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甲状腺と筋肉痛・筋けいれん・筋力低下    [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺

甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺、筋肉痛・筋けいれん・筋力低下の治療は行っておりません。

Summary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺中毒性ミオパシーは女性に多く、近位筋の筋力低下・筋痛。粘液物質の蓄積が原因。筋肥大が目立つとHoffmann症候群。CPK(CK;血清クレアチンキナーゼ)正常。甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は日本人に多く、細胞外から細胞内にカリウムが移動しアルカローシスの無い低カリウム血症。重症筋無力症との鑑別要。抗甲状腺薬の副作用、甲状腺機能改善に伴う高CPK(CK)血症、低カルシウム血症(ビタミンD欠乏症、手術後副甲状腺機能低下症、ハングリーボーン症候群)でも筋肉痛・筋けいれん・筋力低下。甲状腺機能低下症/橋本病でも近位筋の筋肉痛や筋けいれん。

Keywords

甲状腺機能亢進症,バセドウ病,甲状腺中毒性ミオパシー,筋力低下,筋痛,Hoffmann症候群,甲状腺機能低下症,甲状腺中毒性周期性四肢麻痺,高CK血症,低カリウム血症

甲状腺と筋肉痛・筋けいれん

甲状腺機能亢進症/バセドウ病と筋肉痛・筋けいれん・四肢麻痺

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の筋力低下

甲状腺機能亢進症/バセドウ病

  1. 60%以上に筋力低下(特に腸腰筋、大腿4頭筋)
  2. 10%に筋疲労、筋肉痛、筋けいれん
  3. 36%が筋症状で、医療機関を受診
  4. 12%に筋力低下と同時に、末梢神経(四肢)のしびれ、知覚障害(特に甲状腺ホルモン値FT4が高い場合)

を認めます。

  1. 筋力低下は甲状腺ホルモン値FT4 に相関しますが
  2. 筋酵素CK(CPK)は全例正常で、筋力低下と無関係です。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の発症初期に急速に進行し、重症です(ひどい時には、立ち上がれない事も)。しかし、甲状腺ホルモンが正常になれば速やかに回復するため(平均3.6カ月で)、単なる筋肉の分解による筋肉量の減少とは考え難いです。(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2000 Jun;68(6):750-5.)。

筆者は、過剰な甲状腺ホルモンにより、筋肉細胞内で何らかの代謝異常が生じているためと考えています。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の筋肉量減少

過剰な甲状腺ホルモンが筋肉を分解し、筋肉量の減少を起こします。男女ともに起こり、筋酵素CK(CPK)は低下しますが、前述の筋力低下とは無関係です。

甲状腺中毒性ミオパシー

甲状腺中毒性ミオパチーは、女性に多く、近位筋(大腿部、腕、背中の筋)の筋力低下・筋痛です。呼吸筋障害もあります。筋肉組織内の粘液物質の蓄積が原因と考えられています。甲状腺中毒性ミオパチーの中でも筋肥大が目立つものを Hoffmann症候群と呼びます。筋障害を表すCPK(CK;血清クレアチンキナーゼ)正常。甲状腺中毒性ミオパチーは、甲状腺ホルモンが正常化すると消失します。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の治療は行っておりません。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺とは

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の症状

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺とは、甲状腺中毒症(バセドウ病がほとんどですが、甲状腺ホルモンが高い状態ならバセドウ病以外でも起こります)に伴う急性全身性の筋力低下で、血清カリウム(K)値の異常を伴うものがほとんどです。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、日本人甲状腺中毒症の8%、アジア系若年男性(10~40歳)の甲状腺機能亢進症/バセドウ病に多いとされます(女性の20倍)。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の症状

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の症状は

  1. 左右対称で下肢、近位筋優位
  2. 知覚や意識は正常
  3. 基本的に呼吸筋や嚥下筋は侵されない
  4. 数時間~数日間持続し、自然に軽快

アルコール飲み過ぎ・食べ過ぎた翌日(炭水化物の負荷によるインスリン分泌亢進)、激しい運動後の安静時(インスリン感受性亢進)などに、ひどい場合起き上がれないこともあります。寒冷暴露など、ストレスが引き金になる事もあります。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の原因

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の原因

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の原因は不明です。甲状腺ホルモンの数値と甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の発症は関係ないとされます。①甲状腺ホルモンにより影響されるカリウムチャネルの変異が原因との説もあります。

また、②甲状腺ホルモンによるNa-K-ATPase活性化がインスリン作用を増強、Kが血中から細胞内へ移動、筋細胞膜の静止電位が進行性に脱分極して起こるとの説もあります。

家族性(遺伝性)周期性四肢麻痺で見られる骨格筋型Ca or Naチャネルαサブユニットの遺伝子変異が、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺でも見られた報告があります。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の病態

