検索

甲状腺と皮膚の異常・脱毛   [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。皮膚疾患・脱毛の治療は行っておりません。

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

大島椿のつばき油せっけん

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編  内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等  をクリックください

Summary

甲状腺機能低下症は皮膚の新陳代謝が悪く乾燥肌、脱毛、さじ状爪、カロチン沈着し黄色く、白斑、甲状腺機能亢進症/バセドウ病はニキビ、汗疹(あせも)、脱毛、肌黒、白斑、前脛骨粘液水腫(酸性ムコ多糖類蓄積)。円形脱毛症は橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病に合併。亜鉛欠乏症シェーグレン症候群合併で、さらに皮膚乾燥・脱毛。掌蹠膿疱症での橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病合併頻度は53%。結節性紅斑のヨウ化カリウム治療で無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症。CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)は、抗セントロメア抗体陽性の膠原病で、橋本病(慢性甲状腺炎)に併発。

Keywords

甲状腺機能低下症,乾燥肌,脱毛,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,前脛骨粘液水腫,円形脱毛症,橋本病,慢性甲状腺炎,掌蹠膿疱症,結節性紅斑

甲状腺ホルモン異常と皮膚・脱毛

甲状腺ホルモン異常と皮膚
  1. 甲状腺機能低下症では皮膚の新陳代謝が悪く、乾燥肌になります。また、髪の毛も硬く抜けやすくなる他、爪の発育も悪く匙(さじ)状爪(スプーンの様な爪;写真)になります。
     
  2. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病は、新陳代謝が活発過ぎて皮脂が増え、ニキビができたり、汗のため汗疹(あせも)ができやすくなります。
    甲状腺ホルモンは皮膚色素メラニンと構造が似ているため、肌黒になることもあります。
    毛髪の新陳代謝も活発過ぎて脱毛がおこり、短く軟らかい毛が抜けます。
     
  3. 亜鉛欠乏自体で、皮膚の乾燥・脱毛がおこりますが、亜鉛欠乏性甲状腺機能低下症もおこると、さらに皮膚の乾燥・脱毛が悪化します。甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモン過剰により、亜鉛の消費が亢進、尿中への亜鉛排泄が増加します。
匙状爪(さじじょうつめ)
以上のホルモン異常を正常化すれば脱毛は改善するはずですが、自己免疫的な脱毛は知れだけでは改善しません。以下のフロジン液を使用します。

円形脱毛症と甲状腺疾患

小宇宙3

円形脱毛症と甲状腺疾患は関連することがあり、円形脱毛症の8%に甲状腺機能異常が見られます。円形脱毛症は、最も頻度の高い自己免疫疾患で、同じ自己免疫疾患であるバセドウ病橋本病の合併は当然と言えます。よって、甲状腺ホルモンが正常であっても、円形脱毛症の合併はあります。

長崎甲状腺クリニック(大阪)で、甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能が安定しているバセドウ病の方で、円形脱毛症のある方には、保険治療薬フロジン液を処方しています。

※甲状腺機能が正常化せず、高値の甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、フロジン液の副作用(顔面~全身の発汗・顔面紅潮・心悸亢進・嘔気/嘔吐)が出やすくなる危険性あります。長崎甲状腺クリニック(大阪)では、甲状腺ホルモンが正常化した後にフロジン液を処方しています。

保険治療薬フロジン液

フロジン外用液

フロジン外用液(一般名:カルプロニウム)は、副交感神経から出る神経伝達物質「アセチルコリン」に似た作用で、血管を拡げ毛根の血流を改善し育毛を助けます。

1日2~3回適量を患部に塗布、あるいは被髪部全体にふりかけ、軽くマッサージします。

副作用は約4%で

  1. 塗った場所の掻痒感(かゆみ)
  2. あまりに多量に使った場合、顔面~全身の発汗・顔面紅潮・心悸亢進・嘔気/嘔吐

入浴後、既に血管が拡がった時に使用するとい副作用が出やすく、入浴直後の使用は避けてください。

こんぶ・ひじき・もずくを過剰摂取すれば、脱毛が増悪!?

