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甲状腺乳頭癌    [甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波(エコー)検査 内分泌の長崎甲状腺クリニック(大阪)]

甲状腺の基礎知識を、初心者でもわかるように、長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が解説します。

高度で専門的な知見は甲状腺編 甲状腺編 part2 甲状腺編 part3 を御覧ください。

甲状腺腫瘍何がどれくらいみつかるの?

甲状腺癌 頻度

近年、甲状腺腫瘍が増え続けています。これは、超音波(エコー)診断装置の進歩に加え、肺CTや頚動脈エコーで偶然見つかるものが増えているためです。人間ドックで甲状腺超音波(エコー)検査をおこなうと20%位に甲状腺腫瘍(甲状腺結節)がみつかるとの報告が最も多いです。

甲状腺結節取扱い診療ガイドライン2013では、甲状腺結節の約2-3%が甲状腺癌とされます。

甲状腺腫瘍には以下のようなものがあります。

  1. 良性と言われていたが、高頻度に悪性がみつかる事が報告された腺腫様甲状腺腫
  2. 良性濾胞腺腫(いわゆるアデノーマ)
  3. 濾胞腺腫だが良悪鑑別困難例(境界病変)
  4. 悪性の甲状腺濾胞癌甲状腺乳頭癌甲状腺髄様癌甲状腺未分化癌甲状腺原発悪性リンパ腫

 (甲状腺癌の内訳は右の図)

甲状腺癌の種類と頻度

甲状腺乳頭癌

長崎甲状腺クリニック(大阪)は、内科系甲状腺専門医なので甲状腺乳頭癌治療は行っておりません。

Summary

甲状腺乳頭癌は甲状腺癌の90%以上を占め、甲状腺エコーでは辺縁不明瞭、不整形、エコー輝度低く、砂粒状石灰化が典型的。エラストグラフィーで弾性硬~石様硬。甲状腺乳頭癌の90%は細胞診で診断でき、すりガラス状の核が特異的。局所浸潤し反回神経麻痺など、肺骨脳に遠隔転移。頚動脈超音波(エコー)、肺CTなどで偶然発見される件数が増加。甲状腺微小乳頭癌以外は手術。甲状腺乳頭癌の術後頚部再発は、術後10年で約10%。遠隔転移の場合など、甲状腺全摘出後、131-I アイソトープ治療。甲状腺乳頭癌の10年生存率は95~96%だが、131-I アイソトープ治療後、肺転移のみで70%、骨転移もあると40%。

Keywords

甲状腺乳頭癌,超音波検査,細胞診,甲状腺癌,遠隔転移,甲状腺,甲状腺全摘出,アイソトープ,砂粒状石灰化,症状,治療,再発

以下の超音波および病理写真には、長崎甲状腺クリニック(大阪)のオリジナル以外に、神甲会 隈病院より御提供いただいたものを含みます(第9,10回神戸甲状腺診断セミナー)。この場を借りて、宮内 昭院長、病理診断科の廣川 満良先生他、隈病院の諸先生方に感謝の意を表します。

甲状腺乳頭癌の頻度

最も頻度の高い甲状腺乳頭癌は、甲状腺癌の90%以上を占めます。しかも、エコー機械(超音波診断装置)の進歩に加え、肺CTや頚動脈超音波(エコー)検査で偶然見つかる甲状腺乳頭癌が増えていて、アメリカでは3倍に増加しています(一方で甲状腺濾胞癌甲状腺低分化癌は全く変化ありません)。(JAMA. 2006, 10;295:2164-7)

甲状腺乳頭癌の超音波(エコー)検査

甲状腺エコーでは、境界不明瞭、不整形、粗雑、エコー輝度低く、砂粒状石灰化と呼ばれる特徴的な石灰化があるのが典型的です。

増殖した甲状腺乳頭癌細胞はエコーを反射しないため極めて低エコーに見えます。

また、弾性硬~石様硬の硬さです(教科書には石の様に非常に硬いと書いていますが、現実はそうでないことも多いのです)。エラストグラフィーにて青く見えます(右下)。

甲状腺乳頭癌の超音波(エコー)画像
甲状腺乳頭癌の超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌のエコー像は多彩です(下記写真:隈病院 第9,10回神戸甲状腺診断セミナーより提供)。

