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甲状腺良性濾胞腺腫   [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波検査(エコー) 内分泌の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

良性濾胞腺腫 超音波(エコー)画像

甲状腺の基礎知識を、初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が解説します。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 甲状腺編 part3 を御覧ください。

以下の超音波および病理写真には、長崎甲状腺クリニック(大阪)のオリジナル以外に、神甲会 隈病院より御提供いただいたものを含みます(第9,10回神戸甲状腺診断セミナー)。この場を借りて、宮内 昭院長、病理診断科の廣川 満良先生他、隈病院の諸先生方に感謝の意を表します。

Summary

良性濾胞腺腫は腺腫様甲状腺腫・甲状腺濾胞癌・濾胞型甲状腺乳頭癌と超音波検査(エコー)で鑑別が困難。被膜と中心栄養血管がある点、石灰化が少ない点、腺腫様甲状腺腫と異なる。濾胞型甲状腺乳頭癌は、石灰化が多い点が異なる。広範浸潤型濾胞癌・濾胞型甲状腺乳頭癌とはエラストグラフィでJTECパタ-ン2、良性濾胞腺腫・微小浸潤型濾胞癌はJTECパタ-ン1。良性濾胞腺腫の細胞診所見は採取され細胞は少なく、濾胞状や平面状、重積少ない、核は均一、核内クロマチン顆粒は軽度肥大、やや密、コロイド量少ない。濾胞型甲状腺乳頭癌は細胞診で鑑別可能、腺腫様甲状腺腫・甲状腺濾胞癌とは鑑別難。

Keywords

良性濾胞腺腫,腺腫様甲状腺腫,甲状腺濾胞癌,濾胞型甲状腺乳頭癌,鑑別,エラストグラフィ,.細胞診,エコー,甲状腺,長崎甲状腺クリニック

良性濾胞腺腫とは

良性濾胞腺腫は、日本人に多く発生する甲状腺の良性腫瘍です。なぜできるのか、原因は不明です。痛みのない甲状腺のしこりで、ゆっくり大きくなるのが特徴です。良性濾胞腺腫腺腫様甲状腺腫甲状腺濾胞癌濾胞型甲状腺乳頭癌と鑑別が困難です。

良性濾胞腺腫のエコー像

腺腫様甲状腺腫との鑑別

エコー上、腺腫様甲状腺腫良性濾胞腺腫と類似しますが

  1. 被膜があれば良性濾胞腺腫ですが、被膜がなければ腺腫様甲状腺腫[ただし腺腫様甲状腺腫でも、腫瘍の境界部のハロー(halo:低エコー帯)は、不完全な形で存在します]
  2. ハローが全周性に認められれば、良性濾胞腺腫の可能性が高い。(ただし、ハローの一部途絶、 肥厚等は甲状腺濾胞癌の可能性を考えます。)
  3. 中心に達する栄養血管がなければ腺腫様甲状腺腫
  4. 良性濾胞腺腫は石灰化を伴う事が少ないが、腺腫様甲状腺腫は多々石灰化する。しかも、石灰化した腺腫様甲状腺腫は悪性(甲状腺がん)の可能性が生じます。

と区別できます。(実際、被膜も栄養血管も評価が難しい場合が多いです)

良性濾胞腺腫 超音波(エコー)画像

良性濾胞腺腫:被膜を持ち、甲状腺との境界が明瞭

良性濾胞腺腫:中心へ行く栄養血管あり

濾胞性腫瘍(腺腫様結節と鑑別難)

腺腫様甲状腺腫と鑑別が難しい良性濾胞腺腫。内部は、のう胞変性が著明で、中心栄養血管も分り難く、腺腫様結節の様にも見えます。しかし、被膜がはっきりしており、良性濾胞腺腫と考えられます。