甲状腺機能低下症/橋本病の場合

甲状腺機能低下症/橋本病の方が、髪の毛をはやすためと、こんぶ・ひじき・もずくを過剰摂取を続ければ、脱毛が増悪する事が多々あります。これは、ヨードにより

  1. 甲状腺内の酸化・抗酸化のバランスが狂い、有毒な活性酸素(フリーラジカル)が発生。甲状腺組織の障害が起こります。
  2. 甲状腺ホルモンの合成が抑制され続けます(持続性ウォルフチャイコフ効果)。

その結果、甲状腺機能低下症が増悪し、脱毛が増えます。

甲状腺機能正常の橋本病の場合

甲状腺機能正常の橋本病の場合、甲状腺ホルモンは正常なので、甲状腺機能低下症による脱毛はありません。しかし、長崎甲状腺クリニック(大阪)では、ヨード過剰摂取を制限した甲状腺機能正常の橋本病の方で、甲状腺の慢性炎症の改善と同時に、脱毛も改善した方がおられます。

理由は不明ですが、私見として、甲状腺の慢性炎症の改善に伴い、甲状腺組織の破壊により血中へ放出される抗原(サイログロブリン、甲状腺ペルオキシダーゼなど)が減り、それらに対する自己抗体[抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)]も減少すると考えられます。これは、橋本病の自己免疫を担うヘルパーT細胞の活性化が低下することを意味し、サイトカインの作用により連鎖的に毛根などに自己免疫を担うT細胞の活性化も抑制されるのではないか?との仮説(自説)に辿り着きました。

バセドウ病、橋本病に合併するシェーグレン症候群・全身性エリテマトーデス(SLE)でも脱毛

バセドウ病橋本病に合併するシェーグレン症候群・全身性エリテマトーデス(SLE)でも脱毛がおこります。しかも、これらの膠原病は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病と症状が似ている所が多く、甲状腺の病気に重複して隠れている可能性があります。

橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群(ドライアイ,口内乾燥)     甲状腺と膠原病 

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、脱毛があれば、甲状腺の病気と同時に抗核抗体(ANA)、抗SS-A抗体も調べます。

前脛骨粘液水腫

前脛骨粘液水腫

前脛骨粘液水腫

バセドウ病では、すねの前部(前脛骨部)や足背の皮膚が「瘤(こぶ)」の様に発赤して厚くなります(前脛骨粘液水腫)。バセドウ病に特異的な皮膚病変です。溜まるのはヒアルロン酸(酸性ムコ多糖類、グルコサミノグリカン)で、オレンジの皮のようになります(境界明瞭な淡紅色~茶褐色の扁平隆起)。弾力性があるため、指で押しても跳ね返ってきて跡が残らない非圧痕性浮腫(nonpitting edema)です。

バセドウ病眼症バセドウ病バチ指/バセドウ病関節症と同じ機序でおこり、全てそろうとEMO症候群と呼ばれます。しかし、バセドウ病眼症ほど、甲状腺機能亢進症同時に症状がでません。

喫煙者、男性の比率が多く、症状の重症度は甲状腺ホルモンのレベルとは関連せず、TR-Ab(TSHレセプター抗体)< TS-Ab(TSHレセプター刺激抗体)抗体価に相関します。

通常痛みはありません。なぜ前脛骨粘液水腫が下肢だけなのか不明です。

確定診断には、皮膚生検です。真皮は浮腫状で膠原繊維の離開がみられ、アルシアンブルー(alcian blue)染色で酸性ムコ多糖類の沈着が認められます。

治療はステロイド軟こう局所塗布が一般的で、改善に一年以上かかります。

ステロイド内服による全身投与も教科書に書いてあります。写真のように軽いものであれば、命に影響ない前脛骨粘液水腫のために、全身に副作用の出るステロイドを長期間飲むのもどうかと思います。

