検索

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症      [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波検査(エコー) 内分泌の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等   糖尿病編 をクリックください

Summary

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症には、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症甲状腺機能性結節があります。非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、常染色体優性遺伝による(先天的な)TSH受容体の活性型変異です。甲状腺機能性結節は、後天的に遺伝子変異し、甲状腺ホルモンを作る刺激信号に制限が掛からなくなるものです。1個の場合、Plummer 病(プランマー病)、複数の場合は中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)と呼ばれます。バセドウ病甲状腺機能性結節が合併するとマリンレンハート症候群( Marine-Lenhart症候群)になります。

Keywords

バセドウ病,甲状腺機能亢進症,非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症,甲状腺機能性結節,TSH受容体,Plummer 病,プランマー病,中毒性多結節性甲状腺腫,TMNG,マリンレンハート症候群,Marine-Lenhart

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症---非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

Summary

バセドウ病の抗体が陰性で、先天的な甲状腺機能亢進症には、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)と非自己免疫性非家族性甲状腺機能亢進症があり、治療はバセドウ病と同じ。非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、常染色体優性遺伝による先天的なTSH受容体、刺激伝達経路にあるGsα(刺激性Gタンパク)の活性型変異で、家系が存在し、欧米では治療抵抗性だが日本では軽症家系の報告が多い。約4割が後天性の甲状腺機能性結節と遺伝子変異が一致。非自己免疫性非家族性甲状腺機能亢進症は散発性で、家系が存在せず、後天性の甲状腺機能性結節と遺伝子変異がほぼ一致。

Keywords

バセドウ病,甲状腺機能亢進症,非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症,非自己免疫性非家族性甲状腺機能亢進症,TSH受容体,家系,遺伝子変異,治療,活性型変異,甲状腺機能性結節

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH:nonautoimmune hyperthyroidism)

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症なので、バセドウ病と思っても、TR-Ab, TS-Ab(EIA)(バセドウ病抗体が2つとも)が正常のことがあります。しかも、甲状腺機能亢進症(患者さんはバセドウ病と言いますがバセドウ病ではありません)の家系です。これは、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)という新しタイプの甲状腺機能亢進症で、常染色体優性遺伝による(先天的な)TSH受容体、または、そこからの刺激伝達経路にあるGsα(刺激性Gタンパク)の活性型変異[つまり甲状腺刺激ホルモン(TSH)がTSH受容体に結合しなくても、勝手に甲状腺ホルモン(T4, T3)を作る信号が無制限に出る]が原因です。

現時点(2016.11)で10家系が報告されています。田尻クリニックの報告では、p.Asn406Ser(ヘテロ)の変異を持つ3家系が、熊本県南部のA町に集積しているとの事です。(第55回 日本甲状腺学会 P2-01-12 家族性非自己免疫性甲状腺機能亢進症(FNAH) に地域集積性はあるか?)

成人の非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)の頻度は、現時点で不明ですが、デンマークでは若年者の自己抗体陰性甲状腺機能亢進症の約6%とされます。隈病院によると、妊娠を契機に増悪する事が多いようです。海外では、晩期には多結節化すると言われますが、日本では症例が少ないものの、そこまでひどくならない軽症例が多いです。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)の治療はバセドウ病と同じで、抗甲状腺剤・放射性ヨード・甲状腺摘除手術です。欧米人の非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、抗甲状腺剤に抵抗性で、欧州のガイドラインでは甲状腺全摘出した上に、放射性ヨード治療する事が推奨されます(Eur Thyroid J. 2012;1:142-7.)。

しかし、日本では、そこまでせずともコントロールできたと言う軽症家系の報告が多いです。また、成人以降(報告例では64歳)も潜在性甲状腺機能亢進症を維持する軽症の家系も報告されています。Glu575lysの新規変異で、TSH受容体の活性型変異です。(Thyroid. 2010 Nov;20(11):1307-14.)

