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甲状腺と皮膚の異常②[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波エコー 甲状腺機能低下症 長崎甲状腺クリニック大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。皮膚疾患の診療は行っておりません。

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 附属病院 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

結節性紅斑

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編  内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等  をクリックください

Summary

CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)は抗セントロメア抗体陽性の膠原病で橋本病(慢性甲状腺炎)に合併。イソトレチノインで薬剤性甲状腺機能低下症。掌蹠膿疱症、環状肉芽腫で橋本病バセドウ病合併。プロピルチオウラシル(PTU)服薬中の甲状腺機能亢進症/バセドウ病でMPO-ANCA陽性の壊疽性膿皮症。尋常性天疱瘡は男性のみ橋本病合併。主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症は甲状腺機能低下症亜鉛欠乏症で悪化。ベーチェット病などの結節性紅斑治療にヨウ化カリウム投与し甲状腺機能低下症、無痛性甲状腺炎急性化膿性甲状腺炎橋本病急性増悪で皮膚炎。

Keywords

CREST症候群,橋本病,甲状腺,掌蹠膿疱症,バセドウ病,尋常性天疱瘡,主婦の手湿疹,進行性指掌角皮症,甲状腺機能低下症,結節性紅斑

CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)の合併

CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)

CREST(クレスト)症候群(限局性皮膚硬化症)は、自己免疫抗体の一つ抗セントロメア抗体陽性の膠原病で、橋本病(慢性甲状腺炎)に併発することがあります。しかし、全身性強皮症(全身性硬化症:SSc)とは異なり、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)陽性率は高くないとの報告もあります(Scand J Rheumatol. 2011;40(4):299-303.)。

  1. 指先が硬くなり(皮下石灰沈着)、毛細血管の拡張が見られます。レイノー現象もあり、強指症(細く、蒼白い、硬化した指)になります。
     
  2. 内蔵障害は食道・胃腸管に限定されます。食道運動障害による食物が詰まるような感じは、びまん性甲状腺腫・甲状腺腫瘍による圧迫のようです。

未認可にきび治療薬イソトレチノイン(ロアキュティン®、アキュテイン®)で薬剤性甲状腺機能低下症?

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、イソトレチノイン(ロアキュティン®、アキュテイン®)とは一切、関わりません。

イソトレチノイン(ロアキュティン®、アキュテイン®)

イソトレチノイン(13-シスレチノイン酸)は、ビタミンAの生物活性を持つ代謝産物(ビタミンA誘導体)です。イソトレチノイン(ロアキュティン®、アキュテイン®)は海外で、にきびの治療に使用されるが、日本では未認可です。ネットでの違法な個人輸入が問題になっています。イソトレチノインは薬剤性甲状腺機能低下症をおこす可能性があります。

報告では、正常範囲ながら甲状腺刺激ホルモン(TSH)上昇、甲状腺ホルモン(FT3,FT4)低下が認められたそうです。しかし、なぜイソトレチノインが甲状腺ホルモン合成を阻害するのか不明です。(J Dermatolog Treat. 2017 Mar;28(2):141-144.)(Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2016 Sep-Oct;82(5):587-8.)。

また、イソトレチノインが甲状腺機能亢進症/バセドウ病を誘発した報告があります(Case Rep Dermatol. 2012 Sep-Dec; 4(3): 256–260.)。

イソトレチノイン(ロアキュティン®、アキュテイン®)の甲状腺以外の副作用として、

  1. 妊娠中、妊活中の患者が服用すると、胎児奇形、流産、死産、早産
  2. うつ、精神病(幻覚、幻聴)、自傷行為、自殺企図など重大な精神障害
  3. 炎症性腸疾患(Isr Med Assoc J. 2009 Aug; 11(8):505-6.)

がある危険な薬です。(Ophthalmic Physiol Opt. 2008 Sep; 28(5):497-501.)

