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甲状腺と筋肉痛・筋けいれん・筋力低下    [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

甲状腺の病気と似ている合併している皮膚筋炎

甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等   糖尿病編 をクリックください

Summary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺中毒性ミオパシーは女性に多く、近位筋の筋力低下・筋痛,粘液物質の蓄積が原因。筋肥大が目立つとHoffmann症候群。CPK(CK;血清クレアチンキナーゼ)正常。甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は日本人に多く、細胞外から細胞内にカリウムが移動しアルカローシスの無い低カリウム血症。重症筋無力症との鑑別要。抗甲状腺薬の副作用、甲状腺機能改善に伴う高CPK(CK)血症、低カルシウム血症(ビタミンD欠乏症、手術後副甲状腺機能低下症、ハングリーボーン症候群)でも筋肉痛・筋けいれん・筋力低下。甲状腺機能低下症/橋本病でも近位筋の筋肉痛や筋けいれん。

Keywords

甲状腺機能亢進症,バセドウ病,甲状腺中毒性ミオパシー,筋力低下,筋痛,Hoffmann症候群,甲状腺機能低下症,甲状腺中毒性周期性四肢麻痺,高CPK(CK)血症,低カリウム血症

甲状腺と筋肉痛・筋けいれん

甲状腺機能亢進症/バセドウ病と筋肉痛・筋けいれん・四肢麻痺

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の筋力低下

甲状腺機能亢進症/バセドウ病

  1. 60%以上に筋力低下(特に腸腰筋、大腿4頭筋)
  2. 10%に筋疲労、筋肉痛、筋けいれん
  3. 36%が筋症状で、医療機関を受診
  4. 12%に筋力低下と同時に、末梢神経(四肢)のしびれ、知覚障害(特に甲状腺ホルモン値FT4が高い場合)

を認めます。

  1. 筋力低下は甲状腺ホルモン値FT4 に相関しますが
  2. 筋酵素CK(CPK)は全例正常で、筋力低下と無関係です。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の発症初期に急速に進行し、重症です(ひどい時には、立ち上がれない事も)。しかし、甲状腺ホルモンが正常になれば速やかに回復するため(平均3.6カ月で)、単なる筋肉の分解による筋肉量の減少とは考え難いです。(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2000 Jun;68(6):750-5.)。

筆者は、過剰な甲状腺ホルモンにより、筋肉細胞内で何らかの代謝異常が生じているためと考えています。

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の筋肉量減少

過剰な甲状腺ホルモンが筋肉を分解し、筋肉量の減少を起こします。男女ともに起こり、筋酵素CK(CPK)は低下しますが、前述の筋力低下とは無関係です。

甲状腺中毒性ミオパシー

甲状腺中毒性ミオパチーは、女性に多く、近位筋(大腿部、腕、背中の筋)の筋力低下・筋痛です。呼吸筋障害もあります。筋肉組織内の粘液物質の蓄積が原因と考えられています。甲状腺中毒性ミオパチーの中でも筋肥大が目立つものを Hoffmann症候群と呼びます。筋障害を表すCPK(CK;血清クレアチンキナーゼ)正常。甲状腺中毒性ミオパチーは、甲状腺ホルモンが正常化すると消失します。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の治療は行っておりません。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺とは

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の症状

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺とは、甲状腺中毒症(バセドウ病がほとんどですが、甲状腺ホルモンが高い状態ならバセドウ病以外でも起こります)に伴う急性全身性の筋力低下で、血清カリウム(K)値の異常を伴うものがほとんどです。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、日本人甲状腺中毒症の8%、アジア系若年男性(10~40歳)の甲状腺機能亢進症/バセドウ病に多いとされます(女性の20倍)。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の症状

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の症状は

  1. 左右対称で下肢、近位筋優位
  2. 知覚や意識は正常
  3. 基本的に呼吸筋や嚥下筋は侵されない
  4. 数時間~数日間持続し、自然に軽快

アルコール飲み過ぎ・食べ過ぎた翌日(炭水化物の負荷によるインスリン分泌亢進)、激しい運動後の安静時(インスリン感受性亢進)などに、ひどい場合起き上がれないこともあります。寒冷暴露など、ストレスが引き金になる事もあります。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の原因

