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免疫チェックポイント阻害薬による甲状腺機能障害   [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

免疫チェックポイント阻害薬の悪性黒色腫治療ニボルマブ(オプジーボ®)

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。免疫チェックポイント阻害薬は扱っておりません。

Summary

悪性黒色腫細胞は細胞表面にPD-L1(プログラムド セル デス1)を発現し、癌細胞を破壊するため活性化したTリンパ球細胞と結合、不活化して、Tリンパ球細胞の攻撃を免れる。免疫チェックポイント阻害薬の悪性黒色腫治療薬、ニボルマブ(オプジーボ®)はPD-L1阻害、イピリムマブ(ヤーボイ®)はCTLA-4の分子標的治療薬で、自己免疫誘発し橋本病(慢性甲状腺炎)の増悪による無痛性甲状腺炎・甲状腺機能低下症の免疫関連有害事象おこす。稀だが、海外ではバセドウ病、甲状腺眼症、甲状腺クリーゼの報告ある。免疫関連有害事象でリンパ球性下垂体炎、原発性副腎皮質機能低下症、劇症1型を含む1型糖尿病も。

Keywords

免疫チェックポイント阻害薬,悪性黒色腫,ニボルマブ,オプジーボ,PD-L1,イピリムマブ,ヤーボイ,CTLA-4,無痛性甲状腺炎,甲状腺機能低下症,免疫関連有害事象

悪性黒色腫治療ニボルマブ(商品名:オプジーボ)で、無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症

悪性黒色腫細胞のPD-L1(プログラムド セル デス1)阻害するニボルマブ(商品名:オプジーボ)

悪性黒色腫細胞は細胞表面にPD-L1(プログラムド セル デス1)を発現し、癌細胞を破壊するため活性化したTリンパ球細胞と結合、不活化して、Tリンパ球細胞の攻撃を免れます。

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、免疫チェックポイント阻害薬と言われる分子標的治療薬(バイオ製剤)で、、PD-1をブロックし、活性化したTリンパ球細胞が悪性黒色腫細胞を攻撃できるようにします。

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)で無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、根治切除不能な悪性黒色腫治療に保険適応がありますが、無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症を高頻度におこします。

国内のニボルマブ(商品名:オプジーボ)の臨床試験では、甲状腺機能障害は14.3%、(5/35例)、海外では5.9%(18/306例)でした。やはりヨード摂取量の多い日本人では無痛性甲状腺炎甲状腺機能低下症が起こり易いようです。

また、ニボルマブ投与前から甲状腺自己抗体が陽性の場合、甲状腺機能異常は重くなるとされます。

神奈川県立がんセンターの報告では、ニボルマブで甲状腺機能障害を発生する群は投与回数が有意に多かった(8回 vs.4回, p=0.03)とされます。(第60回 日本甲状腺学会 O6-5 ニボルマブによる甲状腺機能障害のリスク因子)

無痛性甲状腺炎橋本病(慢性甲状腺炎)は、ヘルパーT細胞(Th1細胞)の活性化が原因で起こるため、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)により活性化されたTh1細胞により、無痛性甲状腺炎橋本病(慢性甲状腺炎)の増悪による甲状腺機能低下症がおこります。(橋本病とバセドウ病は入れ替わる---元は同じ自己免疫性甲状腺疾患

ニボルマブによる無痛性甲状腺炎の特徴

ニボルマブによる無痛性甲状腺炎は、通常の無痛性甲状腺炎と異なり、沈静化した後に永続的な甲状腺機能低下症になり易いと言う報告があります。(第59回 日本甲状腺学会 O4-1 ニボルマブによる無痛性甲状腺炎は特徴的な臨床像を呈する)

京都大学の報告では、甲状腺中毒症無痛性甲状腺炎)11例中8例(約73%)は永続的な甲状腺機能低下症を続発、残り3例(約27.3%)は甲状腺機能低下症おこす事無く軽快したそうです。(第60回 日本甲状腺学会 YIA-2 ニボルマブによる甲状腺機能異常の臨床像の確立と発症機序の探索)

ニボルマブによる無痛性甲状腺炎の予後

ニボルマブで無痛性甲状腺炎おこした場合(前者)、最初から甲状腺機能低下症をおこした場合(後者)よりも悪性黒色腫の予後が良いとの報告があります。症例数が少ないため、統計上、有意と言えませんが、大阪医療センターの報告では、後者8例の内、5 例がニボルマブ投与開始9 ヶ月以内に死亡したが、前者3例の内、2 例が1年以上生存し、1例が報告時5ヶ月存命との事です。(第59回 日本甲状腺学会 O4-3 悪性黒色腫へのニボルマブ投与前後の甲状腺機能と予後に関する検討)

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)でバセドウ病が再発

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)によるバセドウ病の発症は稀だが、海外では報告がありました。日本でも、野口病院が原発性肺腺癌(非小細胞癌性肺癌)にニボルマブ(オプジーボ®)投与し、寛解していたバセドウ病が再燃した例を報告しました。元々、インターフェロン治療で誘発された甲状腺機能亢進症/バセドウ病で、1年以上、無投薬で再発認められなかったが、ニボルマブ(オプジーボ®)投与後に再発、中止後も甲状腺機能亢進症/バセドウ病の状態が続いているそうです。(第60回 日本甲状腺学会P2-6-3 インターフェロン投与で発症しニボルマブ投与で再燃したバセド ウ病タイプの薬剤性甲状腺中毒症の一例)

ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)

ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)も同じ抗 PD-1 抗体で、根治切除不能な悪性黒色腫に保険適応があります。

イピリムマブ(商品名ヤーボイ)はCTLA-4を標的とした免疫チェックポイント阻害薬

癌細胞を攻撃するヒト細胞傷害性T細胞は、CTLA-4(Cytotoxic T Lymphocyte Antigen-4; ヒト細胞傷害性T細胞抗原 4)を発現し、癌の抗原を提示する樹状細胞に結合、自己の過剰な活性化を抑制します。

イピリムマブ(商品名ヤーボイ)はCTLA-4を標的とした免疫チェックポイント阻害薬で、CTLA-4に結合し、ヒト細胞傷害性T細胞が不活化されるのを防ぎます。切除不能な悪性黒色腫に保険適応があります。

自己免疫性下垂体炎

自己免疫性下垂体炎は、イピリムマブ(ヤーボイ®)の10%に起こりますニボルマブ(オプジーボ®)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)の10倍。MRI所見は特徴的で、造影T1強調像では腫大した下垂体が不整に増強されます。

(写真AJNR Am J Neuroradiol. 2009 Oct;30(9)1751-3.)

イピリムマブ MRI 造影T1強調像

免疫関連副作用[免疫関連有害事象 (immune-related adverse event, irAE)]で下垂体炎も

免疫チェックポイント阻害薬によるT細胞活性化作用により、過度の免疫反応が誘発され、特に内分泌系(甲状腺下垂体副腎膵臓のランゲルハンス島)の自己免疫疾患疾患が問題になっています。内分泌系への免疫関連有害事象 (immune-related adverse event, irAE)。

リンパ球性下垂体炎も抗PD-1 抗体(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)の1%前後に起こります( J Clin Endocrinol Metab. 98:1361−1375,2013.)。

その他、原発性副腎皮質機能低下症劇症1型を含む1型糖尿病があります。

高カルシウム血症副腎皮質機能低下症

免疫チェックポイント阻害薬投与中に高カルシウム血症おこれば、続発性(2次性、下垂体性)副腎皮質機能低下症原発性副腎皮質機能低下症の発症を疑わねばなりません(副腎皮質機能低下症でも高カルシウム血症 )。

もちろん、無痛性甲状腺炎単独でも高カルシウム血症は起こり得ますが(甲状腺と高カルシウム血症 )、副腎皮質機能低下症も同時発症していると、さらに高カルシウム血症になります。報告では、補正Ca 13.2mg/dlまで上昇し、プレドニゾロン(PSL)30mg点滴静注、 ゾレンドロン酸静注により血清カルシウム値は低下したそうです。(第60回 日本甲状腺学会 P2-6-4 悪性黒色腫に対するニボルマブ治療中止後2ヶ月目に強い倦怠感・ 嘔気を伴う甲状腺中毒症、高カルシウム血症で緊急入院となった 一例)

免疫チェックポイント阻害薬による甲状腺機能障害

免疫チェックポイント阻害薬による甲状腺機能障害は、

  1. 発症頻度はニボルマブで約7% 、イピリムマブで約2%
  2. 約6割は投与3ヶ月以内に発症
  3. 無痛性甲状腺炎破壊性甲状腺炎)が多い
  4. 稀だが、海外ではバセドウ病甲状腺眼症の報告もある
  5. 軽症が多いが、海外では甲状腺クリーゼの報告が2例ある
  6. TPO抗体TG抗体が経過中に陽性化すると、顕在性甲状腺機能低下症に移行する頻度が高い
  7. 副腎皮質ホルモンで顕性甲状腺機能低下症への移行を阻止できるかどうか不明

群馬大学の報告では、3例だけだが、甲状腺中毒症発症時・発症後に、何らかの理由で(効果不十分・下垂体炎、薬剤性肺炎、サルコイ ドーシス様の両側肺門リンパ節腫脹を発症した)免疫チェックポイント阻害薬を中止、または高用量プレドニゾロン投与すると永続性甲状腺機能低下症への移行を阻止できる可能性があるとされます。(第60回 日本甲状腺学会 P2-6-1 当院で経験した免疫チェックポイント阻害薬投与後に甲状腺機能 異常を呈した6例の臨床的特徴)

免疫チェックポイント阻害薬による下痢

免疫チェックポイント阻害薬による下痢は、通常の抗がん剤による下痢とは異なります。重症下痢にはステロイド剤を投与。ロペラミド(ロペミン)などの止瀉薬は、かえって重症化させる危険があるため要注意。

無痛性甲状腺など甲状腺中毒症が起きている時は、下痢しやすいです(甲状腺ホルモンと便秘・下痢)。

非小細胞肺がんに対しても保険適応

ニボルマブ(商品名:オプジーボ)とペムグロリズマブ(商品名キイトルーダ)は、非小細胞肺がんに対しても保険適応が認められています。特に、喫煙者、EGFR変異が無い、中枢神経転移がない患者に有効との事です。

また、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、切除不能な腎細胞癌、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌などにも適応が拡大されています。更に適応される癌の種類が増える勢いです。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)

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