査会社により検索するエクソン部位・費用・報告書の記載方法など異なり改善の余地があります。

※長崎甲状腺クリニック(大阪)ではRET遺伝子変異検査は行っておりません。

甲状腺髄様癌リンパ節転移

甲状腺髄様癌はリンパ節転移し、甲状腺エコーでは甲状腺乳頭癌砂粒状石灰化よりも粗大な石灰化を認めます。(写真:隈病院 第9回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

エコー01

甲状腺髄様癌の転移検索

甲状腺髄様癌の転移検索は、

  1. 甲状腺乳頭癌同様、肺・骨・脳のCT/MRI
  2. 123-I MIBGシンチグラフィー(MEN (メン) 2型副腎褐色細胞腫の検索も兼ねる)
  3. 甲状腺乳頭癌同様、PET/CT

甲状腺髄様癌の治療

遺伝性髄様癌は遺伝子診断確定すれば甲状腺全摘出。散発性(非遺伝性)甲状腺髄様癌は範囲にあわせた切除。根治切除不能な甲状腺髄様癌に分子標的薬バンデタニブ(カプレルサ®)、レンバチニブ、ソラフェニブが保険適応。甲状腺髄様癌診療ガイドラインではRET遺伝子C634変異は高リスク変異で5歳以下、最も予後悪いMEN2B型は生後1年以内の予防的甲状腺全摘が推奨。日本で年齢のみの予防的甲状腺全摘術が行われた事はなく、実際に甲状腺髄様癌が見つかった後か、見つからなくても血清カルシトニンが高値またはカルシウム負荷試験でカルシトニンが上昇する場合のみ。

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甲状腺髄様癌の治療指針

甲状腺髄様癌の治療は、

  1. 遺伝性髄様癌の場合、遺伝子診断で確認されれば、甲状腺全摘出。頚部リンパ節廓清も。
  2. 散発性(非遺伝性)の場合、甲状腺髄様癌の範囲にあわせた切除。頚部リンパ節廓清も。(要するに必ずしも甲状腺全摘出が必要でない。)
  3. 根治切除不能な甲状腺髄様癌には、分子標的薬が保険適応バンデタニブ(カプレルサ®)、レンバチニブ(レンビマ®)、ソラフェニブ(ネクサバール®)の3 剤全てが使用可能。(「放射線治療無効な甲状腺癌」にレンビマ

甲状腺髄様癌の切除範囲

散発型甲状腺髄様癌では、甲状腺全摘出せずに、甲状腺髄様癌の広がりや大きさにより切除範囲を決める方針は非現実的だと思います。

そもそも、遺伝子診断し、「既知の遺伝子変異なし」の結果でも、100%遺伝性髄様癌を否定できません。まだ報告されていない新規遺伝性変異の遺伝性髄様癌の可能性が残ります。

甲状腺髄様癌の予防的全摘出

甲状腺髄様癌は、まだ発生していないが、遺伝性甲状腺髄様癌の家系であり、遺伝子診断が確定した場合、予防的甲状腺全摘出が勧められています。遺伝性髄様癌ではRETの変異部位とリスク分類、予防的手術の時期のガイドラインがアメリカ甲状腺学会により発表されています。遺伝性髄様癌をHighest、High、Moderateの3危険群に分け、表の様になります。

(表;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

遺伝性髄様癌、予防的手術のガイドライン

アメリカ甲状腺学会の甲状腺髄様癌診療ガイドライン(2015年)では、

  1. RET遺伝子コドン634変異(C634)の甲状腺髄様癌は高リスク変異で、5歳以下の予防的甲状腺全摘が推奨されています。
  2. 最も予後の悪いMEN2B型は、生後1年以内で予防的甲状腺全摘出おこないます。
    (Revised American Thyroid Association Guidelines for the Management of Medullary Thyroid Carcinoma Thyroid. 2015 Jun 1; 25(6): 567–610. )

欧米では標準的ですが、日本で年齢のみを根拠とした予防的甲状腺全摘術が行われた事は一度もなく、

  1. 実際に甲状腺髄様癌が見つかった後か
  2. 甲状腺髄様癌が見つからなくても血清カルシトニンが高値またはグルコン酸カルシウム負荷試験でカルシトニンが上昇する場合(超音波(エコー)検査で見つからない微小な甲状腺髄様癌か、前癌段階の甲状腺C細胞過形成)

の時だけです。

幼少時の手術は合併症のリスクが成人よりも大きく、手術後の甲状腺ホルモン、ビタミンD・カルシウムの補充を(脳神経・身体の発育に直結するため)厳格に行わねばなりません。

日本の甲状腺髄様癌は、欧米とは異なり、最も予後の悪い多発性内分泌腺腫症2B型(MEN2B)でも、再発は繰り返すものの長期生存例が多いため、甲状腺に腫瘍が確認されない限り予防的甲状腺全摘手術は行わない施設がほとんどです(甲状腺髄様癌の予後)。

しかし、筆者の経験では、甲状腺に腫瘍が確認された時点で、甲状腺全摘手術しても、術後に血清カルシトニン値が正常化した事はなく、その後、延々と再発を繰り返すため、遅いと思います。やはり、

  1. 血清カルシトニン値が上昇した時点
  2. 血清カルシトニン値が正常でもカルシウム負荷試験でカルシトニンが上昇した時点
    (※長崎甲状腺クリニック(大阪)ではカルシウム負荷試験は行っておりません。)