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の原因

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の原因は不明です。甲状腺ホルモンの数値と甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の発症は関係ないとされます。①甲状腺ホルモンにより影響されるカリウムチャネルの変異が原因との説もあります。

また、②甲状腺ホルモンによるNa-K-ATPase活性化がインスリン作用を増強、Kが血中から細胞内へ移動、筋細胞膜の静止電位が進行性に脱分極して起こるとの説もあります。

家族性(遺伝性)周期性四肢麻痺で見られる骨格筋型Ca or Naチャネルαサブユニットの遺伝子変異が、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺でも見られた報告があります。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の病態

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、全身性のカリウム欠乏でなく、甲状腺ホルモンの作用で、血液中などの細胞外から、細胞内にカリウムが移動するため起こります。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、アルカローシスの無い低カリウム血症を半数に伴い、重症化すると横紋筋融解症にいたります[重篤で命にかかわるる副作用。筋障害を表すCPK(CK)が異常高値(1000以上にも)になります]。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、低カリウム血症を認めない例・糖負荷を行なっても発作が誘発されない例も多く報告されています(European Journal of Endocrinology 2013 169:529-36)。高カルシウム尿と低リン尿を伴う低リン血症も病態に関与します。

重症筋無力症との鑑別

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に合併する重症筋無力症との鑑別は問題になります。重症筋無力症は、夕方に症状強くなります。また、重症筋無力症は眼瞼下垂(上眼瞼挙筋)や外眼筋麻痺による複視もあり、バセドウ病眼症(甲状腺眼症)と似ています。血中抗アセチルコリンレセプター抗体、抗MuSK抗体陽性になれば可能性大。

甲状腺機能正常化しても、症状続けば重症筋無力症を強く疑い、神経内科にてエドロホニウム(テンシロン)試験(症状軽快すれば陽性)、誘発筋電図(Harvey-Masland試験陽性=waning現象)を依頼します。

詳しくは、 甲状腺と密接な胸腺腫/重症筋無力症CASTLE甲状腺癌 を御覧ください。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の治療・予後

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、回復期は逆に細胞内から細胞外へカリウムが戻るため、高カリウム血症を呈す事もあり、経口カリウム剤投与は慎重にします。嘔吐や嚥下障害の場合のみ、カリウム添加生理食塩水をK20mEq/L・時間以下で点滴します(ブドウ糖は低カリウム血症を増強するので避ける。回復期の高カリウム血症を更に警戒)。

数時間で症状は軽快しますが、心電図モニターなどにより、回復時の高カリウム血症に注意します。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺は、甲状腺ホルモンが正常化すると治癒します。しかし、甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、甲状腺ホルモンの正常化に数か月かかる事が多いため、長崎甲状腺クリニック(大阪)ではプロプラノロール(非選択性β遮断剤)を投薬します。

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の予防

また、甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の発作予防として

  1. アセタゾラミドやカリウム製剤の効果はありません(アルカローシス無く、非発作時の血清カリウム濃度正常なので)。
  2. 甲状腺機能が正常化するまで、高炭水化物食、飲酒、激しい運動、長時間の寒冷暴露を避ける。
    甲状腺機能亢進症状態では、非常にお腹が空くので高炭水化物食の制限は難しいでしょう。
    飲酒は利尿作用もあるので、特に避けるべき。
    甲状腺機能亢進症状態では、不整脈・心不全・心筋症おこす危険あるので、激しい運動も特に避けるべき。

抗甲状腺薬の副作用

  1. 筋肉痛:体位変換で増強し、側腹部・側胸部におこりやすく、抗甲状腺薬減量で軽快。
  2. 横紋筋融解症:重篤で命にかかわる副作用。筋障害を表すCPK(CK)が異常高値(1000以上にも)になります。MMI(メルカゾール)、PTU(プロパジール、チウラジール)いずれかでもおこる可能性あります。

