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甲状腺機能低下症の動脈硬化、甲状腺機能亢進症/バセドウ病と狭心症、心筋梗塞・急性大動脈解離[甲状腺 専門医 橋本病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。心臓疾患の治療は行っておりません。

動脈硬化:専門の検査/治療/知見  [甲状腺 専門医 動脈硬化の長崎クリニック(大阪)]

甲状腺動脈硬化の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等  糖尿病編 をクリックください

Summary

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病動脈硬化が進行、急性冠症候群、不安定狭心症、心筋梗塞、大動脈弁狭窄症、急性大動脈解離とDIC・心タンポナーデ、腹部大動脈瘤、カテーテル後コレステロール塞栓症が起おこり得ます。甲状腺機能亢進症/バセドウ病では①心筋細胞の酸素需要量増大、拡張期の短縮などにより不安定狭心症おこす可能性、最悪、心筋梗塞に、②冠攣縮(心臓自身を栄養する冠状動脈のケイレン)による異型狭心症も報告あり、③肥大型心筋症に合併すると左室流出路狭窄が増悪し突然死の危険、④循環血液量も増加し、心不全、心臓弁膜症も悪化。

Keywords

狭心症,心筋梗塞,甲状腺機能低下症,潜在性甲状腺機能低下症,動脈硬化,心臓,急性大動脈解離,急性冠症候群,甲状腺機能亢進症,バセドウ病

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症から動脈硬化と心臓病・急性大動脈解離 

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります。甲状腺ホルモン剤[レボチロキシン(チラーヂンS)]で治療すれば、血管年齢など動脈硬化が改善することを、私、長崎俊樹が医学界で初めて証明しました。甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病を放置すると[患者さん自身が特に症状ないからと放置する場合、知識のない内科医や内分泌専門医(甲状腺専門医とは別です)が「大した事ないやろ」と放置する場合]、以下のようなトンデモナイ事になります。

動脈硬化が原因でおこる急性冠症候群(狭心症/心筋梗塞)、急性大動脈解離を以下に解説します。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病から急性冠症候群、弁膜症、肥大型心筋症、突然死

心筋虚血、狭心症、心筋梗塞

甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、

  1. 過剰な甲状腺ホルモンが直接的、間接的に心筋細胞を刺激し、心拍数、心拍出量を増大させます。これにより心筋細胞の酸素需要量が増大し、酸欠状態が生じます。もともと、潜在的な心筋虚血、狭心症を持っていれば顕在化し、不安定狭心症、最悪、心筋梗塞に至ります。
     
  2. 頻拍により拡張期の時間が短くなります。冠動脈(心臓自身を栄養する動脈)は収縮期に心筋で圧迫され、拡張期に圧迫解除され冠血流が増加するので、拡張期時間が短くなると心筋虚血がおこります。
     
  3. 冠攣縮(冠状動脈のケイレン)により、心筋虚血がおこる異型狭心症(あるいは冠攣縮性狭心症)。最悪、心筋梗塞に至ります。(第59回日本甲状腺学会 P1-2-5 バセドウ病が冠攣縮の一因となり発症したと考えられる急性心筋梗塞の2例)

非動脈硬化性の冠攣縮性狭心症

また、甲状腺機能亢進症/バセドウ病では冠攣縮(心臓自身を栄養する冠状動脈のケイレン)による異型狭心症(あるいは冠攣縮性狭心症)の合併が報告されています。最悪、心筋梗塞に至ります。(第59回日本甲状腺学会 P1-2-5 バセドウ病が冠攣縮の一因となり発症したと考えられる急性心筋梗塞の2例)

なぜ甲状腺ホルモン過剰状態で心臓の冠状動脈だけがケイレン(攣縮)するのか不明です。

甲状腺ホルモン自体の直接的な、あるいは間接的に交感神経優位による、血管を収縮させるα刺激作用のためと推察されます。(第56回日本甲状腺学会 P2-002 冠攣縮性狭心症と冠動脈血栓により心室細動を来したバセドウ病の1 例)

