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甲状腺と糖尿病      [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 動脈硬化 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見①甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編  内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等  糖尿病編 をクリックください

長崎甲状腺クリニック ゆるキャラ 甲Joう君「世界糖尿病デー」

長崎甲状腺クリニック ゆるキャラ Jo

動脈硬化した血管に甲状腺が! バセドウ病の甲状腺がモデル)

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。

甲状腺と糖尿病

Summary

1型、2型糖尿病問わず甲状腺疾患の合併が多い。甲状腺機能亢進症/バセドウ病は、糖尿病性ケトアシドーシスを誘発。逆に、糖尿病性ケトアシドーシス甲状腺クリーゼの原因。甲状腺機能低下症では、インスリン分泌が低下、インスリン抵抗性も増大。潜在性甲状腺機能低下症もインスリン分泌が低下。1型糖尿病で、バセドウ病,橋本病があると、抗GAD抗体の陽性率が高い。急性化膿性甲状腺炎糖尿病の免疫不全が関与。亜急性甲状腺炎では、ステロイド糖尿病に注意。糖尿病における免疫力低下が、甲状腺癌細胞の発育に関与。腺腫様結節があるとHbA1C高値。早老症、ウェルナー症候群で甲状腺癌糖尿病おこる。

Keywords

甲状腺,糖尿病,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,甲状腺機能低下症,1型糖尿病,亜急性甲状腺炎,急性化膿性甲状腺炎,抗GAD抗体,甲状腺癌

糖尿病と甲状腺疾患の合併

1型、2型糖尿病問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます。

1型糖尿病に合併する自己免疫疾患で最も多いのは、自己免疫性甲状腺疾患です。

急性発症1型糖尿病の約10%、緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の約20%、劇症1型糖尿病の0%はバセドウ病を合併すると報告されています。(第58回 日本甲状腺学会 P1-4-4 1型糖尿病における自己免疫性甲状腺疾患の検討)

甲状腺ホルモンと糖尿病

甲状腺機能亢進症/バセドウ

甲状腺機能亢進症/バセドウは、甲状腺ホルモンの作用で腸からの糖吸収が亢進、交感神経、グルカゴン、カテコールアミン、ソマトスタチンの感受性が上昇し糖分解が亢進、血糖が上昇。脂肪や筋肉などの蛋白分解も亢進し、血液が酸性に傾く糖尿病性ケトアシドーシスを誘発する可能性あります。

逆に、糖尿病性ケトアシドーシス甲状腺クリーゼの原因になります。

詳しくは、 甲状腺機能亢進症/バセドウ病糖尿病性ケトアシドーシス高血糖高浸透圧症候群 を御覧ください。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病糖尿病性ケトアシドーシスが合併すると、全身状態の悪化がFT3の減少・rT3の増加(低T3症候群、ユーサイロイドシック症候群)をおこし、以下のような奇妙な数値になることあります。

TSH<0.01 (0.4-4.0), FT4 2.16 (0.9-1.9)ng/dl, FT3 1.84 (2.2-4.1)pg/ml  (第58回 日本甲状腺学会 P1-2-7 インフルエンザ感染、糖尿病性ケトアシドーシスに伴いlow T3症候群を呈したBasedow病の1例)

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症では、インスリン分泌が低下、インスリン抵抗性も増大し糖尿病・糖尿病合併症が悪化します。

インスリン抵抗性・インスリン分泌能の指標

血糖の下がりやすさ(HOMA-R:インスリン抵抗性の指標)

HOMA-Rを計算し、インスリンに反応して血糖が下がる糖尿病か、インスリンに抵抗して血糖下がらない糖尿病か調べます。HOMA-Rが高値なら、①治療抵抗性の糖尿病遺伝子 ②内臓脂肪が多い ③血中遊離脂肪酸が上昇 ④甲状腺機能低下症が原因の可能性あり

インスリンを作る能力(HOMA-β:インスリン分泌能の指標)

HOMA-βを計算し、インスリンを作れる糖尿病か、インスリンが出ない糖尿病か調べます。HOMA-βが低値なら、①1型糖尿病 ②甲状腺機能低下症 が考えられます。

骨格筋細胞と褐色脂肪組織の2型脱ヨード酵素とインスリン抵抗性

骨格筋細胞には2型脱ヨード酵素が発現していて、甲状腺ホルモンのFT4(遊離サイロキシン)のヨードを一つ外し、ホルモン作用が強いFT3(遊離トリヨードサイロニン)に変換し、エネルギー消費を活発にします。これによりインスリン抵抗性が改善するとされます。(J Clin Endocrinol Metab. 2009 Jun;94(6):1893-5.)(J Physiol. 2016 Sep 15;594(18):5255-69.)(Diabetes. 2002 Mar;51(3):880-3.)

