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急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍 [日本甲状腺学会認定 甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会 年次学術集会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

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Summary

急性化膿性甲状腺炎は細菌感染による甲状腺/甲状腺のう胞性腫瘍、その周囲の急性炎症。原因は下咽頭梨状窩瘻[かいんとうりじょうかろう]の遺残、あるいは血行性免疫不全性。症状は発熱・頚部痛・皮膚の発赤・軽度の甲状腺中毒症。炎症所見(WBC, 好中球, CRP)の上昇強い、エコー検査で甲状腺内~外の境界不明瞭な低エコー領域、穿刺で膿。亜急性甲状腺炎との鑑別要。甲状腺膿瘍・甲状腺周囲膿瘍・深頚部膿瘍・降下性縦隔膿瘍も形成。治療は、抗生剤投与、切開排膿。下咽頭梨状窩瘻をエコー・下咽頭食道造影・下咽頭造影CTで確定し、手術切除、あるいは化学焼灼法おこなう。

Keywords

急性化膿性甲状腺炎,甲状腺,甲状腺のう胞性腫瘍,下咽頭梨状窩瘻,免疫不全,甲状腺膿瘍,深頚部膿瘍,降下性縦隔膿瘍,エコー,下咽頭食道造影,下咽頭造影CT,化学焼灼法

急性化膿性甲状腺炎とは

急性化膿性甲状腺炎は細菌感染による甲状腺/甲状腺のう胞性腫瘍とその周囲の急性炎症です。

急性化膿性甲状腺炎の原因

急性化膿性甲状腺炎の原因として、

  1. 通常型:胎生期の遺残物(第3-5鰓溝)である下咽頭梨状窩瘻[かいんとうりじょうかろう](90%以上左側)を通り、扁桃腺炎が甲状腺に広がる。12歳以下の小児に多いが、成人発症もよくある。下咽頭梨状窩瘻を処理しないと再発します。[Clin Endocrinol (Oxf). 2021 Aug;95(2):253-264.]
    腫瘍型:下咽頭梨状窩瘻が、のう胞性腫瘍内に開口(第58回 日本甲状腺学会 P2-7-4 40代で発症し著明な気道狭窄を呈した破壊性甲状腺炎を伴う急性化膿性甲状腺炎の一例)[J Magn Reson Imaging. 2021 Jan;53(1):85-95.][Pediatr Surg Int. 2012 Jan;28(1):15-20.]
     
  2. 血行性免疫不全性:糖尿病、プレドニゾロン(副腎皮質ステロイド剤)・免疫抑制剤服薬中などの免疫不全により、血行性に細菌が甲状腺へ到達して感染。(糖尿病と歯周病⇒急性化膿性甲状腺炎・全身膿瘍・感染性心内膜炎)
     
    のう胞性腫瘍内に下咽頭梨状窩瘻が開口していないのに感染を起こします[J Pediatr Endocrinol Metab. 2009 Apr;22(4):379-83.]
    敗血症に伴う全身多発膿瘍の1臓器病変として起こる事があります。他臓器と異なり簡単に穿刺できるので、起炎菌を同定するための塗抹鏡検・培養は行いやすい。
    (J Pediatr Endocrinol Metab. 2009 Apr;22(4):379-83.)
     
  3. 穿刺吸引細胞診(皮膚の上から針を刺して腫瘍などの細胞を採取、良悪性の病理診断をする検査)での感染;糖尿病、プレドニゾロン(副腎皮質ステロイド剤)・免疫抑制剤服薬中などの免疫不全患者で要注意。
    穿刺細胞診後数週間して、急速な頸部腫大、超音波(エコー)検査で甲状腺と周囲の前頸筋・リンパ節の境界が不明瞭化(判別不能)。甲状腺周囲臓器への浸潤を伴う未分化癌と鑑別が必要です。
    [Thyroid. 2005 Oct;15(10):1183-7.](Case Rep Endocrinol. 2020 Aug 25;2020:7104806.)
     
