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甲状腺と出血--後天性血友病A/後天性von willebrand病、特発性血小板減少性紫斑症(ITP)  [橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見③甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

甲状腺ホルモン補充療法前後のvon willebrand因子の変化

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(右)院長の論文:甲状腺機能低下症/橋本病の甲状腺ホルモン補充療法前後のvon willebrand(フォンウィルブランド)因子の変化

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。後天性血友病A/後天性von willebrand病、特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の診療は行っておりません。

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①血液凝固第VIII因子阻害物質(第VIII因子インヒビター)が遺伝とは無関係に作られる後天性血友病A、②抗von willebrand(フォンウィルブランド)因子抗体による後天性フォンウィルブランド病の原因に橋本病バセドウ病甲状腺機能亢進症/バセドウ病の血小板減少は①代謝亢進で血小板の寿命が短くなる②抗甲状腺剤メルカゾール・プロパジール/チウラジールによる薬剤性血小板減少③特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の合併。自己免疫性甲状腺疾患に自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、ITPいずれか、あるいは両方(Evans 症候群)合併すると、多腺性自己免疫症候群3c型(APS3c)。

Keyword

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甲状腺で皮下・筋肉内出血?(後天性血友病)

遺伝と無関係に橋本病バセドウ病では血液凝固第VIII因子を阻害する第VIII因子インヒビターが作られ後天性血友病、抗von willebrand(フォンウィルブランド)因子抗体による後天性フォンウィルブランド病が起きる。後天性血友病Aは、高齢者が多く女性にも認められ、橋本病バセドウ病妊娠の女性では分娩後出血が止まらない。過多月経は甲状腺機能低下症と共通。初発症状は皮下出血、筋肉内出血、消化管・関節・後腹膜出血で関節内出血は少ない。後天性フォンウィルブランド病は血小板粘着能が低下し出血時間延長、APTT延長。甲状腺ホルモン補充でフォンウィルブランド因子が増加すると回復。

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後天性血友病A

血友病といえば遺伝病の代名詞(先天性血友病)ですが、近年は血液凝固第VIII因子を阻害する物質(第VIII因子インヒビター)が遺伝とは無関係に作られる後天性血友病が話題です。原因として

  1. 癌(肺癌、消化器がん)
  2. 甲状腺橋本病バセドウ病)(全体の6.9%)を含む自己免疫病
  3. なぜか糖尿病
  4. 肺炎などでも報告が増えています。

があります(Int. Jnl. Lab. Hem. 2014, 36, 398–407)

後天性血友病A

後天性血友病Aは、男性に発症する先天性血友病Aとは異なり、高齢者が多く(70%)や女性にも認められます。橋本病バセドウ病妊娠の女性では分娩後出血が止まらない症状が多いです。過多月経は甲状腺機能低下症と共通の症状です。

後天性血友病Aの初発症状は皮下出血が最も多く、筋肉内出血と合わせて70%です。消化管、関節、後腹膜などにも出血が生じますが、先天性血友病Aで頻繁におこる関節内出血は少ないのが特徴です。

適切な処置を怠ると、大量の出血が続き、失血死もまれではありません。

凝固カスケード

後天性血友病Aは

  1. 出血時間は正常;血小板の異常ない
  2. プロトロンビン時間(PT-INR)は正常
  3. 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は延長

第VIII因子インヒビターが原因ですので、患者と正常人の血漿を混ぜれば(APTTクロスミキシング試験)、第VIII因子インヒビターが正常人の第VIII因子を阻害し診断できます。ただし、抗リン脂質抗体症候群でもリン脂質を介する凝固反応を阻害するため同様のパターンになります。

治療は第VIII因子を補充しても効果少なく

  1. 直ちに免疫抑制療法
  2. 重篤な出血では第Ⅶ因子製剤・プロトロンビン複合体製剤のバイパス療法が有効です。

(図;凝固カスケード 金沢大学 血液内科・呼吸器内科 HPより)

後天性von willebrand(フォンウィルブランド)病

フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor;VWF)は血管損傷部位の初期血小板粘着、血小板凝集、凝固第VIII因子の安定化作用をもつ高分子の血漿糖タンパク質です。

(図; 一般社団法人日本血液製剤協会HPより)