褐色脂肪組織の2型脱ヨード酵素も同様の理由で、甲状腺ホルモンによる脂肪の燃焼に関与し、インスリン抵抗性を改善させています。(Diabetes. 2002 Mar;51(3):880-3.)(Diabetes. 2014 May;63(5):1594-604.)

潜在性甲状腺機能低下症と糖尿病

潜在性甲状腺機能低下症は、「血中甲状腺ホルモン値が正常かつTSH値が高値である状態」で、軽度の甲状腺機能低下症と言えます。わかり易く言えば、TSHが上昇して甲状腺を刺激するだけで、なんとか甲状腺ホルモンを正常範囲内に維持できる状態です。潜在性甲状腺機能低下症でも、インスリン分泌が低下しているとの報告は多いです、しかし、インスリン抵抗性の増大は定かではありません。[第54回 日本甲状腺学会 P235 潜在性甲状腺機能低下症状態における、糖尿病患者の膵β細胞機能(インスリン分泌能)に関する検討]

また、潜在性甲状腺機能低下症単独でも動脈硬化を促進するため(潜在性甲状腺機能低下症動脈硬化)、糖尿病

  1. 細小血管合併症(前増殖性網膜症以上、糖尿病性腎症A期以上、糖尿病性神経障害)。(Diabetes Care. 2010 May;33(5):1018-20.)(Diabet Med. 2007 Dec;24(12):1336-44.)(PLoS One. 2015 Aug 13;10(8):e0135233.)
  2. 大血管合併症(心血管障害)(Diabet Med. 2007 Dec;24(12):1336-44.)

を促進するとされます。

無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎は、一過性の甲状腺中毒症と、連続する甲状腺機能低下症なので、糖尿病への影響も限定的な事が多いです。しかし、血糖コントロールが極めて悪く、糖尿病性ケトアシドーシスの一歩手前の糖尿病性ケトーシスの状態で、かつ甲状腺中毒症が軽度でない(報告例で血糖749mg/dl,HbA1c 13.1%,FT3 12.17pg/ml,FT4 5.59ng/dl)なら、

  1. 入院の上、インスリン使用
  2. ヨウ化カリウム・βブロッカー使用し、
  3. それでも甲状腺中毒症が重度になるなら(同報告例、入院10 日目FT3 32.55 pg/ml,FT4 7.77ng/dl)、ステロイド剤:プレドニゾロン20mg使用すべき。ステロイドで糖尿病悪化する危険あるもインスリン増量で対処すれば、甲状腺ホルモン低下し、結果的に血糖コントロール・甲状腺中毒症ともに改善するとの事です。

(第56回 日本甲状腺学会 P1-052 糖尿病性ケトーシスを合併した無痛性甲状腺炎の一症例)

2型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(DIO2)と耐糖能障害

甲状腺ホルモンのサイロキシン(T4)を活性型のトリヨードサイロニン(T3)に変換する2型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(DIO2)は、褐色脂肪や骨格筋に発現。糖脂肪分解により、熱産生とエネルギー代謝に関与します。

近年、2型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(DIO2)の遺伝子多型であるThr92Alaは、T4→T3への変換が悪く、耐糖能障害に関与すると報告されています。(J Clin Endocrinol Metab. 2007 Jan;92(1):363-6.)