砂粒状石灰化はなく、境界不明瞭・不整形・粗雑な黒い(低エコー)領域

境界明瞭であたかも濾胞性腫瘍の様だが、砂粒状石灰化が少数存在

砂粒状石灰化というより破片状石灰化

砂粒状石灰化はなく、辺縁不整だが境界明瞭・黒い(低エコー)領域

砂粒状石灰化はなく、境界不明瞭・不整形・粗雑な、内部が不均一の腫瘍

被膜石灰化し、内部は等エコー、砂粒状石灰化も少数存在、不整なハロー(周囲の低エコー帯)に娘結節(濾胞型乳頭癌

腺腫様結節と区別つかない

腺腫様結節と区別つかない

腺腫様結節と区別つかない

甲状腺乳頭癌(腺腫様結節との鑑別難)

甲状腺乳頭癌腺腫様結節との鑑別難);但し、細かい石灰化が異常に多い

甲状腺乳頭癌(腺腫様結節との鑑別難)エラストグラフィー

甲状腺乳頭癌腺腫様結節との鑑別難)エラストグラフィーで鑑別可能

被膜石灰化で評価できない形態

超音波(エコー)装置の性能によって見え方が変わる甲状腺の石灰化

注意すべきは、超音波(エコー)装置の性能によって甲状腺の石灰化の見え方が変わる事です。解像度が低い超音波(エコー)装置(アナログ式のもの)では、微細石灰化の集団が粗大石灰化の様に見えます。一方、解像度が高い超音波(エコー)装置(プレミアム超音波診断装置、デジタルハイビジョン超音波診断装置)では、微細石灰化の音響陰影(acoustic shadow、アコースティック シャドウ)を伴わな い事が多く、壊死組織の様な高エコースポットに見えます。

粗大石灰化を有する甲状腺乳頭癌の特徴

粗大石灰化を有する甲状腺乳頭癌の特徴は、京都医療センターの45例を解析した報告では

  1. 特に粗大石灰化が腫瘍の大部分を占める症例で、細胞診の検体不適正率が高い(22%)
  2. リンパ節転移(60%)・腺内多発(44%)・周囲組織浸潤[Ex1(38%) Ex2(20%)]

(第55回 日本甲状腺学会 P1-05-05 甲状腺乳頭癌における石灰化病変の検討)

腺腫様甲状腺腫内に甲状腺乳頭癌

腺腫様結節内乳頭癌 超音波(エコー)画像

腺腫様甲状腺腫は、正常な細胞が過度に増殖する過形成結節です。その中に甲状腺乳頭癌細胞が混じっていて過度に増殖したら、腺腫様結節内に甲状腺乳頭癌細胞が存在する病態になります。

甲状腺乳頭癌の細胞診

甲状腺乳頭癌の90%は細胞診で診断できるとされますが、実際1回目の細胞診では80%程度で、2-5回目で90%になります(自験例、他施設の報告見てもそんなものです)。(第55回 日本甲状腺学会 O-01-03 甲状腺穿刺吸引細胞診における癌の検出率および検査頻度の有効性の検討)

甲状腺乳頭癌は壊死組織を含んでおり、そこを採ってもクラス3か、細胞成分少数、判定不能にしかなりません。(以下の細胞診の所見は、医療関係者以外の方は無視してください。写真のみご覧になり、「こんなものか」と思っていただければ十分です。)

甲状腺乳頭癌

  1. 乳頭状の不規則な配列
  2. 細胞重積
  3. 核の密度が高く、核径増大や核形不整、大小不同
  4. コーヒー豆様の核溝や核内細胞質封入体(出現頻度が高く、有力な判定基準の1つ)、クロマチンは微細顆粒状で明るいすりガラス状の核(これだけで甲状腺乳頭癌と診断できます)
  5. 背景には多核組織球が見られること多い(亜急性甲状腺炎でも、お馴染みの多核組織球ですが、典型的な甲状腺乳頭癌細胞が見つからない時、参考になります)
甲状腺乳頭癌の細胞診

甲状腺乳頭癌の症状

無症状が多く、超音波エコー検査(甲状腺エコー・頚動脈エコー)、肺CT, 頸椎MRI, 全身PETなどで偶然発見される件数が増えています。症状がある場合、

  1. 首を触ると硬く、表面凹凸、可動性が悪い腫瘤を触れます。(原発事故後、甲状腺癌への関心が高まり、患者さんが自分で首を触り見つける場合があります)
     
