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甲状腺乳頭癌の特殊型[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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甲状腺の基礎知識を初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が解説します。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 を御覧ください。

甲状腺乳頭癌の特殊型

Summary

甲状腺乳頭癌の亜型、濾胞型甲状腺乳頭癌甲状腺乳頭癌大濾胞型のう胞形成型甲状腺乳頭癌、多のう胞型甲状腺乳頭癌、甲状腺乳頭癌(好酸性細胞型)甲状腺びまん性硬化型乳頭癌甲状腺乳頭癌高細胞型、甲状腺乳頭癌篩型(モルラ型)(遺伝性大腸ポリープ/大腸がんと甲状腺癌)、甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型、充実型乳頭癌(solid variant)、甲状腺乳頭癌扁平上皮化生、甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質、甲状腺乳頭癌 硝子化、甲状腺未分化癌のように急激に大きくなる高増殖型甲状腺乳頭癌(甲状腺乳頭癌 高MIB-1標識率)の超音波(エコー)画像、細胞診所見を解説。

Keywords

甲状腺乳頭癌,濾胞型,のう胞形成型,好酸性細胞型,びまん性硬化型,高細胞型,篩型,モルラ型,ワルチン腫瘍型,高MIB-1標識率

増殖能が高い(悪性度が高い)甲状腺乳頭癌亜型

MIB-1ラベリング(Ki-67標識率)

MIB-1ラベリング(Ki-67標識率)は、増殖している細胞のみに結合し、発色させる方法です。(Exp Clin Endocrinol Diabetes. 2016 Apr;124(4):209-14.)

MIB-1ラベリング(Ki-67標識率)は、濾胞型乳頭癌大濾胞型乳頭癌では発色しないのが難点です。(図:第16回隈病院甲状腺研究会より)

増殖能が高い(悪性度が高い)甲状腺乳頭癌亜型として、

  1. 甲状腺びまん性硬化型乳頭癌
  2. 甲状腺乳頭癌高細胞型
  3. 甲状腺乳頭癌篩型(モルラ型)

があります。

MIB-1ラベリング(Ki-37標識率)
MIB-1ラベリング(Ki-37標識率)

濾胞型甲状腺乳頭癌(follicular variant)

濾胞型甲状腺乳頭癌(FVPTC)甲状腺乳頭癌の約30%(日本)、17%(米国)を占めるとされます。

濾胞型甲状腺乳頭癌 超音波(エコー)画像

濾胞型甲状腺乳頭癌は超音波(エコー)検査で見掛けは甲状腺濾胞性腫瘍良性濾胞腺腫甲状腺濾胞癌)そのもの。とても甲状腺乳頭癌には見えません(Clin Endocrinol (Oxf) 2007;66:13–20.)。(エコー画像;Ultrasonography. 2017 Apr 36(2) 103–110.)

しかし、濾胞型甲状腺乳頭癌

  1. 良性濾胞腺腫では少ない石灰化がある(甲状腺濾胞癌も石灰化あり)が、その確率は13.3%に過ぎない
  2. 低エコー(60.2%);これでは甲状腺濾胞癌と区別できない
    (J Korean Med Sci. 2016 Mar; 31(3): 397–402.)
     
  3. 長崎甲状腺クリニック(大阪)装備のエラストグラフィーでは癌特有に青く染まりますが、そうならない場合もあるので要注意(広範浸潤型甲状腺濾胞癌青く)。
濾胞型乳頭癌 卵殻状石灰化

濾胞型乳頭癌も、通常の甲状腺乳頭癌濾胞癌同様、被膜の卵殻状石灰化が起こります。(Radiology Key)

濾胞型乳頭癌 エラストグラフィー

濾胞型乳頭癌;見かけは良性濾胞腺と区別できなくても、細胞密度が高く、硬いためエラストグラフィー青くなります。

濾胞型乳頭癌 腺腫様甲状腺腫に類似

濾胞型乳頭癌ですが、エコー上、腺腫様結節に類似します(J Korean Med Sci. 2016 Mar; 31(3): 397–402.)

