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急性扁桃炎、A群ベータ溶連菌(A群溶血性レンサ球菌)と甲状腺[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学附属病院 代謝内分泌内科(内骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

急性扁桃炎、A群ベータ溶連菌(A群溶血性レンサ球菌)と甲状腺

甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など)  糖尿病編 をクリックください。

  1. 甲状腺と風邪薬(かぜ薬)
  2. 急性扁桃炎(溶連菌感染)でバセドウ病発症・増悪!!(本ページ)
  3. 甲状と免疫力低下, インフルエンザ 肺炎球菌

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。急性扁桃炎、溶連菌感染の診療を行っておりません。

急性扁桃炎(溶連菌感染)は甲状腺機能亢進症/バセドウ病発症・増悪の誘因。

A群ベータ溶連菌(A群溶血性レンサ球菌、化膿性連鎖球菌)による急性扁桃炎・咽頭炎は、ありふれた病気です。しかし、様々な2次疾患を引きおこします。

Summary

A群ベータ溶連菌(A群溶血性レンサ球菌、化膿性連鎖球菌)による急性扁桃炎・咽頭炎(猩紅熱・イチゴ舌も)は甲状腺機能亢進症/バセドウ病発症・増悪の誘因。またIgA血管炎(アナフィラクトイド紫斑、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)、急性糸球体腎炎/急性管内増殖性糸球体腎炎、人食いバクテリア (劇症型溶血性連鎖球菌感染症)、結節性紅斑、A群レンサ球菌性髄膜炎をおこす。

Keywords

A群ベータ溶連菌,A群溶血性レンサ球菌,急性扁桃炎,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,IgA血管炎,ヘノッホ・シェーンライン紫斑病,人食いバクテリア,劇症型溶血性連鎖球菌感染症,結節性紅斑

急性扁桃炎(溶連菌感染)でバセドウ病再発!!

バセドウ病発症・増悪の多い時期と溶連菌性急性扁桃炎の流行期は一致します。バセドウ病発症・増悪は、春から夏(特に6月)・12月に多いとされ、A群β溶血性連鎖球菌感染症の流行のピークに一致します。

実際、溶連菌性急性扁桃炎罹患後、バセドウ病発症・増悪する症例は多数存在し、宮下クリニックは174例を甲状腺学会で報告しています。(第55回 日本甲状腺学会 O-05-05 A群β溶血性連鎖球菌感染症とバセドウ病発症・増悪:季節変動に関する変動)

バセドウ病発症・増悪の原因として、アレルギー性鼻炎・花粉症も有名であり、春から夏のピークに一致します。溶連菌感染症のピークに重なるため、どちらも影響していると思われます。( 甲状腺とアレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎・好酸球増多症 )

A群ベータ溶連菌(A群溶血性レンサ球菌、化膿性連鎖球菌)による急性扁桃炎・咽頭炎そのもの

溶連菌感染症は定点観測の5 類感染症。

A群ベータ溶連菌(A群溶血性レンサ球菌、化膿性連鎖球菌)による急性扁桃炎・咽頭炎は、

  1. 突然の発熱と全身倦怠感
  2. 咽頭痛(咽頭と扁桃に発赤を認め、扁桃は腫脹)
  3. 四肢に発疹(癒合傾向のある紅色小丘疹)
  4. 猩紅熱;点状紅斑様、日焼け様の皮疹
  5. 結節性紅斑
  6. 白苔に覆われた舌(白イチゴ舌)→苺(イチゴ)舌

など、川崎病と似た症状で鑑別必要。

家族内感染するため、インフルエンザ新型コロナウイルスとの鑑別が問題になりますが、A群ベータ溶連菌性急性扁桃炎・咽頭炎の潜伏期間は約2~5日と短く、苺(イチゴ)舌があるので鑑別は付きます。

  1. 急性甲状腺炎と鑑別を要する急性喉頭蓋炎 を起こす事もあります。
  2. 急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍の原因になります(Ned Tijdschr Geneeskd. 2018 Nov 26;162:D3081.)