甲状腺が悪くない糖尿病の人での、甲状腺ホルモンと糖尿との関係

甲状腺が悪くない糖尿病の人での、甲状腺ホルモンと糖尿との関係は、どうでしょうか?2型糖尿病では、

  1. 活性型の甲状腺ホルモンの遊離トリヨードサイロニン(FT3)が低くなり[末梢の1型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(DIO1)が抑制される]。
  2. 不活性型の甲状腺ホルモンのリバースT3(rT3)が高くなります[3型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(DIO3)が活性化される]。
    低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)
  3. 同時に、遊離サイロキシン(FT4)からFT3への変換が阻害され、FT4も高くなります。

2型糖尿病で低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)が起こる原因は、

  1. 肥満度のBMI(Body mass index);内臓脂肪から分泌されるサイトカインによる炎症(J Clin Endocrinol Metab, 2008, 93: S64-S73)
  2. 動脈硬化の原因となる微弱な炎症(高感度C-reactive protein、hs-CRP

  1. 炎症そのもの
  2. 炎症から生じたインスリン抵抗性で、糖を有効に燃焼できない異化亢進

と推測されます。(Endocrine Journal 2013, 60 (7), 877-884)

抗GAD抗体・ICA(抗ランゲルハンス氏島抗体)測定

膵β細胞(インスリンを作る細胞)を壊す自己抗体、抗GAD(Glutamic acid decarboxylase)抗体ICA(抗ランゲルハンス氏島抗体)[抗IA-2抗体]があると、インスリンが出なくなる糖尿病(1型糖尿病)になる可能性があります。

1型糖尿病で、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病,橋本病)を持っていると、抗GAD抗体の陽性率が高いとされます。

しかし、バセドウ病での抗GAD抗体の陽性率は、必ずしも、インスリン依存性(インスリン分泌能)を反映しません。

バセドウ病

  1. 糖尿病がない人の約4%は抗GAD抗体陽性:ほとんど1型糖尿病にならないとされます。4 例を7 年~19.5 年(中央値13.2 年)観察し、糖尿病の発症は認められなかったそうです。
  2. 2型糖尿病がある人の約6%は抗GAD抗体陽性
  3. 1型糖尿病がある人の約90%は抗GAD抗体陽性:抗GAD 抗体価が高い。
    (第57回 日本甲状腺学会 P1-022 抗GAD 抗体陽性で糖尿病のないバセドウ病患者の長期観察)

    抗GAD抗体価
    が高くても、インスリン依存にならないでいる症例も報告されています。(第58回 日本甲状腺学会 P1-11-7 hypothyroid Graves' diseaseの経過中に抗GAD抗体陽性糖尿病を合併したが、薬物使用なくコントロールされている1例)
    一方、抗GAD 抗体価20000U/ml以上の高値の症例は、抗TSH 受容体抗体価(TR-Ab)も高値で、甲状腺機能が正常化しにくい(難治性バセドウ病)との報告もあります。(第59回 日本甲状腺学会 P1-2-3 Basedow 病と1 型糖尿病を合併した5 症例の検討)(Metabolism. 2011 Jun;60(6):761-6.)

また、バセドウ病の約5%はICA(抗ランゲルハンス氏島抗体)[抗IA-2抗体]を持っています。

APS(多腺性自己免疫症候群)

APSは複数の自己免疫病を併発する病態です。

  1. APS3型では抗GAD抗体/抗IA-2抗体を持つ1型糖尿病バセドウ病(または橋本病)が併発し、バセドウ病の場合上記の理由で糖尿病性ケトアシドーシスをおこす可能性があります。
    ただし
    抗GAD抗体/抗IA-2抗体を持っていても1型糖尿病発症するとは限りません。
    一般的には緩徐進行1 型糖尿病(SPIDDM)のことが多いです。
  2. APS2型では1型糖尿病バセドウ病/橋本病に、副腎に対する自己免疫による副腎皮質機能低下症が合併しカーペンター症候群と言います。

詳しくは、 APS(多腺性自己免疫症候群)3型 を御覧下さい

制御性Tリンパ球の異常:IPEX症候群

制御性T細胞(Treg)は、活性化T細胞の働きを抑制し、自己免疫・アレルギーを抑えています。制御性T細胞の異常は、Immune dysregulation, Polyendocrinopathy, Enteropathy, X-linked症候群があります。X染色体連鎖型劣性遺伝で、変異を受け継いだ男子だけが致死性の自己免疫疾患(甲状腺1型糖尿病)・炎症性腸疾患・アレルギーおこり、生後2年以内に死亡します。