のう胞型良性濾胞腺腫=のう胞性良性濾胞腺腫=のう胞腺腫。

エコー0-2

のう胞型良性濾胞腺腫→の所に被膜が存在します。

被膜が石灰化した良性濾胞腺腫

石灰化した被膜内に中心栄養血管があります。良性濾胞腺腫

甲状腺濾胞癌濾胞型甲状腺乳頭癌との鑑別

良性濾胞腺腫甲状腺濾胞癌をエコーで鑑別するのは困難です。明らかな甲状腺外浸潤があれば甲状腺濾胞癌ですが、広範浸潤型濾胞癌でも、そこまで明瞭な浸潤を検出するのは困難です。エラストグラフィのJTECパタ-ン2になれば、広範浸潤型濾胞癌が濃厚ですが、パターン1では良性濾胞腺腫微小浸潤型濾胞癌いずれもあり得ます。

濾胞型甲状腺乳頭癌は、石灰化が多いので容易に疑われる事多いです。

JTEC エラストグラフィパターン

良性濾胞腺腫の細胞像

(以下の細胞診の所見は、医療関係者以外の方は無視してください。写真のみご覧になり、「こんなものか」と思っていただければ十分です。)

良性濾胞腺腫は、腺腫様甲状腺腫と異なり、

  1. 採取される細胞は少なく、濾胞状や平面状に配列
  2. 重積が少ない
  3. 核はほぼ均一、核内クロマチン顆粒は軽度肥大し、やや密
  4. コロイド量は少ない(良性濾胞腺腫(粘液性間質)は例外)
小宇宙 3

良性濾胞腺腫の治療

良性濾胞腺腫の治療は、

  1. 原則、経過観察。急激に増大したり、石灰化を伴えば甲状腺癌を疑い精査。
  2. 手術:①癌と確定できない、または癌ではない甲状腺腫瘍の手術適応 ②甲状腺機能亢進症をおこす機能性甲状腺腫

良性濾胞腺腫の特殊型(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

  1. 良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)
  2. 良性濾胞腺腫(淡明細胞型)
  3. 良性濾胞腺腫(粘液性間質)
  4. 甲状腺硝子化索状腺腫

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)は被膜が目立たないのが特徴。

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)超音波画像

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)超音波(エコー)画像

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)ドプラー

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)ドプラー

細胞所見は、細胞質がライトグリーン好性、核は大小不同・核溝があります。(以下の写真:隈病院 第9回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)超音波(エコー)像

良性濾胞腺腫(好酸性細胞型)

良性濾胞腺腫(淡明細胞型)(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

良性濾胞腺腫(淡明細胞型)は、被膜がはっきりしていて、細胞所見は淡明・泡沫状の細胞質です。腎癌の甲状腺転移と鑑別を要します。(写真:隈病院 第9回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

良性濾胞腺腫 淡明細胞型 超音波(エコー)像

良性濾胞腺腫 淡明細胞型 超音波(エコー)像

良性濾胞腺腫 淡明細胞型 細胞診

良性濾胞腺腫 淡明細胞型 細胞診

良性濾胞腺腫 淡明細胞型 超音波(エコー)像

良性濾胞腺腫 淡明細胞型 超音波(エコー)像

良性濾胞腺腫(淡明細胞型)腎臓癌の甲状腺転移によく似ています。

腎臓癌は甲状腺に転移、転移性甲状腺癌となります。臨床的に問題となる転移性甲状腺癌で、もっとも多いのは腎臓癌の甲状腺転移です。エコー上、良性濾胞腺腫(淡明細胞型)、悪性の甲状腺濾胞癌と見分けが付きません。また、明細胞型腎臓癌は穿刺細胞診でも甲状腺濾胞癌の明細胞型と区別しにくいです(核内封入体もあり、免疫染色で甲状腺由来のTTF-1あるいはサイログロブリンに染まらず、CD10に染まります)。

良性濾胞腺腫(粘液性間質)(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

良性濾胞腺腫(粘液性間質)は、豊富な粘液を認めますが、濾胞内のコロイド由来ではなく、間質の粘液です(細胞診のみでは判りません。組織を見れば判ります。)また、豊富な粘液を作るための毛細血管網も見られます。(写真:隈病院 第10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