治療抵抗性の異型狭心症(あるいは冠攣縮性狭心症)も、甲状腺ホルモンが正常化するに伴い消失するため、甲状腺ホルモンが悪影響を及ぼしているのは疑い無いのですが・・・。

異型狭心症(あるいは冠攣縮性狭心症)

血管攣縮性狭心症(異型狭心症)は心臓を栄養する血管(冠状動脈)が、ケイレンして心臓が酸欠状態になる病気です。主に早朝(あるいは、たばこを吸った時、お酒を飲んだ後)、

  1. 胸が圧迫される、締め付けられる
  2. 喉のあたりの違和感(甲状腺の腫れ・腫瘍などによる圧迫、逆流性食道炎と鑑別要)
  3. 肩の違和感

などの症状が出現。

こんな症状なら狭心症?

狭心症の症状は以下の如くです。甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症でその様な症状あれば、狭心症を疑って下さい。

  1. 前胸部絞扼感(締め付けられるような痛み)・圧迫感;狭心症の最も特徴的な徴候。手掌大の範囲に起こり、数分間(3〜5分)持続。
  2. 左への放散痛;左肩痛・上肢痛・左歯痛・左頚部痛(甲状腺の痛みと勘違い)
  3. 心窩部痛(特に下壁梗塞)・悪心・嘔吐;胃痛・膵炎・総胆管結石と鑑別要
  4. 心不全症状;虚血による一時的な心機能低下で、呼吸困難

冠攣縮性狭心症→致死性心室性不整脈[心室細動(Vf)]→心肺停止

甲状腺機能亢進症/バセドウ病による冠攣縮性狭心症から致死性心室性不整脈[心室細動(Vf)]おこし、心肺停止おこす事もあります。東京女子医科大学八千代医療センターの報告では、心室細動(Vf)による心肺停止から蘇生後、アセチルコリン負荷試験から左冠動脈前下行枝の100%攣縮による冠攣縮性狭心症と診断し、硝酸イソソルビド、ジルチアゼム投与、植込み型除細動器(ICD)挿入がなされたそうです。(第60回日本甲状腺学会 P2-1-1 心室細動と冠攣縮性狭心症を合併したバセドウ病の一例)

肥大型心筋症、心不全、心臓弁膜症も悪化

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に合併する肥大型心筋症では、左室流出路狭窄が増悪し突然死に危険も生じます。また、甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、循環血液量も増加し、心不全、心臓弁膜症も悪化します。

バセドウ病アイソトープ治療後心血管障害

甲状腺機能亢進症/バセドウ病のアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)治療後にも狭心症、心筋梗塞の危険があります。甲状腺が大きい程、多量のアイソトープ(放射性ヨウ素; 131-I)を必要とします。当然、破壊される甲状腺組織が多い程、多量の甲状腺ホルモンが血中へ放出され、心臓を刺激し狭心症、心筋梗塞などを起こし易くします(アイソトープ治療後心血管障害)。

無痛性甲状腺炎による異型狭心症(冠攣縮性狭心症)

甲状腺機能亢進症/バセドウ病が原因の異型狭心症(冠攣縮性狭心症)は、軽快することなく持続しますが、無痛性甲状腺炎による異型狭心症(冠攣縮性狭心症)は無痛性甲状腺が回復期になると軽快し、無痛性甲状腺の再発と共に再燃します。不妊治療(人工授精)の度に無痛性甲状腺と異型狭心症(冠攣縮性狭心症)繰り返す症例も報告されています。
(第58回 日本甲状腺学会 P1-08-04 難治性冠攣縮性狭心症を合併した無痛性甲状腺炎の1 例)
(第57回 日本甲状腺学会 P1-040 不妊治療中に発症した無痛性甲状腺炎の際に冠攣縮性狭心症発作の合併を繰り返した一例)

狭心症、急性心筋梗塞を甲状腺の病気と勘違い!

