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IgG4関連甲状腺炎(IgG4甲状腺炎とは異なる)    [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

リーデル甲状腺炎 超音波(エコー)像

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Summary

IgG4関連疾患におけるIgG4関連甲状腺炎(IgG4甲状腺炎とは異なる)は、20%に甲状腺機能低下症、地図状低エコー領域、線維組織の著明な増生とIgG4産生形質細胞の浸潤認め、ステロイド治療等で縮小。リーデル(Riedel)甲状腺炎は著明な線維化・癒着で気道閉塞の危険。

Keywords

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IgG4関連疾患とは

IgG4関連疾患とは

免疫グロブリンの一つIgGの3%がIgG4です。

甲状腺領域、甲状腺外の領域でも、IgG4は最もホットな話題の一つです。IgG4関連疾患は、どの臓器にも発生する可能性があります。血清IgG4高値とIgG4陽性形質細胞の組織浸潤/腫瘤形成が特徴で、自己免疫性膵炎、ミクリッツ病などをおこします。

 厚生労働省班研究グループの包括的診断基準として、1)血清IgG4が、135 mg/dl以上、2)組織におけるIgG4陽性細胞高倍率視野で10個以上、IgG4/IgG比40%以上、が提唱されています

IgG4関連疾患の免疫異常の正体

IgG4関連疾患の免疫異常は、Th2およびTregサイトカインが病因と言われます。

ヘルパーT細胞と橋本病・バセドウ病

ヘルパーT細胞には、Th1細胞(細胞性免疫)Th2細胞[液性免疫:免疫グロブリン(TSH受容体抗体:TRAb)による]があり、どちらが優位になるかで、橋本病バセドウ病いずれになるか決まります(橋本病とバセドウ病は入れ替わる---元は同じ自己免疫性甲状腺疾患)。

Th1優位になれば橋本病Th2優位になればバセドウ病になります。また、バセドウ病にはTregも強く関与していると言われ、不思議なことに、IgG4関連疾患の免疫異常は、橋本病よりバセドウ病に近い事になります。

岡山大学の報告では、IgG4関連疾患Th2およびTregサイトカインは、Th2優位の代表である花粉症(アレルギー性鼻炎)・アトピー性皮膚炎で有名なマスト細胞(肥満細胞)で作られるとのことです(Mod Pathol 2014 Jan 3. doi: 10.1038/modpathol.2013.236)。

IgG4関連甲状腺炎

IgG4関連甲状腺炎とは

IgG4関連甲状腺炎は、IgG4関連疾患の20%に認められ、潜在性甲状腺機能低下症顕在性甲状腺機能低下症同数とされます(Scand J Rheumatol. 2013;42(4):325-30.)。

橋本病の一亜型で、IgG4関連疾患の合併が極めて少ないIgG4甲状腺炎橋本病型IgG4甲状腺炎)とは異なり、むしろ組織がガチガチに線維化する(線維化する肉芽腫性炎症の)リーデル(Riedel)甲状腺炎に近いものと考えられます(IgG4関連甲状腺炎)。いずれも組織中のIgG4/IgG比が50%以上ですが、リーデル(Riedel)甲状腺炎の線維化が甲状腺内外に広がるのに対し、IgG4関連甲状腺炎は甲状腺内に限局した線維化です。

橋本病バセドウ病リーデル甲状腺炎の一部がIgG4関連疾患の組織学的特色を示すため、IgG4関連甲状腺炎は全くの別物ともい言えない様です。

甲状腺内に地図状低エコー領域を認め、ステロイド治療等で縮小します。
甲状腺癌の合併が今まで2例報告されます(頻度は多くありません)(甲状腺乳頭癌が合併)。

IgG4関連甲状腺炎

(右)IgG4関連甲状腺炎の組織:線維組織の著明な増生とIgG4を産生する形質細胞の浸潤を認めます。

IgG4関連甲状腺炎 超音波(エコー)画像

(右)線維化した部分はエラストグラフィーで青く(硬く)見えます。

IgG4関連甲状腺炎の症状

IgG4関連甲状腺炎の症状は、急激な

  1. びまん性甲状腺腫大
  2. 甲状腺機能低下症
  3. 気道圧排(気管切開しなければならない時ある)