良性濾胞腺腫 粘液間質 超音波(エコー)像
良性濾胞腺腫 粘液間質 細胞診

硝子化索状腺腫(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

甲状腺硝子化索状腺腫とは
甲状腺硝子化索状腺腫 病理組織

甲状腺硝子化索状腺腫(hyalinizing trabcular adenoma)は稀な甲状腺腫瘍で、良性濾胞腺腫の特殊型とされます(AFIP 1992; 31-40)が、、転移例の報告もあるため、必ずしも良性ではありません甲状腺硝子化索状腺腫は、特徴的な索状配列と、索状方向に垂直な核の組織像です。(写真:隈病院 第9回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

甲状腺硝子化索状腺腫超音波(エコー)画像

甲状腺硝子化索状腺腫超音波(エコー)画像は、

  1. かなり低エコー
  2. 多発石灰化(粗大石灰化)

で、甲状腺乳頭癌に近い見え方です。しかし、

  1. 中心血流と豊富な血流

があり、甲状腺濾胞癌の特徴も有します(しかし良性濾胞腺腫です)。(写真:隈病院 第10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

甲状腺硝子化索状腺腫のエコー像
甲状腺硝子化索状腺腫 超音波(エコー)画像

甲状腺硝子化索状腺腫細胞診

甲状腺硝子化索状腺腫細胞診では乳頭状の細胞集塊,甲状腺乳頭癌に特徴的な核内封入体、核溝が認められ、甲状腺乳頭癌との鑑別は困難です。しかし、硝子様物質の周囲に腫瘍細胞が放射状に配列し、yellow bodyが見えれば甲状腺硝子化索状腺腫見当がつきます。(写真:隈病院 第9,10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

甲状腺硝子化索状腺腫 細胞診
甲状腺硝子化索状腺腫の細胞診
甲状腺硝子化索状腫瘍の経過

報告症例では、3か月後の超音波(エコー)検査にて増大傾向を認め、サイログロブリン2000ng/mlと異常高値になり、外科手術されています。切除標本は、

  1. 索状/胞巣状の腫瘍細胞
  2. 硝子様物質の沈着
  3. 腫瘍細胞核はやや腫大・切れ込み/くびれ/捻れなど不整形・核内封入体あるも、核分裂像は乏しい

で、術後病理所見にて甲状腺硝子化索状腫瘍と確定診断されました。(第56回日本甲状腺学会 P1-111 甲状腺硝子化索状腫瘍(hyalinizing trabcular tumour)の一例)

甲状腺専門医を悩ませる濾胞腺腫良悪鑑別困難例の細胞像(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

甲状腺専門医、および病理診断医を最も悩ませる問題の1つが濾胞腺腫良悪鑑別困難例です。

上條甲状腺クリニックのデータでは、4cm以上の濾胞腺腫良悪鑑別困難例は、50%甲状腺濾胞癌とされます。(「上條甲状腺クリニックの甲状腺疾患Q&A」より)

(以下の細胞診の所見は、医療関係者以外の方は無視してください。写真のみご覧になり、「こんなものか」と思っていただければ十分です。)

濾胞腺腫細胞像良悪鑑別困難症例は、

  1. 腫瘍細胞が多く採取され、不整な配列(構造異型)
  2. 重積細胞間結合性低下(構造異型)
  3. 核径不整、N/C比増大(核径増大)、核の大小不同(核異型)
  4. クロマチン顆粒の肥大(核異型)

構造の異型(配列等がおかしい)と核異型(核がおかしい)の程度により

favor benign(良性寄り)、borderline(境界)、favor malignant(悪性寄り)に分けます。

小宇宙 3

好酸性腫瘍細胞が主体のときは鑑別困難の扱いになります。

Well-differentiated tumor of uncertain malignant potential(WDT-UMP)(専門的すぎるので初心者は無視してください)

WDT-UMPは、濾胞腺腫良悪鑑別困難例とほぼ同じ意味です。(Int J Surg Pathol 2000; 8:181-183)、超音波(エコー)画像から判るように、良性濾胞腺腫よりも、腺腫様結節甲状腺乳頭癌に近い見え方です。

濾胞腺腫良悪鑑別困難例、WDT-UMPを手術すべきか、意見が分かれる所ですが、私自身は「疑わしきはオペする」のが良いと思います。経過観察の末、遠隔転移してから「やっぱり甲状腺癌だったのか・・」では遅いからです。(写真:隈病院 第9回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

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