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甲状腺と白血球減少・汎血球減少[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー 甲状腺機能低下症 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科学で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

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長崎甲状腺クリニック(大阪) ゆるキャラ 甲Joう君

長崎甲状腺クリニック(大阪) ゆるキャラ Jo

動脈硬化した血管に甲状腺が! バセドウ病の甲状腺がモデル)

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。白血球減少・汎血球減少自体の診療を行っておりません。

Summary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療開始前からの白血球減少は、①甲状腺ホルモンによる代謝亢進で、白血球の消費・ターンオーバーが亢進、②膠原病、SLE(全身性エリテマトーデス)合併、治療開始後の白血球減少は、③抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の副作用:無顆粒球症甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療開始前からの汎血球減少(白血球・赤血球・血小板すべての減少)は、1)消費・ターンオーバーが亢進、2)膠原病、SLE合併、3)再生不良性貧血の合併、治療開始後の汎血球減少は、4)抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の副作用:再生不良性貧血

Keywords

甲状腺機能亢進症,バセドウ病,白血球減少,甲状腺ホルモン,SLE,全身性エリテマトーデス,メルカゾール,プロパジール,無顆粒球症,汎血球減少,再生不良性貧血,甲状腺

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の白血球減少

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療開始前からの白血球減少

甲状腺機能亢進症/バセドウ病における治療開始前からの白血球減少は、軽度の白血球減少症を含めると、ごく一般的(5〜20%)に見られます。

  1. 甲状腺ホルモンによる代謝亢進により、白血球の消費・ターンオーバーが亢進している影響が大きいと言えます。(甲状腺ホルモンが正常に近付くにつれて改善)
  2. 白血球に対する自己免疫反応
  3. 他には、頻度は少ないですが、膠原病、SLE(全身性エリテマトーデス)シェーグレン症候群(ドライアイ,口内乾燥)[主に好中球減少症またはリンパ球減少症 Mediterr J Rheumatol. 2022 Mar 31;33(1):99-101.]の合併もあり得ます。
  4. 稀ですが、血球貪食症候群を合併していた症例が報告されています。( 甲状腺と血球貪食症候群 )
[Postgrad Med J. 1988 Oct;64(756):735-42.]

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療開始後の白血球減少

甲状腺機能亢進症/バセドウ病における治療開始後の白血球減少は、

  1. 前述の代謝亢進により、白血球の消費・ターンオーバー
  2. SLE(全身性エリテマトーデス)の合併シェーグレン症候群(ドライアイ,口内乾燥)[主に好中球減少症またはリンパ球減少症 Mediterr J Rheumatol. 2022 Mar 31;33(1):99-101.]の合併(少ない)
  3. 血球貪食症候群を合併(稀)
  4. 抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の副作用:無顆粒球症

SLE(全身性エリテマトーデス)合併甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、無顆粒球症がおこりやすい

SLE(全身性エリテマトーデス)合併し、最初から白血球減少状態の甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)による無顆粒球症がおこりやすい可能性があります(但し、証明はされていません)[Clin Case Rep. 2022 Nov 15;10(11):e6511.]。

これは、「無顆粒球症が自己免疫反応である」との説なら、説明可能です。(第58回 日本甲状腺学会 P1-3-2 妊娠中に発症し、産後プロピルチオウラシルによる好中球減少を来したSLE合併Basedow病の一例)

鑑別を要する慢性好中球減少症

慢性好中球減少症の分類

鑑別を要する慢性好中球減少症は、原因がよく判っていません。

  1. 遺伝性(家族性)
  2. 周期性:末梢血好中球数が約21日周期で増減を繰り返す。
  3. 自己免疫性

などがあります。

慢性好中球減少症の症状

好中球減少による易感染性

鑑別を要する自己免疫性好中球減少症(autoimmune neutropenia)

自己免疫性好中球減少症(autoimmune neutropenia)は、成熟好中球(分葉核球)に対する自己抗体(抗好中球抗体)が原因です。好中球減少を補うため、骨髄・脾臓では造血が亢進し過形成になります(脾腫を認める)。

予防的ST合剤投与を要し、重症例にはG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)製剤・ステロイドが著効する症例も報告されています(第209回 日本内科学会近畿地方会 演題146 ステロイドが著効した成人自己免疫性好中球減少症の1例)。

[South Med J. 2017 Apr;110(4):300-307.][Presse Med. 2014 Apr;43(4 Pt 2):e105-18.]

甲状腺機能亢進症/バセドウ病との合併報告はまだありませんが、理屈の上では十分あり得ます。もしあれば抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)による無顆粒球症との鑑別が困難になります。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の汎血球減少

甲状腺機能亢進症/バセドウ病治療開始前からの汎血球減少

甲状腺機能亢進症/バセドウ病治療開始前からの汎血球減少(白血球・赤血球・血小板すべての減少)は、

  1. 甲状腺ホルモンによる代謝亢進で白血球・赤血球・血小板の消費・ターンオーバー亢進・無効造血(甲状腺ホルモンが正常に近付くにつれて改善)
     
  2. 頻度は少ないが、膠原病、SLE(全身性エリテマトーデス)皮膚筋炎の合併
     
  3. 再生不良性貧血の合併(再生不良性貧血甲状腺機能亢進症/バセドウ病に合併している場合、染色体異常が11%に存在します。)(再生不良性貧血甲状腺機能亢進症/バセドウ病が元々合併)
     
  4. 悪性貧血の合併(AACE Clin Case Rep. 2020 Jun 23;6(6):e282-e285.)(Mo Med. 1996 Jul;93(7):368-72.)
     
  5. 骨髄異形性症候群(MDS)の合併

甲状腺ホルモンによる代謝亢進でおこる汎血球減少(白血球・赤血球・血小板すべての減少)と再生不良性貧血の鑑別

甲状腺ホルモンによる代謝亢進でおこる汎血球減少(白血球・赤血球・血小板すべての減少)と再生不良性貧血の鑑別は、通常の血液検査だけで難しいことがあります。

例えば、白血球 2200/μL、赤血球 229万/μL、血小板 41000/μLであれば、代謝亢進よりも、再生不良性貧血を疑ってしまいます。しかし、血液中の網状赤血球(新たに作られた赤血球)は33.1%と増加(鑑別点、再生不良性貧血なら低値)。骨髄検査で血球は過形成で、代謝亢進が原因との結果です(再生不良性貧血なら低形成)。(第58回 日本甲状腺学会 P2-3-3 汎血球減少と大量の腹水を呈した重症バセドウ病の一例)

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療開始後の汎血球減少

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療開始後の汎血球減少(白血球・赤血球・血小板すべての減少)は、

  1. 前述の代謝亢進により、白血球・赤血球・血小板の消費・ターンオーバー、SLE(全身性エリテマトーデス)の合併(再生不良性貧血甲状腺機能亢進症/バセドウ病が元々合併)
     
  2. 抗甲状腺薬(メルカゾール)の副作用:(抗甲状腺薬と再生不良性貧血)

甲状腺機能低下症の好中球減少

甲状腺機能低下症でも、白血球、特に好中球減少がおこります。自己免疫性甲状腺疾患である橋本病のみならず、甲状腺切除後、非自己免疫性甲状腺機能低下症でもおこるため、好中球の産生が低下しているためと推察されます。(Medicine 94(23):e886)

 

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

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