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バセドウ病じゃないよ、妊娠時一過性甲状腺機能亢進症 [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

バセドウ病じゃないよ、妊娠時一過性甲状腺機能亢進症

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Summary

妊娠時一過性甲状腺機能亢進症妊娠8~13週頃に胎盤がつくるhCGが甲状腺を刺激しておきる。hCGは、つわりの原因、かつTSH(甲状腺刺激ホルモン)と構造似ている。妊婦の3.3%に甲状腺異常無くても、つわり強い人に起き、血中hCGは50000-75000IU/l以上の高値に。動悸、不整脈が強くない限り安静・経過観察でしのぐ。TR-AbTS-Ab陰性でバセドウ病と鑑別。バセドウ病妊婦妊娠時一過性甲状腺機能亢進症おこし易い。糖尿病妊婦は潜在的胎盤機能低下から妊娠後期に起きたり、双胎妊娠では遷延する事も。Mirror症候群(ミラー症候群)とも鑑別要。

Keywords

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バセドウ病じゃないよ、妊娠時一過性甲状腺機能亢進症

妊娠時一過性甲状腺機能亢進症とは

妊娠8~13週頃に一時的に甲状腺機能が亢進することがあります。胎盤がつくるhCG[ヒト絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン、薬局で売っている妊娠キットで測るものです]は、TSH(甲状腺刺激ホルモン)と構造が似ています。

hCGが多い場合、甲状腺が刺激され甲状腺機能亢進症を起こします(妊娠時一過性甲状腺機能亢進症)。甲状腺に異常がない人でもおこり、アメリカ甲状腺学会によると全妊婦の1-3%(Thyroid 21:1081-1125,2011)・日本人妊婦の3.3%(J Clin Endocrinol Metab 94: 1683-8, 2009)、つわりの強い人に多く、血中hCGは50000-75000IU/l以上の高値になります。

甲状腺機能亢進症状(多汗・暑がり・手指振戦など)に乏しいのが特徴ですが、甲状腺機能亢進症状が強い時は無機ヨード剤(KI:ヨウ化カリウム)治療を行います。

バセドウ病と鑑別が付き難いことがありますが、バセドウ病の自己免疫抗体であるTSHレセプター抗体(TR-Ab)、TS-Ab(TSHレセプター抗体[刺激型])が検出されない事で鑑別します。 自然に回復します。

妊娠時一過性甲状腺機能亢進症の治療

通常の妊娠時一過性甲状腺機能亢進症は、妊娠10週でピークになり、妊娠13週頃に沈静化するので、余程、動悸、不整脈が起きない限り安静・経過観察でしのぎます。下記の重度の妊娠時一過性甲状腺機能亢進症の場合、ヨウ化カリウム(KI)を使用します。筆者の経験では、ヨウ化カリウム(KI)使用量は、20-30mgが妥当と考えます。

バセドウ病妊婦は妊娠時一過性甲状腺機能亢進症起こし易い

バセドウ病妊婦は、妊娠初期妊娠時一過性甲状腺機能亢進症おこし易い」と言う網野先生の論文があります。妊娠前に既に寛解し、無投薬で甲状腺機能正常のバセドウ病妊婦の44%が、妊娠初期妊娠時一過性甲状腺機能亢進症起こすとの事です(J Clin Endocrinol Metab 55: 108-12, 1982)。

筆者が思うに、バセドウ病では甲状腺内の血管増生が著明で、甲状腺内血流が増加し易いためではないでしょうか?