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、全身性のカリウム欠乏でなく、甲状腺ホルモンの作用で、血液中などの細胞外から、細胞内にカリウムが移動するため起こります。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、アルカローシスの無い低カリウム血症を半数に伴い、重症化すると横紋筋融解症にいたります[重篤で命にかかわるる副作用。筋障害を表すCPK(CK)が異常高値(1000以上にも)になります]。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、低カリウム血症を認めない例・糖負荷を行なっても発作が誘発されない例も多く報告されています(European Journal of Endocrinology 2013 169:529-36)。高カルシウム尿と低リン尿を伴う低リン血症も病態に関与します。

重症筋無力症との鑑別

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に合併する重症筋無力症との鑑別は問題になります。重症筋無力症は、夕方に症状強くなります。また、重症筋無力症は眼瞼下垂(上眼瞼挙筋)や外眼筋麻痺による複視もあり、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)と似ています。血中抗アセチルコリンレセプター抗体、抗MuSK抗体陽性になれば可能性大。

甲状腺機能正常化しても、症状続けば重症筋無力症を強く疑い、神経内科にてエドロホニウム(テンシロン)試験(症状軽快すれば陽性)、誘発筋電図(Harvey-Masland試験陽性=waning現象)を依頼します。

詳しくは、 甲状腺と密接な胸腺腫/重症筋無力症CASTLE甲状腺癌 を御覧ください。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の治療・予後

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、回復期は逆に細胞内から細胞外へカリウムが戻るため、高カリウム血症を呈す事もあり、経口カリウム剤投与は慎重にします。嘔吐や嚥下障害の場合のみ、カリウム添加生理食塩水をK20mEq/L・時間以下で点滴します(ブドウ糖は低カリウム血症を増強するので避ける。回復期の高カリウム血症を更に警戒)。

数時間で症状は軽快しますが、心電図モニターなどにより、回復時の高カリウム血症に注意します。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、甲状腺ホルモンが正常化すると治癒します。しかし、甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、甲状腺ホルモンの正常化に数か月かかる事が多いため、長崎甲状腺クリニック(大阪)ではプロプラノロール(非選択性β遮断剤)を投薬します。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の予防

また、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の発作予防として

  1. アセタゾラミドやカリウム製剤の効果はありません(アルカローシス無く、非発作時の血清カリウム濃度正常なので)。
  2. 甲状腺機能が正常化するまで、高炭水化物食、飲酒、激しい運動、長時間の寒冷暴露を避ける。
    甲状腺機能亢進症状態では、非常にお腹が空くので高炭水化物食の制限は難しいでしょう。
    飲酒は利尿作用もあるので、特に避けるべき。
    甲状腺機能亢進症状態では、不整脈・心不全・心筋症おこす危険あるので、激しい運動も特に避けるべき。

抗甲状腺薬の副作用

  1. 筋肉痛:体位変換で増強し、側腹部・側胸部におこりやすく、抗甲状腺薬減量で軽快。
  2. 横紋筋融解症:重篤で命にかかわる副作用。筋障害を表すCPK(CK)が異常高値(1000以上にも)になります。MMI(メルカゾール)、PTU(プロパジール、チウラジール)いずれかでもおこる可能性あります。

抗甲状腺薬治療後、甲状腺機能改善に伴う高CPK(CK)血症に筋痛・筋力低下

甲状腺機能亢進症/バセドウ病抗甲状腺薬で治療後、甲状腺機能改善に伴う高CPK(CK)血症に筋痛・筋力低下。FT3、FT4がほぼ正常化しTSH低値になった時点で発症する場合が多く、甲状腺機能改善に伴う細胞膜透過性の亢進が原因と推測されていますが、原因不明です(Arch Intern Med. 1997,24;157:693-6.)。メルカゾールからプロパジールに変更しても改善なく、抗甲状腺薬の副作用とは考え難いです。(抗甲状腺薬の副作用高CPK(CK)血症に筋痛・筋力低下

低カルシウム血症

低カルシウム血症でも、テタニーと呼ばれる筋けいれんが、手先[トルーソー徴候(Trousseau)徴候]や口の周り[クボステック徴候(Chvostek徴候)]におこります。

