橋本病 バセドウ病と似ている・合併する筋の病気[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科(内分泌骨リウマチ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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Summary
皮膚筋炎は、全身倦怠感や筋力低下、筋肉痛、筋酵素上昇から甲状腺機能低下症に、眼瞼部の紫紅色皮疹(ヘリオトロープ疹)はバセドウ病眼症(甲状腺眼症)に似ている。30%に悪性腫瘍を合併し非遺伝性(散発性)甲状腺髄様癌の報告がある。リウマチ性多発筋痛症は両頚部~肩に掛けての痛み、急激な体重減少で亜急性甲状腺炎、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の様。線維筋痛症は甲状腺ホルモンのアンバランスが原因との説あり。慢性疲労症候群は原因不明の強い疲労が6ヶ月以上、微熱、関節痛、筋痛、咽頭痛・頭痛・頸部リンパ節腫脹で甲状腺機能低下症/橋本病と鑑別要。謎の無自覚性CPK(CK) 数万の上昇は甲状腺、過剰な筋肉負荷など。
Keywords
皮膚筋炎,筋力低下,筋肉痛,甲状腺機能低下症,リウマチ性多発筋痛症,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,線維筋痛症,慢性疲労症候群,橋本病
皮膚筋炎は、皮膚と筋肉の病変が主体の膠原病です。小児期(5-15歳)と中高年期(40-60歳)に2峰性のピークがあります。
全身倦怠感や筋力低下、筋肉痛、筋酵素(CPK,CK)上昇
皮膚筋炎の48%は、潜在性甲状腺機能低下症をはじめ、甲状腺機能異常を有しています。
皮膚筋炎は、全身倦怠感や筋力低下、筋肉痛、筋酵素(CPK,CK)上昇から甲状腺機能低下症と間違われることがあります(甲状腺機能低下性ミオパチー)。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病に皮膚筋炎を合併すると、①甲状腺中毒性筋症(ミオパシー)②抗甲状腺薬(メルカゾール)の副作用の筋肉痛・横紋筋融解症との鑑別必要(甲状腺機能亢進症/バセドウ病と筋肉痛・筋けいれん(攣[つ]る)・四肢麻痺)。(第53回 日本甲状腺学会 P-176 甲状腺機能亢進症の経過中に多発筋炎を合併した一例)
皮膚症状:ヘリオトロープ疹・ゴットロン徴候、ゴットロン丘疹・爪周囲紅斑・Vネック皮疹

皮膚筋炎の皮膚症状
- 眼瞼部の淡い紫紅色皮疹(ヘリオトロープ疹)はバセドウ病眼症(甲状腺眼症)の眼瞼炎のようです
- 手指関節・下肢関節背面に鱗屑・角化を伴いモコモコした紫紅色の皮疹(ゴットロン徴候、ゴットロン丘疹)]、光線過敏により露光部にできる。
- 爪上皮が延長し点状出血(NFB:nail fold bleeding)・拡張した毛細血管をともなう手爪周囲紅斑;全身性強皮症(SSc)で最も多いが、皮膚筋炎、MCTD(混合性結合組織病)、 全身性エリテマトーデス(SLE)でも高頻度で見られます。
- Vネック皮疹;甲状腺機能亢進症/バセドウ病治療薬、抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の副作用の皮疹と鑑別要。
間質性肺炎、関節炎
全身倦怠感、間質性肺炎、関節炎は橋本病併発シェーグレン症候群のようです(どちらも膠原病だし)。
悪性腫瘍
皮膚筋炎は30%に悪性腫瘍を合併します。(下記)
皮膚筋炎に合併する悪性腫瘍の種類
皮膚筋炎は30%に悪性腫瘍を合併します。
胃癌26%、肺癌20%、悪性リンパ腫12% 乳癌10%(日本皮膚科学会雑誌,120: 1197–1202, 2010.)。甲状腺癌は1-5%とされます(皮膚科の臨床,27(5): 499–505, 1985.)。
皮膚筋炎に合併する甲状腺癌は、
- ほとんど甲状腺乳頭癌です(J Clin Rheumatol. 2021 Jun 1;27(4):168-171.)(Case Rep Endocrinol. 2017;2017:7985953.)