好中球優位の白血球上昇がみられ、伝染性単核球症のリンパ球優位と異なります。

A群ベータ溶連菌性急性扁桃炎・咽頭炎の診断は、咽頭培養も迅速検査もあてになりません。常在菌を検出するだけの可能性が高いからです。

溶連菌感染症治療の第一選択薬はアモキシシリンなどのペニシリン系抗菌薬です(市中感染の溶連菌で耐性菌は稀なため)。ペニシリン系抗菌薬は伝染性単核球症では皮疹をきたすため禁忌。

抗菌薬投与後1-2日で解熱。解熱して元気が回復すれば登校可(出席停止期間は定められていない)。

レンサ球菌咽頭炎・扁桃炎

レンサ球菌咽頭炎・扁桃炎

いちご舌

いちご舌

猩紅熱

猩紅熱

溶連菌感染症四肢に発疹(癒合傾向のある紅色小丘疹)

溶連菌感染症四肢に発疹(癒合傾向のある紅色小丘疹)

IgA血管炎(アナフィラクトイド紫斑、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病

IgA血管炎アナフィラクトイド紫斑ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)は血管壁にIgAの免疫複合体が沈着しておこるIII型アレルギー性小動脈血管炎。

IgA血管炎(アナフィラクトイド紫斑、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)の誘因となる先行感染は、

  1. 溶連菌による上気道炎
  2. パルボウイルスB19ウイルス(家族内発症ある、無痛性甲状腺炎も誘発)
  3. 水痘帯状疱疹ウイルス感染

先行する感染症の後、発熱して、以下の症状を呈します。

  1. 紫斑の皮膚症状(70%)。左右対称、下腿伸側を中心に小豆大、軽度隆起、融合する紫紅色斑や皮下点状出血。血管炎による出血なので圧迫しても退色しません。
      
  2. 腿中心の関節痛(中~大関節)(60%)
      
  3. 紫斑病性腎炎(50%);生検でメサンギウム領域にIgA沈着を認め、IgA腎症と鑑別要です。大半は、短期に終了し予後良好ですが、再発がしばしばあります。重症型は、免疫複合型急速進行性糸球体腎炎で、急速進行し補体が低下します。補体の低下は、予後を最も左右する。
      
  4. 腹痛、消化管出血(50%);十二指腸・小腸の血管炎。急性腹症で手術されるほどの激痛になることも。紫斑に先行する腹痛(10~40%)の場合は、診断が極めて困難。
     
  5. 血管炎なので、歯肉出血はおこらない。歯肉出血は血小板減少に伴う出血。
IgA血管炎(アナフィラクトイド紫斑、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)

病理組織検査では小血管周囲の多核白血球を中心とした炎症性細胞浸潤と血管壁のIgA沈着を認めます。

IgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病)では、血液凝固の最終段階で他の血液凝固因子を網目状につなぎ合わせる血液凝固第ⅩⅢ因子が低下しています。PT-INRが延長。血液凝固第ⅩⅢ因子の補充治療がなされます。

また、血清IgAが約50%で上昇、先行感染がある場合にはA群β溶血性連鎖球菌の抗体[抗ストレプトリシンO抗体(ASO)、抗ストレプトキナーゼ抗体(ASK)]が上昇している場合も。

IgA血管炎(アナフィラクトイド紫斑、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)

IgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病)の皮膚症状(紫斑)と十二指腸・小腸の血管炎(Dig Endosc 2014 ;533-6.)

ヘノッホシェーンライン紫斑病 十二指腸・小腸の血管炎
IgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病) PAM染色標本

IgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病) PAM染色標本;糸球体の左側は細胞増殖し、半月体形成しています。

IgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病) 蛍光抗体IgA染色標本

IgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病) 蛍光抗体IgA染色標本;糸球体係蹄壁とメサンギウムにIgAが染色されています。

IgA血管炎(アナフィラクトイド紫斑、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)と甲状腺の病気の鑑別

バセドウ病/甲状腺機能亢進症で、抗甲状腺薬MMI(メルカゾール)、PTU(プロパジール、チウラジール)服薬中の方は、

  1. ANCA関連血管炎
  2. 薬剤誘発性過敏症 (重症薬疹)

との鑑別が問題になります。

  1. 関節痛、急速進行性糸球体腎炎はANCA関連血管炎(MPO-ANCA関連血管炎の症状
  2. 紫斑薬剤誘発性過敏症

と似ています。

  1. バセドウ病/甲状腺機能亢進症に合併し、抗甲状腺薬MMI(メルカゾール)投与後に悪化したIgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病)[Case Rep Endocrinol. 2021 May 22;2021:6669653.]
  2. 橋本病(慢性甲状腺炎)IgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病)の双子姉妹[Endokrynol Pol. 2020;71(6):573-574.]
  3. 出産後紫斑病性腎炎を発症した橋本病(慢性甲状腺炎)女性[Fukushima J Med Sci. 1994 Jun;40(1):45-9.]
  4. 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)ウイルスが引き金となり、亜急性甲状腺炎急速進行性糸球体腎炎型の紫斑病性腎炎を発症した12歳男児[Turk J Pediatr. 1996 Jan-Mar;38(1):131-5.]