  1. 自己免疫性副甲状腺機能低下症バセドウ病/橋本病の自己免疫性甲状腺炎に合併し、自己免疫による副甲状腺の破壊(第57回 日本甲状腺学会 P2-025 抗甲状腺剤治療中にインスリン自己免疫症候群と高CPK 血症を生じたバセドウ病と副甲状腺機能低下症の合併例)
  2. ビタミンD欠乏症;甲状腺機能亢進症/バセドウ病では高頻度にビタミンD欠乏を合併するとの報告があります(Endocr J. 2001 Aug;48(4):515-6.)。
  3. バセドウ病手術後副甲状腺機能低下症バセドウ病で甲状腺切除と同時に副甲状腺も切除してしまった場合、取らずに温存した場合でも副甲状腺への栄養血管を傷つけた場合
  4. ハングリーボーン症候群(Hungry bone syndrome):甲状腺機能亢進症/バセドウ病では骨分解が亢進しています。甲状腺切除・アイソトープ(131-I)治療、[あるいは抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の報告もあり(日本救急医学会雑誌, 12(7): 372-376)]により、急激に甲状腺ホルモンが低下し、骨形成が亢進すると骨に大量のカルシウムが流入し、血液中のカルシウム濃度が低下します。
クボステック徴候(Chvostek徴候)

クボステック徴候(Chvostek徴候)とトルーソー徴候(Trousseau)徴候

トルーソー徴候(Trousseau)徴候

甲状腺機能低下症・橋本病と筋肉痛・筋けいれん・筋力低下(甲状腺機能低下性ミオパチー)

甲状腺機能低下症橋本病と筋肉痛・筋けいれん・筋力低下(甲状腺機能低下性ミオパチー)

甲状腺機能低下症では、

  1. 38%が筋力低下
  2. 42%が筋肉疲労、筋肉痛、筋けいれん
  3. 16%が筋症状で、医療機関を受診
  4. 42%が末梢神経障害
  5. 29%が手根管症候群(末梢神経(四肢)のしびれ、知覚障害おこすのは、4.5.合わせて29%)

を起こします。

  1. 筋酵素CK(CPK)は上昇する場合がありますが、筋力低下と無関係です。1年間治療しても13%が筋力低下が持続します。
  2. 筋力低下は甲状腺ホルモン値TSH、FT4 に無関係です。
    (J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2000 Jun;68(6):750-5.)。

甲状腺機能低下症での筋症状の原因は、単なる代謝障害でなく、

  1. 筋肉組織のⅡ型線維の萎縮
  2. 筋肉組織のⅠ型線維の核様変形
  3. 筋細胞核の増加

など不可逆的な筋組織の変性によると考えられます(J Neurol Sci 1987:77:237–48.)。

甲状腺機能低下症・橋本病と筋肉痛・筋けいれん(甲状腺機能低下性ミオパチー)

甲状腺機能低下症/橋本病でも近位筋(大腿部、腕、背中の筋)の筋肉痛や筋けいれんがおきます(甲状腺機能低下性ミオパチー)。筋肥大を伴うと甲状腺中毒性ミオパチー同様、Hoffman症候群とよばれます。

特に高齢者で甲状腺機能低下症が長い間見つからなかった人では、甲状腺ホルモン剤、チラーヂンS錠(一般名:レボチロキシン ナトリウム)による治療開始時に、大腿部、腕、背中の筋肉痛がおこることがあります。決して薬を中止せず、甲状腺専門医の指示に従ってください。

無痛性甲状腺炎と筋肉痛・筋けいれん

無痛性甲状腺炎による甲状腺中毒症に、甲状腺中毒性ミオパチーを合併した報告は少ないながら存在します。甲状腺ホルモン正常化に伴い、筋力低下・脱力症状は回復します。(第56回 日本甲状腺学会 P1-054 無痛性甲状腺炎に甲状腺中毒性ミオパチーを伴った1 例)

筆者が思うに、正確には甲状腺中毒性ミオパチーでなく、急激な甲状腺ホルモンの変動による筋力低下・脱力症状ではないでしょうか?

亜急性甲状腺炎の治療中にステロイドミオパチー

亜急性甲状腺炎の治療で副腎皮質ステロイドホルモン剤を使用中にステロイドミオパチーを起こす事があります。ステロイドミオパチーで、ステロイド投与量/投与期間と筋症状は必ずしも一致しません。

ステロイドミオパチーで、血清クレアチンキナーゼ(CK or CPK)値は正常か、軽度上昇します。

ステロイド投与を中止すれば治癒しますが、亜急性甲状腺炎の経過中は安易にステロイド減量すると、亜急性甲状腺炎が中途再発し、ステロイド投与を初期量で最初からやり直しになります。

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、ステロイドミオパチーに対し、

  1. 低カリウム血症をおこしている場合、経口カリウム剤を補給
  2. 筋肉の緊張を緩めるミオナール錠®を処方します

橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群による低カリウム性ミオパシー

橋本病シェーグレン症候群を併発すると、間質性腎炎から尿細管性アシドーシス起こし低カリウム血症になります。低カリウム性ミオパシーによる筋肉痛、筋力低下で起き上がれなくなります。(橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群(ドライアイ,口内乾燥 )

橋本病 バセドウ病と似ている筋の病気

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)


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長崎甲状腺クリニック(大阪)

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