  4. 扁桃腺炎・扁桃周囲膿瘍・齲歯(虫歯)・歯周病などによる頸部の深部感染症が、筋膜の間隙をつたい甲状腺に波及してくる(Arq Bras Endocrinol Metabol. 2012 Aug;56(6):388-92.)(第64回 日本甲状腺学会 21-1 歯周炎から波及したと考えられた急性化膿性甲状腺炎の1例)
    上部食道がんに生じた膿瘍が甲状腺にも波及[Pan Afr Med J. 2020 Sep 17;37:67.]
     
  5. 甲状腺内異物

※成人の急性化膿性甲状腺炎は、瘻孔(ろうこう)が細く、炎症の治癒過程で自然閉塞する可能性があるため、1.2.の判別が付きにくい。

下咽頭梨状窩瘻[かいんとうりじょうかろう]の開口部

下咽頭梨状窩瘻[かいんとうりじょうかろう]

群馬大学の報告によると、1. 通常型の急性化膿性甲状腺炎では、下咽頭梨状窩瘻[かいんとうりじょうかろう]が、

  1. 甲状腺組織を貫いて甲状腺内に入る場合、胸腺組織を含む第3鰓嚢由来で繊毛上皮
  2. 甲状腺組織内に入らず甲状腺被膜のすぐ外側に接して途切れる場合、第4/第5鰓嚢由来で重層扁平上皮。甲状腺外に膿が広がるため、重篤(重症)な深頸部膿瘍に成り易い

(第60回 日本甲状腺学会 O3-1 全摘した先天性梨状陥凹瘻1919例の解析による起源と経路/臨床症状:甲状腺と甲状軟骨との位置関係)

下咽頭梨状窩瘻の92.2%が甲状腺上極、7.8%が甲状腺上極近くの深部頸部筋膜に開口[Zhonghua Er Bi Yan Hou Tou Jing Wai Ke Za Zhi. 2018 Aug 7;53(8):604-609.]。

急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍の起因菌

急性化膿性甲状腺炎甲状腺膿瘍の起因菌として、

  1. 好気性菌;黄色ブドウ球菌、化膿性レンサ球菌(A群溶血レンサ球菌:Streptococcus pyogenes)、表皮ブドウ球菌、肺炎球菌、大腸菌
    黄色ブドウ球菌は稀にMRSA[Infect Disord Drug Targets. 2021;21(1):156-160.]
  2. 嫌気性細菌;グラム陽性桿菌[Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)]、グラム陽性球菌(ペプトストレプトコッカス)、グラム陰性桿菌[Klebsiella pneumoniae(クレブシエラ・ニューモニエ、肺炎桿菌)]
    [Br J Surg. 1983 May;70(5):256-8.][J Coll Physicians Surg Pak. 2008 Nov;18(11):716-8.]
  3. 極めて稀;アスペルギルスサルモネラ菌インフルエンザ桿菌

急性化膿性甲状腺炎の症状

急性化膿性甲状腺炎

急性化膿性甲状腺炎の症状として、

  1. 発熱・頚部痛・皮膚の発赤が生じ、食事や唾を飲んでも痛みます。ただし、初期に皮膚の発赤はありません。
     
  2. 甲状腺のう胞性腫瘍内におこり、のう胞部分が腫大すると気管狭窄・食道圧迫もあり得ます。
     
  3. 膿(うみ)が生じます(甲状腺膿瘍甲状腺周囲膿瘍深頚部膿瘍降下性縦隔膿瘍
    cold abscess(冷膿瘍)は、痛みなく、炎症反応なく、超音波(エコー)画像でニボー(液面)形成。(第54回 日本甲状腺学会 P187 学校検診で指摘発された無症候性右甲状腺膿瘍の1例)。
     
  4. 破壊性甲状腺炎による(通常は)軽度の甲状腺中毒症[Thyroid. 2002 Feb;12(2):175-8.]。ただし、橋本病急性増悪様で高度の甲状腺中毒症もある。[J Med Assoc Thai. 2009 Oct;92(10):1370-3.](第53回 日本甲状腺学会 P47 急性化膿性甲状腺炎に破壊性甲状腺炎を合併した1例)
     
