検索

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)とは限らない眼の病気・まぶたの腫れ[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

このエントリーをはてなブックマークに追加

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

フォークト―小柳―原田病

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会 学術集会で入手した知見です。

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等   糖尿病編 をクリックください

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、甲状腺眼症バセドウ病眼症橋本病眼症、眼の病気の診療は行っておりません。これらは眼科で行うものです。

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)とは限らない眼の病気

Summary

甲状腺機能低下症/橋本病、甲状腺機能亢進症/バセドウ病を合併する事あり、甲状腺眼症バセドウ病眼症橋本病眼症)に似ている、ベーチェット病ぶどう膜炎、サルコイドーシス、原田病(フォークト―小柳―原田病)、HTLV-1関連ぶどう膜炎IgG4関連眼症、眼窩内炎症性偽腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球症、視神経炎の多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎関連病(NMO-SD)、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、眼神経障害のフィッシャー症候群、ビッカースタッフ型脳幹脳炎、眼神経の物理的圧排、糖尿病性単神経(動眼神経など)障害、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、進行性核上性麻痺。

Keywords

バセドウ病眼症,甲状腺眼症,ベーチェット病,サルコイドーシス,原田病,HTLV-1関連ぶどう膜炎,IgG4関連眼症,甲状腺,多発性硬化症,糖尿病性単神経障害

ベーチェット(Behçet)病

ベーチェット(Behçet)病は血管炎による慢性炎症で、3大ぶどう膜炎の1つ(甲状腺眼症と鑑別)、結節性紅斑様皮疹、外陰部潰瘍/副睾丸炎、口腔内アフタ、単関節炎などの症状を認めます。

甲状腺眼症に似たベーチェット(Behçet)病ぶどう膜炎。特に、若年男性で発症したベーチェット(Behçet)病は、ぶどう膜炎を合併する頻度が高く、失明する危険性があります。口腔内潰瘍、関節炎、結節性紅斑様皮疹からベーチェット病を疑えば、すぐに眼科受診を勧めねばなりません。

非肉芽腫性ぶどう膜炎のベーチェット(Behçet)病の角膜後面沈着物は、非常に小さく、前房には白血球がたまる前房蓄膿になります。

ベーチェット(Behçet)病の甲状腺自己抗体保有率は16.9%とされます(The Scientific World Journal Volume 2013 (2013), Article ID 956837, 4 pages)。無痛性甲状腺炎を合併した小児ベーチェット病が報告されており、ベーチェット病に対するステロイド投与で無痛性甲状腺炎も沈静化します。(第56回 日本甲状腺学会 P1-053 無痛性甲状腺炎を伴った不全型ベーチェット病の13 歳女児例)

ベーチェット病の詳細は、甲状腺と口内病変 を御覧ください。

サルコイドーシス

眼にできるサルコイドーシスは、甲状腺眼症/バセドウ病眼症に似た症状になります。眼サルコイドーシスは3大ぶどう膜炎の1つで、片眼性の霧視と飛蚊症、眼底検査で雪玉状の硝子体混濁おこし、ベーチェット(Behçet)病原田病(フォークト―小柳―原田病)と鑑別要。

肉芽腫性ぶどう膜炎である眼サルコイドーシスは、眼底検査で豚脂様角膜後面沈着物(原田病(フォークト―小柳―原田病)でもおこる)を認めます。

の詳細は、 サルコイドーシス を御覧ください。

眼サルコイドーシス

原田病(フォークト―小柳―原田病)

正式にはフォークト―小柳―原田病と言います。メラニン色素細胞に対する自己免疫が原因で、メラニン色素の多い目、耳、髄膜、皮膚、毛髪などで炎症が起こります。フォークト―小柳―原田病の症状は

  1. 3大ぶどう膜炎の1つで、活動性の高いバセドウ病眼症(甲状腺眼症)のような両眼の充血、かすんで見える・ゆがんで見える、視力低下を自覚し、眼科へ行くと「疲れ眼」(眼科A)、「アレルギー性結膜炎」(眼科B)と言われた患者さんがいました。元々、甲状腺機能亢進症/バセドウ病で長崎甲状腺クリニック(大阪)で治療(メルカゾール1錠で数年間、安定)していたため、診察した所、ぶどう膜炎・網膜炎の可能性あるため大阪急性期総合医療センター眼科へ紹介、フォークト―小柳―原田病だった。(実話)

