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シーハン症候群(Sheehan症候群)[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波 エコー 検査 甲状腺炎 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)

シーハン症候群

甲状腺専門内分泌代謝長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外(Pub Med)・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科(内分泌骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

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シーハン症候群(Sheehan症候群)の主症状(Verywell Healthより改変)

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。シーハン症候群(Sheehan症候群)の診療を行っておりません。

Summary

シーハン症候群(Sheehan症候群)出産、分娩に伴う大量出血により下垂体前葉が失血性壊死する下垂体卒中。TSH、ACTH、LH,FSH、PRLGHなどが複数あるいは単独で合成・分泌できない下垂体前葉機能低下症に。尿崩症を伴い急性発症する場合もあり。不定愁訴が多く、産後うつ病と間違えられる。分娩後数年~数十年の年月を経て徐々に発症する場合は、中枢性甲状腺機能低下症続発性副腎皮質機能低下症副腎クリーゼ(急性副腎不全)で見つかり、MRIではエンプティ・セラ症候群や下垂体茎の離断などの所見。下垂体卒中治療とホルモン補充療法を行う。

Keywords

シーハン症候群,Sheehan症候群,分娩,下垂体卒中,下垂体前葉機能低下症,尿崩症,中枢性甲状腺機能低下症,続発性副腎皮質機能低下症,急性副腎不全,エンプティ・セラ症候群

出産、分娩に伴う大量出血で下垂体性の甲状腺機能低下症副腎不全シーハン症候群:Sheehan症候群

シーハン症候群とは

シーハン症候群(Sheehan症候群は、出産、分娩に伴う大量出血によって下垂体前葉が失血性壊死をおこす下垂体卒中の一つです。分娩時に抗凝固剤の服薬や羊水塞栓症などが原因で出血が止まらず、子宮全摘術を施行された症例等で起こります。

急性発症した場合のシーハン症候群(Sheehan症候群)、症状は下垂体卒中の症状。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、性腺刺激ホルモン(LH,FSH)、乳汁分泌刺激ホルモン(PRL)成長ホルモン(GH)などが、複数あるいは単独で合成・分泌できなくなり、下垂体前葉機能低下症をおこします。

[図;Nat Rev Dis Primers. 2016 Dec 22;2:16092.]

下垂体前葉機能低下症尿崩症を伴い急性を発症するシーハン症候群(Sheehan症候群)もあります。血中プロラクチン値の上昇はまれですが、シーハン症候群の予後不良因子になります。[Arch Gynecol Obstet. 2022 Sep;306(3):699-706.]。

シーハン症候群(Sheehan症候群)では、不定愁訴が多く、産後うつ病と間違えられる事があります[Altern Ther Health Med. 2023 Mar;29(2):218-223.]。

シーハン症候群には、出産、分娩後数年~数十年の年月を経て徐々に下垂体機能不全が進行し、緩やかに発症する例もあります。

  1. 最初は中枢性甲状腺機能低下症(TSH単独欠損症)だけだと思い、甲状腺ホルモンのみ補充していると、いつの間にか副腎皮質機能低下症(ACTH分泌不全)も合併し、いきなり副腎クリーゼ(急性副腎不全)を起こした報告(第55回 日本甲状腺学会 P2-03-10 TSH 単独欠損症を呈した遅発性のSheehan 症候群の一例)   
       
  2. 分娩での出血より7年後に高脂血症と肝機能異常、低血圧と失神、全身倦怠感、無快感症から中枢性甲状腺機能低下症副腎皮質機能低下症(ACTH分泌不全)を診断されシーハン症候群(Sheehan症候群)の報告[Am J Case Rep. 2021 May 5;22:e930908.]
       
  3. 重症急性壊死性膵炎(高トリグリセリド血症型)で入院時、脱毛と分娩時出血の既往よりシーハン症候群(Sheehan症候群)と診断され、経過中に副腎クリーゼ(急性副腎不全)に至った報告[Chin Med Sci J. 2020 Mar 31;35(1):95-100.]
       
  4. 分娩後34年して、繰り返す低血糖中枢性甲状腺機能低下症中枢性(続発性)副腎皮質機能低下症による代謝性(2次性)拡張型心筋症から発見されたシーハン症候群(Sheehan症候群)の報告[BMJ Case Rep. 2021 Jun 23;14(6):e242747.]

などがあります。

下垂体卒中をおこした急性期では、MRIで失血性壊死の所見を認めます。数年後に発見される場合、エンプティ・セラ症候群(empty sella症候群, トルコ鞍空洞症候群)下垂体茎の離断などの所見になります。

シーハン症候群発症13年後のMRI画像を調べた研究では、ほとんどの患者がエンプティ・セラ症候群(empty sella症候群, トルコ鞍空洞症候群)になっていたそうです[Endocr J. 1998 Aug;45(4):451-8.]。

(下)分娩後26日のシーハン症候群(急性期)造影MRI T1強調画像;下垂体の中心は低信号、周辺は増強[AJNR Am J Neuroradiol. 2008 May;29(5)941-3.]

分娩後26日のシーハン症候群(急性期)造影MRI T1強調画像
分娩後34年のシーハン症候群 エンプティ・セラ症候群

分娩後34年のシーハン症候群 エンプティ・セラ症候群[BMJ Case Rep. 2021 Jun 23;14(6):e242747.]

シーハン症候群(Sheehan症候群の治療は

  1. 急性発症なら下垂体卒中に準じる
  2. 数年~数十年後の発症なら下垂体機能低下症の治療(欠落したホルモンの補充療法)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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