  5. 敗血症(血行性免疫不全性);他の部位にも膿瘍形成、関節炎関節内膿瘍)、人工血管がある場合はグラフト周囲膿瘍(第53回 日本甲状腺学会 P41 敗血症に伴って発症した急性化膿性甲状腺炎の一例)[Arch Endocrinol Metab. 2021 Nov 24;65(6):846-851.][Rev Clin Esp. 1992 May;190(9):458-9.]。
       
  6. 総頸動脈に感染性仮性動脈瘤を形成し破裂(第65回 日本甲状腺学会 P14-5 急性リンパ球性白血病治療中に甲状腺膿瘍に起因する総頚動脈仮性動脈瘤破裂により出血性ショックとなった1例)

急性化膿性甲状腺炎の診断

急性化膿性甲状腺炎の診断は、

  1. 急性の細菌感染なので、炎症所見(WBC, 好中球数, CRPの上昇)が特に強い
     
  2. 超音波検査(エコー検査)で、甲状腺内~甲状腺外の周辺組織に続く境界不明瞭な低エコー領域を認めます。
    甲状腺外の低エコー領域があれば、診断は容易ですが、初期は甲状腺内に限局した低エコー領域なので急性甲状腺炎との鑑別が難しい。筆者の経験では、どちらの低エコー領域も内部不均一になりますが、亜急性甲状腺炎の低エコー領域は境界不明瞭で飛び石状ですが、急性化膿性甲状腺炎の低エコー領域は単発性・連続性で、比較的境界不明瞭が多い。
    その他、急性化膿性甲状腺炎では、
    ①甲状腺内の低エコー領域は片側性が多い(特に下咽頭梨状窩瘻は左側)。甲状腺悪性リンパ腫のような入道雲様の事も。
    ②甲状腺外の低エコー領域は滲出液・膿瘍で、頭内側に多い
    ③腫瘍内感染では、腫瘍内に低エコー領域、腫瘍の周囲に不均一な低エコー領域
    ④嫌気性感染では、ガス像
    cold abscesss(冷膿瘍)は、痛みなく、炎症反応なく、エコーでニボー(液面)形成。(第54回 日本甲状腺学会 P187 学校検診で指摘発された無症候性右甲状腺膿瘍の1例)。
     
  3. 穿刺細胞診すると、膿が出てきます。のう胞内感染なら、茶褐色の内容液。
    塗抹標本では、好中球主体。グラム染色で起炎菌の目安が付く事も。細菌培養を行う(可能なら嫌気性菌・真菌も)(他院で抗生剤が既に投与されていれば培養しても陰性が多い)。
     
  4. 下咽頭梨状窩瘻を超音波(エコー)検査で見つけ(空気を含むためガス像を認めます)、穿刺細胞診すると細菌・食物残渣・扁平上皮が確認できます。
     
  5. 通常の造影頸部CTで、甲状腺外の膿瘍形成と、その範囲が明らかになります。
     
  6. 下咽頭部造影CTで、下咽頭梨状窩瘻を見つけます。
急性化膿性甲状腺炎 超音波(エコー)画像

急性化膿性甲状腺炎 超音波(エコー)画像;甲状腺周囲へ炎症・膿が波及しています (AACE Clinical Case Rep. 2017;3:e26-e30)

急性化膿性甲状腺炎 超音波(エコー)画像

急性化膿性甲状腺炎 超音波(エコー)画像;低エコー領域は単発性・連続性で、内部不均一、比較的、境界不明瞭。

急性化膿性甲状腺炎(腫瘍内感染) 超音波(エコー)画像

急性化膿性甲状腺炎(腫瘍内感染) 超音波(エコー)画像

急性化膿性気腫性甲状腺炎 超音波(エコー)画像

急性化膿性気腫性甲状腺炎 超音波(エコー)画像(Br J Surg. 1983 May;70(5):256-8.)

