IL-6[インターロイキン(Interleukin)-6]、IL-2と甲状腺[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 エコー 長崎甲状腺クリニック(大阪)]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会の学術集会で入手した知見です。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)では、現在、IL-6[インターロイキン(Interleukin)-6]、IL-2の測定を行っておりません。
Summary
IL-6[インターロイキン(Interleukin)-6]はBリンパ球に作用し抗体産生を誘導するTリンパ球由来のサイトカインで、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の免疫反応、甲状腺眼症(バセドウ病眼症・橋本病眼症)、アミオダロン誘発性甲状腺中毒症2型(破壊性甲状腺炎)、血球貪食症候群、多発性骨髄腫、キャッスルマン病、亜型TAFRO症候群、関節リウマチ、抗グルタミン酸受容体抗体(抗GluR 抗体)陽性の自己免疫性脳炎、中枢神経ループスで上昇。抗がん剤のIL-2 [インターロイキン(Interleukin)-2] 製剤で甲状腺機能低下症、破壊性甲状腺炎(無痛性甲状腺炎)起こす事あり。
Keywords
IL-6,インターロイキン6,甲状腺眼症,バセドウ病,橋本病,アミオダロン誘発性甲状腺中毒症,多発性骨髄腫,キャッスルマン病,関節リウマチ,インターロイキン2
IL-6[インターロイキン(Interleukin)-6]はBリンパ球に作用し抗体産生を誘導するTリンパ球由来のサイトカインで、
- 甲状腺機能亢進症/バセドウ病の免疫反応そのものに関与(橋本病とバセドウ病は入れ替わる---元は同じ自己免疫性甲状腺疾患)
- 甲状腺眼症(バセドウ病眼症・橋本病眼症)
- アミオダロン誘発性甲状腺中毒症2型(破壊性甲状腺炎)
- 多発性骨髄腫(多発性骨髄腫と甲状腺):骨髄腫細胞が産生するIL-6(インターロイキン6)が骨を破壊する破骨細胞を活性化します[局所性骨溶解性高カルシウム(Ca)血症(local osteolytic hypercalcemia: LOH)]。キャッスルマン病・亜型TAFRO症候群・POEMS症候群(クロウ フカセ症候群)
- 血球貪食症候群
- 橋本病(慢性甲状腺炎)の合併率高い関節リウマチ
で上昇すると言われています。
関節リウマチで使用する抗IL-6薬トシリズマブ(アクテムラ®)は、バセドウ病眼症・アミオダロン誘発性甲状腺中毒症にも効く可能性があると思います。
また、抗IL-6薬トシリズマブ(アクテムラ®)は、重症化した新型コロナウイルス感染症のサイトカインストームを抑える効果が報告されています(Int J Antimicrob Agents. 2020 May;55(5):105954.)。
IL-6 [インターロイキン(Interleukin)-6] 保険適応外ですので****円(税抜き)掛かってしまいます。
キャッスルマン病(Castleman's disease)とIL-6 [インターロイキン(Interleukin)-6]
キャッスルマン病(Castleman's disease)は原因不明のリンパ増殖性疾患で、国内に約1500人の患者がいるとされます。キャッスルマン病は、単一のリンパ節のみの単中心性キャッスルマン病と複数のリンパ節の多中心性キャッスルマン病に分けられます。ヒト・ヘルペスウイルス8型(HHV-8)が陽性の場合もありますが、日本ではほとんどが原因不明の特発性多中心性キャッスルマン病です。
キャッスルマン病では腫れたリンパ節からIL-6(インターロイキン6)が産生され、高熱、CRP 上昇、多クローン性高ガンマグロブリン血症をおこします。
キャッスルマン病の亜型TAFRO症候群(血小板減少、胸水/腹水、発熱、骨髄線維症/腎機能障害、肝脾腫大)もIL-6(インターロイキン6)が産生されます。
甲状腺の病気を伴うPOEMS症候群(クロウ フカセ症候群)も併発します。
HHV8関連多中心性キャッスルマン病に生ずる大細胞型B細胞性リンパ腫:ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)はカポジ肉腫の原因として知られます。
キャッスルマン病は縦隔で最も多く、次いで頭頸部に発生します[Head Neck Pathol. 2013 Dec;7(4):389-92.]。
超音波(エコー)画像は、通常の反応性リンパ節腫大(炎症性リンパ節腫大)と何も変わりません。[上;Hospital Infantil de México Federico Gómez][下;J Korean Surg Soc. 2010 May;78(5):334-337.]
キャッスルマン病の治療はステロイド投与ですが、抗IL-6薬トシリズマブ(アクテムラ®)は適応あり。その後、外科手術になります。
単中心性キャッスルマン病は予後がよく、多中心性キャッスルマン病は予後不良です。
甲状腺とキャッスルマン病の合併
甲状腺眼症とキャッスルマン病が合併する症例も報告されており、IL-6(インターロイキン6)が深く関与すると考えられます。(第55回 日本甲状腺学会 P2-07-07 甲状腺眼症の合併が疑われた多中心性キャッスルマン病の一例)
甲状腺乳頭癌、腹部腫瘤の多中心性キャッスルマン病、頭蓋骨の成人ランゲルハンス細胞組織球症を合併した報告があります[BMJ Case Rep. 2021 Jan 25;14(1):e239341.]。
傍咽頭腔に発生し、甲状腺腫瘍を合併した傍咽頭腫瘤のキャッスルマン病は、同時手術を行うことができます[Lin Chung Er Bi Yan Hou Tou Jing Wai Ke Za Zhi. 2018 Jun 5;32(11):860-864.]。
甲状腺乳頭癌のリンパ節再発と紛らわしい外側頸部リンパ節キャッスルマン病の報告があります[Endocrine. 2016 Feb;51(2):384-6.]。
橋本病に合併したキャッスルマン病[Cancer Imaging. 2011 Jun 15;11(1):52-5.]、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に合併したキャッスルマン病(第65回 日本甲状腺学会 P2-1 バセドウ病治療中断中にキャッスルマン病を発症した一例)の報告もあります。
甲状腺乳頭癌、腹部腫瘤の多中心性キャッスルマン病、頭蓋骨の成人ランゲルハンス細胞組織球症の合併[BMJ Case Rep. 2021 Jan 25;14(1):e239341.]。
抗がん剤のIL-2 [インターロイキン(Interleukin)-2] 製剤
抗がん剤のIL-2 [インターロイキン(Interleukin)-2] 製剤が
- 甲状腺機能低下症
- 破壊性甲状腺炎
を惹起することが報告されています。
また、IL-2 [インターロイキン(Interleukin)-2] を阻害するシクロスポリン(CyA)を、急に減量する際にも無痛性甲状腺炎を起こす事があります。(第59回 日本甲状腺学会 P2-2-3 再生不良性貧血に対するシクロスポリン(CyA)減量中に無痛性甲状腺炎を発症した一例)
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の免疫関連有害事象(irAE)予測
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で起きる免疫関連有害事象(irAE)の中で、甲状腺irAEを起こす可能性のある人は、
- ICI投与前の甲状腺自己抗体[抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)・抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)]陽性、IL-1β、IL-2、GM-CSF(granulocyte–macrophage colony‐stimulating factor)高値
- 血清サイログロブリン値の早期上昇(ICI投与後4週以内)
- ICI投与後のIL-8、G-CSF(granulocyte colony‐stimulating factor)、MCP-1(monocyte chemoattractant protein-1) 早期減少(ICI投与後4週)
とされ、甲状腺irAEを予測する指標になります(Cancer Sci. 2020 May;111(5):1468-1477.)。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
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