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甲状腺癌の謎、甲状腺乳頭癌は免疫監視から逃避 [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺癌の発癌理論(芽細胞発癌)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

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Summary

今まで甲状腺癌の原因は(甲状腺ホルモンをつくる)濾胞上皮細胞の増殖過程の遺伝子変異と考えられていたが、濾胞上皮細胞は一生で6-8回しか細胞分裂しないため、簡単に癌化しない。甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)が若年者に多い理由も説明不能。芽細胞発癌理論は、濾胞上皮細胞が癌化するのでなく、最初から癌化すべき未熟な細胞が甲状腺内に存在しているとの説。甲状腺乳頭癌細胞表面にPD-L1が発現→癌細胞を攻撃するため活性化したTリンパ球細胞に結合→不活化してTリンパ球細胞の攻撃を免れるす。甲状腺乳頭癌は免疫監視から逃れ、生体内に長らく共存すいると言う仮説がある。

Keywords

甲状腺癌,濾胞上皮細胞,甲状腺,乳頭癌,濾胞癌,芽細胞発癌,PD-L1,Tリンパ球細胞,免疫監視,甲状腺未分化癌

甲状腺癌の発癌理論(芽細胞発癌)

甲状腺癌の発癌理論(芽細胞発癌)

今まで甲状腺癌の原因は、(甲状腺ホルモンをつくる)濾胞上皮細胞の増殖過程で遺伝子変異がおこるためと考えられていました。しかし、濾胞上皮細胞は一生でたった6-8回しか細胞分裂しないため、そう簡単に癌化しません。また、甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)が若年者に多い理由を説明できません。

大阪大学の高野徹先生の芽細胞発癌理論(右)は、この矛盾を解決します(Endocr J 2004; 51: 509-515)(日本甲状腺学会雑誌 Vol4(2) 81-85)。濾胞上皮細胞が癌化するのでなく、最初から癌化すべき未熟な細胞が甲状腺内に存在しているというのです。

  1. 甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)は胎生期の、癌の性質をもつ未熟な甲状腺芽細胞に由来
  2. 良性の甲状腺腺腫は、癌の性質をもたない高分化な前甲状腺細胞に由来
  3. 最も悪性の甲状腺未分化癌は、最も原始的な(未分化な)甲状腺幹細胞に由来

甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)が

  1. 女性に多いのは、甲状腺芽細胞が胎児期の高エストロゲン下で発生することから説明でき、
  2. 甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)が若年者で悪性度低く、高齢者で悪性度高いのは、高齢者の甲状腺芽細胞は原始的な甲状腺幹細胞に近いためと考えられます。

甲状腺未分化癌が、

  1. 高齢者におこるのは、甲状腺幹細胞は数十年、増殖せず潜伏できるため
     
  2. 甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)と共生するのは、甲状腺幹細胞は自分より分化した甲状腺芽細胞を作り出すとすれば説明可。
    [これまでは甲状腺分化癌(乳頭癌濾胞癌)が未分化変異おこすと信じられていましたが、未分化癌の転移巣でも未分化癌分化癌が原発巣と同じ比率で共生する理由を説明できませんでした]
    (写真;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)
     
  3. 甲状腺良性腫瘍や甲状腺髄様癌とも併存するのは、甲状腺幹細胞に由来するとすれば矛盾なく説明可。
乳頭がんと未分化がんの混在

甲状腺未分化癌への転化(未分化転化)をどう説明するか?

長年、甲状腺良性腫瘍として経過観察され、細胞診では悪性所見なく、5年間で1cm(1年間で2mm)の増殖速度(ここまでは良性腫瘍の増殖速度)、さらに5年間で2cm(1年間で4mm)の増殖速度(この時点で癌の増殖速度になっています)、10日ほどの経過で2~3倍に増大、肺転移が出現し甲状腺未分化癌への転化(未分化転化)となった報告例。(第60回 日本甲状腺学会 P2-9-2 10年間にわたる経過観察中に腫瘍の急速な増大に伴い嗄声が出現 し、未分化転化が疑われた縦隔内甲状腺腫の1例)

おそらく細胞診で正常あるいは良性と出ているので、甲状腺濾胞癌の未分化転化の可能性が疑われます。濾胞癌細胞未分化癌に転化したのでしょうか?