最近、制御性T細胞(Treg)の減少が甲状腺機能亢進症/バセドウ病の発症に関係する可能性が言われます。

劇症1型糖尿病とバセドウ病の合併

劇症1型糖尿病とは

劇症1型糖尿病は、1週間前後以内でインスリン分泌能が廃絶し、糖尿病性ケトーシスあるいは糖尿病性ケトアシドーシスに陥る危険な糖尿病です。

  1. 抗GAD抗体など膵島関連自己抗体が陰性。
  2. HLA DRB1*04:05-DQB1*04:01との関連が明らか。[HLA-DRのアミノ酸多型がバセドウ病橋本病いずれになるか決まるという報告あります(J Autoimmun. 2008;30(1-2):58–62.)]
  3. 妊娠に関連して発症することあり。(甲状腺機能亢進症/バセドウ病妊娠契機に発症することあり)
  4. 約70%前駆症状として上気道炎症状(発熱、咽頭痛など)、消化器症状(上腹部痛、悪心・嘔吐など)。(亜急性甲状腺炎もウイルス感染の前駆症状あり)
  5. 約98%発症時に膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1など)が上昇。

(糖尿病55:815-820, 2012)

劇症1型糖尿病バセドウ病の合併

劇症1型糖尿病バセドウ病の合併することは比較的稀ですが、症例報告はあります[糖尿病 Vol. 51 (2008)  No. 12  P 1087-1092]。言うまでもなく糖尿病性ケトアシドーシスおこします。

糖尿病治療薬と甲状腺

糖尿病治療薬、インスリン感受性を改善するビグアナイド剤(メトホルミン/メトグルコ)は①甲状腺未分化癌の抗癌剤感受性を高め②甲状腺機能低下症/橋本病のビタミンB12吸収障害・利用障害による大球性貧血増悪。ヒトGLP-1アナログ(GLP-1受容体作動薬)で甲状腺髄様癌の可能性報告あり。DPP-4阻害薬テネリグリプチン(テネリア)はQT延長から心室頻拍症、心室細動に移行する可能性があり、甲状腺の病気にはダメ。抗うつ薬デュロキセチン(サインバルタ)は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に要注意。SGLT2阻害薬は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に使用すべきでないと考える。

糖尿病,ビグアナイド剤,甲状腺機能低下症,橋本病,GLP-1受容体作動薬,DPP-4阻害薬,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,SGLT2阻害薬,治療薬

ビグアナイド剤(メトホルミン)の抗がん作用・ビタミンB12吸収障害

抗がん作用

糖尿病治療薬、インスリン感受性を改善するビグアナイド剤(メトホルミン/メトグルコ)は、甲状腺未分化癌の抗癌剤感受性を高める報告があります。インスリン様成長因子(IGF-1)の感受性が高まり、抗癌剤が効きやすい状態になるためと考えられます。

ビタミンB12吸収障害

ビグアナイド剤(メトホルミン)は、10-30%にビタミンB12の吸収障害おこすとされます。甲状腺機能低下症/橋本病でもビタミンB12の吸収障害・利用障害おこすため、糖尿病を合併した甲状腺機能低下症/橋本病では、ビタミンB12欠乏性大球性貧血おこす可能性があります。

ヒトGLP-1アナログ(GLP-1受容体作動薬)注射液で甲状腺髄様癌の危険?

ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、インクレチンとよばれる消化管ホルモンで、食物摂取に応じて小腸下部から分泌されます。GLP-1が膵臓を刺激、

  1. インスリン分泌を促進
  2. 血糖値が高い時には「血糖値の上昇を促すグルカゴンの作用」を弱め
  3. 胃の中の食物排出を遅らせ、急激な食後血糖値の上昇を抑え、満腹感を持続。

ヒトGLP-1アナログ(GLP-1受容体作動薬)注射液が使われるようになりました。エキセナチド(商品名:バイエッタ、ビデュリオン)、リラグルチド(商品名:ビクトーザ)など