狭心症、急性心筋梗塞の75%はハートアタックと呼ばれる激痛が起こります(前胸部疝痛)。しかし、残りの25%は前胸部疝痛が無く、

  1. 頚部に放散する痛みを、甲状腺の病気
  2. 顎部に放散する痛みを、虫歯・歯肉炎
  3. 肩部に放散する痛みを、整形外科の病気
  4. 右壁梗塞;右冠状動脈周囲は、副交感神経が密集しているため、それらが刺激され、心窩部痛・不快感、食欲不振おこるため消化器系の病気

と勘違い!

甲状腺超音波(エコー)検査しても、圧痛なく、痛みを説明できる病変なければ、狭心症、急性心筋梗塞を疑い、心電図(EKG)を撮り(ただし、急性心筋梗塞発症後数時間はに変化出ません)、循環器専門医に紹介すべきです。

急性冠症候群

急性冠症候群とは

急性冠症候群は

  1. 不安定狭心症:心筋壊死に至らず。CK-MB・トロポニンT、トロポニンI 軽度上昇(発症後3~8時間後)。
  2. 急性心筋梗塞:心筋壊死。CK-MB・トロポニンT、トロポニンI は高度上昇。両肩への放散痛があれば、心筋梗塞の可能性が最も高い(JAMA. 1998 Oct 14;280(14):1256-63.)
  3. 虚血性心臓性突然死

の総称。冠動脈プラーク(コレステロールエステルを大量に含んだ脂質の塊)が突然破裂し血栓形成され、冠動脈血流が減少・途絶しておこります。(※もともと冠動脈に高度狭窄部があるわけではありません。)

左冠動脈主幹部病変はPCI(経皮冠動脈形成術)行っても、救命率50%程です。

ハイリスク状態の不安定狭心症

  1. 安静時痛・48時間以内・20分以上持続
  2. 冷や汗・嘔吐・呼吸困難
  3. ST低下0.5mm以上・トロポニンT高値

心電図胸部誘導の陰性U波は、プルキンエ線維の再分極によるもので、左室肥大や心筋虚血でみられ注意を要します。

心内膜下梗塞(非ST上昇型心筋梗塞)

心筋の完全閉塞ではないためST上昇は認めません。ST低下、陰性T波で心筋虚血と鑑別難。

左脚ブロック

心筋梗塞で、左脚ブロックの出現は広範囲の心筋障害を示します。

完全左脚ブロック

右脚ブロック+左脚前枝ブロック(二束ブロック)

右脚ブロック+左脚後枝ブロック(二束ブロック)

3度房室ブロック(完全房室ブロック)と三束ブロック

3度房室ブロック(完全房室ブロック)は心房からの興奮が心室に全く伝わらない状態です。急性心筋梗塞で、完全房室ブロックになると心停止の危険が高く、徐脈性心不全、低心拍出量状態となり脳血流不全のAdams-Stokes(失神)発作をおこすため、ペースメーカーが必要になります。

右脚ブロック+左脚前枝・後枝ブロックの三束ブロックも同様の心電図となり、ペースメーカーが必要になります。

心室中隔穿孔

急性心筋梗塞による心筋壊死で、右心室-左心室境界の心室中隔に破裂を生じ、心不全状態になります。穿孔部閉鎖手術するも、すでに心筋がダメージを受けているため手術死亡率は30%です。

冠動脈狭窄・閉塞に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の原則禁忌

冠動脈狭窄・閉塞に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の原則禁忌は、

  1. 左主幹部病変
  2. 3枝病変

いずれも、I・II・aVF・V3-V6 と広範囲でST 低下、さらにaVRがST上昇(EKG cafeより)

3枝病変 心電図

糖尿病心血管障害

甲状腺動脈硬化糖尿病

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります。糖尿病は、言わずと知れた動脈硬化の危険因子です。甲状腺糖尿病の2つがそろえば、相乗効果で動脈硬化が進行します。