  2. 甲状腺乳頭癌の内部で急に出血・壊死(組織の崩壊)がおこると痛みが出ることあり。広範囲の壊死では、急激な腫瘍の増大、血液検査で炎症反応認め、甲状腺未分化癌と区別しにくいことあります。(第58回 日本甲状腺学会 P2-5-2 急速な増大を呈し、梗塞を伴った甲状腺乳頭癌の1例)
    甲状腺乳頭癌が、甲状腺被膜に浸潤・急激に大きくなる時にも痛みが生じる事あります。
     
  3. 局所浸潤(甲状腺周囲の組織に癌細胞が広がっていく)による
    反回神経麻痺:声のかすれ(嗄声)・誤嚥(誤嚥性肺炎・びまん性誤嚥性細気管支炎
    上喉頭神経麻痺:高い声が出ない
    気管浸潤:せき・血痰・喀血・窒息
    皮膚浸潤:皮膚の発赤、転移リンパ節からも皮膚浸潤おこし、結核性リンパ節炎との鑑別要。
     
  4. 遠隔転移;甲状腺乳頭癌の遠隔転移は約5%に認められます(臨外 2002;57:48-54.) 。
    肺転移:せき・血痰・喀血・反回神経麻痺・呼吸困難(甲状腺癌の肺転移と合併する・鑑別を要する肺の病気、肺癌・悪性中皮腫の甲状腺転移、甲状腺がんと乳び胸水
    骨転移:骨痛・骨折(甲状腺癌骨転移)
    脳転移:甲状腺乳頭癌の約1%と稀。転移性脳腫瘍となり、脳神経症状・けいれん。脳転移は予後に大きく影響します。
    単発性の場合、原発性脳腫瘍と区別できず、脳外科で開頭、顕微鏡下で、腫瘍摘出。病理標本で、甲状腺乳頭癌による転移性脳腫瘍と分かります。開頭手術後のQOLは、かなり改善するとされます。
    最初から131-Iを取り込み、甲状腺乳頭癌による転移性脳腫瘍と分かっていれば、131-Iアイソトープ治療(放射線内照射)、放射線外照射、γナイフ、放射線治療無効な場合、分子標的薬ネクサバール・レンビマなど行います。
甲状腺乳頭癌 被膜浸潤

甲状腺乳頭癌 被膜浸潤

甲状腺乳頭癌 気管浸潤

甲状腺乳頭癌 気管浸潤

甲状腺乳頭癌の鑑別

甲状腺乳頭癌は、 甲状腺乳頭癌の超音波(エコー)検査 のように、あらゆる甲状腺腫瘍と同じに見えます。鑑別方法の王道は穿刺細胞診ですが、検体不適正率の関係で、1回目の診断率は、2回目に比べ10%程低くなります( 穿刺細胞診の気を付ける点(医療従事者用) )。甲状腺乳頭癌の内部は壊死した所があり、その場所から採取しても細胞は採れない事が検体不適正率を上げる大きな原因です。

腺腫様甲状腺腫も、内部に壊死部分を含んで、検体不適正が出る事あります。甲状腺未分化癌甲状腺低分化癌は、壊死組織が、甲状腺乳頭癌よりも多く注意が必要。

甲状腺結核は非常に稀で、超音波(エコー)上、甲状腺乳頭癌によく似ています。さらに、石灰化した病巣から類上皮肉芽腫が検出されれば甲状腺結核と確定しますが、有名な乾酪壊死組織をいくら穿刺細胞診しても検体不適正になり困ってしまいます。末期腎不全患者など免疫低下状態であれば、甲状腺結核の可能性も考慮し、組織生検なども行うのが良いです(報告例の多くは末期腎不全、あるいは透析患者です)。大抵は、悪性腫瘍の可能性を否定できず、甲状腺摘出し手術標本で甲状腺結核と診断されます。  (詳しくは、 結核と甲状腺 を御覧ください)
(第55回 日本甲状腺学会 P2-10-10 甲状腺結核の一例)
(Oxf Med Case Reports. 2015 Apr; 2015(4): 262–264. )

甲状腺微小乳頭癌

1cm未満の甲状腺乳頭癌甲状腺微小乳頭癌と呼ばれます。大きさだけでなく、性質も通常の甲状腺乳頭癌とは異なります。

甲状腺微小乳頭癌に対する長崎甲状腺クリニック(大阪)の考え方を御覧ください。

甲状腺乳頭癌治療(外科手術)

手術も、131-I アイソトープ治療も、分子標的薬もできない超高齢者甲状腺乳頭癌の肺転移・骨転移はどうするの?