抗甲状腺薬治療後、甲状腺機能改善に伴う高CPK(CK)血症に筋痛・筋力低下

甲状腺機能亢進症/バセドウ病抗甲状腺薬で治療後、甲状腺機能改善に伴う高CPK(CK)血症に筋痛・筋力低下。FT3、FT4がほぼ正常化しTSH低値になった時点で発症する場合が多く、甲状腺機能改善に伴う細胞膜透過性の亢進が原因と推測されていますが、原因不明です(Arch Intern Med. 1997,24;157:693-6.)。メルカゾールからプロパジールに変更しても改善なく、抗甲状腺薬の副作用とは考え難いです。(抗甲状腺薬の副作用高CPK(CK)血症に筋痛・筋力低下

低カルシウム血症

低カルシウム血症でも、テタニーと呼ばれる筋けいれんが、手先[トルーソー徴候(Trousseau)徴候]や口の周り[クボステック徴候(Chvostek徴候)]におこります。

  1. 自己免疫性副甲状腺機能低下症バセドウ病/橋本病の自己免疫性甲状腺炎に合併し、自己免疫による副甲状腺の破壊(第57回 日本甲状腺学会 P2-025 抗甲状腺剤治療中にインスリン自己免疫症候群と高CPK 血症を生じたバセドウ病と副甲状腺機能低下症の合併例)
  2. ビタミンD欠乏症;甲状腺機能亢進症/バセドウ病では高頻度にビタミンD欠乏を合併するとの報告があります(Endocr J. 2001 Aug;48(4):515-6.)。
  3. バセドウ病手術後副甲状腺機能低下症バセドウ病で甲状腺切除と同時に副甲状腺も切除してしまった場合、取らずに温存した場合でも副甲状腺への栄養血管を傷つけた場合
  4. ハングリーボーン症候群(Hungry bone syndrome):甲状腺機能亢進症/バセドウ病では骨分解が亢進しています。甲状腺切除・アイソトープ(131-I)治療、[あるいは抗甲状腺薬(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の報告もあり(日本救急医学会雑誌, 12(7): 372-376)]により、急激に甲状腺ホルモンが低下し、骨形成が亢進すると骨に大量のカルシウムが流入し、血液中のカルシウム濃度が低下します。
クボステック徴候(Chvostek徴候)

クボステック徴候(Chvostek徴候)とトルーソー徴候(Trousseau)徴候

トルーソー徴候(Trousseau)徴候

甲状腺機能低下症・橋本病と筋肉痛・筋けいれん・筋力低下(甲状腺機能低下性ミオパチー)

甲状腺機能低下症橋本病と筋肉痛・筋けいれん・筋力低下(甲状腺機能低下性ミオパチー)

甲状腺機能低下症では、

  1. 38%が筋力低下
  2. 42%が筋肉疲労、筋肉痛、筋けいれん
  3. 16%が筋症状で、医療機関を受診
  4. 42%が末梢神経障害
  5. 29%が手根管症候群(末梢神経(四肢)のしびれ、知覚障害おこすのは、4.5.合わせて29%)

を起こします。

  1. 筋酵素CK(CPK)は上昇する場合がありますが、筋力低下と無関係です。1年間治療しても13%が筋力低下が持続します。
  2. 筋力低下は甲状腺ホルモン値TSH、FT4 に無関係です。
    (J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2000 Jun;68(6):750-5.)。

甲状腺機能低下症での筋症状の原因は、単なる代謝障害でなく、

  1. 筋肉組織のⅡ型線維の萎縮
  2. 筋肉組織のⅠ型線維の核様変形
  3. 筋細胞核の増加

など不可逆的な筋組織の変性によると考えられます(J Neurol Sci 1987:77:237–48.)。

甲状腺機能低下症・橋本病と筋肉痛・筋けいれん(甲状腺機能低下性ミオパチー)

甲状腺機能低下症/橋本病でも近位筋(大腿部、腕、背中の筋)の筋肉痛や筋けいれんがおきます(甲状腺機能低下性ミオパチー)。筋肥大を伴うと甲状腺中毒性ミオパチー同様、Hoffman症候群とよばれます。