甲状腺動脈硬化は、 甲状腺と動脈硬化 ・高コレステロール血症 を、甲状腺糖尿病は、 甲状腺と糖尿病 を御覧ください。

糖尿病心血管障害

糖尿病では心臓を栄養する血管(冠状動脈)の動脈硬化が進み、狭心症/心筋梗塞になる危険性大。糖尿病性神経障害、アルコール性神経障害で感覚神経が障害されると、痛みに鈍くなり、狭心症/心筋梗塞の胸痛に気付かぬ事もあります(無痛性心筋梗塞:通称”笑う心筋梗塞)。

バイアスピリン(アスピリン腸溶錠100mg)は糖尿病の心血管イベントの

  1. (心血管障害にならないようにする)1次予防効果はありません
  2. 65歳以上に限り1次予防効果はあります
  3. (心血管障害になった人が再発しないようにする)2次予防効果があります。

糖尿病の心筋梗塞は予後不良

糖尿病では狭窄部が多く広範囲、3本の冠動脈すべての狭窄が多いため、カテーテル手術(PCI)しても

  1. 細小動脈硬化のため末端心筋へ十分血液が行かず、心機能回復が悪く心不全になる。
  2. 再狭窄を防ぐステント上の血管内皮増殖が糖尿病では強過ぎて再狭窄

1年以内の心臓死は糖尿病10%、非糖尿病5%といわれます。

それおかしいで!?心臓移植の基準

筆者は甲状腺の専門医で、心臓移植については素人ですが、それ故、心臓移植の基準に違和感を感じます。専門家が、非専門家にクイズ形式で出題したセルフトレーニング問題の正解と解説を読んで愕然とした。その内容は、

「心臓移植を受ける事に積極的であれば、呼吸器障害などがなければ、喫煙歴は禁忌とならない」
「”55歳の女性、虚血性心筋症でバイパス術の既往がある。1日40本、25年間の喫煙歴があり、1年前から禁煙している”は、心臓移植の適応である」

と言うものです。虚血性心筋症=(心筋梗塞・狭心症で心臓の筋肉が障害された) 、早い話、不節制に何十年もタバコを吸い続け、周囲の人にも受動喫煙の害を及ぼし、自業自得・因果応報の心筋梗塞・狭心症になったのに、1年間禁煙しただけで、心臓移植で命を伸ばそうなど言語道断です。ある意味、善意のドナー(臓器提供者)に対する冒涜(ぼうとく)に思えます。

筆者が思うに、本来、心臓移植は特発性拡張型心筋症など、患者自身に何の過失もないのに、不幸にも背負ってしまった場合、命のリレーとして行う人道的な治療です。好き放題、タバコを吸いまくったオヤジ、オバサンが、貴重な移植心臓を横取りする事を認めれば(実際、行われていないでしょうが、専門家が公然と認めているのは事実です)、誰が善意でドナー登録をするというのでしょうか?

筆者は絶対にドナー登録しません。

甲状腺と心臓弁膜症

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。心臓疾患の治療は行っておりません。

心臓弁膜症に甲状腺機能亢進症が合併すると心不全悪化・不整脈。ドーパミン受容体刺激薬ガベルゴリン(カバサール®)は心臓弁膜症を悪化。僧帽弁狭窄症による心房細動(Af)は甲状腺機能亢進症/バセドウ病に伴うものと鑑別。甲状腺機能亢進症/バセドウ病の30%に僧帽弁逸脱症。甲状腺癌など担癌患者の大動脈弁狭窄症(AS)は、人工心肺により悪性腫瘍が全身に飛び散るため、経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI) 適応。脈拍が急激に大きくなり、ついで急激に小さくなる速脈は循環血液量多くなる甲状腺機能亢進症、大動脈弁閉鎖不全症(AR)でみられる。

心臓弁膜症,甲状腺機能亢進症,心不全,僧帽弁狭窄症,心房細動,バセドウ病,僧帽弁逸脱症,大動脈弁狭窄症,経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI) ,大動脈弁閉鎖不全症

心臓弁膜症と甲状腺

心臓弁膜症と甲状腺機能亢進症

心臓弁膜症の慢性心不全が基礎疾患として存在すると、甲状腺機能亢進症が加われば、

  1. 心不全悪化
  2. 不整脈が出現、最悪、心室頻拍(VT)による心停止。(第54回 日本甲状腺学会 P212 心室頻拍から心停止を生じ多臓器不全を合併し甲状腺クリーゼの一例)

