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低T3症候群・ノンサイロイダルイルネス・ユウサイロイドシック症候群[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見④ 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

低T3症候群 脱ヨード酵素

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(NIHのPub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

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甲状腺に異常がないのに甲状腺の数値が異常(ノンサイロイダルイルネス)

Summary

甲状腺に異常無く、甲状腺の数値のみ異常のノンサイロイダルイルネス(低T3症候群、ユウサイロイドシック症候群)は、慢性消耗性疾患で甲状腺ホルモンによるタンパク分解が進まないための生理的代償反応。末梢の1型5’-脱ヨード酵素活性低下、異所性3型5’-脱ヨード酵素活性亢進、甲状腺自体からのT3分泌低下が関与。rT3(リバースT3)が高値に。進行すると低T3,T4症候群、低T3,T4,TSH症候群になり、中枢性甲状腺機能低下症、無痛性甲状腺炎の経過中と鑑別要。甲状腺ホルモン剤投与しない。甲状腺機能亢進症/バセドウ病に低T3症候群を合併すると、低T3,低TSH,高T4になる。

Keywords

甲状腺,バセドウ病,ノンサイロイダルイルネス,低T3症候群,ユウサイロイドシック症候群,FT3,TSH,rT3,甲状腺ホルモン,FT4

ノンサイロイダルイルネス(Nonthyroidal illness syndrome)とは

ノンサイロイダルイルネス(Nonthyroidal illness syndrome)は、甲状腺に異常がないのに甲状腺の数値が異常になる、一見、理解しにくい病態です。あらゆる甲状腺以外の病気でおこる可能性があり、特に慢性の消耗性疾患・ICU入院中の患者に多くみられます。

低T3症候群

別名、低T3症候群(low T3 syndrome)、ユウサイロイドシック症候群(euthyroid sick syndrome)。

検査所見は

  1. 甲状腺ホルモンの血清トリヨードサイロニン(FT3)低値、サイロキシン(FT4)正常
  2. 重篤な状態ではFT4も低下[低T3,T4症候群(low T3,T4syndrome)]
  3. 甲状腺ホルモン(TSH)値は正常であることが多い[さらに重篤な状態ではTSHも低下;低T3,T4,TSH症候群(low T3,T4,TSHsyndrome)]
  4. 腎不全以外ではリバース トリヨードサイロニン(rT3)は高値(保険適応外)

です。

ノンサイロイダルイルネス(Nonthyroidal illness syndrome)の病態は

  1. 甲状腺ホルモン(FT3、FT4)の低下は、慢性の消耗性疾患で甲状腺ホルモンによるタンパク分解が進まないようにする生理的代償反応です。
    ①末梢の1型5’-脱ヨード酵素活性低下(T3の70~80%は末梢でT4が脱ヨード化)
    ②異所性3型5’-脱ヨード酵素活性亢進(通常では存在しない筋肉や肝臓)
    が関与します。
     
  2. 甲状腺自体からのT3分泌低下も関与します。
  3. 血清FT3が低下しているのに、TSHは正常です。
    これは、視床下部でのTRH分泌低下が原因で(J Clin Endocrinol Metab. 1997 Dec;82(12):4032-6.)
    ①TRH分泌を調節する2型5’-脱ヨード酵素活性は正常、あるいは亢進しているため
    ②低栄養状態によるレプチン低下
    によると考えられます。
    また、サイトカインによるTSHの分泌低下も報告されています(TNF-αなどJ Clin Endocrinol Metab. 1990 Dec;71(6):1567-72.)。
1型脱ヨウ素酵素(D1)

1型脱ヨウ素酵素(D1);末梢血液中でT4→T3の変換おこす(図;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

2型脱ヨウ素酵素(D2)

2型脱ヨウ素酵素(D2);細胞内でT4→T3し、細胞内のFT3濃度を調節(図;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

3型脱ヨウ素酵素(D3)

3型脱ヨウ素酵素(D3);T4からリバース トリヨードサイロニン(rT3)が産生され、血清トリヨードサイロニン(FT3)は産生されないため低値(図;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

低T3症候群(low T3 syndrome)が更に進行すると、

  1. 低T3,T4症候群(low T3,T4syndrome)
  2. 低T3,T4,TSH症候群(low T3,T4,TSHsyndrome)

になり、

  1. 中枢性甲状腺機能低下症
  2. 無痛性甲状腺炎の経過中

との鑑別が必要です。

極端な糖質制限ダイエットでノンサイロイダルイルネス(低T3症候群)

極端な糖質制限ダイエットでノンサイロイダルイルネス(低T3症候群)

