腎エコー(糖尿病性腎症評価)、腎血管抵抗指数(RI:レジスティブインデックス)[橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック 大阪]
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。
糖尿病:専門の検査、治療[橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック大阪]
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。
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甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など) 糖尿病編 をクリックください
Summary
甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー)の長崎甲状腺クリニック(大阪)。糖尿病性腎症の注意は一日の蛋白摂取量1g/kg標準体重、塩分6g/日以下、診察室血圧130/80mmHg未満。糖尿病性腎症3期で尿タンパクがダダ漏れのネフローゼでは血液凝固亢進、高脂血症。糖尿病性腎症5期は末期(透析期)で新規透析導入患者の約半数。糖尿病性腎症は初期に腎臓が腫れ、次に内部構造が不明瞭、最後は萎縮。腎動脈の血管抵抗(RI)はBUN, Cr, eGFRが異常値になる前の腎血管障害を診断。eGFR低下する糖尿病患者は増加、腎硬化症が原因の糖尿病性腎臓病(DKD)。
Keywords
甲状腺,橋本病,糖尿病性腎臓病,動脈硬化,DKD,腎血管抵抗指数,腎エコー,糖尿病性腎症,レジスティブインデックス,糖尿病
甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります。糖尿病は、言わずと知れた動脈硬化の危険因子です。甲状腺と糖尿病の2つがそろえば、相乗効果で動脈硬化が進行します。
甲状腺と動脈硬化は、 甲状腺と動脈硬化 を、甲状腺と糖尿病は、 甲状腺と糖尿病 を御覧ください。
甲状腺機能低下症で糖尿病性腎症は悪化します。甲状腺刺激ホルモン(TSH)高値または甲状腺ホルモンの遊離トリヨードサイロニン(FT3)低値の糖尿病性腎症患者は、タンパク尿が多く、腎不全が進行し、糸球体に病変を有します[Nephrology (Carlton). 2019 Feb;24(2):160-169.]。TSH高値、FT3低値は糖尿病性腎症の増悪因子です[Ann Transl Med. 2018 Aug;6(15):305.]。
軽度の甲状腺機能低下症である潜在性甲状腺機能低下症も糖尿病性腎症の増悪因子です[J Endocrinol Invest. 2017 Mar;40(3):289-295.]。
もちろん、糖尿病性腎症以外の慢性腎臓病(CKD)、慢性腎不全も甲状腺機能低下症で増悪します。
糖尿病性腎症の注意
糖尿病性腎症は血糖だけでなく、高血圧も関与。糖尿病性腎症の注意は、
- 一日の蛋白摂取量1g/kg標準体重(実際の体重ではありません); eGFR30未満では0.6-0.8g/kg標準体重。
- 塩分6g/日以下:現実には不可能(机上の空論、食べれたものじゃない)、酷暑時の熱中症を計算に入れていない!低ナトリウム性脱水を起こすで・・・。)
- 診察室血圧130/80mmHg未満
とバカバカしい位、非現実的。これを提唱している人達は、こんな食事を続けられる糖尿病性腎症の患者が一体、何%いるのか考えた事があるのでしょうか?
もし、糖尿病性腎症の患者が皆、きっちり言いつけを守れば、糖尿病性腎症が透析原因の第一になっているはずがない。言うは易し、行うは難し(糖尿病の治療は机上の空論で成り立っている)。
糖尿病性腎症3期(顕性蛋白尿期)の尿タンパク測定
- 尿比重:1.010で等張尿
- 尿タンパク試験紙法:尿アルブミンのみを検出 (2+)=100 mg/dL
- 尿タンパク定量:尿アルブミン・多発性骨髄腫のBence-Jones蛋白を定量。IgG他の蛋白は絶対量少なく1gを超えないので問題にならない
- 尿タンパク/Cr比:一日の尿タンパクに相当
糖尿病性腎症3期で尿タンパクがダダ漏れのフローゼ状態になると、
- 血液凝固をうながすフィブリノーゲンが増えます。一方、血液凝固を阻止するアンチトロンビンⅢが尿へもれ出て、血液は凝固しやすくなります。
血液中のアルブミン濃度が減少により、肝臓のアルブミン合成が増大、それに伴い低比重リポ蛋白(LDL)・超低比重リポ蛋白(VLDL)の生成も増加、高脂血症に。同時に、動脈硬化の抑制する高比重リポ蛋白(HDL)が尿中へもれ出て、動脈硬化促進。
糖尿病性腎症4期で腎不全状態になると、
糖尿病性腎症4期(腎不全期)での食事療法は
- 総エネルギー摂取量は25~30/kcal/kg 標準体重/日
- 糖質は通常総エネルギー量の60%。腎不全期に厳しい糖質制限を行うと、蛋白異化が促進されケトーシス、アシドーシスを助長するため望ましくない。
- カリウムは1.5 g/日未満
糖尿病性腎症5期(透析期)
糖尿病性腎症5期は、糖尿病性腎症の末期(透析期)です。新規透析導入患者の約半数が、糖尿病性腎症で、その数は年々増え続け、日本の国民医療費を圧迫する原因の1つになっています(異常😩)。
高齢者の例外的な糖尿病性腎症
高齢者の例外的な糖尿病性腎症として、微量アルブミン尿を認めないのに腎機能が低下していく糖尿病性腎症があります。腎硬化症が関与していると考えられています。
糖尿病性腎症は、初期に腎臓が腫れ、次に内部構造が不明瞭になり、最後は萎縮。
Bは4期の進行した糖尿病性腎症、萎縮し周辺は凸凹、皮質は白く髄質とのコントラストが低下。
糖尿病性腎症の病期分類(2014年改訂)
糖尿病性腎症、高血圧腎症、慢性腎炎、腎動脈硬化、慢性腎臓病(CKD)では、腎動脈の血管抵抗指数(RI)が大きくなります。通常の採血では、BUN, Cr(クレアチニン), eGFRでしか腎機能を評価しませんが、RIはそれらが異常値になる前に腎血管障害を診断します。
よって、RI高値だと、腎臓病が隠れていたり、将来腎臓の機能低下が進む可能性があるため、対策が必要です。
甲状腺ホルモンは腎機能に影響を与え、腎機能障害は甲状腺機能に影響を与えます(甲状腺と腎臓)。腎移植前と腎移植後3〜6日の腎動脈血管抵抗指数(RI)の変化(改善度)が大きい程、腎移植後10日の血清クレアチニン(Cr)濃度は低くなります。同時に、甲状腺容積の変化(改善度)が大きい程、腎移植後10日の血清クレアチニン(Cr)濃度は低くなります。[Transplant Proc. 2006 Jan-Feb;38(1):62-5.]