- 非遺伝性(散発性)甲状腺髄様癌を合併した症例が報告されています。(第58回 日本甲状腺学会 P2-6-4 clinically amyopathic dermatomyositis に甲状腺髄様癌を合併し手術療法で良好な経過を得た1例)(山梨医科学誌31(1),21~26,2016)
- 甲状腺原発悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の報告もあり(BMJ Case Rep. 2016 Apr 28;2016. pii: bcr2016215057.)。
皮膚筋炎に悪性腫瘍を合併した場合
①ステロイド抵抗性のことが多いですが、報告例ではステロイド反応性がよく、甲状腺髄様癌も手術で切除できたとされます。(第58回 日本甲状腺学会 P2-6-4 clinically amyopathic dermatomyositis に甲状腺髄様癌を合併し手術療法で良好な経過を得た1例)
②悪性腫瘍の治療により皮膚症状・間質性肺炎などが改善した報告あり、甲状腺癌の手術により皮膚症状・間質性肺炎が改善した症例が報告されています。(The Japan Society for Clinical Immunology,35(3): 188–193, 2012.)(山梨医科学誌31(1),21~26,2016)(Case Rep Endocrinol. 2017; 2017:7985953.)
それは、11.8mm×8.2mm×7.3mm大の甲状腺乳頭癌(1cm超えているので微小乳頭癌ではありませんが)でも報告されており、「皮膚筋炎に合併した甲状腺乳頭癌は、サイズが小さくても積極的に手術を考慮すべき」との結論です。(第61回 日本甲状腺学会 O12-1 皮膚筋炎の診断から発見に至った甲状腺乳頭癌の1例)
アミノアシルtRNA合成酵素に対する自己抗体(抗ARS抗体)は、皮膚筋炎(および皮膚症状が無い多発筋炎)で最も高頻度に出現する(25-40%)筋炎特異的自己抗体です。
- 抗Jo-1抗体陽性(検出率25%)例では間質性肺炎を高率に合併
- 抗CADM-140抗体:ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候、爪周囲紅斑があるも筋炎所見なし。間質性肺炎合併すると予後不良.
- 抗OJ抗体:間質性肺炎が高率、筋炎より著明。関節炎は他の抗ARS抗体より少ない
これらの抗体が検出される場合、抗ARS抗体症候群[ステロイド反応性の良い非特異性間質性肺炎(NSIP)(90%)、多関節炎(64-83%)、レイノー現象(62%)、機械工の手(17-71%)が特徴]と言います(Curr Rheumatol Res. 2011;13(3) 175-181)。
しかし、これらの抗体より筋肉のMRI(STIR画像)の方が筋炎所見を正確に評価できます。
抗TIF1-γ抗体は、皮膚筋炎に特異的な自己抗体で、約20%で陽性です。TIF1-γ抗原は萎縮変性した細胞に出現するため、正常細胞を用いて測定する間接蛍光抗体法で、抗核抗体(ANA)陰性となります。
抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎は、悪性腫瘍合併皮膚筋炎の50~70%で陽性になります。中年以降で陽性なら、ほぼ100%悪性腫瘍を合併します。悪性腫瘍の種類に関係ありませんが、肺癌、胃癌、大腸癌が多い。悪性腫瘍合併皮膚筋炎は治療抵抗性で、生命予後不良ですが、悪性腫瘍の治療により改善する可能性あるため、積極的な治療を考えるべき。
抗TIF1-γ抗体は小児皮膚筋炎で最も高頻度に検出される筋炎特異的自己抗体です。しかし、成人と異なり抗TIF1-γ抗体陽性でも悪性腫瘍の合併はないとされます。
抗TIF1-γ抗体陽性皮膚筋炎は間質性肺炎の合併が少ないとされます。
小児にも皮膚筋炎のピークがあります。成人の皮膚筋炎と最も異なり、
- ウイルス感染が発症に関与(ウイルスの流行期に合わせて発症)
- 皮膚症状が筋症状に先行する
- 慢性化するものと、全身血管炎に至り予後不良のものに分かれる
- 悪性腫瘍が合併しない(抗TIF1-γ抗体が陽性であっても)
- 間質性肺炎が重症化する
などの特徴があります。
混合性結合組織病(MCTD)は、抗U1-RNP抗体が必ず陽性で、SLE、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎の症状/検査所見が混在、独自にMCTD肺高血圧症(最大の死因)・三叉神経痛あり。シェーグレン症候群(25%)、慢性甲状腺炎[橋本病](10%)合併します。(詳しくは、 MCTD(混合性結合組織病)と甲状腺 を御覧ください)
リウマチ性多発筋痛症の症状は2週間で一気に進み完成、
- 全身倦怠感、微熱(甲状腺機能亢進症/バセドウ病の様)
- (朝にこわばる)両頚部~肩に掛けての痛み(両肩関節痛・肩関節炎)、股関節痛、臀部痛(骨盤関節炎)。関節炎なので筋力低下・筋委縮ないが、把握痛を認める。関節リウマチのような手指関節腫脹と圧痛なし。
- 急激な体重減少(甲状腺機能亢進症/バセドウ病の様)
- 約2週間後の発熱で症状完成(亜急性甲状腺炎、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の様)
- 日本人では少ないが、強烈な頭痛と食事を摂る際の顎の痛み、最悪失明の視力障害をおこす側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)と密接に関連
- インターロイキン6(IL-6)に対する副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)やコルチゾー ルの分泌反応が低下し、副腎不全おこす危険あるとされます。(Rheumatology (Oxford)39:624―631,2000.)