典型的な細胞診所見は、腺腫様甲状腺腫のようでコロイドが豊富、しかし細胞自体は甲状腺乳頭癌です。しかし、現実は、

  1. 核の異常所見に乏しい
  2. 通常型甲状腺乳頭癌と比べると核内封入体の出現頻度が少ない
  3. 濾胞性腫瘍的な特徴を併せ持つ

ため、診断率は下がります。(Am J Clin Pathol. 1999 Feb; 111(2):216-22.)(第55回 日本甲状腺学会 P1-05-04 甲状腺乳頭癌の特殊型である濾胞型乳頭癌手術症例の臨床的検討)

濾胞型甲状腺乳頭癌(follicular variant)細胞診

濾胞型甲状腺乳頭癌(follicular variant)細胞診 (The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

濾胞型甲状腺乳頭癌(follicular variant)細胞診

濾胞型甲状腺乳頭癌(follicular variant) 細胞診 (The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

転移・浸潤などは、通常型乳頭癌より不良とする報告、ほぼ同様とする報告いずれもあります。1cmを超える濾胞型甲状腺乳頭癌は、通常型乳頭癌と甲状腺濾胞癌の中間ともされます(Thyroid. 2013 Oct;23(10):1263-8.)。

濾胞型甲状腺乳頭癌で超音波(エコー)上、D/W比が大きい、低エコー、辺縁に浸潤を疑う場合は予後が悪いです(Thyroid. 2014 Apr; 24(4):683-8.)

Non-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features (NIFTP);どうでもよい話です

2017年WHO腫瘍分類で濾胞型甲状腺乳頭癌は、Non-invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features (NIFTP)(非浸潤性被包型乳頭癌濾胞亜型)がと命名され、前癌的病変・境界病変に位置付けられました。

その理由は非常に不可解で、非浸潤型の濾胞型甲状腺乳頭癌は、甲状腺片葉切除(左右いずれか片方切除)で治癒し、甲状腺全摘出や、術後の131-Iアイソトープ治療しなくても再発しないから!との事です。

  1. 不可解①;浸潤型の濾胞型甲状腺乳頭癌は、肺・骨に転移してるけど、なぜ除外されてるん?肺・骨転移する前の濾胞型甲状腺乳頭癌は前癌病変で、転移してから癌なんておかしいやん!
    まあ、浸潤した場合、Invasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features (IFTP)(浸潤性被包型乳頭癌濾胞亜型)になりますが、明らかな遠隔転移が無ければ、浸潤型か非浸潤型など手術標本でしか分からない事が多い。臨床の現場で役に立たない分類に一体何の意味があるのか?
  2. 不可解②;「甲状腺片葉切除で治癒する」は、裏を返せば、「手術しないと治らない」と同じ事です。

結局、顕微鏡で見えるものしか見えていない病理屋さんらしい発想ですが、・・・。更に新型コロナウイルス問題で無能をさらけ出したWHOらしいと言えば、そこまでですがね。

更に混乱を招くのが、 NIFTPは「乳頭癌類似の核所見を示すRAS腫瘍である」と言う説で、RASは甲状腺濾胞癌濾胞癌の前癌病変に特徴的な遺伝子変異です。

甲状腺乳頭癌大濾胞型  (専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

甲状腺乳頭癌大濾胞型は、細胞診では腺腫様甲状腺腫のような大型のコロイド塊が見られます。

甲状腺乳頭癌大濾胞型の超音波(エコー)画像;境界一部不明瞭、微細石灰化から濾胞型甲状腺乳頭癌甲状腺濾胞癌 好酸性細胞型のようです

(Front Endocrinol (Lausanne). 2018 May 8;9:223.)

甲状腺乳頭癌大濾胞型 超音波(エコー)画像
甲状腺乳頭癌大濾胞型の細胞診

甲状腺乳頭癌大濾胞型の細胞診;顆粒状細胞質、核内偽封入体(The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

甲状腺乳頭癌大濾胞型の細胞診と組織診

甲状腺乳頭癌大濾胞型の細胞診と組織診;乳頭癌細胞が大型の濾胞構造を形成(The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

甲状腺乳頭癌大濾胞型 組織診

甲状腺乳頭癌大濾胞型 組織診(Int J Endocrinol. 2015;2015:456027.)