血管抵抗指数(RI)は腎動脈だけの検査では無く、甲状腺にも応用されていました。現在は、甲状腺の硬さを診断するエラストグラフィー(甲状腺癌などの硬さを瞬時に診断)の普及で廃れてしまいましたが、甲状腺濾胞性腫瘍の良悪性の鑑別に腫瘍内血管抵抗指数(RI)が用いられた時期がありました。甲状腺濾胞性腫瘍を濾胞癌と診断できる血管抵抗指数(RI)のカットオフ値を0.75に設定すると、精度91%、特異度97%、陰性的中率92%と良好ですが、感度40%、陽性的中率67%と低くなります[J Ultrasound Med. 2005 Jul;24(7):897-904.]。要するに、甲状腺濾胞癌は良性濾胞腺腫と比較して細胞密度が高いため腫瘍内血管抵抗指数(RI)が大きくなるのが理由で、直接、腫瘍の硬さを測るエラストグラフィーがあれば敢えて必要ではありません。
院長の論文
Alphav integrin regulates TNF-alpha-induced nitric oxide synthesis in rat mesangial cells--possible role of osteopontin.(Nephrol Dial Transplant)
腎メサンギウム細胞で産生される細胞外マトリックス蛋白、オステオポンティンが細胞膜に存在するαv Integrin(インテグリン)に結合し、NO(ニトリックオキサイド;一酸化窒素)の合成を調節している事を医学界で初めて発見。甲状腺ホルモンが受容体を介さず心筋、血管に作用する経路の一つはαv Integrinを介するものです。Osteopontin gene expression and protein synthesis in cultured rat mesangial cells.(Biochemical and biophysical research communications)
腎メサンギウム細胞における細胞外マトリックス蛋白、オステオポンティンの遺伝子発現と蛋白合成を医学界で初めて証明しました。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の普及で微量アルブミン尿に至る糖尿病患者の割合は低下しています。
しかし、eGFRが低下する糖尿病患者の割合は増加しており、動脈硬化による腎硬化症の合併が原因とされ、糖尿病性腎臓病(DKD)という概念が出来ました。
糖尿病性腎臓病(DKD)では、必ずしも糸球体高血圧ではないので、輸出細動脈拡張作用のあるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬/アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)が第一選択薬とは言えません。
SGLT2阻害薬は糖尿病性腎臓病(DKD)の全死亡・心不全・アルブミン尿・腎機能悪化を改善させます。
オレイン酸から合成されたバルドキソロンメチル(bardoxolone metyl)は、Keap1/Nrf2系を介する抗酸化・抗炎症作用を持ち、糖尿病性腎臓病(DKD)のeGFRを改善させます。
※Keap1遺伝子変異 は家族性腺腫様甲状腺腫の原因
副作用は、心不全患者に投与した時の体液貯留(心不全増悪)。
糖尿病性腎症の場合と異なり、TSH低下は早期糖尿病性腎臓病(DKD)の高尿酸血症の独立した危険因子とされます(尿酸は糖尿病性腎臓病(DKD)の発症と関連している)。BMC Endocr Disord
糖尿病性腎症と思っていても
- 糖尿病歴5年未満、糖尿病性網膜症がないのに腎障害
- 急激な尿タンパク増加・腎障害
- 尿沈渣で赤血球円柱(糸球体血尿)・顆粒円柱(細胞が固まったもの)が出る。(硝子円柱は尿細管から分泌される蛋白が固まったもので、健康人でも認めます。)
場合は別の腎臓病のことがあります。
膜性腎症(MN)
膜性腎症は高度な蛋白尿を来すネフローゼ症候群の一つで、高齢者ネフローゼ症候群の35-50%を占め、中高年男性に多く、糖尿病性腎症・アミロイド腎(甲状腺アミロイドーシス合併)と鑑別を要します。
原因のない特発性(80%)と2次性(20%)[B/C型肝炎・悪性腫瘍・膠原病(シェーグレン症候群)・甲状腺機能亢進症/バセドウ病・薬剤性(抗リウマチ薬ブシラミン・非ステロイド性抗炎症鎮痛薬)]があります。免疫グロブリンのIgGが沈着し糸球体基底膜が肥厚、結節性病変が生じる糖尿病性腎症・アミロイド腎(甲状腺アミロイドーシス合併)とは組織像が異なります。[甲状腺と膜性腎症(MN)]
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)
膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は小児から若年者に多く、1型糖尿病による糖尿病性腎症と鑑別要。ネフローゼ症候群、血尿を来たし低補体血症が特徴。[膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)と甲状腺]
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区,浪速区も近く。