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うがい薬(イソジン,イソジンガーグル液,ポビドンヨード),のどぬーるスプレー・ルゴールで甲状腺障害[橋本病 甲状腺機能低下症 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見② 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学医学部附属病院 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

ポビドンヨードうがい誘発性甲状腺機能低下症

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甲状腺編 では収録しきれない専門の検査/治療です。

うがい薬[イソジン(ポビドンヨード)]で甲状腺障害

Summary

のどの粘膜からもヨウ素(ヨード)は吸収され、ポビドンヨードを含むイソジンうがい薬(1回分のヨード14-28mg) ・のどぬーるスプレー・ルゴールスプレー長期使用で①健康人でも血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値はわずかに上昇するが、不妊治療中の女性、妊婦は明暗を分ける②ポビドンヨードうがい誘発性甲状腺機能低下症ルゴール液誘発性無痛甲状腺炎甲状腺機能亢進症/バセドウ病増悪の可能性。アズレン系の青いうがい薬はヨウ素を含まない。(冷めた)茶・水うがい自体のウイルス感染予防効果はある(インフルエンザで実証済、新型コロナウイルスも同じ)がヨードの必要は無い。

Keywords

ヨウ素,ヨード,ポビドンヨード,イソジン,うがい薬,甲状腺,アズレン,新型コロナウイルス,予防,のどぬーるスプレー

イソジン®ガーグル液 7%(病院で処方されるイソジンうがい薬)添付文書

イソジン®ガーグル液 7%(病院で処方されるイソジンうがい薬) 添付文書(薬の説明書) [医薬品医療機器総合機構(PMDA)がネットでも公開]

イソジンうがい薬 添付文書

イソジンうがい薬 添付文書(薬の説明書) [医薬品医療機器総合機構(PMDA)がネットでも公開]

イソジンガーグル液(イソジンうがい薬)のポビドンヨードは、のどからも吸収

口腔、咽頭(のど)粘膜からも、ヨウ素(ヨード)は吸収されます。うがい薬に入っているポビドンヨードの口腔、咽頭粘膜からの吸収率は20.5% (10.6-44.5%)で、約1/5が体内に入り込みます。[Biol Trace Elem Res. 2022 Aug;200(8):3902-3909.]

体内に入ったヨウ素(ヨード)は甲状腺機能障害をおこす可能性があり、わずかな甲状腺刺激ホルモン(TSH)値上昇が明暗を分ける不妊治療中の女性、妊婦は特に注意を要します(不妊症/習慣性流産・不育症と甲状腺)(妊娠橋本病/甲状腺機能低下症)]。

イソジンうがい薬 ・のど△ーるスプレー・フィ○ッシュXーワ・ルゴールスプレーにはヨード(ポビドンヨード)が入っています。イソジンうがい液は、褐色なのですぐにヨウ素(ヨード)と判りますが、のど△ーるスプレー・フィ○ッシュXーワは透明・クリアカラーなので一見ヨウ素(ヨード)と判りません。風邪などで、一時的に使うのは問題ありません。外から帰った時など、毎日するのはダメです。ポビドンヨードうがい薬の長期使用は甲状腺障害を誘発します(Dermatology. 2002;204 Suppl 1:99-102.)。

アズレン系の青いうがい薬ヨウ素(ヨード)が入っていません(薬局にて購入ください)

  1. イソジンガーグル液(イソジンうがい薬®)7%(1ml中有効ヨードとして7mg含有)
  2. のどぬーるスプレー® (1ml中ヨード5mg含有)
  3. ルゴールスプレー[1ml中ヨウ化カリウム10mg(ヨード7.64mg)、ヨード5mg含有]:最悪

他の類似製品も同じようなものです。

イソジンうがい薬®は、「1回2~4ml(ヨード14-28mg)を、水約60mlにうすめて、1日数回うがい」が適切な使用量(⊙_⊙;)!?とイソジン®製品公式サイトに明記されています😱。

喉に噴霧して飲み込むスプレータイプのうがい薬はヨード含有量は同じでも、体内への吸収量は遥かに多くなります。のどぬーるスプレーBでは、1噴霧で1.0mg以上のヨードを含むため2噴霧しただけで妊婦の1日耐用上限量(2.0mg)[厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」]を軽く超えます😱。

イソジンガーグル液(イソジンうがい薬)のポビドンヨードは新型コロナウイルスに予防効果なし

御注意

筆者は、維新でも、反維新でもありません。政治的信条はありません(無党派層の一大阪市民)。あくまで医学的な観点から、この問題を解説しています。吉村知事も後日の記者会見で、「予防効果があるわけではない」と訂正されています。すぐに間違いを認めて訂正する姿勢は立派です(中々、できるもんじゃない)。むしろ新型コロナウイルス対策でのリーダーシップは他府県に抜きん出ており、評価に値すると思います(これからも大阪のために頑張ってください、期待しています)。

真の、うがい効果は喉の異物[細菌・ウイルス(新型コロナウイルス含む)]を洗い流し、粘膜を保湿し、正常な局所免疫を保つものです。[イソジン(ポビドンヨード)である必要は全くなく、水か(冷めた)茶、ヨウ素(ヨード)を含まないアズレン系うがい薬が良い]

※普通の風邪の予防効果は「イソジンうがい」と「何もしない」がほぼ同じ(要するに予防効果ほとんどない)で、「水うがい(1回15秒を1日3回)」の方が優れている[風邪の発病者が40%減少(ハザード比0.60)]のを証明した京都大学の有名な論文があります(Am J Prev Med. 2005 Nov;29(4):302-7.)。医学生・看護学生の公衆衛生や感染制御の授業で引用される事もあります。