象皮症様前脛骨粘液水腫

オレンジ皮様、象皮症様前脛骨粘液水腫

象皮症様前脛骨粘液水腫のように、前脛骨粘液水腫がひどい状態(両下肢の前脛骨部から足背にかけ、境界明瞭だが発赤・表面は隆起し瘤状・硬い腫瘤で圧痕無し(オレンジ皮様、象皮症様)、足全体が腫脹)の時、ステロイド軟膏で改善なければ、ステロイド内服が有効な事があります(さすがに、この状態ではステロイド内服、ステロイドパルスも止む無し)。

成田赤十字病院の報告では、プレドニゾロン(PSL)20mg/日x 4 週間投与、以後2週間で5mgずつ漸減、全行程10週間を1 クールとし

  1. 1 クール終了後、靴を履けるようになるも、1ヶ月で浮腫増悪
  2. 2 クール終了後、歩行も可能となるも、皮膚発赤や浮腫が消失せず
  3. 3 クール終了後、改善

に至ったそうです(第57回 日本甲状腺学会 P2-017 低容量ステロイド内服療法が奏功した象皮症様前脛骨粘液水腫の1 例)。かなり長期間ステロイド内服を続けねばならない様です。

EMO症候群・バセドウ病眼症の同時発症

前脛骨粘液水腫

EMO症候群やバセドウ病眼症を同時に発症し、しかも難治性バセドウ病眼症あるいは甲状腺機能亢進症/バセドウ病自体も再発を繰り返すコントロール不良の場合、甲状腺全摘術行えば、バセドウ病抗体(TR-Ab、TS-Ab)も低下し、前脛骨粘液水腫も改善しやすくある可能性あります。(前脛骨粘液水腫だけで甲状腺全摘術は、なかなか難しいですが・・)(第55回 日本甲状腺学会 P1-04-08 EMO症候群を合併したバセドウの一例)

また、群馬大学の報告では、バセドウ病眼症にステロイドパルス療法2クールとプレドニゾロン後療法を実施、1クール後から前脛骨粘液水腫が軟化、2 クール後より前脛骨粘液水腫の部分的縮小を認めたそうです(第60回 日本甲状腺学会P2-2-3 バセドウ病眼症に対するステロイドパルス療法後に部分的縮小を 認めた脛骨前粘液水腫の1例)。

バセドウ病眼症と同様に、(131-I)アイソトープ治療後に発症・増悪する事あります。(第56回 日本甲状腺学会 P2-118 バセドウ病治療後に悪化した脛骨前粘液水腫の一例)

限局性でなく、びまん性粘液水腫

バセドウ病女性では前記のように、明らかに皮膚の色が変わり美容上問題となる限局性でなく、皮膚の色は変わらないが、下腿全体がびまん性に、むくむ粘液水腫が、筆者の経験上かなりの頻度で存在します。神経質な方は、足が、むくむと言われる事がありますが、大抵は、たいしたことなく、「立ち仕事、座り仕事のせいか?」で終わっている事が多いです。

やはり、溜まっているのは粘調なヒアルロン酸(酸性ムコ多糖類、グルコサミノグリカン)なので、弾力性があり、押したらすぐに元に戻ってしまいます。へこんだままなら、ヒアルロン酸ではなく、水分なので、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の心不全、低蛋白血症などによる浮腫(むくみ)です。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病が治療で改善すれば、びまん性粘液水腫に関連するTS-Ab(TSHレセプター刺激抗体)抗体も低下し、びまん性粘液水腫も改善します。

リポイド類壊死

リポイド類壊死

バセドウ病では、まれに前脛骨粘液水腫でなく、リポイド類壊死の学会報告もあります。リポイド類壊死は、糖尿病で良く見られる下腿部に生じる

  1. 橙色の萎縮斑
  2. その中に胡桃大程度の灰褐色斑も散在、軽度陥凹、潰瘍化することもあります
  3. 熱感、圧痛、硬結なし
  4. 非圧痕性浮腫(non pitting edema) なし
    (第57回 日本甲状腺学会 P1-039 両下腿に脂肪類壊死様の皮疹を併発したバセドウ病の1 例)