手術も、131-I アイソトープ治療も、分子標的薬もできない超高齢者甲状腺乳頭癌の肺転移・骨転移はどうするのでしょうか?一般的に、甲状腺乳頭癌は放射線外照射(体の外から放射線を当てること)に抵抗性があるとされますが、甲状腺乳頭癌の肺転移・骨転移に効果があった症例も報告されています。(第58回 日本甲状腺学会 P2-5-1 初診時に気管癌が疑われ、放射線外照射が奏功した超高齢者甲状腺乳頭癌の1例)

甲状腺乳頭癌再発

甲状腺乳頭癌の術後頚部再発

甲状腺乳頭癌の術後頚部再発は、術後10年で約10%、その後、経時的に増加すると言われます。再手術となると、すでに癒着・瘢痕化のため、周囲の重要な組織(神経など)を傷つける危険性があります。

告されている術後頚部再発・肺転移の最長期間は、術後42年と言うのがあります。(第55回 日本甲状腺学会 P1-05-06 初回術後42年目に再発した甲状腺乳頭癌の1例)

甲状腺乳頭癌リンパ節再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌リンパ節再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌リンパ節再発 ドプラー

甲状腺乳頭癌リンパ節再発 ドプラー

甲状腺乳頭癌同側リンパ節再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌同側リンパ節再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌対側リンパ節再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌対側リンパ節再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌局所再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌局所再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌局所再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌局所再発 超音波(エコー)画像

甲状腺乳頭癌予後

甲状腺乳頭癌の10年生存率は95~96%です。 しかし、肺転移・骨転移すれば、その限りではありません。甲状腺乳頭癌に131-I 内服療法(アイソトープ治療)を行った場合の10年生存率は、肺転移のみで70%、骨転移もあると40%。予後が良いと言いつつも遠隔転移があると悪くなります。

甲状腺乳頭癌の予後不良因子は、隈病院の統計では図の様になります。腫瘍が大きく(>4cm)、甲状腺の被膜外に広く浸潤(Ex2)、リンパ節転移も大きく・広範囲、遠隔転移(M1)していれば予後が悪いのは、初心者の方でも納得の行くものです。

実は、高齢である事、男性である事、家族性である事(V600E遺伝子変異と思われます。(甲状腺腫瘍/甲状腺癌と遺伝性)も甲状腺乳頭癌の予後不良因子です。

病理的には、低分化型、高細胞型、高Ki67-U(MIB-1ラベリング)型が予後不良の甲状腺乳頭癌。(以下の甲状腺乳頭癌の特殊型に記載)(図:第16回隈病院甲状腺研究会より)

甲状腺乳頭癌予後因子

東京女子医科大学 内分泌外科の報告では、手術後平均観察期間8年の再発率は

  1. 低リスク(T1N0M0)(限局性で転移も浸潤も無し)5.3%
  2. 高リスク(T>5cm、触知するリンパ節、Ex2、M1)39.5%

甲状腺乳頭癌自体で死亡する(原病死)死亡率は

  1. 低リスクで1.3%
  2. 高リスクで16.2%

との事です。(第56回 日本甲状腺学会 O2-2 甲状腺腫瘍診療ガイドラインの危険度分類からみた乳頭癌の長期予後)

甲状腺乳頭癌の年齢による予後の違い

甲状腺乳頭癌の年齢による予後の違いは、

  1. 若年者(45歳未満);一般的に予後良好。リンパ節転移は多いものの、切除可能。肺転移も放射線感受性良い。
  2. 高齢者(45歳以上);一般的に予後良くない。遠隔転移、局所浸潤多い。低分化癌が混じっている。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌・糖尿病の長崎クリニック(大阪市東住吉区)(近く に平野区、住吉区、阿倍野区、松原市)
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