    肉芽腫性ぶどう膜炎であるフォークト―小柳―原田病は、眼底検査で豚脂様角膜後面沈着物(眼サルコイドーシスでもおこる)を認めます。
     
  2. 内耳炎による感音性難聴、甲状腺機能低下症のような耳鳴り、めまい
     
  3. 橋本脳症のような髄膜炎よる発熱、頭痛
     
  4. 長引くと、甲状腺機能低下症/橋本病のような白斑、脱毛
    副腎皮質機能低下症のような脱毛
    亜鉛欠乏症のような白髪、脱毛

などです。ステロイドパルス療法と、その後のステロイド内服が一般的です。それでも20~30%に再発がみられ、長期のステロイド投与を余儀なくされます。

HTLV-1関連ぶどう膜炎

HTLV-IキャリアーのみならずHTLV-1関連ぶどう膜炎HTLV-I関連脊髄症(HAM)と、橋本病(慢性甲状腺炎)バセドウ病の合併が報告されています[J. Int. Med., 230, 89 (1991)]。

橋本病ではHTLV-Iキャリアーの占める率が高く、ウイルスの関与が疑われます[医学のあゆみ,160,203(1992)]。

バセドウ病経過中に成人T細胞白血病(ATL)HTLV-1関連ぶどう膜炎を合併した症例では、B細胞主体の通常のバセドウ病と異なり、浸潤リンパ球は集簇部ではT・B細胞が相半ば、濾胞間や上皮間ではCD4陽性T細胞が混在するも、B細胞はほとんどみられなかったとされる(5回日本臨床電顕学会抄録集,1993,p.Sl53)。

特に、バセドウ病HTLV-1関連ぶどう膜炎を合併した症例では、高熱・眼痛・視力低下あり、

  1. バセドウ病眼症・原田病・サルコイドーシス・ベーチェット病との鑑別必要
  2. 抗甲状腺薬(メルカゾール)との関連が示唆されていて、プロパジール・チウラジールに変更必要との説あり。これについては本当か否か筆者は回答できません。

(第55回 日本甲状腺学会 P1-01-12 チアマゾール使用中にぶどう膜炎を来したHTLV-1陽性バセドウ病の一例)

ANCA関連血管炎(ブドウ膜炎)

IgG4関連眼症

最近話題のIgG4関連疾患でも、バセドウ病眼症/橋本病眼症と同じ症状をおこします。外眼筋肥厚に加え、涙腺腫脹・耳下腺腫脹(ミクリッツ病)を認めることが多く、涙腺生検にてIgG4 陽性形質細胞浸潤を証明。

眼窩内炎症性偽腫瘍

眼窩内炎症性偽腫瘍:急性~亜急性の眼窩内の非特異的炎症で、眼筋でおこるとバセドウ病眼症(甲状腺眼症)と鑑別難。よほどバセドウ病眼症(甲状腺眼症)に精通した眼科医でなければ難しいでしょう。(第55回 日本甲状腺学会 P2-07-06 甲状腺眼症との鑑別を要した眼窩炎症性偽腫瘍の1 例

ランゲルハンス細胞組織球症

ランゲルハンス細胞組織球症の一つHand Schuller‐Christian病は、ランゲルハンス細胞の非腫瘍性増殖で、頭蓋骨の欠損(骨の黄色腫様変化)・眼球突出・尿崩症をおこします。多くは小児期発症で、小児バセドウ病眼症と鑑別必要。

雪眼炎(電気性眼炎、紫外線角結膜炎)

雪眼炎(電気性眼炎)

紫外線は波長の長い順にUVA、UVB、UVCの成分があり、波長の短いUVCが最も組織障害を起こします。強い紫外線による角膜・結膜の炎症で、紫外線暴露後数時間して、眼痛、流涙、羞明がおこり、重症例は角膜潰瘍に至ります(雪眼炎、電気性眼炎、紫外線角結膜炎)。

雪眼炎、電気性眼炎、紫外線角結膜炎は、雪山、ウインタースポーツ(スノボなど)、海辺、日焼けサロンに行った後、保護具を外した溶接作業で起こります。数日以内に自然軽快する事が多いですが、自然治癒を促進するためヒアルロン酸点眼や抗生剤点眼をします。紫外線をカットするサングラスで予防。