黒皮症(しみ、肝斑)

黒皮症(しみ、肝斑)は、メラニン色素が沈着して皮膚が黒褐色になる病態。形状が肝臓に似ているため肝斑とも言いますが、肝臓とは何の関係もありません。

黒皮症(しみ、肝斑)の原因として、

  1. 女子顔面黒皮症(リール黒皮症);化粧品に含まれる香料、防腐剤などへの過敏反応。妊娠経口避妊薬、紫外線、遺伝性が関与します(Postepy Dermatol Alergol. 2015 Oct;32(5):327-30.)
  2. ヒ素中毒症
  3. 原発性副腎皮質機能低下症、アジソン病
  4. 末期の悪性黒色腫

があります。

黒皮症

黒皮症(しみ、肝斑)と甲状腺の関係として、

  1. 黒皮症(しみ、肝斑)の58.3%に甲状腺機能障害を認めた
  2. 妊娠中または経口避妊薬の使用中に発症した黒皮症女性の70%が甲状腺機能障害を認め、特発性黒皮症の39.4%と比較して有意に高かった。
    (J Clin Endocrinol Metab. 1985 Jul;61(1):28-31.)
  3. 黒皮症(しみ、肝斑)では甲状腺機能低下症/橋本病の頻度が高い(Int J Dermatol. 2019 Nov;58(11):1231-1238.)。

日焼け止めの紫外線吸収剤ベンゾフェノン2(オキシベンゾン2)で甲状腺ホルモン合成障害

日焼け止めの化粧品に使われ、紫外線をカットする紫外線吸収剤ベンゾフェノン2(オキシベンゾン2)は、甲状腺ホルモン合成酵素の甲状腺ペルオキシターゼ(TPO)を阻害します。ベンゾフェノン2(オキシベンゾン2)の甲状腺ホルモン合成阻害効果は、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の20倍-200倍です。ただし、あくまで動物実験の話で、体内にベンゾフェノン2(オキシベンゾン2)が100%吸収されるのを前提としており、実際はそれほど吸収されないと考えられます。(Endocrinology. 2007 Jun;148(6):2835-44.)

ベンゾフェノン2(オキシベンゾン2)は、環境省が内分泌かく乱物質に指定してあり、わずかな甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の上昇が明暗を分ける不妊治療中の女性、妊婦は注意を要します(不妊症/習慣性流産・不育症と甲状腺)(妊娠橋本病/甲状腺機能低下症)]。

手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) 

進行性指掌角皮症

小宇宙3

手荒れで、指先や手のひら/甲が赤くなり乾燥、角質が皮膚からはがれ落ちる鱗屑(りんせつ)・落屑(らくせつ)がみられます。進行すると、ひび割れて痛み、皮膚が薄くなりますが、かゆみはありません。

主婦の手湿疹

赤い丘疹(きゅうしん)が手指にできると、かゆみを伴います。 頻回の手洗いや洗剤の使用などにより皮脂が失われ、皮膚バリアが破綻するのが原因です。

手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) は、甲状腺機能低下症亜鉛欠乏症で悪化

手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) は、甲状腺機能低下症亜鉛欠乏症等で悪化

  1. アトピー・アレルギー素因の人は皮膚がさらに乾燥しやすいです。
  2. 甲状腺機能低下症では皮膚の新陳代謝が悪く、乾燥が増強
  3. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病は、治療にともない甲状腺ホルモンが正常化すると、異常な発汗で潤っていた肌が元の状態になり、隠れていた手湿疹(主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症) が現れます。
  4. 亜鉛欠乏症も皮膚炎起こすので主婦の手湿疹・進行性指掌角皮症が増悪。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症と甲状腺

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は手のひらや足底に、無菌性の膿疱(黄色の液体の水袋)を繰り返します。痛みのため歩行に障害が出たり、物を握れなかったりします。掌蹠膿疱症は甲状腺疾患糖尿病、高脂血症、クローン病、IgA腎症に合併する事があります。逆に、掌蹠膿疱症をきっかけに、自己免疫性甲状腺疾患が判明する事もあります。