糖質制限ダイエット(炭水化物制限食)は、カロリー制限ダイエットに比べて満腹感が得られやすく、正しく行えば糖尿病・メタボリック症候群の治療になります。

問題は、やみくもに糖質制限する極端な(間違った)糖質制限ダイエットです。

事務系の人の一日に必要な糖質は、成人女性270g、成人男性330g程です。糖質制限ダイエットするとしても、最低100g(制限前の1/3の糖質)は必要です。

異常な糖質制限ダイエットでは、脂肪だけでなく筋肉・骨も分解されます。脂肪だけ分解されるような適度な糖質制限ダイエットなら良いのですが、筋肉や臓器の維持に必要な蛋白、骨まで分解されては、健康を維持できません。体の防衛反応(代償反応)として、これ以上、体を分解させないためにノンサイロイダルイルネス(低T3症候群)が起こります。

また、人間の脳は、ほとんど糖質で栄養されているので、血液中の糖が下がり過ぎれば、集中力、記憶力、学力の低下が起こり、仕事でミスをしたり、成績が落ちたりします。

極端な糖質制限ダイエットの典型例として、3食抜き(朝、昼、夕、3食とも米を抜き、麺類、パン、イモ、菓子類も制限)1日の糖質の摂取量30~60g。

更には、20g/日未満の極限の糖質制限まで行えば、FT3 1.0-2.0 pg/mlの超低T3症候群になり、低栄養状態と甲状腺ホルモン作用の欠落により、低体温、脱毛、全身倦怠感、ついには不整脈、心不全に至ります(餓死と同じです)。

何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」。

異常な糖質制限ダイエット +糖尿病でケトアシドーシス

糖尿病は相対的 or 絶対的なインスリン不足で糖を有効に分解できない状態です。血糖高いのに体重が減ってくる糖尿病は、脂肪だけでなく、筋肉や臓器の維持に必要な蛋白まで分解される(異化亢進)危険な状態です。当然、体の防衛反応(代償反応)のノンサイロイダルイルネス(低T3症候群)が起こります。

この状態で異常な糖質制限ダイエット行えば、さらに蛋白分解が進み、命にかかわる糖尿病性ケトアシドーシス おこす危険があります。

糖質制限ダイエットでのタンパク質摂取

過激な糖質制限ダイエットは論外として、正しい糖質制限ダイエットでは、糖質を減らした分、タンパク質で穴埋めしなければなりません。

  1. タンパク質の補充が不完全では、筋肉や臓器の維持に必要な蛋白が分解されてしまいます。
  2. タンパク質の補充が多過ぎると、特に糖尿病性腎症の尿たんぱくを増加させ、腎機能を低下させます。

また、糖尿病でインスリン注射や血糖降下剤を服薬中では、その種類や用量を変えねばなりません。特に、低血糖発作に注意が必要。

特定の薬剤でもノンサイロイダルイルネス(低T3症候群)

特定の薬剤でもノンサイロイダルイルネスを起こします。薬の特性としてT4→T3の変換を妨げるからです。ただし、これらの薬剤はノンサイロイダルイルネスを過ぎると、本当の甲状腺機能障害(甲状腺機能低下症甲状腺中毒症甲状腺機能亢進症/バセドウ病)起こします。

  1. 副腎皮質ステロイド剤(プレドニンなど);過ぎると中枢性甲状腺機能低下症
  2. ベータブロッカー;過ぎても何もおこらず
  3. アミオダロン;過ぎると甲状腺機能低下症甲状腺中毒症甲状腺機能亢進症/バセドウ病
  4. ドーパミン;過ぎると中枢性甲状腺機能低下症

など

ノンサイロイダルイルネス(低T3症候群)に甲状腺ホルモン剤投与してはダメ!

ノンサイロイダルイルネスに甲状腺ホルモン剤投与すると異化亢進が促進される(筋肉など蛋白質が燃焼される)ため、食事や原疾患の改善による甲状腺機能の変化を見ます。

低T3,低TSH,高T4は甲状腺機能亢進症/バセドウ病に低T3症候群を合併

低T3,低TSH,高T4を認めた場合、甲状腺機能亢進症/バセドウ病に低T3 症候群を合併した可能性を考えねばなりません。甲状腺機能亢進症/バセドウ病単独では、低TSH,高T3,高T4になるべきところが、T4→T3への変換が妨げられ(第55回 日本甲状腺学会 P1-08-11 バセドウ病に進行食道癌による低T3 症候群を合併した一例)

低T3,低TSH,正T4の事も

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に低T3 症候群を合併した場合、低T3,低TSH,正T4の事もあります。甲状腺機能亢進症/バセドウ病単独に、低T3,T4症候群(low T3,T4syndrome)、あるいは低T3,T4,TSH症候群(low T3,T4,TSHsyndrome)が重なるためです。

(第55回 日本甲状腺学会 P1-08-12 1 型糖尿病による高血糖のため、low T3 症候群を呈したバセドウ病の1 例)

クッシング症候群、ステロイド投与による視床下部性甲状腺機能低下症も同じパターンになり、鑑別を要します。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療     長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

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