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バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症      [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波検査(エコー)の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:最新・専門の検査/治療/知見①甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)でしかできない検査/治療・当院ホームページでしか得られない情報が満載です。これらは、院長が最新の海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

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Summary

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症には、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症甲状腺機能性結節があります。非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、常染色体優性遺伝による(先天的な)TSH受容体の活性型変異です。甲状腺機能性結節は、後天的に遺伝子変異し、甲状腺ホルモンを作る刺激信号に制限が掛からなくなるものです。1個の場合、Plummer 病(プランマー病)、複数の場合は中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)と呼ばれます。

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症---非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症なので、バセドウ病と思っても、TR-Ab, TS-Ab(EIA)(バセドウ病抗体が2つとも)が正常のことがあります。しかも、甲状腺機能亢進症(患者さんはバセドウ病と言いますがバセドウ病ではありません)の家系です。これは、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症という新しタイプの甲状腺機能亢進症で、常染色体優性遺伝による(先天的な)TSH受容体、または刺激伝達経路のGsα(刺激性Gタンパク)の活性型変異[つまり甲状腺刺激ホルモン(TSH)がTSH受容体に結合しなくても、勝手に甲状腺ホルモン(T4, T3)を作る信号が無制限に出る]が原因です。

現時点(2016.11)で10家系が報告されています。田尻クリニックの報告では、p.Asn406Ser(ヘテロ)の変異を持つ3家系が、熊本県南部のA町に集積しているとの事です。(第55回 日本甲状腺学会 P2-01-12 家族性非自己免疫性甲状腺機能亢進症(FNAH) に地域集積性はあるか?)

成人の非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症の頻度は、現時点で不明ですが、デンマークでは若年者の自己抗体陰性甲状腺機能亢進症の約6%とされます。隈病院によると、妊娠を契機に増悪する事が多いようです。海外では、晩期には多結節化すると言われますが、日本では症例が少ないものの、そこまでひどくならない事が多いです。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症の治療はバセドウ病と同じで、抗甲状腺剤・放射性ヨード・甲状腺摘除手術です。欧州のガイドラインでは甲状腺全摘出した上に、放射性ヨード治療する事が推奨されます(Eur Thyroid J. 2012;1:142-7.)。しかし、日本では、そこまでせずともコントロールできたと言う報告が多いです。

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症

散発性(家族歴の無い)非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症は、家族歴のある場合に比べて重症で、新生児期に発症し頭蓋骨早期癒合や知能発達障害などを来すため甲状腺全摘が必要になります。

バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症---甲状腺機能性結節

甲状腺機能性結節とは

良性濾胞腺腫腺腫様甲状腺腫甲状腺乳頭癌(機能性甲状腺腫の1-10%といわれます)は、甲状腺ホルモンを作る濾胞細胞が腫瘍化したものです。これらの中には、遺伝とは関係なく(後天的に)遺伝子変異し、甲状腺ホルモンを作る刺激信号に制限が掛からなくなるものがあります。機能性甲状腺腫と呼ばれ、甲状腺機能性結節

  1. 1個の場合、Plummer 病(プランマー病)
  2. 複数の場合は中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)

と呼ばれます。日本では、甲状腺機能亢進症のほとんどはバセドウ病で、甲状腺機能性結節は1%弱です。

甲状腺機能性結節の悪性度

甲状腺機能性結節の癌合併率は5~23%で、約半数が甲状腺微小乳頭癌との報告があります。甲状腺機能性結節の一部が甲状腺微小乳頭癌であっても、甲状腺機能性結節は血流が多く穿刺細胞診できない事が多く、穿刺細胞診できたとしても甲状腺微小乳頭癌の箇所を特定して行うのは困難です。実際は術後病理標本で甲状腺微小乳頭癌が見つかるのが、ほとんどです。(第56回 日本甲状腺学会 P2-104 術後に微小癌の合併が判明した甲状腺機能性結節の1 例)

異所性Plummer 病(プランマー病)