掌蹠膿疱症は原因不明のことが多いですが、30%は慢性扁桃腺炎、歯槽膿漏(歯周病、歯肉炎)、蓄膿(慢性副鼻腔炎)、金属アレルギーの存在が原因だろうといわれます。特に、歯科治療で詰め物(パラジウムなど)を保険診療内で済ませた人は要注意!少々高くついても金属アレルギーの出ない保険診療外の材質、セラミック、レジン、ジルコニアにした方が良い(無機水銀、ニッケルなどの金属アレルギー銀歯で歯科金属アレルギー)。掌蹠膿疱症の治療を延々と続ければ、余計高くつきます。掌蹠膿疱症患者のほとんどは喫煙者で、禁煙指導により軽快する場合があります。

バセドウ病を合併した掌蹠膿疱症性骨関節炎の報告例では、掌蹠膿疱と診断された後、突発性難聴になり、ステロイド投与開始直後より蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)とバセドウ病を発症したそうです。(Jpn. Clin. Immun. 16 (1):58-63, 1993.)

金属ア レルギー検索のためのパッチテストで蹠膿疱症性骨関節炎(PAO)とバセドウ病は共に増悪。パッチテストで強陽性 を示 したアンチモンを除去するため、歯科治療を行い、蹠膿疱症自体は軽快したそうです。

一般的に、突発性難聴に対するステロイド投与は、プレドニゾロン20mg/日以上の大量使用するにも係わらず減量するのが早過ぎます。報告例も2週間後には中止され、リバウンドによる自己免疫疾患の誘発・増悪を引き起こします。

掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症における自己免疫性甲状腺炎[橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病]の合併頻度は53%と報告されています(J. Am. Acad. Dermatol. 19:1009-1016,1988.)。

(写真 掌蹠膿疱症)

SAPHO(サフォー)症候群

SAPHO(サフォー)症候群

SAPHO(サフォー)症候群[Synovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化過剰症)、Osteitis(骨炎)の頭文字]は、掌距膿疱症、膿疱性乾癬、化膿性汗腺炎などの皮膚疾患に合併する事が多い骨・関節異常です。

掌距膿疱症の10-30%患に合併します。

前胸壁(胸肋鎖関節・上部胸肋関節・胸骨柄体結合部)に痛み・腫脹が起こり、甲状腺の病気と勘違いされる方がいます。(J Child Orthop. 2015 Feb;9(1):19-27.)

SAPHO(サフォー)症候群の診断は、

  1. CTで骨硬化、骨皮質肥厚像(写真)
  2. MRIで、骨・関節、周囲軟部組織の炎症像
  3. 99mTc骨シンチグラフィは、早期に集積し、牛の頭の様に見えます(bull’s head pattern)(Curr Rheumatol Rep. 2016 Jun;18(6):35.)
SAPHO(サフォー)症候群  CT画像
SAPHO(サフォー)症候群 99mTc骨シンチグラフィ

です。橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病で、上前胸部に痛みおこり、圧痛あれば、SAPHO(サフォー)症候群の可能性があります。ただし、15%は皮膚疾患を合併せず、30%は皮膚疾患に先行して現れるため、掌距膿疱症が無くても否定できません。

抗IL-23p19抗体のグセルクマブ(トレムフィア®)が保険適用。

壊疽性膿皮症

壊疽性膿皮症は自己免疫性皮膚炎で、好中球性の皮膚壊死が特徴。わずかな外傷が毛包炎→膿疱→急速に潰瘍化→数週間で拡大します。自己免疫なので細菌培養は陰性。

壊疽性膿皮症の約75%は

  1. 炎症性腸疾患(クローン病潰瘍性大腸炎
  2. サルコイドーシスベーチェット病
  3. 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)
  4. 血管炎ANCA関連血管炎
  5. 白血病、悪性リンパ腫
  6. C型肝炎

などを合併します。

壊疽性膿皮症の治療は軽症はステロイド塗布、ヨウ化カリウム内服、中等度以上はステロイド全身投与。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療中に発生した壊疽性膿皮症

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の治療中に発生した壊疽性膿皮症の報告があります。(Clin Exp Dermatol. 2006 Sep;31(5):659-61.)