ドーパミン受容体刺激薬のガベルゴリン(カバサール®)で心臓弁膜症が悪化

TSH不適切分泌症候群(SITSH)の一つ、TSH産生下垂体腺腫は、下垂体からTSH(甲状腺刺激ホルモン)と同時に成長ホルモンプロラクチンが分泌される事あります。プロラクチン産生下垂体腺腫にはドーパミン受容体刺激薬のガベルゴリン(カバサール®)を使用します[保険適応はプロラクチン産生下垂体腺腫だけですがTSH産生下垂体腺腫成長ホルモン産生下垂体腺腫(先端巨大症)にも有効]。

副作用として心臓弁膜症の悪化があり、事前に心臓超音波検査を行い、心臓弁の異常がないか確認する必要があります。

僧帽弁狭窄症と心房細動(Af)

僧帽弁狭窄症 心房細動

僧帽弁狭窄症が原因で起こる心房細動(Af)と、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に伴う心房細動(Af)は紛らわしいですが、写真のように心臓超音波(エコー)検査して、左心房の拡張と僧帽弁の狭窄を確認すれば一目瞭然です。

僧帽弁逸脱症

僧帽弁逸脱症

僧帽弁逸脱症は人口の5-10%に存在し、女性は男性の2倍です。よって甲状腺機能亢進症/バセドウ病に合併する率も高くなります(30%との報告あり)。

ほとんど無症状ですが、胸痛・不整脈による動悸もおこし、甲状腺機能亢進症状と紛らわしいです。

僧帽弁閉鎖不全・感染性心内膜炎(原因の1/3)をおこすと予後不良(突然死、敗血症など)。

聴診で収縮中期クリック・収縮後期雑音があれば疑わしく、心エコーすべきです。胸痛や不整脈による動悸に甲状腺機能亢進症と同じくベータ遮断薬が有効です。

虚血性僧帽弁閉鎖不全症(MR)

僧帽弁閉鎖不全症(MR)は、

  1. 僧帽弁破壊:動脈硬化、リウマチ熱による僧帽弁の石灰化、感染性心内膜炎
  2. 僧帽弁逸脱:閉塞性肥大型心筋症、甲状腺機能亢進症の30%に起こります。
  3. 乳頭筋・心筋障害:拡張型心筋症、虚血性心疾患(狭心症/心筋梗塞)
    心筋梗塞(右冠状動脈、回旋枝梗塞)による乳頭筋断裂
    虚血性心疾患(狭心症/心筋梗塞)では腱索/乳頭筋が断裂しなくても、左室・左房・僧帽弁輪拡大、壁運動低下により僧帽弁閉鎖不全症(MR)

などが原因となります。

大動脈弁狭窄症(AS)

大動脈の動脈硬化大動脈弁に達し、弁が(ガチガチに)石灰化すると開きが悪くなります[加齢性大動脈弁狭窄症(AS)]。

心拍出量が低下、冠動脈血流が減少し狭心症症状・脳血流が減少し失神が現れると3年の命といわれます。

診断は胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期雑音が頚部へ放散します。心電図I, aVL, V5.6誘導でST低下と深い陰性T波をともなう左室肥大(ストレインパターン)が特徴的です。

経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI, transcatheter aortic valveimplantation) 

経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI)

最近、経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI, transcatheter aortic valveimplantation) が普及し、

  1. 高齢者
  2. 甲状腺癌など担癌患者(人工心肺により悪性腫瘍が全身に飛び散る)
  3. 糖尿病など高度の大動脈石灰化(大動脈遮断ができない)
  4. 甲状腺機能低下症/橋本病動脈硬化糖尿病などの頸動脈狭窄(人工心肺により脳梗塞の危険性)

により外科手術できない場合に有用です。

甲状腺癌の経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI)

担癌患者でも余命が2年以上ある場合、経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI)の適応になります。甲状腺癌は、甲状腺未分化癌甲状腺扁平上皮癌を除けば、ほとんどが適応になります。