翼状片

翼状片

翼状片は、紫外線に長い年月晒される事により、白目の部分(結膜)が増殖し、黒目(角膜)に三角形状に入り込んでくる病気。

翼状片はサーファーや農業従事者、屋外労働者に多いです。

翼状片の症状は、結膜の充血や異物感、ものが歪んで見え(乱視)、視野が狭くなり(視野狭窄)、視力が低下します。

翼状片は手術を行っても再発が多く、この傾向は年が若いほど顕著です。再発率を下げるため羊膜移植を行う事があります。

網膜色素変性症

網膜色素変性症は、遺伝子変異により網膜の視細胞と色素上皮細胞が変性する病気です。徐々に進行し、最初は暗い所ではたらく杆体細胞が障害され、夜盲と視野狭窄を来します。進行すると視力低下、色覚異常、光視症、羞明が起こります。

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)

多発性硬化症(MS)と視神経脊髄炎は治療法が全く違います。正確な診断が重要です。

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は、神経線維の髄鞘・髄鞘を形成する乏突起膠細胞を標的とする自己免疫疾患。人口10万人あたり10人以下と稀ですで、約70%は女性、30歳前後にピークがある点が甲状腺機能亢進症/バセドウ病に似てります。

約6.4%に自己免疫性甲状腺疾患を合併します(Mult Scler. 2015 Mar;21(3):282-93.)。

ストレスが誘因となり発症する点も甲状腺機能亢進症/バセドウ病と同じです。

多発性硬化症(MS)は、前駆症状として発熱、頭痛、感冒様症状を認める事もあり、亜急性甲状腺と似ています。

多発性硬化症(MS) MRI画像

多発性硬化症(MS)では50%で複視、眼のかすみなどの視神経障害、視力低下が最も多い症状。バセドウ病眼症(甲状腺眼症)と同じく、眼科を受診しても眼底検査で異常なし。数週間で自然に改善します。

多発性硬化症(MS)は「時間的・空間的多発性」から、視神経症状と他の神経症状が、時間差を置いて出現、自然軽快した後、再出現。

多発性硬化症(MS)は視神経炎なのでMRIを撮影すれば鑑別可能。眼窩MRIで同時に写った脳で、脳室周囲、皮質下白質に多発性の脱髄巣(T2高信号の病巣)を認めます。また、脱髄巣は血管の分布に一致しません。

視覚誘発電位/体性感覚誘発電位で異常を認める事もあります。 

脳脊髄液所見は初圧正常、細胞数正常-軽度増加(単核球)、蛋白正常-軽度増加(オリゴクローナルバンド陽性、ミエリン塩基性蛋白上昇)、糖正常

多発性硬化症(MS)の急性期治療は、ステロイドパルス療法でバセドウ病眼症も同じ治療。IFNβ製剤/ミトキサントロンが有効。INFベータ使用で自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病橋本病)誘発の可能性。(第55回 日本甲状腺学会 P1-02-12 多発性硬化症を合併により視力障害を来したバセドウ病の2 例)

アレムツズマブは、リンパ球や単球上の CD52 を標的とするヒトモノクローナル抗体で、早期多発性硬化症に有効な治療薬です。アレムツズマブの33%で自己免疫性甲状腺事象(ATEs)がおこり、63%が甲状腺機能亢進症/バセドウ病、15%が橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病の15%は変動し、12%が自然寛解します。(J Endocrinol Invest. 2020 Feb;43(2):219-229.)(Mult Scler J Exp Transl Clin. 2020 Jun 18;6(2):2055217320933928.)

※筆者の勝手な推論ですが、無痛性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症橋本病と取り違えているのではないかと思います。

多発性硬化症(MS)に甲状腺乳頭癌甲状腺髄様癌の両方を合併し、‎エプスタインバーウイルス (EBV)‎の関与が疑われた報告があります(Exp Ther Med. 2020 Oct;20(4):3458-3461.)。

視神経脊髄炎関連病(NMO-SD)

視神経脊髄炎関連病(NMO-SD):水チャンネルに対する自己免疫病で、抗アクアポリン-4抗体(抗AQP-4抗体により神経線維の髄鞘が壊れる脱髄疾患です。バセドウ病橋本病シェーグレン病、SLE(全身性エリテマトーデス)が合併。