また、プロピルチオウラシル(PTU)服薬中の甲状腺機能亢進症/バセドウ病で、MPO-ANCA の上昇と同時に壊疽性膿皮症を認めた報告が複数あり、因果関係が強いと考えられます。(Australas J Dermatol. 1999 Aug;40(3):144-6.)(Dermatology. 2004;208(4):339-41.)(写真;Ann Dermatol. 2010 Feb;22(1):48-50.)

壊疽性膿皮症 バセドウ病

甲状腺乳頭癌全摘出後の創傷部に発生した壊疽性膿皮症

壊疽性膿皮症の発生場所になる外傷部は手術創の事があります。甲状腺乳頭癌全摘出後の創傷部に発生し、再発が疑われた壊疽性膿皮症の報告があります。血液中の好中球、炎症マーカーが増加、穿刺細胞診で壊疽性膿皮症を疑う好中球浸潤が多数認められました。(Front Endocrinol (Lausanne). 2019 Apr 18;10:253.)

壊疽性膿皮症 甲状腺乳頭癌全摘出後

甲状腺腺腫様結節が基礎疾患だった壊疽性膿皮

甲状腺腺腫様結節が基礎疾患だった壊疽性膿皮症が報告されています(Ann Dermatol Venereol. 1987;114(10):1229-34.)

尋常性天疱瘡・水疱性類天疱瘡と甲状腺

尋常性天疱瘡

尋常性天疱瘡

尋常性天疱瘡は、自己免疫による皮膚・粘膜の炎症により水疱(水ぶくれ、表皮内水疱)が生じる病気です。表皮細胞間接着因子デスモグレインに対する自己抗体(抗デスモグレイン1抗体、3抗体)により接着が阻害され、水疱が生じます。

どういう訳か男性においてのみ自己免疫性甲状腺炎の橋本病(慢性甲状腺炎)と合併するとされます。一方で、バセドウ病甲状腺癌とは関係ありません(Front Med (Lausanne). 2018 May 30;5:159.)。自己免疫性甲状腺疾患と言っても、橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病は、関与する免疫細胞が異なるからだろうと筆者は考えています。(橋本病バセドウ病)

水疱性類天疱瘡

水疱性類天疱瘡

水疱性類天疱瘡では搔痒を伴う皮疹が全身に拡大します。皮疹は、びらん・紅斑・水疱・血疱(水疱内容が血性)より構成されます。

水疱性類天疱瘡を組織生検し、蛍光抗体直接法で見ると表皮基底膜部にIgGとC3の線状沈着を認めます。また、血液検査では、表皮基底膜部のへミデスモゾームの1つ17型コラーゲン(BP180)に対する自己抗体(抗BP180抗体)が陽性になります。

水疱性‎‎類天疱瘡‎‎と‎‎自己免疫性甲状腺疾患は、関連するという報告と関連なしとする報告両方があります[J Am Acad Dermatol. 2013 Apr;68(4):687-689.][J Dtsch Dermatol Ges. 2022 Apr;20(4):511-513.]。‎

橋本病(慢性甲状腺炎)とは関連するが、バセドウ病とは関連しないとの報告もあります[J Eur Acad Dermatol Venereol. 2022 May 25.]。

実際の合併報告は多数あり、

  1. 白斑潜在性甲状腺機能低下症/橋本病(慢性甲状腺炎)を合併[Dermatol Online J. 2005 Aug 1;11(2):20.]
  2. 甲状腺機能低下症/橋本病(慢性甲状腺炎)を合併[J Am Acad Dermatol. 1981 Nov;5(5):558-60.]
  3. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病を合併[Acta Derm Venereol. 2005;85(6):560-1.]

糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬により水疱性‎‎類天疱瘡‎‎が発症する場合があります。通常の類天疱瘡より軽症が多く、抗BP-180抗体が陰性のこともあります。

環状肉芽腫

環状肉芽腫

環状肉芽腫は、IV型アレルギーにより生じる原因不明の皮疹で

  1. 糖尿病、高脂血症などの代謝異常が原因(Clin Cosmet Investig Dermatol. 2017 Apr 26;10:141-145.)
  2. 自己免疫性甲状腺疾患などの代謝内分泌異常(環状肉芽腫の12%に認める)(J Am Acad Dermatol. 2003 Apr;48(4):517-20.)
  3. 帯状疱疹治癒後

手の甲や関節、体幹に発生します。

白血病、悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)などの合併報告が多い。

自然軽快する事もあります。治療はステロイド外用・局所注射・内服が主体、抗ウイルス薬は無効との報告が多い。(WebMDより)

甲状腺と皮膚病:Sweet病

Sweet病は、上気道感染後に発熱、好中球増加、好中球皮膚浸潤による有痛性浮腫性紅斑で、皮膚生検にて血管炎(ヘノッホシェーライン紫斑病)ではないことを確認する必要あり。

慢性甲状腺炎シェーグレン症候群を合併したSweet病の1例」[日本皮膚科学会雑誌 2008,118(3);420]などの報告あり

癜風(でんぷう)と甲状腺

癜風(でんぷう)

癜風(でんぷう)は、皮膚に常在する酵母型真菌のマラセチアが、高温多湿(体温上昇、多汗)、皮脂などの老廃物が多い環境で菌糸型になり病原性を持つと起こる皮膚炎です(正に、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の環境です)。

皮疹は褐色(黒色癜風)か白色(白色癜風)、隆起しない楕円形斑で、粃糠(米ぬか)様の落屑(鱗屑)を伴い、わずかに痒みが有る事も。爪などで擦ると粉状の軟らかい鱗屑が出る(粃糠様落屑)ことは診断的価値がある所見である。鱗屑をKOH法で検鏡すると短冊状の菌糸を認めます。

結節性紅斑の治療で無痛性甲状腺炎・甲状腺機能低下症

結節性紅斑の治療で無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症

ベーチェット病などが原因で起こる結節性紅斑の治療に、1日400~900 mgのヨウ化カリウム(KI)投与される事があります。甲状腺機能亢進症/バセドウ病に対する投与でも1日最大300 mgですので、かなりの大量投与になります。

ヨウ化カリウム(KI)の結節性紅斑に対する作用機序は不明ですが、

  1. 肥満細胞のヘパリン放出を惹起、遅延型過敏反応が抑制される。
  2. 好中球遊走を阻害

などが考えられます。

結節性紅斑の治療で無痛性甲状腺炎・甲状腺機能低下症

大量のヨウ化カリウム(KI)は、

  1. 甲状腺ホルモン合成・分泌を阻害し甲状腺機能低下症
  2. 元々、橋本病(慢性甲状腺炎)があると起こりやすい無痛性甲状腺炎(痛みのない破壊性甲状腺炎)

の甲状腺異常を(特に投与期間が長ければ)高率におこします。

結節性紅斑とは

結節性紅斑は、

  1. 若年~更年期の女性の下腿前面に好発
  2. 痛みを伴う直径1〜5mmの硬いしこりのある紅斑
  3. 発熱、全身倦怠感、関節痛などの全身症状を伴うことあり

が特徴です。原因は不明ですが、

  1. 細菌(甲状腺機能亢進症/バセドウ病発症を誘発する溶血性連鎖球菌が最多)、結核菌、ウイルス、真菌などの感染アレルギー
  2. 悪性腫瘍(悪性リンパ腫、白血病など)
  3. ベーチェット病、サルコイドーシス
  4. 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎クローン病
  5. 経口避妊薬、サルファ剤