は、超音波(エコー)検査で見つからない微小な甲状腺髄様癌か、前癌段階の甲状腺C細胞過形成)が存在するため、甲状腺全摘手術に踏み切る方が良いと思います。

根治切除不能な甲状腺髄様癌にバンデタニブ(カプレルサ錠®)

甲状腺髄様癌はRET遺伝子変異が高率に認められるため、

  1. 血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)
  2. 上皮増殖因子受容体(EGFR)
  3. RET受容体

などのチロシンキナーゼを阻害する分子標的薬(マルチキナーゼ阻害薬)バンデタニブ(カプレルサ錠®)が根治切除不能な甲状腺髄様癌患者に使用されます。

ほとんどの患者で甲状腺髄様癌が縮小するものの、ネクサバール錠®(ソラフェニブ)・レンビマ®(レンバチニブ)と同じく無増悪生存期間の延長が認められるのみで、甲状腺髄様癌を消滅させる事はできません。

副作用は全症例(100%)におこり、

  1. 発疹・ざ瘡などの皮膚症状(71.4%)
  2. 下痢(71.4%)、高血圧(64.3%)
  3. 角膜混濁(42.9%)
  4. 疲労(42.9%)
  5. 重大な副作用;間質性肺炎、QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)など

で、これでは甲状腺髄様癌自体による癌死より、薬の副作用で命を落とすで・・・・・。日本人の甲状腺髄様癌の予後は、転移しまくっていても悪くないという報告が多いのに( 甲状腺髄様癌の予後 )。

E768D変異ではバンデタニブ(カプレルサ錠®)の治療効果が高い

家族性甲状腺髄様癌(FMTC)のみに現れるE768D変異ではバンデタニブ(カプレルサ錠®)の治療効果が高いと報告されています(Endocrinol Metab Clin North Am. 2019 Mar;48(1):285-301.)。もちろん、甲状腺髄様癌が縮小するのみで、完治する訳でなく、副作用のため休薬になるお決まりのパターンです。元々、E768D変異の家族性甲状腺髄様癌(FMTC)は、予後が悪くないとされ(Fam Cancer. 2006;5(2):201-4.)、バンデタニブ(カプレルサ錠®)を使用する意義があるのか否か疑問が残ります。

甲状腺髄様癌の術後再発予測・予後予測

  1. 甲状腺髄様癌の術後再発予測には、血清カルシトニン値およびCEA値を測定。
  2. 甲状腺髄様癌の予後予測には、血清カルシトニン値の倍加時間[doubling time(DT)]を計算(Ann Surg 1984;199:461-466.)。(カルシトニンDT(ダブリング タイム))

甲状腺髄様癌の予後

甲状腺髄様癌の10年生存率は海外の報告では70%前後とされます。早期にリンパ節転移するため、術後再発多く、血中カルシトニン値の再上昇認める事多いです。しかし、日本の甲状腺髄様癌患者の予後は、欧米に比べると良好で、アンケート調査の集計は、10年生存率で

  1. 散発型甲状腺髄様癌が88%
  2. MEN 2A型が93%
  3. MEN 2B型が92%
  4. 家族性甲状腺髄様癌が100%

と報告されています。(表;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

甲状腺髄様癌患者の予後

最も予後の悪い多発性内分泌腺腫症2B型(MEN2B)でも、比較的若年で診断し、甲状腺全摘術後に再発・転移巣に対する摘除術を繰り返し施行した症例は長期生存可能な様です。京都府立医科大学の報告では、7 歳時に甲状腺全摘術、3 か月後、8 歳、9 歳、14 歳、21 歳時に再発および頸部リンパ節転移の摘除術、その間、縦隔、肝、肺、左腸骨、左肩甲骨に転移巣が出現するも25 歳(18年後)まで生存している症例があるそうです。(第57回 日本甲状腺学会 P1-061 甲状腺髄様癌多発転移を有するMEN2B 女性例の長期経過)

2番目に予後の悪い非遺伝性(散発型)でも3年後リンパ節再発、17年後多発性肺転移、その後徐々に病巣拡大するも無症状・無治療で18年間生存している症例が報告されています。(第54回 日本甲状腺学会 P166 35年経過した甲状腺髄様癌多発性転移の一例)

3番目に予後の悪い多発性内分泌腺腫症2A型(MEN2A)の10年生存率は90%以上で、肺転移があり、両側副腎・甲状腺全摘出術施行後12年経ち、CEAカルシトニン高値が続いても生存している症例が報告されています。(第56回 日本甲状腺学会 P2-093 甲状腺全摘後CEA、カルシトニンの高値が持続するも長期生存している多発性内分泌腫瘍2a 型の一例)

甲状腺外科

甲状腺の手術は、外科医の技術・経験に歴然とした差があります。術後の傷口にしても、手術した事さえ判らない位見事なものもあれば、明らかに未熟な術者によるものもあります。長崎甲状腺クリニック(大阪)は、大阪市立大学医学部附属病院 内分泌外科の小野田 尚佳先生に依頼しています。小野田先生は、内分泌外科一筋、緻密な手術は正に"神の手"と呼ぶにふさわしいものです。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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〒546-0014
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  • 大阪メトロ 谷町線「駒川中野駅」
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  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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