非遺伝性家族性甲状腺機能亢進症 超音波(エコー)画像

非遺伝性家族性甲状腺機能亢進症 超音波(エコー)画像

非遺伝性家族性甲状腺機能亢進症 ドプラー

非遺伝性家族性甲状腺機能亢進症 ドプラー

非遺伝性家族性甲状腺機能亢進症 ITA-PSV

非遺伝性家族性甲状腺機能亢進症 下甲状腺動脈血流(ITA-PSV)測定

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)の遺伝子診断

保険診療で一般的に行われている訳ではありませんが、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)の遺伝子診断は技術的に不可能ではないようです。TSH受容体(TSHR)遺伝子解析を行っても、 実際に変異が同定されるのは5%未満と低く、未知の遺伝子が大多数なのか、それとも、バセドウ病抗体[TR-Ab, TS-Ab(EIA)]が上昇する前のバセドウ病非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)と勘違いしているのか、理由は不明です。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

散発性(家族歴の無い)非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、家族歴のある場合に比べて重症で、新生児期に発症し頭蓋骨早期癒合や知能発達障害などを来すため甲状腺全摘が必要になります。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)では、後天性の(遺伝性の無い)甲状腺機能性結節と遺伝子変異が一致するのは約4割です。しかし、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、後天性の甲状腺機能性結節と遺伝子変異がほぼ一致します。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症(NAH)非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、似て異なるものかもしれません。

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症---甲状腺機能性結節

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症能亢進症で、甲状腺機能性結節は、良性濾胞腺腫や腺腫様甲状腺腫、甲状腺乳頭癌が後天的に遺伝子変異し、甲状腺ホルモンを作る刺激信号に制限が掛からなくなる。1個の場合、Plummer 病(プランマー病)、複数の場合は中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)。バセドウ病と甲状腺機能性結節が合併するとマリンレンハート症候群( Marine-Lenhart症候群)。TSH受容体、またはGsα(刺激性Gタンパク)遺伝子の後天的な活性型変異による。手術が主流ったが、放射性ヨード(131-I;アイソトープ)治療もある。

バセドウ病,甲状腺機能亢進症,甲状腺機能性結節,TSH受容体,Plummer 病,プランマー病,中毒性多結節性甲状腺腫,TMNG,マリンレンハート症候群,Marine-Lenhart

甲状腺機能性結節とは

良性濾胞腺腫腺腫様甲状腺腫甲状腺乳頭癌(機能性甲状腺腫の1-10%といわれます)は、甲状腺ホルモンを作る濾胞細胞が腫瘍化したものです。これらの中には、遺伝とは関係なく(後天的に)遺伝子変異し、甲状腺ホルモンを作る刺激信号に制限が掛からなくなるものがあります。機能性甲状腺腫と呼ばれ、甲状腺機能性結節

  1. 1個の場合、Plummer 病(プランマー病)
  2. 複数の場合は中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)

と呼ばれます。日本では、甲状腺機能亢進症のほとんどはバセドウ病で、甲状腺機能性結節は1%弱です(海外では一桁多い)。

甲状腺機能性結節の悪性度

甲状腺機能性結節の癌合併率は5~23%で、約半数が甲状腺微小乳頭癌との報告があります。甲状腺機能性結節の一部が甲状腺微小乳頭癌であっても、甲状腺機能性結節は血流が多く穿刺細胞診できない事が多く、穿刺細胞診できたとしても甲状腺微小乳頭癌の箇所を特定して行うのは困難です。実際は術後病理標本で甲状腺微小乳頭癌が見つかるのが、ほとんどです。(第56回 日本甲状腺学会 P2-104 術後に微小癌の合併が判明した甲状腺機能性結節の1 例)

甲状腺機能性結節甲状腺中毒症おこす場合

甲状腺機能性結節における甲状腺機能は様々で、

  1. 潜在性甲状腺機能亢進症がほとんどで、経過観察する事が多い。結節内の血流多くなければ穿刺細胞診できるので、機能性甲状腺乳頭癌の診断可能。
  2. 高齢者、罹病期間が長い、腫瘍径が大きいと甲状腺中毒症をきたす傾向にある

異所性Plummer 病(プランマー病)

甲状腺の外にできる異所性Plummer 病(プランマー病)も報告されています。異所性Plummer 病(プランマー病)を疑う場合、甲状腺の外にも注意を払う必要がありそうです。(第58回 日本甲状腺学会 P1-3-4 当初無痛性甲状腺炎と考えられた心不全で発症した異所性Plummer 病の1例)