のう胞型甲状腺乳頭癌

のう胞型甲状腺乳頭癌(のう胞内甲状腺乳頭癌)は、のう胞内にカリフラワーあるいはキノコ状に甲状腺乳頭癌が発育する形態です。のう胞型甲状腺乳頭癌甲状腺乳頭癌の約5%を占め、良性のう胞腺腫のう胞型腺腫様結節(腺腫様甲状腺腫)と鑑別が必要です。感染・出血ないのに、のう胞が急に大きくなる場合、のう胞型甲状腺乳頭癌を疑う必要があります。(第56回日本甲状腺学会 P2-100 巨大嚢胞のコントロールに難渋した甲状腺乳頭癌の一例)

のう胞型甲状腺乳頭癌は、細胞診では、背景に蛋白様物質、ミラーボール状集塊・隔壁性細胞質内空胞を認めます。

のう胞内甲状腺乳頭癌 超音波(エコー)画像

のう胞内甲状腺乳頭癌 超音波(エコー)画像

のう胞内甲状腺乳頭癌 超音波(エコー)画像

のう胞内甲状腺乳頭癌 超音波(エコー)画像

のう胞内甲状腺乳頭癌 超音波(エコー)画像 ドプラー

のう胞内甲状腺乳頭癌 超音波(エコー)画像 ドプラー

のう胞型甲状腺乳頭癌 細胞診

のう胞型甲状腺乳頭癌 細胞診。多数のヘモシデリンを含むマクロファージを認めます。腫瘍細胞集塊は滑らか(ミラーボール状集塊)で、密な細胞質、核内細胞質封入体あり。(The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

多のう胞型甲状腺乳頭癌

多のう胞型甲状腺乳頭癌は、スポンジ状に増殖、腫瘍内のう胞を区切る隔壁に正常濾胞が存在します。多のう胞型甲状腺乳頭癌の細胞診では、腫瘍細胞集塊(ミラーボール状集塊)で、のう胞形成型甲状腺乳頭癌と同じく、隔壁性細胞質内空砲を認めます。前項の、のう胞型甲状腺乳頭癌もよく見ると多のう胞性で、多のう胞型甲状腺乳頭癌であるとも言えます。

腺腫様甲状腺腫(スポンジ状形態)もこのような多のう胞になる事があり、鑑別を要します。

甲状腺乳頭癌(好酸性細胞型)

性濾胞腺腫(好酸性細胞型)甲状腺濾胞癌(好酸性細胞型)と同様、甲状腺乳頭癌にも甲状腺乳頭癌(好酸性細胞型)が存在します(極めてまれな亜型)。

甲状腺乳頭癌(好酸性細胞型)は、好酸性細胞性腫瘍の2.6%、全甲状腺腫瘍の0.5%と報告されています (Cancer 1986: 57: 1154-1163.) 。

甲状腺乳頭癌(好酸性細胞型)

甲状腺乳頭癌(好酸性細胞型)細胞診は、

  1. 細胞質がライトグリーン好性
  2. N/C比(核/細胞質比)が小さく
  3. 核型は円形から類円形・核小体はあまり目立たない
  4. 核内細胞質封入体は全野に1個程度

のが特徴です。これだけでは、好酸性濾胞性腫瘍と同じで、甲状腺乳頭癌(好酸性細胞型)とは言えません。(Cancer 1977; 40: 1501-1510.)

(写真:野口病院 HPより)

甲状腺びまん性硬化型乳頭癌(diffuse sclerosing variant)

小児甲状腺癌の20%(甲状腺乳頭癌全体の0.3-5%)を占める甲状腺びまん性硬化型乳頭癌は、小児甲状腺癌と思われがちですが、成人若年女性にも発症します。33歳の女性の甲状腺びまん性硬化型乳頭癌が報告されています。(第58回 日本甲状腺学会 P1-11-2 縦隔リンパ腫治療後に発症した甲状腺びまん性硬化型乳頭癌の一例)

詳しくは、 甲状腺びまん性硬化型乳頭癌 を御覧ください。

甲状腺乳頭癌高細胞型  (専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

甲状腺乳頭癌亜型の一つ甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV)は、篩(ふるい・モルラ)型甲状腺乳頭癌と同じく、甲状腺髄様癌に似た紡錘型細胞(高細胞)が特徴です。甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV)は、50歳以上の高齢者に発生率が高く,甲状腺外浸潤や遠隔転移の頻度が高いため、生命予後が悪く高悪性です。甲状腺全摘と頸部リンパ節郭清しても1-2年で再発してきます。

甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV)の超音波(エコー)画像は、桑の実状で、あたかも甲状腺低分化型の様です(Ultrasonography. 2017 Apr 36(2) 103–110.)。

甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV) 超音波(エコー)画像
甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV)の細胞診

甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV)の細胞診:紡錘型細胞(高細胞)は、細胞質が広く、オタマジャクシのような細胞(tadpole cell)と言われます。(The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV)の細胞診(左)と組織像(右)

甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV)の細胞診(左)と組織像(右):紡錘型細胞(高細胞)(The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV) 組織診

甲状腺乳頭癌高細胞型(TCV) 組織診;特徴的な紡錘型細胞(高細胞)(Int J Endocrinol. 2015;2015:456027.)

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型  (専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型(Warthin-like variant of papillary thyroid ;WLPTC)は、唾液腺のワルチン腫瘍に似た甲状腺乳頭癌(PTC)の稀な亜型です。通常の甲状腺乳頭癌と比較して、男女比、多発性、甲状腺外浸潤・リンパ節転移の程度に有意な差はありません。しかし、甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型(WLPTC)は、通常の甲状腺乳頭癌よりも橋本病の合併率が極めて高く(93%対36%、P<0.001)、BRAF突然変異が有意に低い(65%対84%、P=0.007)です。

細胞診・病理組織は、好酸性細胞、リンパ球浸潤があり甲状腺乳頭癌大濾胞型甲状腺乳頭癌高細胞型も好酸性細胞ですが、リンパ球浸潤が無い点が甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型と異なります。(Int J Endocrinol. 2015;2015:456027.)

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型 超音波(エコー)画像;見かけは通常の甲状腺乳頭癌と同じ(J Ultrasound Med. 2015 Jan 34(1) 1-15.)

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型 細胞診

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型 細胞診;好酸性細胞集塊の中にリンパ球多数(Int J Endocrinol. 2015;2015:456027.)

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型 組織診

甲状腺乳頭癌ワルチン腫瘍型 組織診;リンパ球浸潤著明(Int J Endocrinol. 2015;2015:456027.)

重度のリンパ血球浸潤を伴う橋本病(慢性甲状腺炎)は、ワルチン型甲状腺乳頭癌(WLPTC)IgG4関連甲状腺炎の共通する特徴です。報告ではワルチン型甲状腺乳頭癌(WLPTC)の94.1%にIgG4陽性形質細胞が存在するも、血清IgG4>135 mg/dLになる高IgG4血症は皆無でした(Endocr J. 2018 Feb 26;65(2):175-180.) 。

充実型乳頭癌(solid variant)

充実型乳頭癌は,充実性構造の存在から低分化癌とされてきました(『甲状腺癌取扱い規約 第6版』)。しかし、予後的に通常の乳頭癌とあまり差がないため、『甲状腺癌取扱い規約 第7版』では乳頭癌の亜型として扱うことになりました。

充実型乳頭癌の特徴は、成人よりも若年者に多く、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故で周辺地域の小児に急増しました。(Thyroid. 2008;18:847-852.)

詳しくは、 小児甲状腺乳頭癌充実亜型 を御覧ください。

甲状腺乳頭癌扁平上皮化生  (専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

甲状腺乳頭癌内部で壊死(血流悪い部分などが細胞死をおこし溶けてしまう)がおこると、その箇所に扁平上皮が増殖することがあります(扁平上皮化生)。超音波(エコー)画像では、扁平上皮化生した部分はエコー輝度が高く(白く)見えます(矢印)。細胞診では、扁平上皮細胞とその渦巻き状集塊が見られます。扁平上皮癌とは異なります。扁平上皮化生から扁平上皮癌への移行は否定 し得ないが、可能性は低いと考えられています(Cancer, 27: 433-437, 1971.)。

病理組織では、間質の線維化と扁平上皮巣が見られます。(Endocr Pathol. 2005 Winter;16(4):331-48.)(写真:隈病院 第9,10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)