良く似た症状:閉塞性肥大型心筋症

常染色体優性遺伝による心筋の収縮単位「サルコメア」異常[心筋収縮関連蛋白(β‐ミオシン重鎖,トロポニンT/I,ミオシン結合蛋白C)異常]。運動時大動脈弁狭窄症と似た症状(脱水で症状増悪)。若年者は突然死、中高年は心不全死や塞栓症死の危険。

心臓エコーは左室流出路狭窄・心臓壁肥大・僧房弁前尖の収縮期前方運動(僧房弁逸脱、収縮早期心筋との摩擦による過剰心音)。頚動脈拍動は左室流出路狭窄びよるspike and dome型

β遮断薬、ベラパミル使用(ニフェジピンなどのジヒドロピリジン系カルシウ ム拮抗薬・ニトロは禁忌)。心室頻拍は植込み型除細動器の適応。経皮的中隔心筋焼灼術や心室筋切除術、難治性心不全は心移植が適応。

長年の経過で心筋が薄くなり拡張型心筋症のようになる拡張相肥大型心筋症があります。

大動脈弁閉鎖不全症(AR)

逆流により左室血液量増加し、相対的な大動脈弁狭窄症(AS)をおこします。

脈拍が急激に大きくなり、ついで急激に小さくなる速脈は循環血液量多くなる甲状腺機能亢進症、大動脈弁閉鎖不全症(AR)でみられます。

心臓カテーテル検査後にコレステロール塞栓症

心臓カテーテル検査後に腎機能低下と好酸球増多、少し遅れて発熱、下肢痛・網状皮斑をきたします。

特発性または血管内操作、抗凝固剤、大血管手術により動脈壁の粥状硬化巣よりコレステロール結晶が流出、全身の小動脈の塞栓となります。

高齢男性、高血圧、糖尿病、高脂血症、痛風動脈硬化、大動脈瘤、腎不全でおこりやすい。確定診断は皮膚生検、腎生検で血管内コレステロール塞栓を証明。

急性大動脈解離

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、急性大動脈解離、腹部大動脈瘤、甲状腺動脈瘤の診療は行っておりません。

甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病動脈硬化が進行、急性大動脈解離とDIC・心タンポナーデ、腹部大動脈瘤、甲状腺動脈瘤破裂おこる。急性大動脈解離は血中Dダイマー上昇。A型上行大動脈解離が大動脈基部に及ぶと心臓栄養する冠状動脈入口部を圧迫、急性心筋梗塞と同じ心電図所見に。B型解離(DeBakey III)で主要分枝を含まない領域に限局は降圧治療のみ。甲状腺動脈瘤は血栓塞栓症なく、高率に破裂し死亡率20%のため無症候性でもコイル塞栓術、外科的切除。動脈硬化進行してできる腹部大動脈瘤は破裂すると突然死。通常、無症状で破裂始まると腹痛・腰痛。

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急性大動脈解離は、大動脈壁の脆弱さ、動脈硬化、高血圧により血管内膜に亀裂が入り、中膜が裂け、偽腔が生じます。

突然の激しい胸痛、背部痛が前胸部から裂けた箇所(喉、背中、腰部など)に広がり、手足の血圧差、心タンポナーデ(死因の一位)、心筋梗塞、脳虚血、脊髄虚血による半身麻痺などを認めます。 

急性大動脈解離では肺梗塞同様、血中Dダイマーが上昇します。

B型解離(DeBakey III)で主要分枝を含まない領域に限局している場合は降圧治療のみ(降圧目標は収縮期血圧105~120mmHg、β遮断薬が第一選択)。

ベントール手術は人工弁付人工血管で大動脈弁置換、冠動脈は人工血管の側面に直接吻合

突然死の原因を究明する死後CT(オートプシー・イメージング)では、大動脈解離が10%を占めます、

「心電図異常が無い」は間違い

解離性大動脈瘤で心筋梗塞

教科書に書いている「急性大動脈解離では心電図異常が無い」は大間違いです。A型の上行大動脈解離が大動脈基部に及ぶと、心臓を栄養する冠状動脈入口部を圧迫し、急性心筋梗塞と同じ心電図所見になります。循環器のお偉い先生方といえど、救急の現場を知らないのだな・・・と思いました(甲状腺専門医でも知ってるで)。(大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン2011年改訂版)

