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甲状腺癌の骨髄癌腫症(骨髄転移)・骨髄線維症[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺と骨髄線維症

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌病態内科学教室で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。骨髄癌腫症(骨髄転移)・骨髄線維症の診療を行っておりません。

Summary

骨髄癌腫症(癌の骨髄転移)は骨髄組織が腫瘍細胞に置換され、甲状腺癌でも稀に起きる。通常の痛み止めが効かない骨痛、貧血、免疫不全、出血、DIC合併。骨髄-血管関門破壊、髄外造血で幼若好中球(骨髄芽球,前骨髄球,骨髄球,後骨髄球)、赤芽球が末梢血に出現(白赤芽球症)。原発性骨髄線維症は造血幹細胞レベルのチロシンキナーゼJak2遺伝子の点突然変異で貧血、免疫不全、出血、白赤芽球症。巨大脾腫がある点、骨髄癌腫症と異なる。骨髄組織検体は、骨梁軽度肥厚、線維化により流線型配列、鍍銀染色で細網繊維増加。副甲状腺機能亢進症は二次性骨髄線維症。

Keywords

骨髄癌腫症,髄外造血,骨髄転移,甲状腺,甲状腺癌,巨大脾腫,骨髄線維症,白赤芽球症,副甲状腺機能亢進症,骨髄増殖性疾患

  • 甲状腺癌の骨髄癌腫症 ・骨髄線維症(本ページ)
  1. 骨髄癌腫症(癌の骨髄転移)
  2. 骨髄線維症

骨髄癌腫症(癌の骨髄転移)

骨髄癌腫症(癌の骨髄転移)とは、癌細胞が骨髄(赤血球、白血球、血小板を作る場所)内の広範囲に転移し、骨髄組織が腫瘍細胞に置換された状態(骨髄癆;こつずいろう)。

骨髄転移をおこしやすいのは乳癌前立腺癌、肺癌、胃癌(ほとんど低分化腺癌か印環細胞癌膵癌、大腸癌、甲状腺癌です。しかし、甲状腺癌の転移先として、骨髄は極めて頻度が低いです。

症状は、

  1. 頚部痛、腰背部痛(骨痛);通常の痛み止めが効かない
  2. 正常な血球が作られず、貧血、免疫不全、出血がおこります。
  3. DIC[播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群]の合併が多い

癌細胞により骨髄-血管関門が破壊されたり、骨髄以外で造血が起こり(髄外造血)、本来、骨髄にしか存在しない幼若好中球(骨髄芽球,前骨髄球,骨髄球,後骨髄球)、赤芽球が末梢血に出現(白赤芽球症)します。白血病か骨髄癌腫症(癌の骨髄転移)、骨髄線維症(次項)が疑われます。

白赤芽球症は、骨髄線維症、がん化学療法後の骨髄回復期、稀に溶血性貧血や大量出血が原因で反応性に見られる事がある。1%程度の骨髄球(myelocyte)や後骨髄球(metamyelocyte)なら、軽度の感染症(風邪など)で一過性に認められます。しかし、数%以上は明らかに異常で、赤芽球は出現しません。1-2週間以上(3週間)しても骨髄球(myelocyte)や後骨髄球(metamyelocyte)が消えない場合、血液内科に任せるのが良いでしょう。

同じく白赤芽球症を認める骨髄線維症との鑑別点として、骨髄癌腫症(癌の骨髄転移)では髄外造血による巨大脾腫を認めません。

骨髄癌腫症(癌の骨髄転移)では、LDH上昇、DIC所見を認め、乳が・前立腺癌の様な造骨性の骨転移はALP(3型、BAP)も高値になります。

甲状腺髄様癌で骨髄癌腫症を起こした報告があります。

  • D;クロモグラニンA染色
  • E;シナプトフィシン染色

(Blood. 2014 Apr 24;123(17):2603.)

甲状腺髄様癌による骨髄癌腫症

非甲状腺性の大細胞リンパ腫の精査中、骨髄生検して見つかった甲状腺濾胞癌の報告があります。(Am J Med Sci. 1992 Dec;304(6):360-2.)

骨髄線維症

原発性骨髄線維症と、二次性骨髄線維症(続発性骨髄線維症)があります。

原発性骨髄線維症は造血幹細胞レベルのチロシンキナーゼJak2遺伝子の点突然変異(V617F)を約半数に認めます。その他CALR、c-Mpl変異。

Jak2遺伝子変異は、原発性骨髄線維症以外に、真性多血症の95%、本態性血小板症の約半数に認めます。

骨髄線維症

原発性骨髄線維症は、骨髄増殖性疾患[真性多血症本態性血小板血症慢性骨髄性白血病(CML)]の仲間で線維芽細胞の反応性増殖をともないます。

原発性骨髄線維症は、

  1. 巨核球系・顆粒球系細胞が腫瘍性増殖→WBC(杆状核好中球、分葉核好中球増加)、LDH高値
  2. 線維芽細胞の反応性増殖による骨髄の広範な線維化を伴う
  3. 結果、
    ①正常な造血不全
    →貧血;胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音(機能性雑音)、貧血にもかかわらず網赤血球数は増加しない(正常-低下)
    、血小板減少
    ②髄外造血(骨髄以外での造血)が亢進
    →巨大脾腫(腹部膨満感、腹痛)
    →末梢血に未分化な骨髄系細胞や赤芽球が現れる白赤芽球症;骨髄芽球、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、赤芽球、涙滴状赤血球、巨大血小板
骨髄線維症 組織生検
骨髄線維症

骨髄組織検体は、細胞密度は正形成-軽度過形成、骨梁は軽度肥厚、線維化により細胞配列は流線型配列、巨核球は増加し核クロマチンが増加。鍍銀染色で細網繊維が増加。

インターフェロンα治療前後の骨髄像の変化です。骨髄の過形成が改善し、巨核球、線維芽細胞が減少しています(Modern Pathology (2015) 28, 1315–1323)

原発性骨髄線維症と甲状腺

原発性骨髄線維症では、まれに甲状腺での髄外造血が起きる事があります。甲状腺での髄外造血は、通常の状態ではありません。髄外造血するのは肝臓、脾臓です。(甲状腺髄外造血)(J Formos Med Assoc. 2018 Dec;117(12):1108-1114.)(J Am Soc Cytopathol. 2016 May-Jun;5(3):133-138.)

自己免疫性骨髄線維症は、骨髄生検にて線維化のみならず反応性リンパ球浸潤を認めます。シェーグレン症候群橋本病(慢性甲状腺炎)の合併もあります。ステロイド治療で改善。‎(Leuk Lymphoma. 2004 Mar;45(3):561-6.)

二次性骨髄線維症(続発性骨髄線維症)

二次性骨髄線維症(続発性骨髄線維症)の原因として

  1. 真性赤血球増加症本態性血小板血症からの移行
  2. トロンボポエチン受容体作動薬[特発性・免疫性血小板減少性紫斑症(ITP)の治療薬]
  3. 急性巨核芽球性白血病、副甲状腺機能亢進症などに伴う
  4. キャッスルマン病の亜型TAFRO症候群
  5. 甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)に対するI-131 アブレーション(アジュバント)後の2次発癌

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)は

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長崎甲状腺クリニック(大阪)


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