甲状腺機能低下症と爪の変形

匙状爪(さじじょうつめ)

甲状腺機能低下症で爪の変形を認める事あります。匙状爪(さじじょうつめ)とよばれ、縦に亀裂が入る事もあります。

甲状腺機能低下症は、過剰カロチン沈着で黄色く

甲Joう君 過剰カロチン沈着

カロチンニンジンなど緑黄色野菜に豊富に含まれる赤橙色色素。健康食品として有名で、体内の活性酸素の発生を抑え、発がん予防作用があります。甲状腺ホルモンはカロチンをビタミンAへ変換します。甲状腺機能低下症では、カロチンをビタミンAに変換出来なくなります。過剰になったカロチンは手掌や足底に沈着し黄色くなります。そのため黄疸と勘違いして、肝臓を調べても異常なく、原因不明・ミカンの食べ過ぎと誤診されていることもあります(実は甲状腺機能低下症)。

Jo黄色くない?

カロチンは海藻類にも多く含まれています。海藻を過剰に摂取すると、ヨードにより甲状腺ホルモン産生が抑制され、甲状腺機能低下が進むと、さらにカロチンが沈着し黄色くなります。

甲状腺と白斑

尋常性白斑

後天性に生じる境界明瞭な脱色素性の白斑(皮膚のメラニン色素がなくなり、色が抜けた病変)を尋常性白斑と言います。自己免疫疾患、特に自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病橋本病)の合併率が高い事が知られています。また、1型糖尿病アジソン病、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎などの合併も報告されています。

尋常性白斑の原因は不明な点が多いですが、抗メラノサイト抗体やメラノサイト傷害性T細胞などの自己免疫説が有力です。

CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)は抗セントロメア抗体陽性の膠原病で橋本病(慢性甲状腺炎)に合併。掌蹠膿疱症で橋本病(慢性甲状腺炎)・バセドウ病]の合併頻度は53%。尋常性天疱瘡は男性のみ橋本病(慢性甲状腺炎)と合併。主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症)は甲状腺機能低下症、亜鉛欠乏症で悪化。ベーチェット病などによる結節性紅斑の治療に大量のヨウ化カリウム投与し甲状腺機能低下症、無痛性甲状腺炎(痛みのない破壊性甲状腺炎)誘発。甲状腺乳頭癌・甲状腺未分化癌の皮膚浸潤で発赤・変色・潰瘍形成、急性化膿性甲状腺炎・橋本病急性増悪の皮膚炎も起こります。

CREST症候群,橋本病,甲状腺,掌蹠膿疱症,バセドウ病,尋常性天疱瘡,主婦の手湿疹,進行性指掌角皮症,甲状腺機能低下症,結節性紅斑

CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)の合併

CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)は、自己免疫抗体の一つ抗セントロメア抗体陽性の膠原病で、橋本病(慢性甲状腺炎)に併発することあります。

  1. 指先が硬くなり(皮下石灰沈着)、毛細血管の拡張が見られます。レイノー現象もあり、強指症(細く、蒼白い、硬化した指)になります。
     
  2. 内蔵障害は食道・胃腸管に限定されます。食道運動障害による食物が詰まるような感じは、びまん性甲状腺腫・甲状腺腫瘍による圧迫のようです。

手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) 

進行性指掌角皮症

小宇宙3

手荒れで、指先や手のひら/甲が赤くなり乾燥、角質が皮膚からはがれ落ちる鱗屑(りんせつ)・落屑(らくせつ)がみられます。進行すると、ひび割れて痛み、皮膚が薄くなりますが、かゆみはありません。

