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甲状腺の病気と似ている男性更年期障害(更年期症候群)[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 エコー 長崎甲状腺クリニック(大阪)]

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内分泌代謝(下垂体・妊娠/不妊・副腎)専門の検査/治療/知見  長崎甲状腺クリニック(大阪)

男性更年期障害(更年期症候群)

甲状腺専門内分泌代謝長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 代謝内分泌内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。男性更年期障害、精巣の病気の診療を行っておりません。男性更年期障害の治療は泌尿器科の仕事です。

男性更年期障害(更年期症候群)

Summary

甲状腺機能亢進症/バセドウ病男性の精子数は著しく低く、性欲減退/インポテンツ、男性不男性更年期障害(更年期症候群)の原因。遊離T3(FT3)、遊離T4(FT4)の増加に伴い、性ホルモン結合蛋白(SHBG)が上昇、遊離テストステロン(生物活性、ホルモン作用のあるテストステロン)の減少が起こる。女性化乳房も。男性更年期障害は40歳からはじまり、動悸、発汗、のぼせ、冷え性、顔のほてり、頭痛、不眠、倦怠感、筋肉痛、抑うつなど甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺機能低下症/橋本病のような症状。

Keywords

甲状腺機能亢進症,バセドウ病,男性不妊,男性更年期障害,テストステロン,男性ホルモン,性ホルモン結合蛋白,SHBG,遊離テストステロン,甲状腺

甲状腺機能亢進症/バセドウ病で2次性男性更年期障害(更年期症候群)

甲状腺機能亢進症/バセドウ病の男性の精子数は著しく低くなり、性欲減退/インポテンツも起こり、男性不妊男性更年期障害(更年期症候群)の原因になります(男性不妊と甲状腺)。

テストステロン(男性ホルモン)黄体形成ホルモン(LH、脳下垂体ホルモン)の減少によるものです。甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、遊離T3(FT3)、遊離T4(FT4)の増加に伴い、アンドロゲンから女性ホルモン(エストロゲン)への変換促進や、性ホルモン結合蛋白(SHBG)が上昇などが起こり、遊離テストステロン(生物活性のある、ホルモン作用のあるテストステロン)の減少が起こります。テストステロン減少が強いと、乳房肥大(女性化乳房)も起こります。(Endocrine. 2017 Dec;58(3):397-407.)

男性に少ない甲状腺の病気、男性ホルモンの影響?

甲状腺の病気は、甲状腺機能低下症/橋本病甲状腺機能亢進症/バセドウ病甲状腺腫瘍ともに、男性よりも女性がはるかに多く発生します。しかし、テストステロン(男性ホルモン)が甲状腺の病気に与える影響は、あまり解明されていません。甲状腺機能正常橋本病で、かつ血中テストステロン濃度が低い男性に、テストステロン製剤を6か月投与すると、甲状腺を破壊する自己免疫抗体、抗サイログロブリン抗体(Tg抗体)抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)価が有意に低下します(J Clin Pharm Ther. 2019 Oct;44(5):742-749.)。

また、女性ホルモン(エストラジオール;E2)/テストステロン比が高い男性ほど、橋本病を発症しやすいとされます(Thyroid. 2017 Jul;27(7):960-966.)。

しかし、閉経後の橋本病女性においては説明不能な結果が報告されています。甲状腺機能正常橋本病女性に比べて、より破壊の程度の強い甲状腺機能低下症/橋本病女性の方が、血中テストステロン濃度が高い結果が報告されています。女性においては、テストステロン(男性ホルモン)が甲状腺の病気を抑えるとは言えない様です。(Endokrynol Pol. 2020;71(1):73-75.)

男性更年期障害(更年期症候群)の原因

テストステロン(男性ホルモン、精巣ホルモン)の不足でおきる男性更年期障害(更年期症候群)[最近ではLOH症候群(加齢性腺機能低下症)]の原因は、

  1. 加齢
  2. 甲状腺の病気(前述)
  3. 男性型脱毛症(AGA)治療薬ザガーロカプセル®(デュタステリド)
  4. 抗アンドロゲン薬;前立腺肥大症・前立腺癌の治療薬(前立腺肥大症の内分泌治療薬 )
  5. 降圧利尿剤、スピロノラクトン(アルダクトンA®);ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)で約10%で女性化乳房・乳房痛。性ホルモン受容体に作用するため。
  6. ルプラック®(トラセミド);ループ利尿剤だが抗アルドステロン作用を持つ。女性化乳房をおこす。