腹部大動脈瘤・解離性大動脈瘤と慢性播種性血管内凝固症候群(DIC)

大動脈瘤・大動脈解離では、播種性血管内凝固症候群(DIC)が慢性的におこります。手術適応ない場合、出血症状、脳梗塞などの血栓症にはヘパリンの在宅自己注射が必要。

腹部大動脈瘤破裂

腹部大動脈瘤

動脈硬化が進行してできる腹部大動脈瘤は、破裂すると突然死に至ります。通常、腹部大動脈瘤には自覚症状がありません。破裂が始まると、腹痛・腰痛が起こります。腹痛なら、痛みの部位に拍動性の腫瘤を触れて診断容易ですが、腰痛なら整形外科の病気(椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折)、急性膵炎、尿路結石との鑑別が必要になり、余計な時間のロスが生じ手遅れになる可能性あります。鑑別を要する病気のほとんどが痛みのために血圧が上昇しますが、腹部大動脈瘤破裂は、逆に血圧が低下します(ここで気付けば上等)。

(図;腹部大動脈瘤と人工血管置換後 日本血管外科学会[JSVS]HPより)

甲状腺動脈瘤破裂で命の危険

大動脈留だけではありません。動脈硬化による動脈瘤は、甲状腺を栄養する動脈にも起こります(日血外会誌 15:517-519,2006)。上甲状腺動脈瘤、下甲状腺動脈瘤で、これまでに40例未満の報告しかありません。大きさは0.8~6.2cmと様々で、大きさと破裂の有無とは関連しません。

甲状腺動脈瘤以外の末梢動脈瘤は、血栓塞栓症が多く、破裂は稀とされます。しかし、甲状腺動脈瘤は血栓塞栓症の報告はありません。甲状腺動脈瘤報告例で、破裂した報告の割合は下甲状腺動脈瘤58.3%、上甲状腺動脈瘤25%、破裂瘤の20%は死亡しています。

甲状腺動脈瘤で破裂が多いメカニズムは不明です。 破裂前に見つけて無症候性(症状が無い)でもコイル塞栓術、あるいは外科的切除(甲状腺の一部を同時切除もあり)を早急に行う必要があります(内分泌甲状腺外会誌 31(3):243-246,2014)。元々、甲状腺手術予定があるなら、同時に切除もあり得ます。

上甲状腺動脈瘤 3D-CT画像

上甲状腺動脈瘤 3D-CT画像(内分泌甲状腺外会誌 31(3):243-246,2014)

上甲状腺動脈瘤 超音波(エコー)画像

上甲状腺動脈瘤 超音波(エコー)画像(内分泌甲状腺外会誌 31(3):243-246,2014)

甲状腺動脈瘤が破裂した場合、

  1. 痛みを伴う急速な頚部腫大(頸部血腫)
  2. 気管圧迫による著明な呼吸困難
  3. アッと言う間に失血性ショック

治療は、

  1. 気管内挿管、挿管できない程の気管圧排なら輪状甲状間膜切開
  2. ドレナージ
  3. コイル塞栓術、あるいは外科的切除(甲状腺の一部を同時切除もあり)を早急に行う必要があります

穿刺吸引細胞診の合併症としての甲状腺動脈瘤

甲状腺腫瘍を穿刺吸引細胞診する際、甲状腺動脈の外膜を傷付け仮性動脈瘤が発生する事あります。動脈硬化した硬くて脆い所が動脈瘤に成り易いとされます。破裂すると命にかかわるため、コイル塞栓術、あるいは外科的切除(甲状腺の一部を同時切除もあり)を早急に行う必要があります。(J Ultrasound Med 23: 1675-1678, 2004)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ 谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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