甲状腺機能亢進症/バセドウ病と甲状腺腫瘍・癌[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー検査 長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。
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甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。
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バセドウ病で長崎甲状腺クリニック(大阪)を受診される方への注意
バセドウ病の治療開始(再開)後、頻回の副作用チェックが必要なため①大阪市と隣接市の方に限定②来院できず薬を自己中断する方は診れません。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病の10%以上に甲状腺腫瘍、1.3%に甲状腺癌が発生
Summary
甲状腺機能亢進症/バセドウ病の10%以上に甲状腺腫瘍、1.3%に甲状腺癌(ほとんど甲状腺乳頭癌)が発生、TSHレセプター抗体(TR-Ab)、TS-Ab(TSHレセプター抗体[刺激型]) が癌細胞も刺激するため、より悪性度が高い(バセドウ病に発生する甲状腺腫瘍の10%は甲状腺癌)。バセドウ病の甲状腺組織は破壊と増殖を繰り返し、腺腫様甲状腺腫の形態の事も。バセドウ病に機能性甲状腺腫合併するとマリンレンハート症候群。バセドウ病の30%に胸腺過形成による前縦隔腫瘍、甲状腺ホルモン正常化で消失。バセドウ病に胸腺腫/重症筋無力症を合併すると、甲状腺機能亢進で重症筋無力症悪化。
Keywords
甲状腺機能亢進症,バセドウ病,甲状腺癌,甲状腺乳頭癌,甲状腺腫瘍,腺腫様甲状腺腫,マリンレンハート症候群,胸腺,甲状腺濾胞癌,重症筋無力症
バセドウ病に関連する腫瘍・癌
未治療甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者の15.7%に結節性病変(要するに良悪性合わせた甲状腺腫瘍)が存在するため、初診時に甲状腺超音波(エコー)検査を実施することが推奨されています。バセドウ病に発生する甲状腺結節の種類が甲状腺がんを含めて多様です。[Thyroid. 2011 Jan;21(1):37-41.][Thyroid. 1998 Jul;8(7):571-6.]。
- バセドウ病の1.3%に甲状腺癌(ほとんど甲状腺乳頭癌)が発生すると言われています[Thyroid. 1998 Aug;8(8):647-52.][Thyroid. 2011 Jan;21(1):37-41.]。
また、バセドウ病に発生する甲状腺腫瘍の10%は甲状腺癌との結果です。
(海外の報告では5-15%で、特に若い人のバセドウ病では転移するものが多いようです。[World J Surg. 2014 Jan;38(1):80-7.]
- バセドウ病の甲状腺組織は破壊と増殖を繰り返し、腺腫様甲状腺腫の形態をとる場合が多いです[Thyroid. 2011 Jan;21(1):37-41.]。若年性のバセドウ病でも認められます[Exp Clin Endocrinol Diabetes. 1997;105 Suppl 4:55-7.]。
- 甲状腺腫瘍が無制限に甲状腺ホルモンを作り、甲状腺機能亢進症が起こる事があります(機能性甲状腺腫)。甲状腺腫瘍が単発の場合、プランマー病、腺腫様甲状腺腫で複数の時は中毒性多結節性甲状腺腫と言います( バセドウ病の抗体が陰性の甲状腺機能亢進症 )。
これらに、バセドウ病まで併発するものをマリンレンハート症候群と呼びます。
- バセドウ病の30%に胸腺の過形成による前縦隔腫瘍を認めます。前縦隔腫瘍は、胸部レントゲンで写る事があり、肺CTで確定診断します。胸腺の過形成による前縦隔腫瘍は、バセドウ病治療によりが甲状腺ホルモンが正常化すると消失します。
バセドウ病に胸腺腫/重症筋無力症を合併する事あり。甲状腺機能亢進症は重症筋無力症を悪化させるため甲状腺治療が優先されます。( 甲状腺と密接な胸腺腫/重症筋無力症 )
甲状腺機能亢進症/バセドウ病の人は甲状腺超音波検査(エコー検査)を受けましょう!
バセドウ病の甲状腺分化癌(甲状腺乳頭癌・甲状腺濾胞癌)は、甲状腺濾胞細胞を刺激するTSHレセプター抗体(TSH Receptor Antibody:TR-Ab)、TS-Ab(TSHレセプター抗体[刺激型]) が癌細胞も刺激するため、より悪性度が高いとされます。
1cm大の微小甲状腺濾胞癌でも5cmの頭蓋骨転移をきたしたバセドウ病患者の症例が報告されています。(第55回 日本甲状腺学会 P2-04-11 バセドウ病を合併し頭蓋骨転移を契機に発見された微小な甲状腺濾胞癌の1 例)
腺腫様甲状腺腫は、破壊と増殖を繰り返す甲状腺組織からなる甲状腺の腫れの総称です。病理学的な概念であるため、「病名として使うべきでない」との意見もあります。しかし、超音波検査(エコー検査)で増殖結節と破壊性変化を正確に評価すれば、病名として全く問題ないと考えます。
橋本病(慢性甲状腺炎)の破壊抗体、抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)・抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)のいずれかが甲状腺機能亢進症/バセドウ病の79%で陽性です。よって、破壊は起こります。(バセドウ病・萎縮性甲状腺炎の特殊抗体)
同時に、TSHレセプター抗体(TSH Receptor Antibody:TR-Ab)、TS-Ab(TSHレセプター抗体[刺激型]) が細胞増殖を刺激するため、過形成結節(腺腫様結節)が生じます。
(左)は腺腫様甲状腺腫の一形態です。白い増殖結節が無数にあります。腺腫様甲状腺腫は、破壊と増殖という条件さえ満たせば、どのような形態でも良く、様々なエコーパターンが存在します。
詳しくは バセドウ病を基盤とする腺腫様甲状腺腫 を御覧ください。
特に、活動性が異常に高く難治性であると共に、細胞増殖が活発な巨大腺腫様甲状腺腫を伴う難治性甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、形態的に分からなくても、組織レベルで甲状腺乳頭癌が発生している可能性があります。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,浪速区,生野区も近く。