甲状腺乳頭癌扁平上皮化生

転移リンパ節で扁平上皮化生

甲状腺乳頭癌本体でなく、転移リンパ節で扁平上皮化生を起こす事もあり。壊死組織が扁平上皮化生おこしたと推察されます。壊死すると言う事は増殖能が高いと言う事でもあり、報告例でも扁平上皮化生リンパ節は、周囲の血管等に浸潤し、高Ki67型甲状腺乳頭癌だったそうです。(第55回 日本甲状腺学会 P1-05-02 急速に増大した転移リンパ節に扁平上皮化生を認めた甲状腺乳頭癌の一例)

甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

筋膜炎様の間質を伴う甲状腺乳頭癌(papillary thyroid carcinoma with nodular fasciitis-like stroma:PTC-FS) は、極めてまれな甲状腺乳頭癌の特殊型です。

甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS)は、間質の60-80%を線維芽細胞と線維組織が占め、腱膜炎様に見えます。乳頭癌細胞の間質中に島状に散在します。(Am J Clin Pathol 1991 ; 95 : 309-314)

穿刺細胞診で乳頭癌細胞を採取できる確率は低いですが、非常に硬いため、手術適応に成り得ます。

甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS) 組織
状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS) 組織

甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS)は、間質の60-80%を線維芽細胞と線維組織が占め、腱膜炎様に見えます。乳頭癌細胞の間質中に島状に散在します。(Am J Clin Pathol 1991 ; 95 : 309-314)(Mod Pathol. 2017 Feb;30(2)236-245.)

甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS) 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS)の超音波(エコー)検査所見は、線維組織を反映し、内部が極めて低エコー、均質です(J Med Ultrason(2001) 2010 ; 37 : 59-61)とされますが、エコー画像の通り必ずしもそうではありません。(Mod Pathol. 2017 Feb;30(2)236-245.)

甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS) 細胞診
甲状腺乳頭癌結節性筋膜炎様間質(PTC-FS) 細胞診

間質部分が圧倒的に多いため、穿刺細胞診で乳頭癌細胞を採取できる確率は低いですが、非常に硬いため、手術適応に成り得ます。

(左)うまく採れた乳頭癌細胞(右)線維芽細胞と筋芽細胞

(Mod Pathol. 2017 Feb;30(2)236-245.)

甲状腺乳頭癌 硝子化間質、粘液間質

甲状腺乳頭癌 硝子化間質粘液間質は、間質の違いにより細胞診で採取される付随物が異なります。乳頭癌細胞自体は変わりません。甲状腺乳頭癌 硝子化間質は、甲状腺硝子化索状腺腫と同様、硝子様物質の周囲に腫瘍細胞が集まります。(Rom J Morphol Embryol. 2016;57(2 Suppl):801-809.)

甲状腺乳頭癌 硝子化間質

甲状腺乳頭癌 硝子化間質(Rom J Morphol Embryol. 2016;57(2 Suppl):801-809.)

甲状腺乳頭癌 硝子化間質

甲状腺乳頭癌 硝子化間質(Rom J Morphol Embryol. 2016;57(2 Suppl):801-809.)

厚い硝子化層に覆われ、穿刺針が貫通できない甲状腺乳頭癌

外側が厚い硝子化層に覆われ、穿刺針が硝子化層を貫通できない甲状腺乳頭癌が報告されています。(細胞診で確定できない特殊な甲状腺微小乳頭癌

甲状腺乳頭癌 Hobnail(ホブネイル)細胞 (専門的過ぎます、医療関係以外の方は無視してください)

Hobnail(ホブネイルは靴底に使われる頭の大きな釘で、Hobnail(ホブネイル)細胞は、核の偏在、細長い細胞質が特徴です。(The Bethesda System for Reporting Thyroid Cytopathology)

状腺乳頭癌 Hobnail(ホブネイル)細胞は、増殖能が高く、悪性度の高い甲状腺乳頭癌です。MIB-1ラベリング(Ki-37標識率)が、5%以上の高値になります。

ホブネイル型乳頭癌
甲状腺乳頭癌 Hobnail(ホブネイル)細胞
甲状腺乳頭癌 Hobnail(ホブネイル)細胞

(Int J Clin Exp Pathol. 2015 Jul 1;8(7)7988-97.)

