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髄膜炎菌/肺炎球菌で副腎クリーゼ(急性副腎皮質不全)、副腎出血 [甲状腺 専門医 橋本病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

内分泌代謝(副甲状腺・副腎)/痛風/肥満/:最新・専門の検査/治療/知見 長崎クリニック(大阪)

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ムコイド型肺炎球菌

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Summary

甲状腺クリーゼと似ている急性副腎不全(急性副腎皮質不全)/副腎クリーゼを解説。髄膜炎菌/肺炎球菌のウォーターハウス・フリードリヒセン症候群(副腎出血)、喘息・アレルギー性鼻炎の副腎皮質ステロイド長期使用後中止で起きます。

Keywords

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甲状腺クリーゼの症状と似ている急性副腎皮質不全

副腎クリーゼ(急性副腎不全)と甲状腺クリーゼの関係

副腎クリーゼ急性副腎不全は、急性胃腸炎・甲状腺クリーゼの症状と似ています。そもそも、甲状腺クリーゼの病態の主要な一部が、副腎クリーゼ急性副腎不全なのです。

副腎クリーゼ(急性副腎不全)とは

副腎クリーゼ(急性副腎不全)とは、急激な副腎皮質ホルモンの相対的・絶対的欠乏によりおこる致死的な状態です。

副腎クリーゼ急性副腎不全)の原因

  1. 副腎の細菌感染(髄膜炎菌・肺炎球菌)・出血(ワーファリン服用中)・副腎梗塞(抗リン脂質抗体症候群)による副腎皮質ホルモンの急激な減少
  2. 下垂体障害による副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌低下[脳外傷・脳外科手術・出産時の出血多量(シーハン症候群)・下垂体卒中 ]
  3. 慢性副腎皮質機能低下症で、感染症・外傷・手術など強いストレスがかかった場合(副腎クリーゼ急性副腎不全予防の目的で通常の2-3倍量(全身麻酔手術では10倍量)のステロイドを追加内服します)
  4. 慢性副腎皮質機能低下症で、副腎皮質ステロイド薬を突然中止した場合(自己中断など)
  5. 甲状腺クリーゼ甲状腺クリーゼでは、過剰な甲状腺ホルモンにより、副腎皮質ホルモンが分解され、副腎クリーゼ急性副腎不全)を合併しています。

副腎クリーゼ(急性副腎不全)の誘因

副腎クリーゼ(急性副腎不全)の誘因としては、

  1. 感染症(インフルエンザなど)63%
  2. 手術6%
  3. 外傷6%

とされます。(Med J Aust 188:409-413, 2008)

副腎クリーゼ急性副腎不全)の症状

副腎クリーゼ急性副腎不全の、

  1. 初期症状は、発熱(微熱から38度以上の高熱)、消化器症状(腹痛、嘔吐、便秘、下痢)、精神症状(低血糖低ナトリウム血症によるなどです。
    (急性腹症と誤診されやすく、要注意)
  2. 続いてショック症状(急激な血圧低下、脱水、低ナトリウム血症低血糖、呼吸困難、意識障害)になり、治療が遅れると死亡します。

副腎クリーゼ急性副腎不全)の診断・治療

血中コルチゾール、尿中17-OHCSが低値、ACTH高値なら原発性副腎皮質機能低下症、低値なら続発性副腎皮質機能低下症と診断しますが、最も早く結果の出る血中コルチゾールでも翌日になります。

待ってはいられないので、低ナトリウム血症高カリウム血症低血糖、好酸球増加が確認されれば、血中コルチゾール/ACTH/尿中17-OHCSの測定をオーダーし、迅速に副腎皮質ステロイド補充を開始します。

  1. 静注用ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ、サクシゾン、水溶性ハイドロコートン)を、100~200mg、急速静注(静注が困難な場合は筋注)。続けて初期投与量と同量を5%ブドウ糖液に混ぜ、24時間で均等に持続点滴静注。
  2. Kを含まない初期第1輸液溶液(ソリタT1・ソルデム1)10~20ml/kg/hrを1~2時間急速大量輸液。その後、必要な水分量・電解質・アルカリ量を計算して輸液を調節し、24~48時間かけて補正。Kは正常化したら維持量を開始。

 翌日確認になりますが、血中コルチゾールが5μg/dl未満なら、副腎クリーゼ(急性副腎不全)が強く疑われます。

髄膜炎菌/肺炎球菌でウォーターハウス・フリードリヒセン症候群、副腎出血

髄膜炎菌

髄膜炎菌

髄膜炎菌は髄膜炎おこすグラム陰性双球菌で、

  1. ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群
    突然の腹痛(片側/両側の副腎大出血
    遷延する低血糖・意識障害(急性副腎皮質不全)
    多臓器不全、播種性血管内凝固症候群(DIC)、電撃性紫斑(下記)で死亡(Lancet 1911;1: 577-8.)
  2. 髄膜炎菌性尿道炎

もおこします。淋菌もグラム陰性双球菌で、どちらにも中枢神経に移行する抗生剤:セフトリアキソンが有効。

肺炎球菌(肺炎双球菌)