重度の妊娠時一過性甲状腺機能亢進症

妊娠時一過性甲状腺機能亢進症は軽度の甲状腺機能亢進にとどまる事多いが、双胎妊娠になると、重度のバセドウ病並みの甲状腺ホルモン高値を呈す事があります(2個の胎盤で倍のhCGを作るためです)。田尻クリニックの報告では、妊娠11週のピーク時、FT3 22.7pg/ml、FT4 >7.77ng/dl、HCG 252,340mIU/mlにまで上昇したそうです。(第57回日本甲状腺学会P2-090 双胎妊娠中に甲状腺ホルモンが著明な高値を示した妊娠時一過性甲状腺機能亢進症の一例)

妊娠後期に妊娠時一過性甲状腺機能亢進症

  1. 妊娠時一過性甲状腺機能亢進症は、時に、妊娠32~39週頃に発症します。バセドウ病が発症し難い時期ですが、自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症妊娠後期に顕在化するため、鑑別が必要です。(非自己免疫性家族性甲状腺機能亢進症妊娠)
     
  2. 糖尿病妊婦は、潜在的胎盤機能低下のため黄体ホルモン産生が低く、hCGが過剰産生され、妊娠後期妊娠時一過性甲状腺機能亢進症おこす可能性があります。
    秋田大学の報告では、妊娠29週で軽度の甲状腺機能亢進症を認め、血中hCG 20万mIU/ml以上の高値が診断の決め手になった様です。(第57回 日本甲状腺学会 P2-021 妊娠後期に一過性甲状腺機能亢進症を発症した糖尿病合併妊娠の一例)

遷延する妊娠時一過性甲状腺機能亢進症

遷延する妊娠時一過性甲状腺機能亢進症として

  1. hCGに過敏に反応するTSH受容体変異による遷延性妊娠甲状腺中毒症が報告されています(Lys183Arg 変異の母娘例)(N Engl J Med. 1998 Dec 17;339(25):1823-6.)。
    妊娠終了まで、無機ヨード、あるいは抗甲状腺剤服用が必要です。妊娠終了後数カ月で、甲状腺中毒症は消失します。
  2. 双胎妊娠妊娠時一過性甲状腺機能亢進症は重度で(2個の胎盤で倍のhCGを作るためです)、ヨウ化カリウム(KI)を妊娠17週頃まで投薬します。


    更に、倉敷中央病院の双胎妊娠の報告では、妊娠33週まで妊娠時一過性甲状腺機能亢進症が持続(妊娠32週時で血中hCG-β 90000mIU/mL)し、その時点で帝王切開し1 ヶ月後まで甲状腺中毒症が持続したそうです。2児ともに低出生体重児で、出生後のTSHサージは見られず、中枢性甲状腺機能低下症のため甲状腺ホルモン補充。(第59回 日本甲状腺学会 O5-6 甲状腺中毒症が持続し,新生児に中枢性甲状腺機能低下症をきたした双胎妊娠の1 例)

妊娠時一過性甲状腺機能亢進症じゃないよ!Mirror症候群(ミラー症候群)

Mirror症候群(ミラー症候群)は、胎児心疾患などによる胎児水腫から胎盤が破壊され、hCGが多量に放出されると、VEGF、インターロイキン6(IL-6)なども誘導されます。

妊娠8~13週頃以外にもおこるため、バセドウ病と鑑別が必要です。

  1. hCGが甲状腺を刺激し、甲状腺機能亢進症
  2. VEGFによる著明な浮腫(むくみ)

を起こします

血中hCGは高値、エコーで胎盤の肥厚を確認します。

緊急帝王切開で、母体の甲状腺機能亢進症、浮腫(むくみ)は改善します。

逆!妊娠時一過性甲状腺機能亢進症じゃないよ、バセドウ病

確かに、妊娠前期甲状腺機能亢進症は、妊娠時一過性甲状腺機能亢進症と安易に考えてしまいがちです。しかし、本当のバセドウ病の事もあるので要注意。隈病院の報告では、妊娠中発症甲状腺中毒症の86.2%は妊娠時一過性甲状腺機能亢進症ですが、14.8%は妊娠中発生バセドウ病との事です。発症時期も微妙に異なり、妊娠時一過性甲状腺機能亢進症は妊娠10.8±3.0(7.8-13.8)週、妊娠中発生バセドウ病は妊娠14.5±9.5(5.0-24.0)週との事です。(第57回 日本甲状腺学会 P1-013 妊娠関連甲状腺中毒症における4 分類と出現頻度)

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