甲状腺円柱細胞癌(columnar cell variant)

甲状腺円柱細胞癌

甲状腺円柱細胞癌(columnar cell carcinoma of thyroid,columnar cell variant)は、約0.2%と非常にまれで、日本では数例しか報告がありません。

甲状腺円柱細胞癌は女性に多く、甲状腺乳頭癌に特徴的な所見が無いため、甲状腺乳頭癌の亜型に分類する事に異議も多いです。同じく円柱型細胞が特徴の甲状腺乳頭癌亜型の1つ、高細胞型乳頭癌は、核溝・すりガラス核・核内細胞質封入体など甲状腺乳頭癌に特徴的な所見があり、容易に鑑別できます。

甲状腺円柱細胞癌の3分の1に通常乳頭癌と同じBRAF V600E突然変異を認めます(Mod Pathol. 2011;24:739–749.)。

甲状腺円柱細胞癌は高増殖型で(Hum Pathol 26:139-146, 1995)、以前は予後不良とされていました(甲状腺癌取扱い規約第7版,金原 出版,東京,2015,p23.) 。

しかし、近年、甲状腺組織外浸潤がなければ通常の乳頭癌と同じ位の予後とされます(Cancer 82:740-753, 1998)。

甲状腺円柱細胞癌 超音波(エコー)画像

写真は、報告されている甲状腺円柱細胞癌 超音波(エコー)画像です。被膜に包まれ甲状腺濾胞乳頭癌に近い見え方です(Ultrasonography. 2017 Apr 36(2) 103–110.)

甲状腺円柱細胞癌 細胞診

写真は、報告されている甲状腺円柱細胞癌の穿刺吸引細胞診所見です。腫大した濾胞上皮細胞は類円形や紡錘形で、核密度は増加します。あたかも甲状腺髄様癌の様です。

決め手は、円柱状細胞で、甲状腺内に円柱状細胞を認める事自体、通常あり得ないのですCancer Cytopathol. 2017 Jun;125(6)389-397.)

甲状腺未分化癌のように急激に大きくなる甲状腺乳頭癌(甲状腺乳頭癌 高MIB-1標識率)

急激に大きくなる高増殖型甲状腺乳頭癌(甲状腺乳頭癌 高MIB-1標識率)

1週間ごとに、目に見えて大きくなり、甲状腺未分化癌を疑い、細胞診しても、組織診しても、手術標本を確認しても通常の甲状腺乳頭癌の所見しか見つからない事がまれにあります。筆者自身も、今まで1例しか経験していません。

甲状腺乳頭癌 高MIB-1標識率と言われる特殊な甲状腺乳頭癌で、細胞増殖の指標であるMIB-1ラベリング(Ki-67標識率)が、10%以上の高値です(通常1%以下、つまり通常の10倍以上の速度で増殖し大きくなる)。(Asian Pac J Cancer Prev. 2015;16(4):1605-8.)

甲状腺乳頭癌 MIB-1ラベリング(Ki-67標識率)

広範壊死を伴う高増殖型甲状腺乳頭癌(甲状腺乳頭癌 高MIB-1標識率)

広範囲の壊死を伴い、急性化膿性甲状腺炎甲状腺膿瘍甲状腺未分化癌甲状腺原発悪性リンパ腫橋本病急性増悪との鑑別を要する甲状腺乳頭癌も報告されています。これも高増殖型甲状腺乳頭癌(甲状腺乳頭癌 高MIB-1標識率)で、報告例ではMIB-1ラベリング(Ki-67標識率)が5-15%以上の高値です。

症状は、38℃以上の高熱・前頚部の痛みを伴う腫れ。高度の炎症反応(WBC, CRP上昇)・エコーで40-50mm大の低エコー領域・穿刺細胞診でも壊死組織しか採れず。手術で切除した標本で初めて甲状腺乳頭癌が判ったとの事です。

さらに、甲状腺分化癌乳頭癌濾胞癌)ではほとんど陽性にならず、甲状腺未分化癌甲状腺低分化癌で高頻度に見られるp-53の免疫染色も陽性でした。p-53陽性甲状腺乳頭癌は、未分化変異の可能性が報告されており注意を要します。(第54回 日本甲状腺学会 P175 広範壊死を伴った高甲状腺乳頭癌術後早期に、腺内転移が急速増大した1例)

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

  • 近鉄「針中野駅」 徒歩2分
  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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