甲状腺機能性結節の遺伝子変異

甲状腺機能性結節の遺伝子変異

甲状腺機能性結節の遺伝子変異は、甲状腺腫瘍の細胞膜に存在する

  1. TSH受容体
  2. Gsα(刺激性Gタンパク)(変異したものはgsponcogeneと言います)

遺伝子の後天的な活性型変異が知られます。

中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)の遺伝子変異は、個々の機能性結節ごとに異なり、当然ながら、非機能性結節も混在します。(第54回 日本甲状腺学会 YIA-6 機能性結節性甲状腺腫におけるTSH受容体遺伝子およびGsα遺伝子の変異に関する検討)

先端巨大症甲状腺機能性結節

先端巨大症では、成長ホルモン(GH)による細胞増殖刺激と細胞自然死(アポトーシス)抑制により、甲状腺に腫瘍(腺腫様甲状腺腫76%、甲状腺癌7%、機能性結節約10%、toxic multinodular goiter(TMNG)約1%)ができやすくなります。(第59回 日本甲状腺学会 P3-1-3 先端巨大症にtoxic multinodular goiter を合併し、下垂体腺腫からのTSH 産生の有無が問題となった一例)

TSH産生下垂体腫瘍甲状腺機能性結節

先端巨大症の場合と機序が異なると考えられますが、TSH産生下垂体腫瘍甲状腺機能性結節を合併した例が報告されています。FT3 6.3 pg/ml、FT4 2.3 ng/dl、TSH 3.20 IU/mlとSITSHの状態で、甲状腺機能亢進の程度も高くありません。甲状腺結節が血流豊富であっても、「TSH刺激によるものか」と片ずけてしまうのが普通でしょう。当然、下垂体腫瘍を摘出後、TSHは低下するも、FT3、FT4は正常化しないため甲状腺機能性結節、もしくはバセドウ病の合併が疑われる事となります。(第53回 日本甲状腺学会 P-3 TSH産生下垂体腫瘍を合併した中毒性多結節性甲状腺腫の1例)

甲状腺機能性結節の症状

甲状腺機能性結節が産生する甲状腺ホルモン量は多くなく、血液中の甲状腺ホルモンは軽度上昇するのみです。軽度の甲状腺機能亢進症を起こします。

甲状腺クリーゼは血液中の甲状腺ホルモン値とは無関係に起こる可能性あるため、甲状腺機能性結節甲状腺クリーゼ起こした症例も報告されています。極めてまれで、7cm大の良性濾胞腺腫だったそうです(第57回 日本甲状腺学会 P2-036 甲状腺クリーゼをきたしたAutonomously functioning thyroid nodule(AFTN)の一例)。

甲状腺機能性結節バセドウ病を合併するとマリンレンハート症候群と呼ばれます。

ごくまれに出血性梗塞おこし自己焼灼

甲状腺機能性結節は、ごくまれに出血性梗塞おこし自己焼灼する事があります。それに伴い甲状腺機能が正常化したり、逆に甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行したりします(第54回 日本甲状腺学会 P086 一過性に甲状腺中毒症とTSAb陽性を認め、その後の経過でhot noduleが消失したPlummer 病の一例)

甲状腺機能性結節の診断

機能性結節(腺腫様結節) 超音波画像

機能性結節腺腫様結節) 超音波画像;潜在性甲状腺機能亢進症ですが、甲状腺エコー(超音波)検査では、血流が多く、穿刺細胞診をためらうような腫瘤です。

Plummer 病(プランマー病)超音波画像

機能性結節腺腫様結節) 超音波画像;中等度の甲状腺機能亢進症で、甲状腺エコー(超音波)検査では、血流が多く、とても穿刺細胞診できません。

確定診断は、ヨードシンチグラム(123-I シンチグラフィー)で、腫瘍に放射性ヨードの取り込みがあれば、確定診断できます。(バセドウ病では甲状腺全体に放射性ヨードを取り込みます。)

中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)で、機能性結節が甲状腺全域にある場合、バセドウ病と鑑別しにくい事があります。甲状腺超音波(エコー)検査で血流多い結節と、局所での放射性ヨードの取り込み方が一致するか否かを検討すれば容易に診断できる事があります。