主婦の手湿疹

赤い丘疹(きゅうしん)が手指にできると、かゆみを伴います。 頻回の手洗いや洗剤の使用などにより皮脂が失われ、皮膚バリアが破綻するのが原因です。

手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) は、甲状腺機能低下症亜鉛欠乏症で悪化

手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) は、甲状腺機能低下症亜鉛欠乏症等で悪化

  1. アトピー・アレルギー素因の人は皮膚がさらに乾燥しやすいです。
  2. 甲状腺機能低下症では皮膚の新陳代謝が悪く、乾燥が増強
  3. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病は、治療にともない甲状腺ホルモンが正常化すると、異常な発汗で潤っていた肌が元の状態になり、隠れていた手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) が現れます。
  4. 亜鉛欠乏症も皮膚炎起こすので主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症が増悪。

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症と甲状腺

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症は手のひらや足底に、無菌性の膿疱(黄色の液体の水袋)を繰り返します。掌蹠膿疱症は甲状腺疾患糖尿病、高脂血症、クローン病、IgA腎症に合併する事あります。逆に、掌蹠膿疱症をきっかけに、自己免疫性甲状腺疾患が判明する事あります。

掌蹠膿疱症は原因不明のことが多いですが、30%は慢性扁桃腺炎、歯槽膿漏(歯周病)、蓄膿(慢性副鼻腔炎)、金属アレルギーの存在が原因だろうといわれます。

バセドウ病を合併した掌蹠膿疱症性骨関節炎の報告例では、掌蹠膿疱と診断された後、突発性難聴になり、ステロイド投与開始直後より蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)とバセドウ病を発症したそうです。(Jpn. Clin. Immun. 16 (1):58-63, 1993.)

金属ア レルギー検索のためのパッチテストで蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)とバセドウ病は共に増悪。パッチテストで強陽性 を示 したアンチモンを除去するため、歯科治療を行い、蹠膿疱症自体は軽快したそうです。

一般的に、突発性難聴に対するステロイド投与は、プレドニゾロン20mg/日以上の大量使用するにも係わらず減量するのが早過ぎます。報告例も2週間後には中止され、リバウンドによる自己免疫疾患の誘発・増悪を引き起こします。

掌蹠膿疱症における自己免疫性甲状腺炎[橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病]の合併頻度は53%と報告されています(J. Am. Acad. Dermatol. 19:1009-1016,1988.)。

SAPHO(サフォー)症候群

SAPHO(サフォー)症候群

SAPHO(サフォー)症候群[Synovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)の頭文字]は、掌距膿疱症、膿疱性乾癬、化膿性汗腺炎などの皮膚疾患に合併する事が多い骨・関節異常です。

前胸壁(胸肋鎖関節・上部胸肋関節・胸骨柄体結合部)に痛み・腫脹が起こり、甲状腺の病気と勘違いされる方がいます。(J Child Orthop. 2015 Feb;9(1):19-27.)

SAPHO(サフォー)症候群の診断は、

  1. CTで骨硬化、骨皮質肥厚像(写真)
  2. MRIで、骨・関節、周囲軟部組織の炎症像
  3. 99mTc骨シンチグラフィは、早期に集積し、牛の頭の様に見えます(bull’s head pattern)(Curr Rheumatol Rep. 2016 Jun;18(6):35.)
SAPHO(サフォー)症候群  CT画像
SAPHO(サフォー)症候群 99mTc骨シンチグラフィ 

です。橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病で、上前胸部に痛みおこり、圧痛あれば、SAPHO(サフォー)症候群の可能性あります。ただし、15%は皮膚疾患を合併せず、30%は皮膚疾患に先行して現れるため、掌距膿疱症が無くても否定できません。

尋常性天疱瘡と甲状腺

尋常性天疱瘡

尋常性天疱瘡は、自己免疫による皮膚・粘膜の炎症により水疱(水ぶくれ、表皮内水疱)が生じる病気です。表皮細胞間接着因子デスモグレインに対する自己抗体により接着が阻害され、水疱が生じます。