膵ベータ細胞を自己免疫で破壊する1型糖尿病との合併は健康人より多いとされます。糖尿病性網膜症の重複が紛らわしくなります。

視神経脊髄炎は

  1. 失明に至る視神経炎;抗アクアポリン-4抗体(抗AQP-4抗体)陽性者では、急速に網膜神経節細胞の壊死が始まるため、採血の結果を待たずにステロイドパルス療法を開始。
  2. 女性に多く、発症年齢が高く
  3. 髄液細胞と蛋白の増加が高度だがオリゴクローナルバンドの陽性率低い
  4. 頭部MRI所見が軽微、脊髄MRI所見が高度
  5. 甲状腺関連自己抗体(抗TSH 受容体抗体,抗サイログロブリン抗体抗ぺルオキシダーゼ抗体)
    シェーグレン症候群関連自己抗体(抗SS-A 抗体,抗SS-B 抗体)
    高カルジオリピン抗体
    抗甲状腺薬(メルカゾール・プロパジール・チウラジール)内服中にも出現するMPO-ANCAなど自己抗体の発現頻度が高い(J Neurol Neurosurg Psychiatr 82:1360-1364, 2011.)
  6. 内分泌異常(尿崩症など視床下部異常)を伴う

などの特徴があり、甲状腺眼症バセドウ病眼症橋本病眼症)に似ています。甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病を合併すると、増々、見分けが付きにくくなります

抗MOG抗体は保険適応外。抗MOG抗体陽性者はステロイド反応性が良い。

最悪の内頸動脈-後交通動脈瘤

内頸-後交通動脈瘤

本ページの中で、最悪なのが内頸動脈-後交通動脈瘤です。破裂すればくも膜下出血で死に直結します。

破裂前の動脈瘤が動眼神経を外から圧迫した時の症状は眼奥部痛と瞳孔散大による羞明(まぶしく感じる)です。圧迫が高度なら眼球運動障害も起こります。

原因のない動眼神経麻痺は、内頸動脈-後交通動脈を疑い、緊急MRA、MRIを行いましょう。

(図; 国立循環器病研究センターより改変)

海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻

海綿静脈洞硬膜動静脈瘻で、動脈から海綿静脈洞へ流れ込んだ血液が、上眼静脈へ逆行する場合、

  1. 外転神経を圧迫し、外転神経麻痺
  2. 眼球突出
  3. 眼窩外側縁で血管性雑音
  4. 眼球結膜、眼瞼の充血・浮腫

を起こします。

海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻の治療は、血管内治療、海綿静脈洞コイル塞栓術です。

海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻 眼球結膜、眼瞼の充血・浮腫

眼球結膜、眼瞼の充血・浮腫

海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻 眼窩MRI画像

眼球周囲の浮腫

海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻 頸動脈造影検査

頸動脈造影検査;内頸動脈から海綿静脈洞へシャント、拡張した上眼静脈が逆行性に描出。

フィッシャー症候群

フィッシャー症候群:ギラン・バレー症候群の亜型。呼吸器・消化器系(カンピロバクター、インフルエンザ桿菌)の感染(鶏肉を食べて1週間後発熱)に引き続いて1-3週間後に発症。末梢神経障害によるシビレ、ふらつき(運動失調)、眼を動かす脳神経(動眼神経)が障害され両側性複視(物が二重に見える)、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)と鑑別要。

髄液検査で細胞数少なく、総蛋白上昇し蛋白細胞解離。神経線維のガングリオシドGQ1bに対する血中IgG抗体(抗GQ1b抗体)が出現。カンピロバクター、インフルエンザ桿菌はGQ1b様構造を持つため、抗GQ1b抗体が産生される可能性がある。

ビッカースタッフ型脳幹脳炎

ビッカースタッフ型脳幹脳炎はバセドウ病眼症(甲状腺眼症)のように外眼筋麻痺・顔面神経麻痺・運動失調・甲状腺機能亢進症/バセドウ病に伴う低カリウム性周期性四肢麻痺のような四肢麻痺などをおこし、ギラン・バレー症候群と同様に血中自己抗体(抗ガングリオシド抗体)が陽性になる自己免疫性脳幹脳炎。

眼神経の物理的圧排

眼神経の物理的圧排

  1. 内頚動脈による圧排(寛解・増悪を繰り返すことあり)
  2. 癌性髄膜炎:眼の筋肉を動かす神経(眼神経)・顔面神経(顔の筋肉を動かす・味覚をつかさどる神経)が最初に障害されます。
  3. 脳動脈瘤による動眼神経麻痺:片側のみの眼瞼下垂・瞳孔散大をおこします。
  4. 内頸動脈海綿静脈洞瘻(硬膜動静脈瘻)は、結膜充血、眼球突出、複視の他、耳鳴り、静脈圧亢進による脳梗塞。治療は血管内手術(海綿静脈洞塞栓術)
眼神経の物理的圧排

