検索

亜急性甲状腺炎と鑑別を要する橋本病急性増悪[甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見③ 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等  糖尿病編 をクリックください

Summary

橋本病急性増悪は、亜急性甲状腺炎急性化膿性甲状腺炎・癌性リンパ管炎(転移性甲状腺癌)、甲状腺原発悪性リンパ腫、甲状腺未分化癌と鑑別要。橋本病急性増悪の亜型は複数あり、発熱、前頚部痛(移動せず)、炎症強いと前頚部の皮膚も発赤、甲状腺中毒症(甲状腺機能正常、低下の事も)、CRP高値(10以上)、抗サイログロブリン抗体(Tg-Ab)強陽性、甲状腺超音波(エコー)検査で低エコー領域は弾性硬(腫大のみの場合も)、穿刺細胞診はリンパ球優位、ステロイド抵抗性で減量すると再発し、最後は甲状腺全摘出かアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療になる事、多々あり。永続性甲状腺機能低下症に移行。

Keywords

橋本病急性増悪,亜急性甲状腺炎,急性化膿性甲状腺炎,癌性リンパ管炎,鑑別,抗サイログロブリン抗体,穿刺細胞診,橋本病,ステロイド抵抗性,永続性甲状腺機能低下症

橋本病急性増悪と亜急性甲状腺炎の違い

橋本病急性増悪の発症機序には不明な点が多いです。

本来の橋本病急性増悪は、

  1. 発熱:大抵37℃台で、高熱とは言えませんが、38℃になる事も。
     
  2. 前頚部痛:亜急性甲状腺炎のように移動しません。炎症強いと前頚部の皮膚も発赤し急性化膿性甲状腺炎の様。
     
  3. 甲状腺中毒症バセドウ病無痛性甲状腺炎と同じくらい甲状腺ホルモンが高値になります。しかし、発症後数日は、甲状腺ホルモン正常の事も。
     
  4. 抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)が異常高値(≧4000)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)は高値の事も陰性の事も
     
  5. 亜急性甲状腺炎と同じく、WBC上昇、CRP軽度陽性
     
  6. 甲状腺超音波(エコー)検査で
    発症後数日は、硬くびまん性腫大と、一部低エコー領域(リンパ濾胞)
    低エコー領域は甲状腺全体に広がり、粗雑で低エコーな状態
     
  7. 亜急性甲状腺炎と異なり
    ①ステロイド抵抗性のため、入院してプレドニゾロン30mgで開始。ステロイド減量すると再発し、最後は甲状腺全摘出になる事、多々あります。
    ②ステロイド反応性で、劇的に改善、中止すると再発。プレドニゾロン少量(3mg)でも持続投与すると再発をある程度抑えられる。(第53回 日本甲状腺学会 P52 ステロイドで長期コントロールされている再発性熱性橋本病の1例)
     
  8. 永続性甲状腺機能低下症に移行
     
  9. 再発・遷延例の報告も多い
    (第54回 日本甲状腺学会 P145 抗サイログロブリン抗体が強陽性を呈し、穿刺吸引細胞診にて診断に至った橋本病急性増悪の3例)(第55回 日本甲状腺学会 P2-08-07 関節リウマチの治療中に発症した橋本病急性増悪の一例)

橋本病急性増悪の亜型?

橋本病急性増悪の亜型?としか考えられないような不思議な症例報告があります。

  1. 37~38℃の発熱が数週間続いて自然軽快を繰り返し
  2. 頚部違和感あるも甲状腺は硬く腫大、圧痛なし
  3. 甲状腺ホルモン低下あるいは軽度上昇、白血球の左方移動とCRP上昇
  4. 甲状腺エコーではびまん性腫大の増強と内部エコー輝度低下

この病状では、急性化膿性甲状腺炎・癌性リンパ管炎(転移性甲状腺癌)・末期の橋本病に発生した甲状腺原発悪性リンパ腫がまず疑われます。穿刺鏡検・培養、穿刺細胞診をまず行い、穿刺細胞診で

  1. 成熟リンパ球優位で明らかな異型性は見られず
  2. 甲状腺細胞は極少で判定不可

との結果になれば橋本病急性増悪です。(第57回 日本甲状腺学会 P2-056 発熱を繰り返す慢性甲状腺炎の一例)

このような病態は、典型的な無痛性甲状腺炎橋本病急性増悪の中間的なものと考えれば良いかもしれません。

橋本病急性増悪の亜型?その②(極めて亜急性甲状腺炎に近い型)