急性化膿性甲状腺炎 のう胞腺腫 穿刺細胞診前

のう胞腺腫 穿刺細胞診前(急性化膿性甲状腺炎 発症前)(Case Rep Endocrinol. 2020 Aug 25;2020:7104806.)

急性化膿性甲状腺炎 のう胞腺腫 穿刺細胞診後

急性化膿性甲状腺炎 のう胞腺腫 穿刺細胞診後(Case Rep Endocrinol. 2020 Aug 25;2020:7104806.)

急性化膿性甲状腺炎 穿刺細胞診

急性化膿性甲状腺炎 穿刺細胞診;濾胞上皮は存在せず、好中球とマクロファージのみ(Experimental and Therapeutic Medicine  2015, 9; 860-862)

下咽頭梨状窩瘻

下咽頭梨状窩瘻 超音波(エコー)画像

下咽頭梨状窩瘻2

下咽頭梨状窩瘻 超音波(エコー)画像

下咽頭梨状窩瘻 超音波(エコー)画像

下咽頭梨状窩瘻 超音波(エコー)画像(Clin North Am. 2010 Dec43(6)1171-202, v-vi.)

下咽頭梨状窩瘻 超音波(エコー)画像

下咽頭梨状窩瘻 超音波(エコー)画像(J Ultrasound Med. 2018 Nov;37(11):2631-2636.)

下咽頭梨状窩瘻 下咽頭食道造影

耳鼻咽喉科・頭頚部外科に咽頭喉頭ファイバーを依頼。下咽頭食道造影・下咽頭造影CTで確定します。しかし、下咽頭梨状窩瘻が見つからず、摘出された甲状腺の病理標本から見つかることがあります(第58回 日本甲状腺学会 P2-7-4 40代で発症し著明な気道狭窄を呈した破壊性甲状腺炎を伴う急性化膿性甲状腺炎の一例)。

炎症を起こした下咽頭梨状窩瘻が、甲状腺腫瘍・甲状腺癌のように見える事があります。(J Int Med Res. 2021 Jul;49(7):3000605211031430.)

甲状腺腫瘍・甲状腺癌のように見える下咽頭梨状窩瘻

甲状腺腫瘍・甲状腺癌のように見える下咽頭梨状窩瘻

甲状腺腫瘍・甲状腺癌のように見える下咽頭梨状窩瘻 組織像

甲状腺腫瘍・甲状腺癌のように見える下咽頭梨状窩瘻 組織像

甲状腺膿瘍

甲状腺膿瘍 甲状腺超音波(エコー)画像

甲状腺膿瘍 甲状腺超音波(エコー)画像;非特異的な低エコー領域で、亜急性甲状腺炎と比較して境界がはっきりしています。診断は穿刺検体で膿を証明するしかありません。(Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2004 Jul;23(7):570-2.)

甲状腺膿瘍 造影CT画像;リング状増強がくっきり。甲状腺膿瘍は甲状腺超音波(エコー)検査より造影CT検査の方が有用かもしれません。

[Clin Mol Hepatol. 2018 Mar;24(1):88-91]

甲状腺膿瘍
上部食道がんに生じた膿瘍が甲状腺にも波及1

上部食道がんに生じた膿瘍が甲状腺にも波及

上部食道がんに生じた膿瘍が甲状腺にも波及2

上部食道がんに生じた膿瘍が甲状腺にも波及2

急性化膿性甲状腺炎の鑑別

急性化膿性甲状腺炎と鑑別を要するのは、

  1. 亜急性甲状腺炎:同じような症状。
    亜急性甲状腺炎は、
    ①亜急性の経過なので皮膚に発赤が無い点
    甲状腺周囲に滲出液・膿瘍を示す低エコーが無い点
    ③病変が両側性・多発性の事が多く(初期は片側性)、移動性である点
    炎症所見(WBC, 好中球数, CRPの上昇)が軽度である点。ただし、これには例外があります(第54回 日本甲状腺学会 P097 核の左方移動を伴う白血球増加がみられた亜急性甲状腺炎の1例)[Indian J Endocrinol Metab. 2022 Jul-Aug;26(4):328-333.]
    が異なります。

    甲状腺エコーを行わず、亜急性甲状腺炎と高をくくり、ステロイド剤を投与してしまうと、急性化膿性甲状腺炎を悪化させます。(第58回 日本甲状腺学会 P1-8-3 亜急性甲状腺炎の診断でステロイド投与がなされた急性化膿性甲状腺炎の一例) [Zhonghua Nei Ke Za Zhi. 2022 Sep 1;61(9):1062-1065.]
        