などが考えられます。治療は

  1. 安静と下肢挙上
  2. 非ステロイド性抗炎症薬
  3. 溶連菌には抗生剤
結節性紅斑の治療で無痛性甲状腺炎・甲状腺機能低下症

急性化膿性甲状腺炎・橋本病急性増悪の皮膚炎

急性化膿性甲状腺炎の皮膚炎

急性化膿性甲状腺炎橋本病急性増悪では、非常に強い炎症が表面の皮膚まで及び、甲状腺の直上の皮膚が発赤し熱を持ちます。

マスクトラブルと甲状腺

新型コロナウイルス感染症予防のため、マスクを常時着用する事による皮膚の障害(マスクトラブル)が増加しています。マスクトラブルの本体は

  1. アトピー性皮膚炎の増悪
  2. 接触皮膚炎
  3. 尋常性ざ瘡(にきび);皮脂が毛穴に詰まり、毛穴の中でアクネ菌が増殖→炎症、膿が出る
  4. カポジ水痘様発疹症;単純ヘルペスウイルス、コクサッキーウイィルス、ワクチニアウイルス感染。アトピー性皮膚炎の不適切治療などにより皮疹のコントロールが悪い状態で感染。水疱内容をスライドガラスに塗布、数分間染色後ニ顕微鏡でウィルス性巨細胞を確認(Tzanckテスト:ツァンク試験)

長時間、マスクをしていると皮膚の角質に過剰な水分が溜まり、マスクに油分が吸い取られ、皮膚のバリア機能が低下します。

特に、発汗量が多く、蒸れやすい甲状腺機能亢進症/バセドウ病の人、皮膚の油分が少なく、乾燥しやすい甲状腺機能低下症/橋本病亜鉛欠乏症の人は要注意。

マスクトラブルの予防は、

  1. 最も新型コロナウイルス感染症予防効果の高い不織布マスクを止めるのは難しいので、薄いガーゼを挟むと、過剰な水分がガーゼに吸収され、マスクトラブルが軽減される可能性がある。
  2. 新型コロナウイルス感染症予防効果は高くないが、肌に優しい綿100%マスクに変える
  3. 石鹸による洗顔;尋常性ざ瘡の原因となる皮膚常在菌を洗い流す。顔は洗いにくい場所だが、しっかり洗う。石けんは泡立てれば、洗浄力を発揮する。タオルやスポンジで洗うと角質層が剝がれ、皮膚のバリア機能が低下するので手のひらで優しく洗う。最後は、よくすすいで石鹸を落とす。
  4. スキンケアを怠らない(保湿薬、化粧水、乳液の使用は問題ない)
マスクトラブル 尋常性ざ瘡

マスクトラブル 尋常性ざ瘡

マスクトラブル カポジ水痘様発疹症

マスクトラブル カポジ水痘様発疹症

過度なアルコール消毒は手荒れの原因に

新型コロナウイルス感染症のための感染予防対策

新型コロナウイルス感染症のための感染予防対策

新型コロナウイルス 感染症対策に手指の高濃度アルコール消毒は欠かせません。その一方で、過度なアルコール消毒は手荒れの原因になります。何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

皮膚表面の角質層は細菌やカビ(真菌)、ウイルス、アレルゲン物質の侵入を防ぐバリアとなり、弱酸性の角質層とそこに含まれる抗菌ペプチドが細菌の繫殖を防いでいます。

皮膚のバリア機能

過度な手指のアルコール消毒は、角質層の皮脂を取り除いてしまうため、皮膚が本来持っているバリア機能を損ない

  1. 手荒れ→炎症により、さらに皮膚のバリア機能が低下
  2. 手湿疹
  3. 細菌やカビ(真菌)、ウイルスが手に感染しやすくなる
  4. アレルゲン物質が侵入しやすくなる

などの弊害がおこります。特に、甲状腺ホルモン値が正常化していない甲状腺機能低下症ではダメージが大きくなります。

アルコール消毒は、あくまで石けんによる手洗いができない時の代用です(新型コロナウイルス感染の予防)。ノロウイルス感染症などにアルコール消毒は無効です。食器を洗う洗剤もアルコールを含まない方が手荒れを起こし難いです。

保湿剤やハンドクリームを塗って皮膚を保護

皮膚の健康を守るため、石けんでよく手を洗って、十分に水で流し、清潔なタオルやペーパーで軽く拭いた後に、保湿剤やハンドクリームを塗って皮膚を保護します。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療     長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,生野区,東大阪市,天王寺区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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