フォン・ヴィレブランド因子
甲状腺ホルモン補充療法前後のvon willebrand因子の変化

後天性von willebrand(フォンウィルブランド)病は同じような症状で、血友病よりも軽症です。後天性von willebrand(フォンウィルブランド)病は抗von willebrand(フォンウィルブランド)因子抗体でおこり、甲状腺機能低下症/橋本病の2~5%に合併します。甲状腺ホルモンによる補充でvon willebrand(フォンウィルブランド)因子が増加すると回復します。

(右)院長の論文:甲状腺機能低下症/橋本病の甲状腺ホルモン補充療法前後のvon willebrand(フォンウィルブランド)因子の変化

後天性von willebrand(フォンウィルブランド)病は

  1. 出血時間延長;血小板自体の異常ないが、von willebrand(フォンウィルブランド)因子の異常により血小板粘着能が低下するため
  2. プロトロンビン時間(PT-INR)は正常
  3. 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は延長

院長の論文

後天性第XIII因子欠損症(第XIII因子インヒビター)

第ⅩⅢ因子は血液凝固の最終段階で他の血液凝固因子を網目状につなぎ合わせます。後天性第XIII因子欠損症(第XIII因子インヒビター)は出血傾向(血が止まりにくい)や創傷治癒不全(傷の治りが悪い)などの症状です。シェーンライン・ヘノッホ紫斑病では、血液凝固第ⅩⅢ因子が低下し、血液凝固第ⅩⅢ因子製剤の投与を行います。

PTや APTTに異常認めないので要注意。甲状腺疾患での報告はないようです。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病と血小板減少

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の血小板減少は①代謝亢進で血小板の寿命が短くなる②抗甲状腺剤メルカゾール・プロパジール/チウラジールの薬剤性血小板減少③特発性血小板減少性紫斑症(ITP)合併、多腺性自己免疫症候群3c型。ITPで皮下出血(点状出血/紫斑)、歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、過多月経(甲状腺機能低下症様)、頭蓋内出血、Pa-IgGは診断価値低い、治療はピロリ菌除菌、ステロイド、摘脾、トロンボポエチン受容体作動薬。甲状腺全摘術後に血小板減少が改善したITP合併甲状腺乳頭癌の症例報告あり。EDTA依存性偽性血小板減少症は橋本病/バセドウ病他自己免疫疾患に多い。

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甲状腺機能亢進症/バセドウ病で血小板減少を認めた場合

甲状腺機能亢進症/バセドウ病と血小板減少には、日常よく遭遇します。血小板減少は未治療甲状腺機能亢進症/バセドウ病の3.3 %に認められます。原因として、

  1. 甲状腺機能亢進による代謝亢進で血小板の寿命が短くなるのが主原因と考えられますが、詳細は不明な部分も多いです。網内系の刺激や免疫学的機序も考えられています。
  2. 抗甲状腺剤メルカゾール・プロパジール/チウラジールによる薬剤性血小板減少
  3. 特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の合併

が考えられます。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病による代謝亢進で血小板の寿命が短くなる

甲状腺機能亢進症/バセドウ病により、血小板の消費が亢進した場合、過去の報告では、血小板数4.6万に低下しており、131-I内照射後甲状腺機能正常化すると14.7万に回復したとされます。治療前、Pa-IgGは陽性ながら、骨髄は正形成でした。(第54回 日本甲状腺学会 P091 放射性ヨード内用療法による甲状腺機能の正常化に伴い血小板減少が改善したバセドウ病の一例)

抗甲状腺剤メルカゾール・プロパジール/チウラジールによる薬剤性血小板減少

抗甲状腺剤メルカゾール・プロパジール/チウラジールによる薬剤性血小板減少は、

  1. 血小板減少性紫斑症;血小板に対する自己免疫が誘導されると理解すれば良いと思います。
     
  2. 単なる血小板減少症(非ITP);「血小板減少性紫斑症と、どう違うねん?」、血小板に対する自己免疫と言えない血小板減少症。しかし、Pa-IgGが不確かなものなので、自己免疫か非自己免疫か、厳密に区別する事はできません。