  2. 甲状腺未分化癌
  3. 甲状腺原発悪性リンパ腫
  4. 甲状腺乳頭癌被膜浸潤・腫瘍内出血・急速な増大・甲状腺乳頭癌周囲の炎症巣(炎症反応も出て、炎症部の穿刺細胞診でも癌細胞出ない)
  5. のう胞性腫瘍、のう胞内出血甲状腺エコーで一目瞭然
  6.  甲状腺結核
  7. 橋本病急性増悪:同じような症状。甲状腺エコーで簡単に判別
  8. リーデル甲状腺炎

急性化膿性甲状腺炎の治療

急性化膿性甲状腺炎の治療は、当然、抗生剤投与(投与例;MEPM 0.5 g x 2回, CLDM 600 mg x 2回)

甲状腺周囲~皮膚にも炎症が広がり、膿を形成する(甲状腺膿瘍)と、切開排膿・持続ドレナージが必要。時に亜急性甲状腺炎と誤診されてステロイド投与になると、急性化膿性甲状腺炎が悪化します。[BMC Endocr Disord. 2019 Dec 3;19(1):130.]

急性化膿性甲状腺炎根治療法は、

  1. 下咽頭梨状窩瘻を手術で摘除。術前に色素を飲み、下咽頭梨状窩瘻を染めてから行う。現在は、内視鏡治療が主流で、あまり行われなくなった[Ear Nose Throat J. 2022 Aug 13:1455613221117004.]
     
  2. トリクロロ酢酸と電気メスで、梨状陥凹にある廔孔入口の粘膜を電気化学焼灼する方法が考案されています[Head Neck. 2013 Mar;35(3):431-5.]
     
    廔孔閉鎖率は80%台で、①2回目の電気化学焼灼が必要になる場合、②結局手術になる場合があります。(第58回 日本甲状腺学会 O-6-2 下咽頭梨状窩瘻による急性化膿性甲状腺炎に対する化学焼灼療法の治療成績)
     
  3. 内視鏡的電気焼灼[DEN Open. 2022 May 15;3(1):e128.]
  4. 内視鏡下半導体レー ザー焼灼療法も考案されています。下咽頭梨状窩瘻(PSF)孔に半導体レーザーファイバー の先端を挿入し、熱で焼き切る方法。(第62回 日本甲状腺学会 O4-3 下咽頭梨状窩瘻に対する内視鏡下焼灼療法の治療成績)[J Otolaryngol Head Neck Surg. 2021 Aug 12;50(1):49.]

ceftriaxone(CTRX:ロセフィン®)

ラットにおけるCeftriaxone(CTRX:ロセフィン®)の体内動態に関する研究 (第3報)によると、ceftriaxoneは特に甲状腺, 脾臓, 腎臓に蓄積するため急性化膿性甲状腺炎の治療や、甲状腺生検の予防投与に有用と言えます。(CHEMOTHERAPY 1984, 32(7) 158-164)

降下性壊死性縦隔炎

深頸部膿瘍、縦隔炎、右膿胸 CT画像

深頸部膿瘍、縦隔炎、右膿胸 CT画像;咽頭壁の腫脹、ガスを含んだ膿瘍(うみ)を認める。

深頸部膿瘍、縦隔炎、右膿胸 CT画像

深頸部膿瘍、縦隔炎、右膿胸 CT画像;縦隔炎、膿胸を認める。

深頸部膿瘍、縦隔炎、右膿胸 CT画像

降下性壊死性縦隔炎は、歯科治療・扁桃腺炎などによる頚部の深部感染症が、筋膜の間隙をつたい、縦隔まで下りてくるものです[Surg Gynecol Obstet (1983) 157 : 545-552]。