橋本病急性増悪の亜型には、複数のパターンがある様です。北里大学の報告では

  1. 38℃台の発熱
  2. 頚部痛
  3. 超音波(エコー)検査で甲状腺両葉の低エコー域と周囲のリンパ節腫脹
  4. 炎症反応の上昇(CRP14.64 mg/dL)

と、亜急性甲状腺炎甲状腺原発悪性リンパ腫甲状腺未分化癌急性化膿性甲状腺炎、癌性リンパ管炎(転移性甲状腺癌)を除外する必要がります。極めて亜急性甲状腺炎に近いですが、亜急性甲状腺炎にしては炎症反応が強過ぎます(炎症反応が強い亜急性甲状腺炎の報告もありますが・・)。

甲状腺組織生検では、線維化強く、濾胞上皮は僅かに残存、散在性のリンパ濾胞・リンパ球/形質細胞の集簇が見られ橋本病急性増悪と診断。NSAIDs(非ステロイド系抗炎症剤)投与のみで2カ月後に炎症反応も陰性化したそうです。
(第59回 日本甲状腺学会 P1-6-3 一過性に頚部痛を来し、診断に苦慮したサルコイドーシス合併の橋本病の一例)

橋本病急性増悪の亜型?その③(甲状腺機能正常、甲状腺エコーで変化なし)

橋本病急性増悪の亜型には、癌性リンパ管炎(転移性甲状腺癌)、急性化膿性甲状腺炎(初期)と良く似たものもあります。伊藤病院の報告では、

  1. 38℃台の発熱
  2. 頚部痛
  3. 甲状腺機能正常
  4. 甲状腺超音波(エコー)検査で甲状腺腫大のみ、穿刺細胞診で橋本病(慢性甲状腺炎)の所見
  5. 炎症反応の上昇(CRP19.62 mg/dL)

の所見です。穿刺細胞診で癌性リンパ管炎(転移性甲状腺癌)、急性化膿性甲状腺炎(初期)を否定する事が重要です。他の橋本病急性増悪の亜型と同じく、ステロイド抵抗性で、減量すると再発し、最後はアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療で治癒したそうです。(第53回 日本甲状腺学会 P39 バセドウ病寛解後に橋本病急性増悪の病態を示しアイソトープ治療が奏功した1例)

 

骨髄異形成症候群(MDS)治療剤アザシチジン(ビダーザ®)で橋本病急性増悪

DNAメチル化阻害薬アザシチジン(ビダーザ®)は、骨髄異形成症候群(MDS)治療剤です。同種造血幹細胞移植を行わない場合の化学療法の第一選択薬です。

アザシチジンが原因と考えられる橋本病急性増悪が報告されています。アザシチジン投与後2 クール目で手指振戦・頸部痛出現、37.5 度以上熱発、CRP強陽性、甲状腺中毒症(最初は軽度→中等度)、エコーで両葉に左右対称性の低エコー領域認め圧痛あるも弾性硬(石様硬ではない)、穿刺細胞診はリンパ球優位の炎症像、抗サイログロブリン抗体(Tg-Ab)強陽性・甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体陰性。

プレドニゾロン(PSL)30mg開始し疼痛は速やかに消失するも、甲状腺の破壊性変化は進行、永続性甲状腺機能低下症となったそうです。(第57回 日本甲状腺学会P2-057 機能とエコー像を対比追跡したazacitidine 関連橋本病急性増悪疑いの一例)

以上を考察すると、橋本病が元々あり癌性リンパ管炎・急性化膿性甲状腺炎亜急性甲状腺炎が合併したか、橋本病急性増悪が起こったのか診断に迷うところです。

  1. CRP強陽性は急性化膿性甲状腺炎が濃厚、亜急性甲状腺炎では珍しいですが報告例はあり。癌性リンパ管炎は中等度陽性が多い。
  2. 穿刺細胞診はリンパ球優位の炎症像で、癌性リンパ管炎は否定、細菌・真菌(アスペルギルス)鏡検・培養陰性で急性化膿性甲状腺炎は否定的。亜急性甲状腺炎なら多核巨細胞が出るはずですが、出ないので可能性低い。
  3. 亜急性甲状腺炎の低エコー領域は石様硬で、プレドニゾロン(PSL)30mgで破壊の進行が止まるはず。弾性硬、プレドニゾロン(PSL)30mgで破壊が止まらないのは矛盾

以上より橋本病急性増悪の診断となりますが、結局は除外診断となり、決め手は3.です。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療      長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ 谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

診療時間電話番号や地図はこちら