などです。

男性更年期障害(更年期症候群)の症状

男性更年期障害(更年期症候群)は40歳からはじまり、終わりはありません。女性更年期障害(更年期症候群)が閉経後5年ほどで終息するのと異なります。

男性更年期障害(更年期症候群)の症状は

  1. 動悸、発汗、のぼせ、顔のほてり、頭痛、不眠、倦怠感、筋肉痛、抑うつ、性欲減退など甲状腺機能亢進症/バセドウ病様の症状
  2. 冷え性、頭痛、不眠、倦怠感、筋肉痛、抑うつ、性欲減退など甲状腺機能低下症/橋本病様症状。

女性更年期障害(更年期症候群)とほぼ同じです。

男性更年期障害(更年期症候群)の検査

男性更年期障害(更年期症候群)の検査は、血中遊離テストステロン(フリーテストステロン;生物活性のある、ホルモン作用のあるテストステロン)濃度測定し、低下を確認。

血中総テストステロンは、性ホルモン結合蛋白(SHBG)と結合し、生物活性・ホルモン作用を持たない非遊離テストステロンが大部分なので、測定する意味がありません。

また、甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、遊離T3(FT3)、遊離T4(FT4)の増加に伴い、性ホルモン結合蛋白(SHBG)が上昇し、遊離テストステロン(生物活性のある、ホルモン作用のあるテストステロン)の減少と、逆に血中総テストステロンの増加が起こります。(Endocrine. 2017 Dec;58(3):397-407.)

男性更年期障害(更年期症候群)の治療

男性更年期障害(更年期症候群)の治療は、

  1. テストステロン補充療法[前立腺がんのリスクを増大させ、男性型脱毛症(AGA)を促進する危険があります。]
  2. 八味地黄丸(ハチミジオウガン):体力中等度以下で、四肢が冷えやすい甲状腺機能低下症的な方に
    補中益気湯(ホチュウエッキトウ):体力虚弱で甲状腺機能低下症的な方で、胃腸のはたらきが弱い方
    牛車腎気丸(ゴシャジンキガン):八味地黄丸+αの薬。疲れやすく、四肢が冷えやすく、口渇、多尿、むくみがある甲状腺機能低下症的な方に

    漢方薬は木の根っこ・葉っぱ(生薬)、つまり食物繊維なので、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の直前に飲んだり、同時に飲んだりすれば、チラーヂンSの吸収障害を起こします。そのため、先にチラーヂンSを飲んでから30分以上開けて、漢方薬を服用するのが良いでしょう。

男性ホルモン不足(低テストステロン血症)で高脂血症・インスリン分泌能低下・インスリン抵抗性増大

男性ホルモン不足(低テストステロン血症)で高脂血症・インスリン分泌能低下・インスリン抵抗性増大するとされます。テストステロン軟こう(グローミン)を、一日2回(0.3gずつ)顎下部に塗ると、血中テストステロンの増加と、3か月後のLDLコレステロールの低下、インスリン分泌の増加、インスリン抵抗性(HOMA-R)の改善を認めたとされます。(第113回日本内科学会 P83 低テストステロン血症を伴うメタボリックシンドロームにおけるテストステロン軟膏の効果)

男性の骨粗しょう症

骨粗しょう症は女性だけの病気ではありません。確かに女性の閉経後骨粗しょう症は圧倒的に多いですが、実は骨粗しょう症の1/4・大腿骨頚部骨折の1/4、骨折の約40%は男性なのです。

男性における骨粗鬆症性骨折の発生率は年々増加しており、骨折後の予後および死亡リスクは女性よりも悪い。にもかかわらず、適切な治療を受けている骨粗鬆症男性はわずか10%です。

[Hosp Med. 2005 Jul;66(7):401-4.][Eur J Endocrinol. 2006 Feb;154(2):175-85.][Front Horm Res. 2009;37:123-132.][Arch Endocrinol Metab. 2022 Nov 11;66(5):739-747.]

男性骨粗鬆症の最も一般的な原因は性腺機能低下症ですが、女性と異なる点は、何らかの病気に続発して起こるケースが多い点です。言うまでもなく

  1. 甲状腺機能亢進症/バセドウ病
  2. 原発性副甲状腺機能亢進症
  3. 胃腸障害
  4. 栄養障害
  5. 過度のアルコール摂取
  6. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  7. 副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の長期使用
  8. 抗うつ剤[選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)]の副作用
  9. てんかん薬の副作用

などです。[Arch Endocrinol Metab. 2022 Nov 11;66(5):739-747.]

また、男性の骨粗しょう症は筋肉量が減少するサルコペニアと同時におきる割合が高いです。

男性の骨粗しょう症

甲状腺関連の上記以外の検査・治療    長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

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