- 悪性腫瘍の合併が多いとの報告もあり(Ann Rheum Dis. 2014 73(10):1769-73.)

リウマチ性多発筋痛症の検査所見は、
- 炎症反応を示す血清CRPが高値(線維筋痛症では増加しない)
- 関節炎なので筋障害で上昇するCPK(CK)は正常
- 膠原病の抗核抗体は陰性
- FDG PET-CT 検査では、棘突起の腱付着部(約50%)、股関節(90%)、肩関節(94%)に集積が(リウマチ性多発筋痛症に特徴的)(Dan Med J. 2017 Oct;64(10):A5410.)
リウマチ性多発筋痛症の治療は
- 少量-中等量の副腎皮質ステロイド剤が劇的に著効し診断的治療になります。しかし、投与は長期間になります。
- 側頭動脈炎の合併が疑われる場合、側頭動脈生検結果を待たずに大量のステロイド投与を開始。
線維筋痛症は、
- 微熱
- 睡眠障害・抑うつ;ストレスがさらに線維筋痛症を増悪
- 慢性疲労症候群
- うつ、不眠、過敏性腸症候群(IBS)、過活動性膀胱、逆流性食道炎など
- ドライアイ[橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群(ドライアイ,口内乾燥) の様]
- 記憶障害、集中力欠如
- むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群);ストレスがさらに線維筋痛症を増悪
などの合併も多いです。
線維筋痛症は、ストレス関連疾患なので血液検査で異常が出ません[炎症反応なし、抗核抗体(ANA)陰性]。
最近、線維筋痛症の原因は、
- 甲状腺ホルモンのアンバランス(甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症
- 自己免疫甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病)における炎症性サイトカイン
との説も増えています(Clin Rheumatol. 2014 Jul;33(7):885-91.)。
橋本病(慢性甲状腺炎)の30~60%に線維筋痛症を認めるとの報告がありますが、いくらなんでもそこまで多くありません。特に抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)との相関が強いとされます(Exp Clin Endocrinol Diabetes. 2012 Jul;120(7):401-4.)。
早石病院の報告では抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)陽性が28%、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)陽性が18%とされます(第64回 日本甲状腺学会 35-3 線維筋痛症と甲状腺疾患の関連)
また、線維筋痛症→甲状腺異常→膠原病の順に併発し重症化すると言われます。
抗てんかん薬、ガバペンチンと同系の神経因性疼痛治療薬プレガバリン(リリカ®)は神経障害性疼痛、線維筋痛症に保険適応があります。

慢性疲労症候群の原因は不明な点が多いですが、神経質・几帳面な人に多く、
- 抗甲状腺薬メルカゾールなどで薬剤性過敏症症候群をおこすヘルペスウイルス6(HHV6)
- 脳内セロトニン合成増加(甲状腺機能低下症では減少)
など免疫系、神経系、内分泌系の異常が考えられます。
慢性疲労症候群では
- 視床下部下垂体副腎軸(視床下部-下垂体-副腎のホルモン調節経路)に異常を来し、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の日内変動が乱れる(Turk J Med Sci. 2017 Aug 23;47(4):1097-1103.)
- 血漿ノルアドレナリン・アドレナリン、血漿FT4が有意にく、尿コルチゾール/クレアチニン比の有意に低い(J Transl Med. 2016 May 5;14(1):121.)
とされます。
慢性疲労症候群から線維筋痛症や自己免疫性甲状腺疾患を起こし易いとされます(Front Immunol. 2018 Feb 15;9:229.)。
慢性疲労症候群では全身状態が悪くなるため、低T3症候群(ノンサイロイダルイルネス)のことが多いです(Front Endocrinol (Lausanne). 2018 Mar 20;9:97.)