しかし、GLP-1製剤は、甲状腺髄様癌リスクを高める可能性があるとの報告が出ています[動物試験で甲状腺C細胞腫瘍(甲状腺髄様癌)が認められた]。ヒトC細胞にGLP-1受容体はほとんどなく、影響少ないと考えられますが、血中カルシトニン値の測定や甲状腺超音波(エコー)検査を定期的に行うことが望ましいです。

それ以外の副作用は、

  1. 腸閉塞
  2. 逆流性食道炎
  3. 悪心/嘔吐/下痢
  4. 急性膵炎

DPP-4阻害薬テネリグリプチン(商品名:テネリア)は甲状腺の病気にはダメ

テネリグリプチン(商品名:テネリア)

DPP-4阻害薬テネリグリプチン(商品名:テネリア)は、胆汁排泄型で腎機能低下した糖尿病患者にも使用でき、血糖を下げる効果も他のDPP-4阻害薬と変わらないとされます。しかし、QT延長の副作用の危険があります。QT延長は、心室頻拍症、心室細動など命にかかわる不整脈に移行する可能性があります。

QT延長を起こしやすい患者(重度の徐脈等の不整脈,うっ血性心不全等の心疾患,低カリウム血症)には慎重投与になっています。

特に甲状腺の病気では、これらに該当する可能性が非常に高く、使用すべきではないと思います。

  1. 甲状腺機能低下症/橋本病における徐脈,うっ血性心不全(甲状腺と不整脈
  2. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病橋本病合併シェーグレン症候群低カリウム血症謎の低カリウム血症低ナトリウム血症 橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群(ドライアイ,口内乾燥)
  3. 低カルシウム血症: 副甲状腺機能低下症(自己免疫性、甲状腺手術後)、偽性副甲状腺機能低下症、くる病/骨軟化症(低カルシウム血症副甲状腺   低カルシウム血症はビタミンD欠乏

抗うつ薬デュロキセチン(商品名サインバルタ)は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病には要注意

抗うつ薬デュロキセチン(商品名サインバルタ)は、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬で、糖尿病性神経障害に伴う疼痛に保険適応があります。高血圧、心疾患のある患者には、心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼおこすことがあり、慎重投与になっています。よって

  1. 甲状腺ホルモンが正常化していない、あるいは正常化して間がなく、不整脈・タコつぼ型心筋症おこす危険のある甲状腺機能亢進症/バセドウ病
  2. 甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病で、動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症の危険がある場合
  3. 副腎にできる褐色細胞腫

に使用すべきではありません。

SGLT2阻害薬は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に使用すべきでない

SGLT2阻害薬は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に使用すべきでないと筆者は考えています。甲状腺機能亢進症/バセドウは、

  1. 甲状腺ホルモンの作用で腸からの糖吸収が亢進、交感神経、グルカゴン、カテコールアミン、ソマトスタチンの感受性が上昇し糖分解が亢進、血糖が上昇。脂肪や筋肉などの蛋白分解も亢進し、血液が酸性に傾く糖尿病性ケトアシドーシスを誘発する可能性あります。
    一方で、SGLT2阻害薬のルセオグリフロジンは、1日60gの糖を尿中に捨て血糖値を改善しますが、極端な糖質制限(例えば1日10g)により、脂肪分解が亢進し過ぎてケトン体が血液中に異常増加、血液が酸性に傾くアシドーシスになります[正常血糖糖尿病ケトアシドーシス(eDKA)]。 
     
  2. 代謝亢進により発汗量が増加し、脱水傾向になります。一方で、SGLT2阻害薬は、糖を尿中に捨てると、浸透圧利尿により体内の水分も捨ててしまうため脱水傾向になります。過度の脱水は、血管がへちゃげる脳梗塞、心筋梗塞を誘発します。

急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍

急性化膿性甲状腺炎は細菌感染による甲状腺/甲状腺のう胞性腫瘍とその周囲の急性炎症です。原因は

  1. 下咽頭梨状窩瘻[かいんとうりじょうかろう]の遺残
  2. あるいは糖尿病などの免疫不全で血行性に菌が甲状腺に到達する血行性免疫不全

です。症状は発熱・頚部痛・皮膚の発赤。甲状腺膿瘍・甲状腺周囲膿瘍・深頚部膿瘍・降下性縦隔膿瘍も形成。治療は、抗生剤投与、切開排膿。時に亜急性甲状腺炎と誤診されステロイド投与されると、急性化膿性甲状腺炎糖尿病も悪化します。下咽頭梨状窩瘻をエコー・下咽頭食道造影・下咽頭造影CTで確定し、手術切除、あるいは化学焼灼法おこないます。

