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抗甲状腺薬メルカゾールによる胎児奇形  [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺の、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

薬剤の影響を受けやすい妊娠時期

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抗甲状腺薬メルカゾールによる胎児奇形

Summary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病妊娠のPOEMスタディでメルカゾール奇形症候群は、頭皮欠損、臍帯ヘルニア、臍腸管遺残、気管食道瘻、食道閉鎖症、後鼻孔閉鎖症で妊娠15週までに起こるため、それまで他剤に変更。

Keywords

POEMスタディ,メルカゾール奇形症候群,頭皮欠損,臍帯ヘルニア,臍腸管遺残,気管食道瘻,食道閉鎖症,妊娠,甲状腺機能亢進症,バセドウ病

薬剤の影響を受けやすい妊娠時期

薬剤の影響を受けやすい妊娠時期
  1. 最終月経の開始日を妊娠0週とし、最終月経の初日から14 日前後(妊娠0週、1週)で排卵が起こりるため、この間は実際の妊娠は成立していません。
     
  2. 受精から2週間ぐらいまで(妊娠2週、3週)は、All or Noneの法則のため、薬物の影響で受精卵は死んでしまうか、無傷で生き残るかどちらかです(いずれにせよ薬物による胎児奇形は起こりません)。
     
  3. 妊娠4週から7週妊娠2ヶ月)は最も重要な絶対過敏期で、胎芽から様々な器官が作られます。一般的に4週目が本来の月経予定日なので、生理が来なくて妊娠に気づいた時既に妊娠2ヶ月目に入っています。
     
  4. 以降、絶対過敏期よりは危険性は低くなり、妊娠8週目から15週目までは相対過敏期です。
    (表;バーチャル臨床甲状腺カレッジより)

よって、可能なら妊娠前から危険性のある薬(抗甲状腺薬を含むすべての薬)は、危険性のない薬に変更するのが理想的です。

ただし、薬剤服用歴が無く、大きな病気も無い妊娠での、先天奇形の発生率は2-3%とされ、先天奇形があったからと言って薬剤のせいとは言えません。

メルカゾール胎児奇形

甲状腺機能亢進症/バセドウ病に対する有効性と副作用から、日本甲状腺学会のバセドウ病治療ガイドラインでは抗甲状腺薬メルカゾールを第1選択薬に推奨しています。しかし、メルカゾール服用バセドウ病妊婦の新生児に

  1. 頭皮欠損
  2. 臍帯ヘルニア、臍腸管遺残、尿膜管遺残(成人期に膿瘍による急性腹症)(特に、日本人での報告多い)
  3. 気管食道瘻(特に、欧米での報告多い)
  4. 食道閉鎖症(〃)
  5. 後鼻孔閉鎖症(〃)

等のメルカゾール奇形症候群が報告され、妊娠バセドウ病にメルカゾールを使用すべきか、非常に難しい問題となりました。

現在、日本で多施設前向きコホート研究「妊娠初期に投与されたチアマゾール(=メルカゾール)の妊娠結果に与える影響に関する前向き研究(POEMスタディ)」の最終報告が出ました(バセドウ病妊婦883名、858生児)。

2011年11月の「可能な限り妊娠初期のチアマゾール(=メルカゾール)継続を回避すること」の注意喚起を行う以前は、メルカゾール奇形症候群は85生産児中5例(4.4%)、5例とも妊娠前から妊娠12週までのメルカゾール継続曝露例で、全例に臍関連奇形、1例は頭皮欠損合併を認めました。一方、プロパジール群および抗甲状腺薬非曝露群に奇形発生は認めませんでした。

メルカゾール注意喚起後、メルカゾール奇形症候群は1.4%に減少しました。

メルカゾール内服継続例263例の中止時期によるメルカゾール関連奇形発生頻度は妊娠6週以前に中止すればゼロでしたが、妊娠6週以降の中止は6~8%と高率でした。

また、伊藤病院のデータでは、

  1. メルカゾール服薬量と奇形発生率は無関係
  2. 臍帯ヘルニア、臍腸管異常、頭皮欠損はメルカゾール特異的な奇形

とされます。

  1. 妊娠4-7週:重大な奇形、気管食道瘻、食道閉鎖症、後鼻孔閉鎖症
  2. 妊娠6-9週:臍帯ヘルニア、臍腸管遺残、尿膜管遺残、手術すれば大半は解決できます。
  3. 妊娠10-15週:頭皮欠損、自然軽快すること多く(小指頭大程の大きさならゲンタマイシン外用のみで自然閉鎖)、手術すれば大半は軽快します。
    (第59回 日本甲状腺学会 P1-3-6 母体のチアマゾール内服に伴い頭皮欠損が認められた新生児例)

メルカゾール胎児奇形を避けるために

妊娠4-15週はメルカゾールを使用せず、無機ヨウ素(KI)、またはプロパジールに変更するのが望ましいですが、プロパジールが原因の重篤な副作用の危険が生じます(無顆粒球症劇症肝炎など)。

米国甲状腺学会ガイドライン2011、米国内分泌学会ガイドライン2007(2012年度改訂版)では、妊娠前にメルカゾールを服薬されていた方は、妊娠15週以降プロパジールを中止し、メルカゾールに戻すのが好ましいとされます。妊娠中期/後期以降に重篤なプロパジール肝障害の危険があるためです。(Thyroid 21:1081-1125,2011)(J Clin Endocrinol Metab 97:2543-2565, 2012)

以上より、「妊娠15週以降はメルカゾールを使用してもかまわない」というのが、日本甲状腺学会の結論です。

尿膜管遺残/尿膜管膿瘍

胎生期に臍帯と腸は卵黄のう管(臍腸管)で、臍帯と膀胱は尿膜管でつながっています。
メルカゾール服用バセドウ病妊婦では、これらか退化しきらず臍腸管遺残、尿膜管遺残になり得ます。

尿膜管遺残は、成人期に尿膜管膿瘍による急性腹症おこします。

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