プランマー病

甲状腺機能性結節の治療

以前は、甲状腺機能性結節へのエタノール注入(PEIT)、あるいは手術が主流でしたが、

  1. 欧米では放射性ヨード(131-I;アイソトープ)治療で、手術と同程度の治療効果です。甲状腺機能亢進症/バセドウ病よりも多くの放射性ヨード(131-I)を必要とするため、2~3回の分割照射になります。
    甲状腺機能正常でタイミングよく止めれないため、永続性甲状腺機能低下症に移行していきます。 
    但し、機能性甲状腺乳頭癌の可能性がある場合は、手術になります。
     
  2. 手術の場合、先に、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)で甲状腺機能を正常化した後に行います(手術をより安全に行うため)。※ヨウ化カリウム(KI)使用は慎重に(下記)
     
  3. もちろん、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)だけでコントロールできる軽症の甲状腺機能性結節も存在するので、絶対に放射性ヨード治療、手術しなければならない訳ではありません。
     
  4. 肝臓がん等に行われているラジオ波焼灼術、レーザー焼灼術、高密度焦点式超音波治療法などを、甲状腺に応用している施設もありますが、保険適応は無く、普及していません。手術に比べると低侵襲で放射線被曝を伴わないが、肝臓よりはるかに小さい甲状腺に

かつて主流だったエタノール注入(PEIT)

かつて主流だったエタノール注入(PEIT)は、

  1. 本当に、甲状腺ホルモン過剰産生を改善させるのかエビデンス(明確な証拠)がない。有効な事もあれば、無効な事もある
  2. ほぼ全例に反回神経麻痺、ほとんど一過性だが、エタノール注入が多過ぎると永続性の反回神経麻痺

放射性ヨード治療後甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行

甲状腺機能性結節に放射性ヨード治療行うと、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行することがあります(理由は不明ですが)。デンマークの報告では4%ですが、伊藤病院の統計では、289例中2例の0.69%です。日本では、200人に1人以上と言う事になります。(第58回 日本甲状腺学会 O-3-3 中毒性単結節性甲状腺腫(toxic adenoma; TA)の131I内用療法(RIT)後にバセドウ病を発症した2症例)

甲状腺機能性結節へのヨウ化カリウム(KI)は慎重に

ヨード欠乏地域の欧米では、甲状腺機能性結節へのヨウ化カリウム(KI)投与は、甲状腺機能亢進症を増悪させるため禁忌です。

ヨード過剰地域の日本では、ヨウ化カリウム(KI)投与は、禁忌とまで行きませんが慎重にすべきです。伊藤病院の統計では、特に多単結節性の中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)にヨウ化カリウム(KI)投与すると、76.9%で甲状腺機能亢進症が悪化したとの事です。(第58回 日本甲状腺学会 O-1-1 ヨウ化カリウム(KI)投与による自律性機能性結節性の甲状腺機能への影響)

その一方で、単発性の機能性甲状腺結節;Plummer 病(プランマー病)に対し、根治治療を希望されない症例にヨウ化カリウム(KI)の長期投与を試み、甲状腺機能が改善、6か月以上効果が持続、内服中止時には甲状腺機能亢進症が再燃した報告もあります。ただ、年単位での治療効果の報告が無いため、本当にヨウ化カリウム(KI)の長期投与が良いのか分かりません。(第59回 日本甲状腺学会 P4-5-1 ヨウ化カリウムで治療した自律性機能性結節の3 例)

甲状腺機能性結節の予後

甲状腺機能性結節は、手術摘出すれば治癒します。ただし、

  1. 左右両側の甲状腺機能性結節
  2. 甲状腺癌が強く疑われる

でない限り、片葉切除(半切除)あるいは部分切除になるため、甲状腺組織が残ります。術後再度、甲状腺中毒症を認めた場合、

  1. 手術のストレスで無痛性甲状腺炎起こした
  2. 切除しなかった非機能性結節が、機能性結節化した
  3. 実は、前述の非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症で、残りの甲状腺組織が活動を始めた

