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末期腎不全・透析・腎移植と甲状腺[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

萎縮腎

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。腎臓の病気の治療は行っておりません。

末期腎不全・透析・腎移植と甲状腺

Summary

末期腎不全(透析中も)では甲状腺腫、甲状腺機能低下症、甲状腺腫瘍・甲状腺がん等の頻度が高い。尿毒症で視床下部下垂体機能異常、ヨード排泄障害で体内ヨード過剰となり甲状腺障害、甲状腺ホルモン合成障害、免疫系のアンバランスや尿アミン蓄積などで発癌率が上がる。低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス、ユウサイロイドシック症候群)が存在するため、甲状腺ホルモン補充してTSHが正常化しても、血中の甲状腺ホルモン(FT3, FT4)は正常以下あるいは正常下限。腎移植後は免疫抑制剤の長期使用により発癌率が有意に上がり、10年で多発性甲状腺乳頭癌を認めた症例が報告。

Keywords

末期腎不全,透析,甲状腺,甲状腺機能低下症,甲状腺腫瘍,甲状腺がん,ヨード,低T3症候群,甲状腺ホルモン,腎移植

末期腎不全とは

末期腎不全とは慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の進行により体を維持できなくなった状態です。糸球体濾過量eGFR15 ml/min/1.73 m2未満(CKDステージG5)に該当。

甲状腺障害2次性副甲状腺機能亢進症はじめ、浮腫・胸水・腹水、心不全・高血圧、高カリウム血症/低ナトリウム血症低カルシウム血症/高リン血症(腎性副甲状腺機能亢進症)、アシドーシス、栄養障害・貧血、悪心・嘔吐、しびれなど神経症状おこり、生命維持のため腎代替療法(透析・腎移植)が必要になります。

末期腎不全と甲状腺

末期腎不全(もちろん透析中も含む)では甲状腺疾患の頻度が高いです(Endocr Rev. 1996 Feb;17(1):45-63.)。

  1. 甲状腺腫(甲状腺の腫れ)
  2. 甲状腺機能低下症
  3. 甲状腺腫瘍・甲状腺がん

末期腎不全では、

  1. 尿毒症状態での視床下部下垂体機能異常(Nephron 43: 169-172, 1986)
  2. ヨード(ヨウ素)を尿中へ捨てれなくなり、体内ヨード(ヨウ素)が過剰となり、甲状腺を障害、甲状腺ホルモン合成障害[Clin Nephrol. 2017 May;87 (2017)(5):237-244.]
  3. 免疫系のアンバランスや尿アミンの蓄積などにより発癌率が上がる

腎不全を合併する甲状腺機能低下症では、低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス、ユウサイロイドシック症候群)が存在するため、甲状腺ホルモン補充してTSHが正常化しても、血中の甲状腺ホルモン(FT3, FT4)は正常以下あるいは正常下限になります。

透析と甲状腺機能障害、血中甲状腺ホルモン値への影響

廃絶した腎臓の機能を機械で肩代わりさせる透析。患者本人に責任の無い病気、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)などで透析になるのは仕方の無い事です。しかしながら、不節制、喫煙の限りを数十年尽くして透析になる2型糖尿病患者の方が圧倒的に多いのが現実です。

日本で透析導入の1位は糖尿病性腎症、2位は腎硬化症です(2021年)。

透析と甲状腺機能障害、血中甲状腺ホルモン値への影響

日本の透析導入の問題点

末期腎不全の新規透析導入は

  1. 平均年齢70.4歳(男性69.7歳、女性72.1歳)(2019年度)
  2. 後期高齢者が40%と最多

透析導入の時点で、すでに重篤な心血管合併症、フレイル、認知症、甲状腺の病気を合併している事が多いため、生命予後は極めて不良です。死因の約30%は心臓脳血管合障害、約25%感染症。

透析の血中甲状腺ホルモン値への影響

血液透析自体で甲状腺ホルモンが除去されるが、甲状腺機能そのものが変化する事はないとされます(Endocr Rev. 1996 Feb;17(1):45-63.)。

透析と甲状腺機能障害

透析患者では甲状腺障害の頻度が高く、富山市民病院の報告では

  1. 低T3症候群(最も多い)
  2. 甲状腺機能低下症(2番目に多い)(透析導入前に高齢・潜在性甲状腺機能低下症なら、なり易い)
  3. 潜在性甲状腺機能低下症
  4. 低T3低T4症候群
  5. 潜在性甲状腺機能亢進症

の順に多いとの事。(第54回 日本甲状腺学会 P028 透析導入・透析中の甲状腺機能の検討)

末期腎不全と透析での甲状腺乳頭癌全摘出後、副甲状腺自家移植

末期腎不全と透析患者で、甲状腺乳頭癌(あるいは甲状腺濾胞癌)で甲状腺全摘出後、長期に至適な副甲状腺ホルモン濃度を保つため、摘出した副甲状腺を前腕筋肉内などに自家移植するのが良いとの報告があります。(第53回 日本甲状腺学会 P-222 甲状腺手術において上皮小体全摘及び前腕筋肉内自家移植術を同時施行した慢性腎不全の4例)

摘出した副甲状腺を4腺とも移植するのでなく、1部を細かく刻んで移植します。当然、甲状腺乳頭癌(あるいは甲状腺濾胞癌)が浸潤している副甲状腺を移植してはいけません。

腎性貧血の薬ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)で甲状腺ホルモン値の異常

ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)は、HIF(低酸素誘導因子)の分解酵素(HIF-PH)を阻害することで、エリスロポエチン(EPO)を増加させ腎性貧血を改善する新薬です。(Nephrol Dial Transplant. 2015 Oct; 30(10):1665-73.)

ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)は、現時点では透析中の腎性貧血のみが保険適応です。

ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)の副作用は、血栓塞栓症・高血圧で血管系のものが多いです。

HIF-PH阻害薬 ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)で甲状腺ホルモン値の異常が起きるとされます。「甲状腺機能低下症」と添付文書に記載されていますが、正確には異なります。

確かにTSH(甲状腺刺激ホルモン)、甲状腺ホルモン(FT4, FT3)いずれも低値で中枢性甲状腺機能低下症のような検査所見になり、甲状腺ホルモン値は低下しますが、ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)が甲状腺ホルモンの代用をするため、甲状腺機能低下の症状はおこらず、必要が無い甲状腺ホルモンは分泌されなくなるだけです。

ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)は、甲状腺ホルモンのトリヨードチロニン(T3)と構造的な類似性を有し、視床下部・下垂体の甲状腺ホルモン受容体β(TR)に結合し、TSH分泌を抑制するためです。(iScience. 2019 Oct 25;20:489-496.)(Clin Kidney J. 2021 Jan 20;14(5):1472-1474.)(BMC Nephrol. 2021 Mar 20;22(1):104.)

「ラット肝臓細胞の甲状腺ホルモン受容体(TR)にロキサデュスタットは結合能を有するが、その結合親和性は甲状腺ホルモンのトリヨードチロニン(T3)の1/2000程度で、結合阻害しているとは言えない」との意見もありますが、現実に起きている甲状腺ホルモン値の異常がある以上、説得力に欠けます。

当初考えられていた血栓塞栓症による下垂体梗塞で中枢性甲状腺機能低下症になるのは否定的です。

ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)で甲状腺ホルモン値の異常がおきても、決して甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)を投与、あるいは増量してはいけません。ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)の中止で元に戻ります。

ダプロデュスタット(ダーブロック®)もHIF-PH阻害薬であるが、ロキサデュスタット(エベレンゾ錠®)よりも甲状腺ホルモンの異常を来し難いとされます。[日本腎臓病薬物療法学会誌 2022;11(1):23-28.]

腎移植と甲状腺

腎移植後の甲状腺がん

腎移植を希望する待機患者は2020年で約1万3千人、日本における脳死ドナー・心停止ドナー の合計は年間100件超え位で、平均待機期間は約14年とされます。日本での脳死臓器移植は限界があるため、自ずと生体腎移植が主流になります。

生体腎移植:6親等内の血族、3親等内の姻族での臓器提供に加え、バシリキシマブ(シムレクト®)など免疫抑制剤の進歩により、血液型が異なる腎移植も可能な時代です。生体腎移植では腎動静脈の吻合直後から利尿が得られます。

心停止後献腎移植:心停止後の死体腎移植では、ドナー腎は虚血性急性腎不全になった後に摘出されるため、腎動静脈を吻合してもすぐに利尿は得られません。術後の乏尿期は血液透析でしのぎます。

しかし、問題は腎移植後です。

腎移植後の患者では、免疫抑制剤の長期使用により、癌細胞に対する免疫監視力が低下するため、発癌率が有意に上がると報告されています。皮膚癌、腎癌悪性リンパ腫などが多いですが、甲状腺癌の報告もあります。腎移植症例の6.1%に癌が発生し、甲状腺癌はその中の僅か2.9%とされます。(今日の移植 22:345-349,2009) 

腎移植患者では甲状腺癌の標準化罹患比は6.9と高く、移植後から診断までの平均期間は6年と短いです(Endocr Relat Cancer 17 : 159-167, 2010)。

使用された免疫抑制薬はアザチオプリン、プレドニゾロン、抗リンパ球グロブリン、サイクロポリンA、ミゾリビンなどです。(内分泌甲状腺外会誌 32(2)130-135,2015)

腎移植後甲状腺癌は、ほとんど甲状腺乳頭癌ですが、

  1. 男女比1:1、約4割に広範な外側区域リンパ節転移する(Transplant Proc 40 : 3751-3754, 2008) 
  2. 1cm以上の非微小癌の報告しかない(内分泌甲状腺外会誌 32(2)130-135,2015)

点が通常の甲状腺乳頭癌と異なります。

日本甲状腺学会でも、腎移植後10年で多発性甲状腺乳頭癌を認めた症例も報告されています。(第56回 日本甲状腺学会 P2-106 長期の免疫抑制剤使用後に発生した甲状腺癌の1 例)

腎移植後の副甲状腺機能亢進症・高カルシウム(Ca)血症

腎移植後、腎機能が改善すると、2次性副甲状腺機能亢進症のため上昇していた副甲状腺ホルモン(PTH)は低下します。しかし、腎移植までの透析歴が長いと、腎機能が改善しても血中の副甲状腺ホルモン(PTH)が低下せず、高カルシウム(Ca)血症になります。

腎移植後遷延性副甲状腺機能亢進症の治療は、

  1. シナカルセト投与するも不十分の報告多い(腎移植内科研究会・第2回学術集会)
  2. 副甲状腺摘出術(PTx)(内分泌甲状腺外会誌 30(1):68-71,2013)を

甲状腺関連の上記以外の検査・治療        長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

 

長崎甲状腺クリニック(大阪)


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