(サライjpより改変)

イソジンうがいの予防効果ほとんどない

この論文の指導教授、川村 孝 先生[京都大学環境安全保健機構附属健康科学センター]によると、ヨード液は

  1. 強力な殺菌作用で口腔内常在菌のバランスを壊す
  2. タンパク質変性作用が強いので、正常な組織を傷める

ため、効果に乏しい可能性あるとの事です。

また、イソジン(ポビドンヨード)のアレルギー(ヨードアレルギー)が時々あります。ひどい場合、アナフィラキシーショックもあります。

イソジン(ポビドンヨード)報道の大きな間違い

「新型コロナウイルス感染者がイソジン(ポピドンヨード)でうがいし、唾液中のウイルスが減る(はびきの医療センター)」≠「感染していない人が、イソジン(ポビドンヨード)で、うがいして感染を予防できる」

、全く意味が違います。

イソジン(ポビドンヨード)は、強力かつ急速な殺ウイルス作用で、口腔内・鼻腔内にいる新型コロナウイルスのみを不活性化します(※肺や体内に入り込んだものには無効)[Ear Nose Throat J. 2020 Nov;99(9):586-593.]。これは事実です。しかし、イソジン(ポビドンヨード)は、あくまで治療薬で予防薬ではありません。風邪をひいてないのに、風邪の予防にロキソニンを飲む人はいないでしょう。同じ事です。

吉村知事も後日の記者会見で、「予防効果があるわけではない」と訂正されています。

ただし、うがい自体が喉に付着したウイルスを洗い流す効果は、インフルエンザ予防で実証されています。新型コロナウイルスでも予防効果はあり得ますが、何も甲状腺に有害なイソジン(ポビドンヨード)でなく、(冷めた)茶・水で良い訳です。

※よく聞いてみると、はびきの医療センターのコメントは、「新型コロナウイルスに感染してしまった人の重症化を防げるかもしれない[これは事実で正式な論文も出ています(JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2021 Apr 1;147(4):400-401.)]」であり、「感染を防ぐ効果」ではありません。また、ウイルスを洗い流す、うがい自体の効果の可能性があるので、対照群(コントロール群)として、水・非ヨード系うがい薬での効果を同時に調べて比較するべきです。

イソジン(ポビドンヨード)

イソジン(ポビドンヨード)

アズレン系の青いうがい薬

アズレン系の青いうがい薬

要注意!透明なイソジン

イソジン=褐色のうがい薬ではありません。最近は、色をけした透明なイソジンうがい薬が市販されています。

たとえ透明でもイソジンはイソジンです。ヨード(ヨウ素)を含んで甲状腺に有害であることに変わりありません。

イソジンガーグル液(イソジンうがい薬)のポビドンヨードは甲状腺に影響

甲状腺が悪くない人にポビドン-ヨウ素(ポビドンヨード)を、最大1.25%の濃度で鼻に、最大2.5%の濃度で口の中に、最長5ヶ月間使用しても大した問題はないとの報告があります[Ear Nose Throat J. 2020 Nov;99(9):586-593.]。

確かに、甲状腺が悪くない健康な人にポビドン-ヨウ素(ポビドンヨード)うがい液やマウスウォッシュ液を使用しても、血清ヨウ素(ヨード)および尿中ヨウ素(ヨウ素)濃度は著明に増加するが、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の上昇はわずかとの報告が多いです[J Clin Endocrinol Metab. 1988 Mar;66(3):632-5.‎‎‎‎]。

しかし、不妊治療中の女性や妊婦は、わずかな甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の上昇が明暗を分けるため一大事です(不妊症/習慣性流産・不育症と甲状腺)(妊娠橋本病/甲状腺機能低下症)]。

実際に甲状腺機能障害がおこった実例として

  1. ポビドンヨードうがい誘発性甲状腺機能低下症[Intern Med. 2007;46(7):391-5.]
     
  2. ルゴール液誘発性無痛甲状腺炎[Endocrinol Diabetes Metab Case Rep. 2017 May 30;2017:17-0034.]
  3. 長期の習慣的うがい(10年間、1日4回)により起きたポビドンヨードうがい液誘発性T3優位型無痛甲状腺炎の日本人患者[Medicine (Baltimore). 2023 Aug 25;102(34):e34631.]
     
  4. ルゴール液の30日投与で、甲状腺機能亢進症/バセドウ病が増悪。[Rev Med Chir Soc Med Nat Iasi. 2014 Oct-Dec;118(4):1013-7.]
     
  5. 20年以上、ヨード含嗽薬でうがいを続けたため、TSH<0.01μIU/mL、FT3 4.19pg/mL、FT4 1.57ng/dLの軽度甲状腺中毒症TSAb陰性、99mTcシンチグラフィー摂取率 0.1%と陰性になり、バセドウ病がマスクされていた。ヨード含嗽薬を中止後、典型的な状腺機能亢進症/バセドウ病に。(第66回 日本甲状腺学会 O14-4 長期のヨード含嗽薬が甲状腺中毒症の病態、検査結果に影響を及ぼした1例)

ポビドンヨードうがい誘発性甲状腺機能低下症の甲状腺超音波(エコー)画像[Intern Med. 2007;46(7):391-5.]

ポビドンヨードうがい誘発性甲状腺機能低下症

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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

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