どういう訳か男性においてのみ自己免疫性甲状腺炎の橋本病(慢性甲状腺炎)と合併するとされます。一方で、バセドウ病甲状腺癌とは関係ありません(Front Med (Lausanne). 2018 May 30;5:159.)。自己免疫性甲状腺疾患と言っても、橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病は、関与する免疫細胞が異なるからだろうと筆者は考えています。(橋本病バセドウ病)

甲状腺と皮膚病:Sweet病

Sweet病は、上気道感染後に発熱、好中球増加、好中球皮膚浸潤による有痛性浮腫性紅斑で、皮膚生検にて血管炎(ヘノッホシェーライン紫斑病)ではないことを確認する必要あり。

慢性甲状腺炎シェーグレン症候群を合併したSweet病の1例」[日本皮膚科学会雑誌 2008,118(3);420]などの報告あり

悪性黒色腫治療ニボルマブ(商品名:オプジーボ)で、無痛性甲状腺炎・甲状腺機能低下症

結節性紅斑の治療で無痛性甲状腺炎・甲状腺機能低下症

結節性紅斑の治療で無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症

結節性紅斑

ベーチェット病などが原因で起こる結節性紅斑の治療に、1日400~900 mgのヨウ化カリウム投与される事があります。甲状腺機能亢進症/バセドウ病に対する投与でも1日最大300 mgですので、かなりの大量投与になります。

ヨウ化カリウムの結節性紅斑に対する作用機序は不明ですが、

  1. 肥満細胞のヘパリン放出を惹起、遅延型過敏反応が抑制される。 
  2. 好中球遊走を阻害

などが考えられます。

大量のヨウ化カリウムは、

  1. 甲状腺ホルモン合成・分泌を阻害し甲状腺機能低下症
  2. 元々、橋本病(慢性甲状腺炎)があると起こりやすい無痛性甲状腺炎(痛みのない破壊性甲状腺炎)

の甲状腺異常を(特に投与期間が長ければ)高率におこします。

結節性紅斑とは

結節性紅斑

結節性紅斑は、

  1. 若年~更年期の女性の下腿前面に好発
  2. 痛みを伴う直径1〜5mmの硬いしこりのある紅斑
  3. 発熱、全身倦怠感、関節痛などの全身症状を伴うことあり

が特徴です。原因は不明ですが、

  1. 細菌(甲状腺機能亢進症/バセドウ病発症を誘発する溶血性連鎖球菌が最多)、結核菌、ウイルス、真菌などの感染アレルギー
  2. 悪性腫瘍(悪性リンパ腫、白血病など)
  3. ベーチェット病、サルコイドーシス
  4. 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
  5. 経口避妊薬、サルファ剤

などが考えられます。治療は

  1. 安静と下肢挙上
  2. 非ステロイド性抗炎症薬
  3. 溶連菌には抗生剤

甲状腺乳頭癌・甲状腺未分化癌の皮膚浸潤

甲状腺未分化癌の皮膚浸潤

甲状腺乳頭癌甲状腺乳頭癌のリンパ節再発巣、甲状腺未分化癌が皮膚まで浸潤する事があります。甲状腺の直上の皮膚が変色、発赤、潰瘍形成など起こします。当然、甲状腺癌もろとも合併切除します。切除範囲が小さければ、直接縫合閉鎖で済みますが、広範囲切除なら、DP flap(deltopectoral flap;胸三角筋部皮弁)などを用いて形成外科手術が必要になります。

(写真、甲状腺未分化癌の皮膚浸潤 Oncology Letters 2014 Volume 7 Issue 6)

局所再発進行甲状腺乳頭癌の皮膚浸潤に対する治療例

局所再発し皮膚まで出て来た進行甲状腺乳頭癌は、表面から出血し、貧血が進み、輸血が必要になる事があります。また、「放射線治療無効な甲状腺癌」にネクサバール・レンビマ   を用いた場合も、癌組織が崩壊すると出血が起こります。

