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偽性副甲状腺機能低下症・家族性低カルシウム血症[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]

内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺専門内分泌代謝長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 大学院医学研究科 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。偽性副甲状腺機能低下症・家族性低カルシウム血症の診療を行っておりません。

偽性副甲状腺機能低下症

低カルシウム血症偽性副甲状腺機能低下症

Summary

偽性副甲状腺機能低下症の原因はⅠ型:副甲状腺ホルモン(PTH)受容体[Ⅰa型:Gs蛋白活性低下、Ⅰc型:アデニル酸シクラーゼ異常、Ⅰb型Gs蛋白メチル化異常]、Ⅱ型:アデニル酸シクラーゼ系以降に問題。症状は低カルシウム症状、大脳基底核石灰化、Albright骨異栄養症による円形顔貌、肥満、低身長、第4中手骨・中足骨の短縮、短指症、皮下骨腫、知能障害などの症状。治療は活性型ビタミンD3製剤。Gs蛋白をコードするGNAS遺伝子変異が母親由来では偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型、父親由来で偽性偽性副甲状腺機能低下症。家族性低カルシウム血症はカルシウム感知受容体活性型変異。

Keywords

偽性副甲状腺機能低下症,副甲状腺ホルモン,PTH,受容体,低カルシウム,大脳基底核石灰化,Albright骨異栄養症,偽性偽性副甲状腺機能低下症,家族性低カルシウム血症,カルシウム感知受容体

偽性副甲状腺機能低下症とは

偽性副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されているのに、体がPTHに反応せずに、低カルシウム血症/高リン血症をおこす状態です。

偽性副甲状腺機能低下症の原因

偽性副甲状腺機能低下症の原因として、

  1. Ⅰ型:副甲状腺ホルモン(PTH)受容体[副甲状腺ホルモン(PTH)が標的臓器に結合する場所]から、副甲状腺ホルモン(PTH)の刺激伝達経路であるアデニル酸シクラーゼ系の間に異常が存在
    Ⅰa型:中間経路のGs蛋白活性の低下[Gsα蛋白をコードするGNAS(グアニンヌクレオチド結合タンパク質αサブユニット)遺伝子変異]
    Ⅰc型:アデニル酸シクラーゼ の異常
    Ⅰb型これらに異常を認めない[GNAS 遺伝子上流のメチル化の異常(J Clin Endocrinol Metab. 2011; 96: 10)]
     
  2. Ⅱ型:Ⅰ型の経路に異常がない(アデニル酸シクラーゼ系以降に問題がある)
偽性副甲状腺機能低下症の原因

偽性副甲状腺機能低下症の原因

副甲状腺機能低下症の鑑別

副甲状腺機能低下症の鑑別

Ⅰa型偽性副甲状腺機能低下症

GsαタンパクをコードするGNAS遺伝子領域の異常が、

  1. 母由来ならⅠa型偽性副甲状腺機能低下症
  2. 父由来なら下記の低カルシウム血症を伴わない偽性偽性副甲状腺機能低下症

になります。複雑な話ですが、多くのホルモン標的組織では母由来アリル(対をなす片方の遺伝子)の発現が優位なためです。ホルモン作用が関係しない他の症状は、父母由来アリル(対をなす片方の遺伝子)関係なしです。

Ⅰb型偽性副甲状腺機能低下症

Ⅰb型偽性副甲状腺機能低下症は、GNAS遺伝子近傍の遺伝子にメチル化(不活化)が起こり、それが原因か不明ですが、Gsαタンパク発現量の低下が見られます。

偽性副甲状腺機能低下症の症状

偽性副甲状腺機能低下症

偽性副甲状腺機能低下症の症状は、

  1. 低カルシウム症状
  2. 大脳基底核石灰化
  3. 高リン血症により血清カルシウムが皮膚に沈着(皮膚石灰沈着症)
  4. Albright骨異栄養症による円形顔貌、肥満、短躯(低身長)、第4・5中手骨・中足骨の短縮、短指症、皮下骨腫、知能障害などの症状。
Albright骨異栄養症

第4・5中手骨の短縮(Malays Fam Physician. 2019 Apr 30;14(1):31-34.)

偽性副甲状腺機能低下症甲状腺機能低下症

偽性副甲状腺機能低下症甲状腺機能低下症が合併します。理由は、

  1. 下垂体のTRH(TSH放出ホルモン)受容体のGqαにも、Gs蛋白(Gsα)が共役するため、中枢性甲状腺機能低下症
  2. 甲状腺のTSH(甲状腺刺激ホルモン)受容体のGqαにも、Gs蛋白(Gsα)が共役するため、原発性甲状腺機能低下症

がおきるためと考えられます。(Eur J Endocrinol. 2008 Oct;159(4):431-7.)