慢性疲労症候群には漢方薬・ビタミンB12・大量ビタミンC、抗うつ剤や精神安定剤が効く場合もあります。
1型、2型糖尿病問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます。
糖尿病性筋萎縮症は、高齢者に多く、おしり・太ももの筋肉の疼痛、筋力低下、筋萎縮をおこす糖尿病性末梢神経障害の一つです。遠位筋優位の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に似ていますが、糖尿病性筋萎縮症は近位型で痛みがあり、血糖コントロールで改善します。甲状腺中毒性ミオパチー(甲状腺機能亢進症/バセドウ病のとき)・甲状腺機能低下性ミオパチー(甲状腺機能低下症のとき)との鑑別が必要。
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)は、成人で最も多い筋ジストロフィー症で、筋強直と筋萎縮が特徴です。
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)は、常染色体優性遺伝で、CTG、CCTGの繰返し配列の異常伸長が原因(リピート病)。CUG・CCUGのリピートを持つ異常RNAにより全身が障害されます。
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)は、子の世代のほうが症状が重くなる表現促進現象を認めます(ハンチントン舞踏病と同じ)。
- 筋強直
把握ミオトニア;重いカバンを持った時、タオルを強く絞った時に、強く握った手をスムーズに離せない。ペットボトルのふたを開けにくい。
叩打ミオトニア:母指球をハンマーで叩打すると、数秒間、母指屈曲が持続 - 呼吸筋・咽頭筋・咀嚼筋の筋力低下・筋萎縮→咀嚼・嚥下障害(生命予後に関連)
- 西洋斧様の顔貌(側頭筋と胸鎖乳突筋は軽度萎縮)、前頭部脱毛
- 眼症状(白内障、網膜変性症);糖尿病の様
- 難聴:先天性甲状腺機能低下症の様
- 睡眠時無呼吸症:甲状腺機能低下症、先端巨大症の様
- 中枢神経症状(認知症状、性格変化、日中過眠)
- 内分泌異常(甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、低ゴナドトロピン血症(睾丸萎縮、月経困難、不妊)、成長ホルモン分泌障害)、アジソン病(Probl Endokrinol (Mosk). 2019 Sep 12;65(3):155-160.)(Neurology India. 2002;50(1):105–106.)
- 代謝異常(耐糖能障害、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、胆石症)
- 心病変(不整脈、心筋障害)
- 子宮筋腫、卵巣瘍腫瘍、甲状腺腫瘍など良性・悪性腫瘍
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)に合併する甲状腺異常として、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、腺腫様甲状腺腫がありますが、甲状腺機能低下症が最多。(J Neurol. 2012 May; 259(5):912-20.)
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)を合併する甲状腺ホルモン不応症(レフェトフ症候群)の家系が日本で報告されています(Thyroid. 2019 Apr;29(4):607-608.)(Am J Med Sci. 1996 Jun; 311(6):296-8.)。
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)に原発性副甲状腺機能亢進症を合併。(J Neurol. 2012 May; 259(5):912-20.)()
筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)に原発性副甲状腺機能亢進症、中毒性多結節性甲状腺腫(TMNG; toxic multinodular goiter)を合併した報告があります(Case Rep Endocrinol. 2015;2015:735868.)。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne 型進行性筋ジストロフィー)

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne 型進行性筋ジストロフィー)は、X連鎖劣性遺伝で血友病や色盲と同じく男のみに発症。ジストロフィン欠損が原因。
甲状腺機能低下症がデュシェンヌ型筋ジストロフィーの発症・増悪に関係するとの動物実験があります[Front Physiol. 2018 May 23;9:560.]。
周産期、乳児期に特記すべき症状はないが、幼児期以降に、走るのが遅い、転びやすいなどの兆候に周囲の人が気付く。甲状腺中毒性ミオパチ-のような近位筋力低下、甲状腺機能低下症のような筋の仮性肥大を認めます。
ガワーズ徴候(Gowers 徴候、登はん性起立)は、腰帯筋の筋力低下時に認められる。しゃがんだ姿勢から立ち上がる時、手を床について腰を上げ、次に膝に手を交互に当てて立ち上がるものです。
呼吸筋の筋力低下で呼吸困難になります。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー児では、下垂体機能低下症、副腎皮質機能低下症を認めるとの報告があります[Vopr Med Khim. 1982 Jul-Aug;28(4):30-4.]。
CK(CPK)高値。
肢帯型筋ジストロフィー
肢帯型筋ジストロフィーは、遺伝性も多様で、数十年かけて下肢近位部の筋力低下をおこします。まるで甲状腺機能低下症/橋本病のような進行の仕方です。
特に症状も無いのに、血液検査でCPK(CK) 数万の上昇を見つける事があります。腎機能も正常であれば・・?まず、最も緊急性を要する無症候性(痛みのない)心筋梗塞を疑い、心電図、心筋マーカー(CK-MB、心筋トロポニンTなど)測定(甲状腺で狭心症・心筋梗塞・急性大動脈解離)
心臓が原因でなく、筋肉由来(CK-MM)であれば、
- 甲状腺絡みの上昇(甲状腺と筋肉痛・筋けいれん)
- 横紋筋融解症(コレステロールの薬内服中);MRIが有用
- てんかん発作の後
- ジム等で激しい運動、フルマラソン後数日以内;1-2週間で正常値に回復
- 糖原病、ミトコンドリア脳筋症、ポンペ病;無症候性多い
- 偽高値;マクロCPK血症、免疫グロブリン結合による(CKアイソザイム測定が有用)
を疑う事になります。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
も御覧ください
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区,浪速区も近く。