肺炎球菌はグラム陽性双球菌で飛沫感染し、肺炎(市中肺炎の20~30%)、髄膜炎、副鼻腔炎・中耳炎、敗血症、播種性血管内凝固 (DIC)などの起炎菌となる強毒菌です。肺炎球菌は脾臓摘出後・糖尿病・ステロイド剤使用・膠原病・高齢・アルコール中毒・多発骨髄腫の免疫不全でウォーターハウス・フリードリヒセン症候群おこし、近年増加傾向。

肺炎球菌による脾臓摘出後重症感染症

自己免疫性甲状腺疾患 橋本病/バセドウ病では自己免疫性溶血性貧血(AIHA)・特発性血小板減少性紫斑症(ITP)を併発し、脾臓摘出手術をおこなうことがあります。肺炎球菌による脾臓摘出後重症感染症(OPSI)にかかると、死亡率は50~75%とされています。肺炎球菌ワクチンの事前投与が必要。

肺炎球菌髄膜炎

肺炎球菌の全身性感染症として最も重篤で死亡率数%、神経学的後遺症は10-20%。症状は発熱、頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣など。劇症型肺炎球菌髄膜炎は、発症から24時間以内に死亡する場合もあります。副腎皮質ステロイド薬を使うと、聴力の低下の後遺症、死亡率が減少するとされます(Cochrane Database Syst Rev. 2015 Sep 12 )。

電撃性紫斑病

電撃性紫斑病

肺炎球菌性敗血症の6% に電撃性紫斑病を合併したという報告があります(Am J Surg 1993;165:642―5.)。感染型電撃性紫斑病は、敗血症、DIC による皮膚の微小循環障害(出血性梗塞・血管塞栓)です。

23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)で副腎機能不全

23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)の副反応報告状況で、これまでに1例だけ「副腎機能不全」の報告があります。

喘息・アレルギー性鼻炎患者が突然粘液水腫性昏睡のように(急性副腎不全/副腎クリーゼ

喘息患者が急性副腎不全/副腎クリーゼ

喘息患者など、長期にステロイド吸入・内服している人(特に高齢者)は、自身の副腎が廃用萎縮し、潜在性副腎皮質機能低下症の状態にあると言えます。

潜在性副腎皮質機能低下症の人が感染症おこし、副腎皮質ホルモンの必要量が増えても、自身の副腎はすでに副腎皮質ホルモンを作れないため、突然粘液水腫性昏睡のような低血圧(敗血症性ショックでなお低下)・低血糖・意識障害(・ただし感染症では熱発し低体温にならないことも)に陥ります。(急性副腎不全/副腎クリーゼ

そもそも粘液水腫性昏睡の主症状は相対的副腎皮質機能低下症なので酷似していて当然なのです。

アレルギー性鼻炎患者が急性副腎不全/副腎クリーゼ

耳鼻咽喉科・内科などでアレルギー性鼻炎の治療によく出されるセレスタミン®は、抗ヒスタミン剤(d-クロルフェニラミン)と副腎皮質ホルモン(ステロイド;ベタメタゾン)の合剤です。たかがアレルギー性鼻炎の治療に、まさか強力な副腎皮質ホルモン(ステロイド)剤が含まれていることに処方する医師すれ知らないことがあります。

それこそ花粉症の時期に限定して短期間、あるいは頓服的に使用するなら問題ありません。しかし、何年も毎日服用した場合、トンデモナイことになります。セレスタミン®1錠中に

ベタメタゾン0.25mg=8.33 x [コルチゾール20mg(健康な人が1日に必要な副腎皮質ホルモンの上限値)]

含まれます。要するに、正常の8倍以上の過剰な副腎皮質ホルモンが体内に存在し、様々な有害症状(医原性クッシング症候群)起こすと同時に、自身の副腎は廃用萎縮し、もはや自力で副腎皮質ホルモンを産生できなくなります。

急激なセレスタミン®中止と感染症、ストレスなどによる副腎皮質ホルモンの需要増大で急性副腎不全/副腎クリーゼになります。

外来での長期の経口抗がん剤使用後に急性副腎不全/副腎クリーゼ

胃がんなどに、外来で半年に渡り抗癌剤(パクリタキセル・デキサメサゾン併用隔週投与)を続けると、急性副腎不全/副腎クリーゼおこすことがあります。副腎皮質ステロイドであるデキサメサゾンの長期服用で、自身の副腎が廃用萎縮し、副腎皮質ホルモンを産生できなくなってしまうためです。

ネット販売・個人輸入の痛風治療薬セットの長期使用で急性副腎不全/副腎クリーゼ

ネット販売・個人輸入の痛風治療薬セット(デキサメサゾン・コルヒチン・痛み止め)を長期使用した後、中止すると急性副腎不全/副腎クリーゼをおこします。副腎皮質ステロイドであるデキサメサゾンの長期服用で、自身の副腎が廃用萎縮し、副腎皮質ホルモンを産生できなくなってしまうためです。

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