あまりにコントロール不能な進行甲状腺乳頭癌の、腫瘍表面から出血、貧血に、皮膚科的なMohs氏法と腫瘍栄養動脈塞栓術を組み合わせて治療した報告があります。(第53回 日本甲状腺学会 P-225 Mohs 氏法により治療した局所再発進行甲状腺乳頭癌の一例)

Mohs 氏法は、末期がんの緩和ケアで、局所の出血・感染をMohs ペーストで治療するものです(Arch Surg 1941; 42: 279-295.)。Mohs ペーストは、 塩化亜鉛、亜鉛華でんぷん局方品、グリセリン局方品が主成分で、塩化亜鉛が腫瘍表面の水分によってイオン化、タンパク凝集作用により止血、殺菌効果が得られます。(Palliat Care Res 2009; 4(2): 346-350)

急性化膿性甲状腺炎・橋本病急性増悪の皮膚炎

急性化膿性甲状腺炎の皮膚炎

急性化膿性甲状腺炎橋本病急性増悪では、非常に強い炎症が表面の皮膚まで及び、甲状腺の直上の皮膚が発赤し熱を持ちます。

パジェット病(Paget病)と甲状腺

パジェット病(Paget病)は、主に汗を産生する細胞が癌化し、表皮内から真皮に浸潤したもので、60歳以上の高齢者に多いです。乳頭・乳輪に生じる乳房パジェット病と、陰部・腋などに生じる乳房外パジェット病があります。

パジェット病(Paget病)の症状は、陰部や腋などに赤くて湿っていて、かさぶた、痒みを伴います。湿疹、白癬(水虫)と誤認され、抗菌剤、ステロイド軟こうを塗っても縮小せず、徐々に広がります。最後は腫瘤化し、遠隔転移します。パジェット病(Paget病)の予後は不良で、5年生存率が60%です(お茶の水医誌21: 97-105, 1973)。

特徴的なPaget細胞は一度見たら忘れません(写真 Oncology Letters. 2012; 4(1): 83-85)。

特徴的なPaget細胞

外陰部パジェット病(Paget病)の症例

最初は扁平上皮癌を疑われ、摘出後、外陰部パジェット病(Paget病)と診断された報告例があります。術後5年して、PET-CTで甲状腺にびまん性集積を認めるも、甲状腺超音波(エコー)検査で特に腫瘤は無く、橋本病(慢性甲状腺炎)の様な、不均質なびまん性腫大。術後4年間のPET-CTで甲状腺に異常なかったため、外陰部パジェット病(Paget病)の甲状腺転移を疑い、穿刺吸引細胞診でPaget細胞を確認したそうです。(第60回 日本甲状腺学会 P1-9-8 甲状腺転移を来した外陰部Paget病の1例)

乳房パジェット病(Paget病)

乳房パジェット病(Paget病)の報告例は、比較的若い46歳女性です。乳房パジェット病(Paget病)の診断で乳房切断術を受け、術後3年目に甲状腺腫を認めたそうです。やはり、甲状腺超音波(エコー)検査で特に腫瘤は無く、橋本病(慢性甲状腺炎)の様な、びまん性腫大のみ。乳房パジェット病(Paget病)の甲状腺転移を疑い、穿刺吸引細胞診でPaget細胞を確認したそうです。(日臨外医会誌 55(3), 585-588, 1994)

(写真 Cancer 2001 Feb 1;91(3):472-477 )

乳房パジェット病(Paget病)

乳癌の甲状腺転移の約半数は、びまん浸潤型で橋本病(慢性甲状腺炎)と誤診される危険性があります(Cancer 15: 557-565, 1962)。(橋本病の甲状腺内に広範な、びまん性砂粒状石灰化

甲状腺関連の上記以外の検査・治療     長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,生野区,東大阪市,天王寺区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ 谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

診療時間電話番号や地図はこちら