芽細胞発癌説で、この事象を説明できるのでしょうか?ここからは、筆者の勝手な推論ですが、

  1. 甲状腺濾胞癌細胞の芽と甲状腺未分化癌細胞の芽が、同一腫瘍内に混在していた
  2. 甲状腺未分化癌細胞の芽が、先に甲状腺濾胞癌に分化し、その後、甲状腺未分化癌へ分化した

可能性はどうでしょうか?

甲状腺濾胞癌髄様癌が同時に存在した実例

甲状腺濾胞構造

甲状腺癌の芽細胞発癌理論で説明できるでしょうか?甲状腺濾胞癌髄様癌が同じ甲状腺内に同時に存在した報告があります。(第61回 日本甲状腺学会 O13-2 甲状腺に濾胞癌と髄様癌を同時に認めた1例)

甲状腺濾胞癌は、甲状腺乳頭癌甲状腺低分化癌甲状腺未分化癌と同じく濾胞細胞系起源ですが、甲状腺髄様癌は神経内分泌細胞系の傍濾胞C細胞起源です。

何万-何十万分の1の確率で起きる偶然の重複癌かもしれません。芽細胞発癌理論で幹細胞に由来する分化と考えるならば、濾胞細胞系と神経内分泌細胞系の2方向に分化した事になるでしょう。

同一腫瘍が甲状腺分化癌と甲状腺髄様癌の両方の性質を持つ混在癌

更に驚くべき事ですが、同一腫瘍が甲状腺分化癌甲状腺髄様癌の両方の性質を持つ混在癌も報告されています。

  1. 甲状腺分化癌の性質;I-123シンチグラフィで腫瘍部に一致したtracer uptakeを認める機能性結節(甲状腺ホルモン産生腫瘍)。術後病理標本で腫瘍の一部がサイログロブリン陽性。
  2. 甲状腺髄様癌の性質;CEAカルシトニン高値、穿刺吸引細胞診で大小不同の偏在した核、アミロイド様物質。免疫染色でカルシトニンCEAがびまん性に染色される。

(第61回 日本甲状腺学会 O13-3 I-123シンチグラフィでfocal uptakeを認めたバセドウ病合併甲状腺髄様癌の1例)

芽細胞発癌理論で考えると、幹細胞に近い腫瘍細胞が分化の途中、濾胞細胞系と神経内分泌細胞系の2方向に分かれた事になるでしょう。

甲状腺乳頭癌は免疫監視から逃避する?

甲状腺乳頭癌細胞株K1 と未分化癌細胞株8305Cの人体の免疫系に影響する因子を調べた報告があります(第59回 日本甲状腺学会 P3-3-3 甲状腺乳頭癌と未分化癌細胞株における免疫系分子発現の相違)。

細胞表面・細胞内の免疫系分子の発現をフローサイトメトリーで調べた結果、甲状腺乳頭癌細胞株は甲状腺未分化癌に比べて

  1. HLA-A,B,C 分子発現の低下
  2. 抑制性免疫チェックポイントのPD-L1 と、ATP分解に関与するCD73 の発現が増加

また甲状腺乳頭癌甲状腺未分化癌両方でstemness marker(自己再生と多方向への分化のマーカー)であるCD44, CD133, ABCG2 の発現が増加していたそうです。

甲状腺乳頭癌細胞表面にPD-L1が発現→甲状腺乳頭癌細胞を破壊するため活性化したTリンパ球細胞に結合→不活化してTリンパ球細胞の攻撃を免れます。そのため、甲状腺乳頭癌は免疫監視から逃れ、生体内に長らく共存していると言う仮説が成り立ちます。

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