の2通りが考えられます。症状は、共通して、歯ぐきの出血、皮下出血、鼻血、出血が止まりにくい、青あざができる等です。

愛媛大学の報告では、メルカゾール投与後に血小板減少起こり、骨髄検査行うも正常。甲状腺全摘手術前に、ヨウ化カリウム(KI)がエスケープ現象で効かなくなり、PTU(プロパジール/チウラジール)併用投与し、甲状腺機能コントロールされたが、投与開始約1か月後に徐々に血小板減少しPTUは中止。甲状腺機能はヨウ化カリウム(KI)の休薬、再投与により安定させ、血小板減少にγグロブリン製剤投与、甲状腺全摘術手術行ったそうです。(第60回 日本甲状腺学会 P2-4-9 MMIとPTUによる血小板減少を認めた小児バセドウ病の1例)

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)と甲状腺

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)橋本病/バセドウ病

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)では、血小板膜蛋白(GPⅡa-Ⅲb, GPⅠb-Ⅸ)に対する自己抗体が結合、脾臓での血小板破壊が亢進し血小板減少。皮下出血(点状出血/紫斑)、歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、過多月経(甲状腺機能低下症の様)、頭蓋内出血がおこります。

自己免疫性甲状腺疾患 橋本病/バセドウ病では特発性血小板減少性紫斑症(ITP)を合併し、特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の10%が甲状腺機能亢進症/バセドウ病にいずれ移行する報告もあります。自己免疫性甲状腺疾患に自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)いずれか、あるいは両方(Evans 症候群)合併すると、多腺性自己免疫症候群3c型(APS3c)に分類されます。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病による代謝亢進で血小板の寿命が短くなる場合、抗甲状腺剤メルカゾール・プロパジール/チウラジールの副作用でも血小板減少おこるので鑑別を要します。

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の診断

  • 特発性血小板減少性紫斑症(ITP)は除外診断であり、末梢血塗沫標本で
    血小板サイズの異常(巨大血小板は常染色体劣性遺伝のBernard-Soulier症候群/微小血小板)
    白血球封入体
    破砕赤血球
    を確認する必要があります。
    常染色体劣性遺伝の血小板無力症(Glanzmann病)は末梢血塗沫標本では鑑別難。
  • Pa-IgGは非特異的IgGも測定するので診断価値低い

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の治療

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の治療は、

  1. ピロリ菌除菌で40%が改善
  2. 無効ならステロイド投与
  3. さらに6カ月以上で効果なければ摘脾(肺炎球菌による脾臓摘出後重症感染症に注意)
  4. 不可ならトロンボポエチン受容体作動薬(ITPの内因性トロンボポエチンは正常~やや増加)、内因性トロンボポエチンとは構造が異なり、血栓症・骨髄線維症の副作用

妊娠合併特発性血小板減少性紫斑症(ITP)

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)甲状腺乳頭癌

特発性血小板減少性紫斑症(ITP)は、癌を合併することがあり、日本では腎癌(最多)・胃癌・肺癌・結腸直腸癌・乳癌・食道癌・胆嚢癌・子宮頚癌・尿管癌が報告されています(Hinyokika Kiyo 51: 377-380,2005)。単なる偶然なのか、因果関係があるのか分かりません。自己免疫性疾患は悪性腫蕩を合併しやすいと言う原則に矛盾しませんが、その具体的な機序は不明です。

福島県立医科大学が、甲状腺全摘術後に、血小板減少が改善した特発性血小板減少性紫斑病合併甲状腺乳頭癌の症例を報告しています。特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の40%がピロリ菌除菌で改善するのを考えれば、このような事があっても不思議ではありません。癌やピロリ菌感染の免疫反応が、特発性血小板減少性紫斑症(ITP)の免疫反応と重複するためと筆者は考えています。(第53回 日本甲状腺学会 P-243 甲状腺全摘術後に、血小板減少の改善を認めた特発性血小板減少性紫斑病合併甲状腺乳頭癌症例)

EDTA依存性偽性血小板減少症

EDTA依存性偽性血小板減少症

少なくない血小板が、採血管内の抗凝固剤EDTAにより凝集し、測定機械が凝集塊を1個にカウントしてしまうため、実際より低い値になる事があります(EDTA依存性偽性血小板減少症)。

発生頻度は0.2%で、抗菌薬投与中、甲状腺の病気、橋本病/バセドウ病他自己免疫疾患に多くみられますが、健常人にも認められます。EDTAにより血小板表面抗原が変化し、免疫グロブリンが反応して凝集するためです。

EDTA以外の抗凝固剤ヘパリンやクエン酸Naを使用します。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

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長崎甲状腺クリニック(大阪)

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