特に高齢者で甲状腺機能低下症が長い間見つからなかった人では、甲状腺ホルモン剤、チラーヂンS錠(一般名:レボチロキシン ナトリウム)による治療開始時に、大腿部、腕、背中の筋肉痛がおこることがあります。決して薬を中止せず、甲状腺専門医の指示に従ってください。

無痛性甲状腺炎と筋肉痛・筋けいれん

無痛性甲状腺炎による甲状腺中毒症に、甲状腺中毒性ミオパチーを合併した報告は少ないながら存在します。甲状腺ホルモン正常化に伴い、筋力低下・脱力症状は回復します。(第56回 日本甲状腺学会 P1-054 無痛性甲状腺炎に甲状腺中毒性ミオパチーを伴った1 例)

筆者が思うに、正確には甲状腺中毒性ミオパチーでなく、急激な甲状腺ホルモンの変動による筋力低下・脱力症状ではないでしょうか?

亜急性甲状腺炎の治療中にステロイドミオパチー

亜急性甲状腺炎の治療で副腎皮質ステロイドホルモン剤を使用中にステロイドミオパチーを起こす事があります。ステロイドミオパチーで、ステロイド投与量/投与期間と筋症状は必ずしも一致しません。

ステロイドミオパチーで、血清クレアチンキナーゼ(CK or CPK)値は正常か、軽度上昇します。

ステロイド投与を中止すれば治癒しますが、亜急性甲状腺炎の経過中は安易にステロイド減量すると、亜急性甲状腺炎が中途再発し、ステロイド投与を初期量で最初からやり直しになります。

長崎甲状腺クリニック(大阪)では、ステロイドミオパチーに対し、

  1. 低カリウム血症をおこしている場合、経口カリウム剤を補給
  2. 筋肉の緊張を緩めるミオナール錠®を処方します

橋本病(慢性甲状腺炎)合併シェーグレン症候群による低カリウム性ミオパシー

橋本病シェーグレン症候群を併発すると、間質性腎炎から尿細管性アシドーシス起こし低カリウム血症になります。低カリウム性ミオパシーによる筋肉痛、筋力低下で起き上がれなくなります。

Summary

皮膚筋炎は、全身倦怠感や筋力低下、筋肉痛、筋酵素上昇から甲状腺機能低下症に、眼瞼部の紫紅色皮疹(ヘリオトロープ疹)はバセドウ病眼症(甲状腺眼症)に似ている。30%に悪性腫瘍を合併し非遺伝性(散発性)甲状腺髄様癌が報告されている。リウマチ性多発筋痛症は両頚部~肩に掛けての痛み、急激な体重減少で亜急性甲状腺炎、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の様。線維筋痛症は甲状腺ホルモンのアンバランスが原因との説あり。慢性疲労症候群は原因不明の強い疲労が6ヶ月以上、微熱、関節痛、筋痛、咽頭痛・頭痛・頸部リンパ節腫脹で甲状腺機能低下症/橋本病と鑑別要す。

Keywords

皮膚筋炎,筋力低下,筋肉痛,甲状腺機能低下症,リウマチ性多発筋痛症,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,線維筋痛症,慢性疲労症候群,橋本病

甲状腺の病気と似ている合併している皮膚筋炎

甲状腺と皮膚筋炎

  • 皮膚筋炎は、全身倦怠感や筋力低下、筋肉痛、筋酵素上昇から甲状腺機能低下症と間違われることがあります。
  • 皮膚筋炎の皮膚症状:眼瞼部の紫紅色皮疹(ヘリオトロープ疹)はバセドウ病眼症甲状腺眼症)のようです、手指関節背面の紫紅色の皮疹(ゴットロン徴候)]、点状出血をともなう爪周囲紅斑、Vネック皮疹。
  • 全身倦怠感、間質性肺炎関節炎橋本病併発シェーグレン症候群のようです。
  • 皮膚筋炎は30%に悪性腫瘍を合併します。胃がん・肺癌・乳癌が多く、甲状腺癌はまれですが、非遺伝性(散発性)甲状腺髄様癌を合併した症例が報告されています。
皮膚筋炎(Vネック皮疹)