甲状腺の外にできる異所性Plummer 病(プランマー病)も報告されています。異所性Plummer 病(プランマー病)を疑う場合、甲状腺の外にも注意を払う必要がありそうです。(第58回 日本甲状腺学会 P1-3-4 当初無痛性甲状腺炎と考えられた心不全で発症した異所性Plummer 病の1例)

甲状腺機能性結節の遺伝子変異

甲状腺機能性結節の遺伝子変異は、TSH受容体やGsα(刺激性Gタンパク)の変異が知られます。中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)の遺伝子変異は、個々の機能性結節ごとに異なり、当然ながら、非機能性結節も混在します。(第54回 日本甲状腺学会 YIA-6 機能性結節性甲状腺腫におけるTSH受容体遺伝子およびGsα遺伝子の変異に関する検討)

甲状腺機能性結節の症状

甲状腺機能性結節が産生する甲状腺ホルモン量は多くなく、血液中の甲状腺ホルモンは軽度上昇するのみです。軽度の甲状腺機能亢進症を起こします。

甲状腺機能性結節バセドウ病を合併するとマリンレンハート症候群と呼ばれます。

ごくまれに出血性梗塞おこし自己焼灼

甲状腺機能性結節は、ごくまれに出血性梗塞おこし自己焼灼する事があります。それに伴い甲状腺機能が正常化したり、逆に甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行したりします(第54回 日本甲状腺学会 P086 一過性に甲状腺中毒症とTSAb陽性を認め、その後の経過でhot noduleが消失したPlummer 病の一例)

甲状腺機能性結節の診断

機能性結節(腺腫様結節) 超音波画像

甲状腺エコー(超音波)検査では、血流が多く、穿刺細胞診をためらうような腫瘤の事が多いです。

確定診断は、ヨードシンチグラム(123-I シンチグラフィー)で、腫瘍に放射性ヨードの取り込みがあれば、確定診断できます。(バセドウ病では甲状腺全体に放射性ヨードを取り込みます。)

プランマー病

甲状腺機能性結節の治療

以前は、甲状腺機能性結節へのエタノール注入(PEIT), あるいは手術が主流でしたが、

  1. 欧米では放射性ヨード(131-I;アイソトープ)治療で、手術と同程度の治療効果です。甲状腺機能亢進症/バセドウ病よりも多くの放射性ヨード(131-I)を必要とするため、2~3回の分割照射になります。
  2. 手術の場合、先に、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)で甲状腺機能を正常化した後に行います(手術をより安全に行うため)。※ヨウ化カリウム(KI)使用は慎重に(下記)
  3. もちろん、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)だけでコントロールできる軽症の甲状腺機能性結節も存在するので、絶対に放射性ヨード治療、手術しなければならない訳ではありません。

放射性ヨード治療後甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行

甲状腺機能性結節に放射性ヨード治療行うと、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に移行することがあります(理由は不明ですが)。デンマークの報告では4%ですが、伊藤病院の統計では、289例中2例の0.2%です。日本では、500人に1人と言う事になります。(第58回 日本甲状腺学会 O-3-3 中毒性単結節性甲状腺腫(toxic adenoma; TA)の131I内用療法(RIT)後にバセドウ病を発症した2症例)

甲状腺機能性結節へのヨウ化カリウム(KI)は慎重に

ヨード欠乏地域の欧米では、甲状腺機能性結節へのヨウ化カリウム(KI)投与は、甲状腺機能亢進症を増悪させるため禁忌です。ヨード過剰地域の日本では、ヨウ化カリウム(KI)投与は、禁忌とまで行きませんが慎重にすべきです。伊藤病院の統計では、特に多単結節性の中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)にヨウ化カリウム(KI)投与すると、76.9%で甲状腺機能亢進症が悪化したとの事です。(第58回 日本甲状腺学会 O-1-1 ヨウ化カリウム(KI)投与による自律性機能性結節性の甲状腺機能への影響)