などです。リーデル(Riedel)甲状腺炎のような、発熱・頚部痛は起こらないようです。

(第55回 日本甲状腺学会 P2-05-08 IgG4 甲状腺炎により、著明な甲状腺機能低下と急速な気道閉塞を来した一例)

甲状腺原発悪性リンパ腫甲状腺乳頭癌との鑑別を要する結節性IgG4関連甲状腺炎

甲状腺全体が低エコー(黒く見える)でなく、部分的に低エコー(低エコー腫瘤)の場合(結節性IgG4関連甲状腺炎)、甲状腺原発悪性リンパ腫甲状腺乳頭癌転移性甲状腺癌橋本病結節との鑑別が必要になります。

結節性IgG4関連甲状腺炎 超音波(エコー)画像
IgG4甲状腺炎 細胞診

橋本病型IgG4関連甲状腺炎橋本病型IgG4甲状腺炎でなければ、橋本病抗体陰性です。穿刺細胞診では、

  1. 好酸性細胞(核溝もあり)
  2. 形質細胞
  3. リンパ球

を認めます。

細胞診所見だけでは、甲状腺原発悪性リンパ腫(形質細胞への分化を伴うMALTリンパ腫)との鑑別難です。Ga シンチグラフィでも軽度の集積を認めるため、結局、甲状腺原発悪性リンパ腫が疑われ、組織生検になります。

甲状腺濾胞は破壊され、萎縮し、広範な線維化、異型性の無い小型リンパ球浸潤、著明な形質細胞浸潤を認めます。

多発性骨髄腫の形質細胞と異なり、異型性は無く、血管壁血管周囲にアミロイド沈着も認めません。

免疫染色にて形質細胞はIgG4陽性ですが、昭和大学藤が丘病院の報告例では、不思議な事に血中IgG4は正常だったそうです(第59回 日本甲状腺学会 P1-7-2 悪性リンパ腫との鑑別が困難であった抗甲状腺抗体陰性結節性IgG4 関連甲状腺炎の一例)。

リーデル(Riedel)甲状腺炎

リーデル(Riedel)甲状腺炎は、原因不明ですが、IgG4関連甲状腺炎に似て線維化が著明です。

  1. 発熱
  2. 頚部痛(痛みの部位に一致して低エコー、硬い)
  3. 甲状腺中毒症から甲状腺機能低下症に移行
  4. 急速に進行して気道狭窄

おこし、

  1. エコー上IgG4関連甲状腺炎に似て、硬く、気道狭窄
  2. 生検で著明な線維化(濾胞構造消失)・多彩な炎症細胞浸潤(異型性に乏しいリンパ球・好中球・形質細胞など)・周囲筋組織の破壊
リーデル甲状腺炎 超音波(エコー)像

認め、甲状腺低分化癌甲状腺原発悪性リンパ腫との鑑別が必要になります。治療は

  1. ステロイドパルス、その後のステロイド経口投与:一時的に臨床症状の著明な改善を認めるも、リーデル甲状腺炎の活動性収まらずステロイド減量できないため年単位の投与になります。時期を逸する前に、外科手術に踏み切るのが良いと考えます。
  2. 気管切開
  3. 甲状腺の前方を外科手術(時期を逸すると周囲に癒着し中々はがれません)

甲状腺乳頭癌が合併

IgG4関連疾患甲状腺乳頭癌(1例は乳頭癌由来低分化癌)が合併した症例が報告されています。偶然なのか、それとも何らかの免疫機序が関連するのか謎です。1例はIgG4関連下垂体炎・後腹膜線維症、もう1例は自己免疫性膵炎に合併したとの事です。(第58回 日本甲状腺学会 P167 IgG4関連疾患に甲状腺乳頭癌を合併した2例)

甲状腺以外のIgG4関連疾患

甲状腺以外のIgG4関連疾患  を御覧下さい。

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