降下性壊死性縦隔炎は、発熱、強烈な頚部痛があるものの、深部の感染症なので、耳鼻咽喉科で喉頭ファイバー(カメラ)をしても異常なく、亜急性甲状腺炎のようです。もちろん、甲状腺超音波(エコー)をすれば、亜急性甲状腺炎でないことは直ちに診断できます。降下性壊死性縦隔炎は、MRI/CTで診断可能です。

歯科治療・扁桃腺炎などによる頚部の深部感染症が、降下の途上で甲状腺周囲に膿瘍形成する降下性壊死性縦隔炎もあります。甲状腺の場所に痛みがおこるため亜急性甲状腺炎急性化膿性甲状腺炎と鑑別せねばなりません。甲状腺以外の場所にも痛みがおこるため、広範囲な急性化膿性甲状腺炎との鑑別が難しくなります。

急性化膿性甲状腺炎→深頸部膿瘍→降下性壊死性縦隔炎→胸膜炎(縦隔側壁側胸膜へ感染が波及した場合)→膿胸(胸膜炎が膿になった状態)をおこすこともあります。〔糖尿病52(7):569∼573, 2009〕。

降下性壊死性縦隔炎

降下性壊死性縦隔炎は、敗血症をおこし死亡率が高く、早期に診断して、縦隔ドレナージ(排膿)しなければなりません。

ろくに超音波(エコー)検査もせずに、亜急性甲状腺炎と誤診し、ステロイド投与すれば敗血症を増悪させ大変なことになります。長崎甲状腺クリニック(大阪)では甲状腺専門医である院長自らが、その場で甲状腺超音波(エコー)検査するので、そのような事には絶対なりません。

アスペルギルス甲状腺炎

アスペルギルス甲状腺炎は、全身性のアスペルギルス感染症の一部で、大抵、肺が原発(侵襲性肺アスペルギルス症)。診断・治療の遅れ、免疫不全状態では極めて死亡率が高いです。アスペルギルス甲状腺炎が疑われたら、広域抗生物質に加えて速やかにアンホテリシンBとフコナゾール(あるいはボリコナゾール)を投与すべきです。(J Med Case Rep. 2014 Nov 21;8:379. 

一方で、全身性のアスペルギルス感染の一部でなく、甲状腺のみに限局したアスペルギルス甲状腺炎の報告もあります。全身性エリテマトーデス(SLE)を持つ29歳の女性で、アンホテリシンB投与し、甲状腺クリーゼ  の予防のため、甲状腺全摘手術したそうです。(Iran J Radiol. 2016 Jan 20;13(1):e27890.)

他にも‎、免疫不全患者のアスペルギルス甲状腺炎で、ボリコナゾールおよびカスポファンギン治療後に全甲状腺摘出術が行われています(Mycopathologia. 2017 Oct;182(9-10):839-845.)。‎

免疫不全でない畜産業の35歳女性で、腺腫様甲状腺腫の甲状腺全摘出標本中の嚢胞型腺腫様結節内にアスペルギルス菌糸を認めた報告もあります[Indian J Pathol Microbiol. Oct-Dec 2011;54(4):814-6.]。

アスペルギルス甲状腺炎の超音波(エコー)画像。非特異的な低エコー領域で、亜急性甲状腺炎と比較して境界がはっきりしています。診断は穿刺検体でアスペルギルスを証明するしかありません。

アスペルギルス甲状腺炎 超音波(エコー)画像
アスペルギルス甲状腺炎の穿刺細胞診所見

アスペルギルス甲状腺炎の穿刺細胞診所見。(左)メイギムザ染色、(右)グロコット染色

アスペルギルス甲状腺炎 組織像

アスペルギルス甲状腺炎 組織像動

また、スペルギルス甲状腺炎以外の真菌性甲状腺炎として、クリプトコッカス甲状腺炎があります。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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