バセドウ病と機能性甲状腺腫(甲状腺機能性結節)が合併(マリンレンハート症候群: Marine-Lenhart症候群)

マリンレンハート症候群 123-I シンチグラフィー

バセドウ病機能性甲状腺腫(甲状腺機能性結節)が合併する甲状腺機能亢進症を、マリンレンハート症候群(Marine-Lenhart症候群)と言います。頻度は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の約1~2.7%とされます。治療は、機能性甲状腺腫(甲状腺機能性結節)に準じますが、とりあえずは、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)で甲状腺機能を正常化するのが無難でしょう。

しかし、実際は甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療中、バセドウ抗体(TRAb,TSAb)が陰性化しても甲状腺ホルモンが高値を続ける場合にTc-99m 甲状腺シンチグラフィーを施行して初めて見つかる症例があります[でも下記のように超音波(エコー)検査すれば簡単にみつかるのですが・・]。

写真のヨードシンチグラム(123-I シンチグラフィー)は、右の強いホットスポットに一致して機能性結節が存在します。それ以外の甲状腺組織では、全体的に弱く123-Iを取り込んでいます。

マリンレンハート症候群 超音波(エコー)画像;機能性結節は血流多く、甲状腺実質は血流少ないです。この症例の機能性結節は、甲状腺乳頭癌でした。

マリンレンハート症候群 超音波(エコー)画像

非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症と甲状腺機能性結節が混在---マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群

Summary

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群は刺激性Gタンパク(gsp)遺伝子変異による副甲状腺,甲状腺,副腎,下垂体など内分泌腺自律性機能亢進と線維性骨異形成症。非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症と甲状腺機能性結節が混在。クッシング症候群・先端巨大症・原発性副甲状腺機能亢進症も

Keywords

マッキューン・オルブライト症候群,McCune-Albright,刺激性Gタンパク遺伝子変異,gsp,副甲状腺,甲状腺,線維性骨異形成症,非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症,甲状腺機能性結節,原発性副甲状腺機能亢進症

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群とは

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群は、常染色体優性遺伝なのに、まれな病気です。マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群は、刺激性Gタンパク(gsp)遺伝子変異による、

  1. 副甲状腺,甲状腺,副腎,下垂体など複数の内分泌腺自律性機能亢進(要するに無制御にホルモンを産生する)
  2. 線維性骨異形成症

をおこします。

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群の甲状腺機能亢進症

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群は、変異細胞がモザイク状に分布するため、非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症のように、びまん性に甲状腺ホルモンを産生する領域と、甲状腺機能性結節と化して限局性に甲状腺ホルモンを産生する領域が混在します。(第58回 日本甲状腺学会 P2-3-5 McCune-Albright症候群に合併した甲状腺機能亢進症患者の画像検査の特徴)

北里大学の2症例の報告では、共に小児期(4歳、10歳)でマッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群と診断され、4歳例はメルカゾールのみで、10歳例は123-I 甲状腺シンチグラムを局所的に取り込んだ片葉切除のみでは潜在性甲状腺機能亢進症が持続し、メルカゾールを使用して甲状腺機能正常化したそうです。(第57回 日本甲状腺学会 中毒性結節性甲状腺腫を有したMcCune-Albright 症候群の2症例)

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群では、甲状腺ホルモンが骨吸収(分解)促進するため甲状腺機能亢進症+線維性骨異形成症で骨量減少が加速されます。

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群でおこる病態

カフェオレ斑

マッキューン・オルブライト(McCune-Albright)症候群でおこる病態は、

  1. 骨の繊維性骨異形成
  2. 甲状腺機能亢進症非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症機能性結節が混在、あるいはどちらか一方)
  3. FGF23仲介性リン酸喪失
  4. 高コルチゾール症(クッシング症候群
  5. 先端巨大症成長ホルモン過剰)
  6. 女児では、思春期早発が多い(膣出血、卵巣嚢胞、乳房発達)
  7. カフェオレ斑

 

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