糖尿病性単神経(動眼神経など)障害

糖尿病性外眼筋麻痺糖尿病の1%に合併、動脈硬化性血流障害で高齢者におこりやすいとされます。半数で発症前から眼窩内や眼周囲の痛みが先行。動眼神経麻痺が最も多く、眼球運動障害・眼瞼下垂をきたすが散瞳を生じないのが特徴(神経辺縁部は虚血が軽い)。次いで外転神経麻痺。滑車神経麻痺では頭部を健側に傾けると複視が改善します。3カ月で自然回復します。バセドウ病眼症(甲状腺眼症)との鑑別要。

ウェルニッケ・コルサコフ症候群

進行性核上性麻痺

進行性核上性麻痺は、急速・重症型のパーキンソン症候群で、橋本病眼症(甲状腺眼症)のような垂直性核上性注視障害(眼球が上下方向に動きにくく、下方が見にくくなる)、甲状腺機能低下症/橋本病のような構音障害・嚥下障害、認知障害をおこします。

ボツリヌス菌食中毒

ボツリヌス菌

ボツリヌス菌は

  1. 嫌気性グラム陽性桿菌
  2. 芽胞を形成;中水準消毒薬ポビドンヨード(イソジン®)の消毒効果乏しく、通常の加熱調理では滅菌できない
  3. 菌体外毒素を産生;ボツリヌス毒素は神経筋接合部のアセチルコリンの遊離を阻害、神経麻痺をおこす。80℃で20分、100℃で1-2分の煮沸で不活化される。

ボツリヌス菌食中毒は、

  1. 蜂蜜などに混入したボツリヌス菌が原因でおこります。
  2. 食中毒症状;悪心・嘔吐のみ、腹痛まれ、発熱ほとんどない
  3. 眼筋麻痺;複視、散瞳、眼瞼下垂(ボツリヌス菌体外毒素による神経麻痺)
  4. 呼吸筋(横隔膜・肋間筋)麻痺;呼吸困難(ボツリヌス菌体外毒素による神経麻痺)

ボツリヌス菌食中毒の治療は、早期に抗毒素血清を投与し、人工呼吸管理をおこなう。

免疫機能が未発達な乳幼児が蜂蜜を摂取すると、ボツリヌス菌食中毒(乳児ボツリヌス症)を起こす危険があるため、1歳未満の乳幼児に蜂蜜は禁忌です。

「災い転じて福となす」、ボツリヌス毒素が良性甲状腺眼症(バセドウ病眼症)の上眼瞼後退に有効

ボツリヌス毒素Aの注射が良性甲状腺眼症(バセドウ病眼症)の上眼瞼後退の治療に有効との報告があります。初回ボツリヌス治療後、

  1. 上眼瞼後退は約80%で改善
  2. Dalrymple徴候(正面視で上眼瞼が過度に挙上)は約50%で消失
  3. Graefe徴候(下方視で上眼瞼の下に白い強膜をみる)はほとんど改善しません。

(Acta Ophthalmol Scand. 2001 Dec;79(6):585-8.)(Br J Ophthalmol. 2017 Aug 9:bjophthalmol-2017-310695.)(Rinsho Ganka 2007;61(8):1509-1512.)

斜視

斜視は左右の視線が合わず、片方の視線が別の方向に向いている状態。斜視の原因は、

  1. 眼筋、眼筋を動かす神経の異常
  2. 遺伝性;子供の約2%に斜視
  3. 強い遠視
  4. 片眼の視力低下
など。
外斜視

斜視の症状は

  1. 立体視ができない
  2. 小児は片側の視力発達が妨げられる
  3. 片眼で見るため、眼精疲労が強い
  4. 見え易い様に首を傾ける斜頸→肩こり、頭痛

外見で明らかに斜視と言えない場合も、ペンライトを正面にかざし、目に映るライトの影が黒目を大きく外れていれば斜視と分かります。

眼窩底骨折

眼窩底骨折

眼窩は、眼球が入っている骨のくぼみで、頭蓋骨の眼の部分を想像していただければ良いでしょう。眼窩底骨折は、眼窩の底の骨折です。そもそも眼窩底は薄っぺらい骨なので、交通事故、ラグビー、ボクシングなど強い衝撃が加わると簡単に骨折します。

眼窩底骨折では、目を動かす神経、血管、眼筋などが同時多発性に障害され、複視、眼球運動障害などを起こします。

写真は、1カ月前に左眼部に野球ボールが当たり、複視(物が2重に見える)が続く症例。上を見た状態で、左下直筋の伸展障害により、左眼が上に向きません。ぱっと見では、骨折している様には見えず、野球の話が無ければ片眼性のバセドウ病眼症(甲状腺眼症)と誤認するかもしれません。

眼窩の硬膜外血腫

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)と誤認された眼窩の硬膜外血腫の報告があります。ゆっくりと進行したため、硬膜外血腫と分からなかったようです。離れた場所の頭部外傷が原因でした。(J Clin Neuroophthalmol.)