の報告があります。

バセドウ病・甲状腺機能亢進症に合併したIgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病)

バセドウ病・甲状腺機能亢進症に合併したIgA血管炎(ヘノッホシェーンライン紫斑病)[Case Rep Endocrinol. 2021 May 22;2021:6669653.]

急性糸球体腎炎

急性糸球体腎炎は、A群β溶連菌による急性上気道炎の約1週間-10日後に発症します。小児~若年者に多いですが、成人してから起こる場合があります。

急性糸球体腎炎の症状は、

  1. 血尿
  2. 急性腎不全に伴う尿量減少・むくみ(浮腫)・高血圧
    高血圧脳症(高血圧性脳症)[Reversible Posterior Leukoencephalopathy Syndrome(RPLS)]おこす事も

急性糸球体腎炎の検査所見は、

  1. 尿検査で血尿・蛋白尿、赤血球円柱
  2. 血液検査で、溶連菌感染マーカーのAnti-Streptolysin O(ASO)、Anti-streptokinase(ASK)抗体価が上昇し、低補体血症を認めます。

急性糸球体腎炎の治療にステロイド薬は不要で、腎予後は良好。

赤血球円柱

人食いバクテリ、劇症型溶血性連鎖球菌感染症(Toxic Shock-like Syndrome)

劇症型溶血性連鎖球菌感染症(Toxic Shock-like Syndrome)は人食いバクテリア(主にStreptococcus pyogenes)が:医師に届出義務のある全数把握疾患(5類感染症)で、7日以内に届出が必要です。

A群ベータ溶血連鎖球菌だけでなく、B群溶連菌でもおこります。侵入経路は皮膚・咽頭・膣など。

症状は、手足の筋肉が急に痛くなり腫れてきます。 熱発、水疱形成、数時間~数日(1時間に2-3cmの速度)で急速に腐っていきます(壊死性筋膜炎)。敗血症性ショック、多臓器不全で30%が死に至りますが、間に合えばペニシリン大量+クリンダマイシン投与、デブリドメント(壊死組織除去)+ドレナージ(排膿)が効きます。(臨床医 2001; 27: 1509-1511.)

診断は

  1. 水疱内容液をA群ベータ溶血連鎖球菌抗原キットで調べる
  2. 血液塗抹標本で溶連菌を確定
  3. 水泡内容液培養、血液培養(間に合わない)
  4. 下肢CT検査

顔面-頸部にかけて発症した劇症型A群溶連菌感染症

顔面-頸部にかけて発症した劇症型A群溶連菌感染症が報告されています。あたかも、甲状腺未分化癌甲状腺原発悪性リンパ腫橋本病急性増悪の様で、急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍の合併・鑑別も重要です。ただ、これら甲状腺の病気も劇症型A群溶連菌感染症ほど急速ではありません。

報告では、耳掃除した後から耳出血・耳漏で発症。見る見る内に、顔面-頸部が発赤し、中~下咽頭に全周性の腫脹を認め気管切開。頸部腫脹部を切開すると、筋膜は灰白色に変色し排膿は見られず、白濁した滲出液を認め壊死性筋膜炎の状態。(Nippon Jibiinkoka Gakkai Kaiho (Tokyo) 108: 226-229, 2005)

針治療後 に発症 した激症型A群 レンサ球菌感染症が長崎県、神奈川県、近畿では長浜赤十字病院等で続々報告されています。針でやせる・糖尿病がよくなるなど嘘八百の針治療にだまされないよう!

結節性紅斑

結節性紅斑は感染アレルギーによる痛い結節、溶血性連鎖球菌以外にもベーチェット病、サルコイドーシスによることも。(結節性紅斑の治療で無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症

A群レンサ球菌性髄膜炎

A群レンサ球菌性髄膜炎は、成人の髄膜炎に占める割合は1~2%と少ない[厚生労働省.速報(平成24年度・疫学解析)]。治療薬はアンピシリン。橋本脳症と鑑別。成人での死亡率は27%( Clin Infect Dis 2002; 34: e32-e36.)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

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