皮膚筋炎に悪性腫瘍を合併した場合、ステロイド抵抗性のことが多いですが、報告例ではステロイド反応性がよく、甲状腺髄様癌も手術で切除できたとされます。(第58回 日本甲状腺学会 P2-6-4 clinically amyopathic dermatomyositis に甲状腺髄様癌を合併し手術療法で良好な経過を得た1例)

抗ARS抗体症候群

機械工の手

アミノアシルtRNA合成酵素に対する自己抗体(抗ARS抗体)は、皮膚筋炎(および皮膚症状が無い多発筋炎)で最も高頻度に出現する(25-40%)筋炎特異的自己抗体です。

  • 抗Jo-1抗体陽性(検出率25%)例では間質性肺炎を高率に合併
  • 抗CADM-140抗体:ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候、爪周囲紅斑があるも筋炎所見なし。間質性肺炎合併すると予後不良.
  • 抗OJ抗体:間質性肺炎が高率、筋炎より著明。関節炎は他の抗ARS抗体より少ない

これらの抗体が検出される場合、抗ARS抗体症候群[ステロイド反応性の良い非特異的間質性肺炎(NSIP)(90%)、多関節炎(64-83%)、レイノー現象(62%)、機械工の手(17-71%)が特徴]と言います(Curr Rheumatol Res. 2011;13(3) 175-181)。

しかし、これらの抗体より筋肉のMRI(STIR画像)の方が筋炎所見を正確に評価できます。

抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎

抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎

抗MDA-5抗体は皮膚筋炎の10~20%に出現し、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎は、

  1. 急速進行型の間質性肺炎を伴う予後不良型
  2. 典型的な皮疹が多く、手掌の逆Gottron徴候は特徴的
  3. 筋症状は欠くかあるいは乏しい

です。治療抵抗性で早期からステロイド,シクロホスファミド,タクロリムスなどの併用による強力な免疫抑制療法が必要。

混合性結合組織病(MCTD)

混合性結合組織病(MCTD)は、抗U1-RNP抗体が必ず陽性で、SLE、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎の症状/検査所見が混在、独自にMCTD肺高血圧症(最大の死因)・三叉神経痛ありシェーグレン症候群(25%)、慢性甲状腺炎[橋本病](10%)合併します。(詳しくは、 MCTD(混合性結合組織病)と甲状腺 を御覧ください)

リウマチ性多発筋痛症

リウマチ性多発筋痛症はリウマチという名前ですが関節リウマチとは無関係。しかし症状は似ていて関節リウマチ甲状腺機能低下症・橋本病併発シェーグレン症候群など膠原病と鑑別を要します。高齢者におこり、原因は不明、症状は2週間で早々に完成。全身倦怠感と共に、両頚部~肩に掛けての痛み、急激な体重減少があり亜急性甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病の様です。

炎症反応を示す血清CRPが高値(線維筋痛症では増加しない)、発熱、(朝にこわばる)頚肩腕痛・臀部筋痛があるのに、筋力低下なく筋障害を表すCPK(CK)正常、膠原病の抗核抗体は陰性です。関節リウマチのような手指関節炎なし。強烈な頭痛と最悪失明の視力障害をおこす側頭動脈炎と密接に関連します。ステロイドが著効し診断的治療になります。 

線維筋痛症

線維筋痛症

検査異常ないのに、全身に激しい痛みが生じる線維筋痛症。微熱、睡眠障害・抑うつ、慢性疲労症候群併発も多いです。過度のストレスのため、痛みを緩和する神経機能が低下するのが原因と考えられています。最近、甲状腺ホルモンのアンバランス(甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症)が原因との説も増えています。また、線維筋痛症甲状腺異常→膠原病の順に併発し重症化すると言われます。

抗てんかん薬、ガバペンチンと同系の神経因性疼痛治療薬プレガバリン(リリカ®)は線維筋痛症に保険適応。

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群は、原因不明の強度の疲労が長期間(6ヶ月以上)続き、微熱、関節痛、筋痛、咽頭痛・頭痛・頸部リンパ節腫脹などをともないます。甲状腺機能低下症/橋本病副腎皮質機能低下症(アジソン病)成人成長ホルモン分泌性不全症亜鉛欠乏症・皮膚筋炎と鑑別を要します。