まぶたの腫れ:バセドウ病眼症との鑑別

バセドウ病眼症(甲状腺眼症)との鑑別必要な瞼(まぶた)の腫れ

  1. 血管神経性浮腫:血管運動神経の興奮、キニン系亢進により毛細血管の透過性亢進で、眼周囲のむくみ・口舌浮腫(気道閉塞おこすことも)。降圧薬のARB/ACE阻害薬・Ca拮抗薬・アルテプラーゼ(血栓溶解剤)などでおこります
     
  2. 遺伝性血管性浮腫(クインケ浮腫)
     
  3. 重症筋無力症の夕方増強する眼瞼下垂(甲状腺と密接な胸腺腫/重症筋無力症)
     
  4. 老人性眼瞼下垂
     
  5. 皮膚筋炎のヘリオトロープ疹(甲状腺と筋肉痛・筋けいれん)
     
  6. 成人T細胞白血病リンパ腫の浸潤による眼瞼炎・眼窩内炎、HTL-V1関連ブドウ膜炎 
      
  7. IgG4関連眼症(IgG4関連甲状腺炎)
     
  8. 好酸球性肉芽腫(木村病):上眼瞼涙腺の好酸球性肉芽腫。好酸球増多とIgE増加を認める。(臨床眼科67巻 3号pp. 331-335)
     
  9. ホルネル(ホルナー)症候群
     
  10. ミトコンドリアミオパチーミトコンドリアDNA異常で起こる両眼性眼瞼下垂、慢性進行性外眼筋麻痺。脳卒中様の症状を伴うメラス(MELAS)、ミオクローヌスてんかんを伴うマーフ(MERRF)などの病型がある。しばしば糖尿病や難聴を合併。(甲状腺の病気に似ているミトコンドリア病
     
  11. ボツリヌス菌食中毒 
     
  12. ハードコンタクトレンズの長期使用。ハードコンタクトレンズの機械的刺激による。

眼瞼下垂:ホルネル(ホルナー)症候群 

視床下部から頚部交感神経節~内頚動脈へと至る交感神経路障害で生じる

  1. 中等度縮瞳(瞳孔散大筋障害)
  2. 眼瞼下垂(眼裂狭小、上眼瞼挙筋障害)
  3. 眼球陥凹(眼球後退)
  4. 顔面の発汗低下

です。視床前核梗塞、Wallenberg症候群、頚部外傷、巨大甲状腺腫・甲状腺腫瘍甲状腺癌手術合併症甲状腺癌転移リンパ節/悪性リンパ腫の圧迫、急性化膿性甲状腺炎による頚部膿瘍、内頚動脈瘤・閉塞、パンコースト腫瘍(下記などにより生じます。 

眼瞼下垂:ホルネル(ホルナー)症候群

パンコースト(Pancoast)腫瘍(肺尖部浸潤肺がん;腕神経叢障害による上肢の痺れ(シビレ)と疼痛、肩甲骨の痛みも伴うCT画像(radiopaediaより)。 

パンコースト腫瘍 CT画像

甲状腺乳頭癌によるパンコースト(Pancoast)腫瘍が報告されています。甲状腺下部から下方に浸潤していけばあり得ることです。(Thorax. 1991 Apr;46(4):270-1.)。 

甲状腺乳頭癌によるパンコースト腫瘍 CT画像

老人性眼瞼下垂

老人性眼瞼下垂

瞼を持ち上げる上眼瞼挙筋の老化により、視野が狭くなる病態。眼が重くて開けにくい、真ん中より上が見えにくい、まぶたがうっとうしい等の症状が起こります。また、無意識に顎を上げて下目使いでものを見るため、頭痛・肩こりの原因になります。

 

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪) 

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,浪速区,東大阪市,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

診療時間電話番号や地図はこちら