転移性機能性甲状腺分化癌の治療

転移性機能性甲状腺分化癌の治療は、厄介です。通常の甲状腺分化癌と同じく、甲状腺全摘手術後に131-Iシンチグラフィーを兼ねて131-Iアブレーション治療(放射性ヨード治療)を行います(甲状腺癌131-I放射線治療と再発・合併症・2次発癌)。甲状腺癌自体が甲状腺ホルモンを産生するため、転移巣が多ければ、甲状腺中毒症も強くなります。

報告例では

  1. ケガの功名で131-I取り込み良いが、転移性機能性甲状腺濾胞癌であったため効果は不十分(転移性甲状腺濾胞癌の特徴
  2. 2回目の131-Iアブレーション治療後、通常の甲状腺機能性結節で報告があるように(放射性ヨード治療後甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行)、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行
  3. 131-Iアブレーション治療後に「プレドニゾロン20mg投与し4週間掛けて減量」を繰り返す事で、TRAb陰性化と甲状腺機能亢進症/バセドウ病の改善に成功したそうです。
    (第53回 日本甲状腺学会 P-209 131I内照射により誘発された TSH 受容体抗体がプレドニゾロン治療で陰性化し、甲状腺機能亢進症が軽快した転移性機能性甲状腺濾胞癌の一例)

妊娠中に見つかる甲状腺機能性結節

妊娠中甲状腺中毒症から甲状腺機能性結節が見つかる場合があります。当然、バセドウ病妊娠 妊娠時一過性甲状腺機能亢進  との鑑別が必要になります。甲状腺エコー(超音波)検査で、血流が異常に多い腫瘤が見つかれば、診断は容易です。バセドウ病抗体(TRAb,TSAb)が陰性(下記マリンレンハート症候群では陽性)、妊娠時一過性甲状腺機能亢進おこすほどhCG高くありません。治療は難儀です。

  1. 当然、放射性ヨード治療はできず
     
  2. ヨウ化カリウム(KI)は中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG)では増悪の危険があるので慎重に(上記)
     
  3. 抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)でも良いのですが、副作用のリスク、効き過ぎによる甲状腺機能低下症を考えると使いにくい
    実際、妊娠25週以降、プロパジールを使用、1時的に効き過ぎによる甲状腺機能低下症になりながらも乗り切り、出産後に手術した症例も報告されています。(第53回 日本甲状腺学会 P-192 PTU によりコントロールされた自律性機能性甲状腺結節 (AFTN) 合併妊娠の1 例)
     
  4. 何とか、しのいで必要なら妊娠後期、出産後に手術

となるでしょう。

バセドウ病と機能性甲状腺腫(甲状腺機能性結節)が合併(マリンレンハート症候群: Marine-Lenhart症候群)

マリンレンハート症候群 123-I シンチグラフィー

バセドウ病機能性甲状腺腫(甲状腺機能性結節)が合併する甲状腺機能亢進症を、マリンレンハート症候群(Marine-Lenhart症候群)と言います。頻度は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の約1~2.7%とされます。治療は、機能性甲状腺腫(甲状腺機能性結節)に準じますが、とりあえずは、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)で甲状腺機能を正常化するのが無難でしょう。

しかし、実際は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療中、バセドウ病抗体(TRAb,TSAb)が陰性化しても甲状腺ホルモンが高値を続ける場合にTc-99m 甲状腺シンチグラフィーを施行して初めて見つかる症例があります[でも下記のように超音波(エコー)検査すれば簡単にみつかるのですが・・]。

写真のヨードシンチグラム(123-I シンチグラフィー)は、右の強いホットスポットに一致して機能性結節が存在します。それ以外の甲状腺組織では、全体的に弱く123-Iを取り込んでいます。

マリンレンハート症候群 超音波(エコー)画像;機能性結節は血流多く、甲状腺実質は血流少ないです。この症例の機能性結節は、甲状腺乳頭癌でした。

マリンレンハート症候群の治療は、外科切除が第一選択です。甲状腺乳頭癌で無い限り、131-Iアイソトープ治療、全身状態悪く、それもできなければ抗甲状腺薬しかありません。

そもそも、甲状腺乳頭癌か否か、血流多い機能性結節に穿刺細胞診して調べる事はできません。

マリンレンハート症候群 超音波(エコー)画像

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症と甲状腺機能性結節が混在---マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群

 

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ 谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

診療時間電話番号や地図はこちら