偽性副甲状腺機能低下症の中枢性甲状腺機能低下症

偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型における出生時の先天性甲状腺機能低下症の頻度は8〜34%(Horm Res Paediatr. 2015;83(2):111-7.)。

偽性副甲状腺機能低下症に伴う甲状腺機能低下症は、通常軽度で、甲状腺腫大を認めない事が多いです(Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2017 Mar;31(2):161-173.)。

偽性副甲状腺機能低下症の治療

偽性副甲状腺機能低下症の治療は、活性型ビタミンD3製剤の投与

低カルシウム血症はないのに!?偽性偽性副甲状腺機能低下症

偽性偽性副甲状腺機能低下症は、副甲状腺ホルモン(PTH)受容体[副甲状腺ホルモン(PTH)が標的臓器に結合する場所]から、副甲状腺ホルモン(PTH)の刺激伝達経路であるアデニル酸シクラーゼ系の間に存在するGs蛋白活性(GNAS)の変異で生じます。低カルシウム症状が無く、Albright骨異栄養症による円形顔貌、肥満、短躯(低身長)、第4中手骨・中足骨の短縮、短指症、皮下骨腫、知能障害などの症状。

Gs蛋白をコードするGNAS遺伝子の変異が、母親由来では偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型となり、父親由来では偽性偽性副甲状腺機能低下症になります。

複雑な話ですが、多くのホルモン標的組織では母由来アリル(遺伝子)の発現が優位なためです。ホルモン作用が関係しない他の症状は、父母関係なしです。

HDR症候群(Barakat症候群)

HDR症候群(HDR;hypoparathyroidism, sensorineural deafness, and renal dysplasia)(Barakat症候群)は、常染色体優性遺伝によるGATA3遺伝子のフレームシフト変異です。22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群) に似た病気で、症状は、

  1. 副甲状腺機能低下症
  2. 感音性難聴
  3. 腎低形成
  4. 易感染性;GATA3遺伝子が胸腺に発現

腎低形成より尿路感染症を反復し、易感染性により重症化。甲状腺のう胞(甲状腺嚢胞)感染による急性化膿性甲状腺炎の報告があります。(N Engl J Med. 1992 Oct 8;327(15):1069-74.)(Nature. 2000 Jul 27;406(6794):419-22.)(第61回 日本甲状腺学会 O20-1 急性化膿性甲状腺を発症したHDR症候群の1例)

22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)

22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)は、遺伝性の副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症です。自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病橋本病)合併しますが、APS(多腺性自己免疫疾患)ではありません。

詳しくは、 22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群) を御覧ください。

家族性低カルシウム血症もしくは常染色体性優性低カルシウム血症

家族性低カルシウム血症もしくは常染色体性優性低カルシウム血症の病態

常染色体性優性低カルシウム血症

家族性低カルシウム血症もしくは常染色体性優性低カルシウム血症は、副甲状腺のカルシウム感知受容体(CaSR)の活性型変異により、低い血清カルシウム値でもPTH分泌が抑制される病態です。(J Clin Endocrinol Metab 91 : 2474-2479, 2006.)

副甲状腺機能低下症に類似の病態ですが、比較的尿中カルシウム排泄量が多いことで区別されます。

家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症の逆のパターンです。

最近では、カルシウム感知受容体(CaSR)の機能障害の原因として、CaSR自体の異常だけでなく、

  1. CaSRの細胞内局在に関与するadaptor protein-2 sigma subunitをコードするAP2S1遺伝子活性型変異(J Clin Endocrinol Metab. 2014 Jul;99(7):E1300-5.)(J Clin Endocrinol Metab. 2014 Mar;99(3):E469-73.)
  2. CaSRのシグナル伝達にリンクするGsαサブユニット(GNA11)遺伝子活性型変異(J Clin Endocrinol Metab. 2014 Sep;99(9):E1774-83.)

による常染色体優性遺伝副甲状腺機能低下症(ADH:autosomal dominant hypocalcemia)家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(FHH)が見つかっています。

家族性低カルシウム血症もしくは常染色体性優性低カルシウム血症の治療

ビタミンD製剤を

  1. 高カルシウム尿症による尿路結石を来さないよう
  2. 血清カルシウム値を正常化させるのではなく、低カルシウム血症症状をきたさない7~8mg/dl程度にコントロール。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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