慢性疲労症候群は神経質・几帳面な人に多く、抗甲状腺薬メルカゾールなどで薬剤性過敏症症候群をおこすヘルペスウイルス6(HHV6)、脳内セロトニン合成増加(甲状腺機能低下症では減少)が原因と考えられます。

慢性疲労症候群には漢方薬・ビタミンB12・大量ビタミンC、抗うつ剤や精神安定剤が効く場合もあります。

糖尿病性筋萎縮症

1型、2型糖尿病問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます。

糖尿病性筋萎縮症は、高齢者に多く、おしり・太ももの筋肉の疼痛、筋力低下、筋萎縮をおこす糖尿病性末梢神経障害の一つです。遠位筋優位の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に似ていますが、糖尿病性筋萎縮症は近位型で痛みがあり、血糖コントロールで改善します。甲状腺中毒性ミオパチー(甲状腺機能亢進症/バセドウ病のとき甲状腺機能低下性ミオパチー(甲状腺機能低下症のときとの鑑別が必要。

筋ジストロフィー

筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)

筋強直性ジストロフィー

筋強直性ジストロフィーの症状

把握ミオトニア

把握ミオトニア

成人で最も多い筋ジストロフィー症で、筋強直と筋萎縮が特徴です。常染色体優性遺伝で、子の世代のほうが症状が重くなる表現促進現象を認めます(ハンチントン舞踏病と同じ)。

  1. 筋強直(把握ミオトニア:強く握った手をスムーズに開けない:低カルシウム性テタニーの様)
  2. 西洋斧様の顔貌、前頭部脱毛
  3. 眼症状(白内障、網膜変性症);糖尿病の様
  4. 難聴:先天性甲状腺機能低下症の様
  5. 睡眠時無呼吸症:甲状腺機能低下症先端巨大症の様
  6. 中枢神経症状(認知症状、性格変化、日中過眠)
  7. 内分泌異常(甲状腺機能低下症副甲状腺機能低下、睾丸萎縮、月経困難、不妊、成長ホルモン分泌障害
  8. 代謝異常(耐糖能障害、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、胆石症)
  9. 心病変(不整脈、心筋障害)
  10. 子宮筋腫、卵巣瘍腫瘍、甲状腺腫瘍など良性・悪性腫瘍

デュシェンヌ型筋ジストロフィー

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、X連鎖劣性遺伝で血友病や色盲同様、男のみに発症。ジストロフィン欠損が原因。甲状腺中毒性ミオパチ-のような筋力低下・ガワーズ徴候、甲状腺機能低下症のような筋の仮性肥大を認めます。

呼吸筋の筋力低下で呼吸困難になります。

肢帯型筋ジストロフィー

肢帯型筋ジストロフィーは、遺伝性も多様で、数十年かけて下肢近位部の筋力低下おこします。まるで甲状腺機能低下症/橋本病のような進行の仕方です。

シャルコー・マリー・トゥース病

シャルコー・マリー・トゥース病はゆっくりと進行性に数十年かけて四肢、特に下肢遠位部の筋力低下と感覚障害を示す末梢神経障害です。まるで甲状腺機能低下症/橋本病のような進行の仕方です。糖尿病、脂質代謝異常症の合併あります。

謎の無自覚性CPK(CK) 数万の上昇、甲状腺?

特に症状も無いのに、血液検査でCPK(CK) 数万の上昇を見つける事あります。腎機能も正常であれば・・?筋肉由来(CK-MM)であれば、

  1. 甲状腺絡みの上昇
  2. 横紋筋融解症(コレステロールの薬内服中);MRIが有用
  3. てんかん発作の後
  4. ジム等で激しい運動、フルマラソン後数日以内;1-2週間で正常値に回復
  5. 糖原病、ミトコンドリア脳筋症、ポンペ病;無症候性多い

偽高値;マクロCPK血症、免疫グロブリン結合による(CKアイソザイム測定が有用)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,天王寺区,生野区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ 谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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