詳細は、 急性化膿性甲状腺炎と甲状腺膿瘍 を御覧ください。

長崎甲状腺クリニック(大阪) ゆるキャラ 甲Joう君

世界糖尿病デーにちなみ、Jo君も青くなりました。

 糖尿病編 も御覧ください

亜急性甲状腺炎と糖尿病

亜急性甲状腺炎では、

  1. 炎症によるインスリン抵抗性増大
  2. 甲状腺中毒症が合併すると、甲状腺ホルモンによる腸からの糖吸収が亢進、交感神経、グルカゴン、カテコールアミン、ソマトスタチンの感受性が上昇し糖分解が亢進
  3. 投与するステロイドの影響でステロイド糖尿病が加わり、

糖尿病が悪化します。

亜急性甲状腺炎(SAT)治癒後も耐糖能悪化が遷延した橋本病の症例が報告されています。橋本病である事自体が原因か判りませんが、副腎皮質ステロイド剤をそれなりの期間投与続ければ、内臓脂肪が増えるからかも知れません。(第55回 日本甲状腺学会 P2-08-10 亜急性甲状腺炎(SAT) 治癒後も耐糖能悪化が遷延した橋本病)(HT) の2 例)

甲状腺腫瘍(甲状腺癌、腺腫様結節)と糖尿病

甲状腺癌での糖尿病有病率

金地病院の報告では、甲状腺癌糖尿病患者の割合は、甲状腺良性腫瘍糖尿病患者の割合のオッズ比4.04だったそうです(10% vs 2.85%)。糖尿病における免疫力低下が、甲状腺癌細胞の発育に関与しているためと考えられます。(第58回 日本甲状腺学会 P1-6-7 甲状腺腫瘍患者における糖尿病の頻度)

早老症、ウェルナー症候群で甲状腺癌糖尿病

ウェルナー症候群は日本人に多い常染色体劣性遺伝の早老症です。思春期以降、白髪、白内障、甲状腺癌糖尿病・脂質代謝異常、動脈硬化(狭心症、心筋梗塞)、骨粗鬆症など老化徴候が出現します。

糖尿病における腺腫様結節合併

糖尿病では頸動脈エコーを行う事が多いため、結節性甲状腺腫、特に腺腫様結節が見つかる事が非常に多い。糖尿病患者で、腺腫様結節を有する群では、腺腫様結節を有さない群に比べ、

  1. TSH 低値
  2. 高齢
  3. HbA1c 高値
  4. eGFR 低値

との報告があります。(第59回 日本甲状腺学会 P2-6-3 糖尿病における腺腫様結節合併の背景リスクの検討)

自己血糖測定器で皮膚からヨウ素が混入し血糖値が高く出る

ヨウ素系の消毒剤を、皮膚に多量に使用すると、甲状腺機能低下症が起きることが知られています。それだけでなく、自己血糖測定器のうち、酵素電極法を用いるものは、皮膚からヨウ素系の消毒剤のヨウ素が混入し血糖値が高く出る「偽高値」が報告されています。ニプロ製の自己血糖測定器は大丈夫だそうです。

堀場製作所のグルコース分析装置(アントセンスシリーズ;アントセンスII、III(LP-130,135)、ロゼ、デュオ(LP-150,151))は、ヨウ素の影響で「偽高値」になる事があります。

TSH放出ホルモン(TRH)はインスリン分泌を調節?

TSH放出ホルモン(TRH)は、視床下部の室傍核に存在し、下垂体のTSH分泌を調整します。また、TSH放出ホルモン(TRH)は膵ランゲルハンス島のβ細胞にも存在し、インスリン分泌を調節している可能性が報告されています。さらに、TSH放出ホルモン(TRH)は性腺にも存在しますが、その意義は不明です。(Proc Natl Acad Sci U S A. 1997 Sep 30;94(20):10862-7)

 

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ 谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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