(甲状腺・副甲状腺・副腎) 腹部超音波エコー検査(副腎・肝胆膵腎・前立腺・膀胱)[甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック(大阪)]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 専門医 長崎甲状腺クリニック(大阪)
甲状腺・内分泌代謝等の長崎甲状腺クリニック(大阪市東住吉区)院長が海外論文に眼を通して得たもの、甲状腺学会で入手した知見を元にしています。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)は、甲状腺専門クリニックです。現在、腹部超音波検査は、行っておりません。
Summary
長崎甲状腺クリニック(大阪)は超音波診断装置 ARIETTA 850を導入。甲状腺超音波(エコー)検査のみで腹部エコーは行わず。甲状腺(甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症・甲状腺癌)・内分泌(副甲状腺・副腎)に関連する腹部超音波(エコー)検査(副腎・肝胆膵腎・前立腺・膀胱)。副腎腫瘍,脂肪肝,肝血管腫,胆石症,肝のう胞,慢性膵炎,腎臓癌,腎血管筋脂肪腫,腎結石(内分泌尿路結石),水腎症,多発性嚢胞腎,前立腺癌,前立腺肥大,膀胱癌などがある。
Keywords
甲状腺,前立腺,腹部,超音波,エコー,検査,膀胱,副腎,脂肪肝,肝血管腫

長崎甲状腺クリニック(大阪)ではプレミアム超音波診断装置 ARIETTA 850を導入しています。現在は、甲状腺超音波(エコー)検査のみで腹部エコーは行っておりません。
ARIETTA 850 SE(甲状腺特化型) 詳細は、ARIETTA 850 高画質:日立独自のテクノロジーを駆使、 高精細な画像が可能になりました。
副腎腫瘍の50%はホルモンを作らない非機能性副腎皮質腺腫ですが、3cm以上の場合、副腎癌(副腎原発1%/転移性5%)の事があります。
ホルモンを作る機能性副腎腫瘍はクッシング症候群10%・褐色細胞腫10%・アルドステロン症5%です。
- (A) 脂肪肝;内臓脂肪の代表。インスリンの反応を妨げ、糖尿病を悪化。血圧、血中脂質を上昇させます。正常人の肝臓と腎臓は同じ黒さですが、脂肪肝では脂肪を取り込み腎臓より白く見えます。(非アルコール性脂肪肝炎(NASH)・脂肪肝と甲状腺 )
- (C) 肝血管腫;肝血管腫では、甲状腺ホルモンを不活化する3型脱ヨード酵素[T4→rT3, T3→T2]を発現します。甲状腺ホルモンが過剰に分解され、甲状腺機能低下症になります。肝血管腫による、消費型甲状腺機能低下症(comsanptive hypothyroidism)です。(肝血管腫/肝細胞癌で甲状腺機能低下症 )
- (上右)胆石症:胆嚢内に細かい胆石が多数見えます。胆石は40代、肥満の女性に多いと言われます。胆嚢内胆石のほとんどはコレステロール結石です。
甲状腺機能低下症で胆石ができやすく、男性の甲状腺機能低下症で多いとの報告があります。甲状腺ホルモン不足により①血清コレステロール値が高くなり、②胆汁うっ滞が生じるのが原因と考えます。(胆石と甲状腺 )
- 急性胆嚢炎・胆管炎は救急外来で最も多いアンダートリアージ(見逃される病気)との報告があります。
- 胆嚢原発混合型腺神経内分泌腺癌:非常にまれで、筆者自身まだ出くわした事ありません。悪性度高く、多発性肝転移を起こします。通常の胆のう癌と神経内分泌腺癌の混合型ですので、両方の腫瘍マーカー(CEA, NSE)が上昇します。(胆嚢原発神経内分泌癌)
NSE(神経特異エノラーゼ):神経内分泌細胞由来の腫瘍(小細胞肺癌、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、インスリノーマなど)で産生される腫瘍マーカーです。
慢性膵炎(萎縮した膵臓) 超音波エコー画像
(慢性膵炎)
腎臓腫瘍
腎結石: 内分泌尿路結石
(下)腎結石: 内分泌尿路結石は
- ステロイド結石:ステロイドホルモンは骨破壊を増加、血中にカルシウムとリンが溶け出し、尿中に過剰に排泄され、結石が形成されます。副腎皮質ステロイドホルモンの1つコルチゾールが過剰に分泌されるクッシング症候群で(クッシング症候群の症状 )。
- 原発性副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症で(原発性副甲状腺機能亢進症の症状 )
水腎症
水腎症:写真は左腎の腎盂尿管が拡張していて、左尿管の狭窄・閉塞の可能性があります。
内分泌的には、
- 内分泌尿路結石がつまった可能性
- IgG4関連疾患の後腹膜線維症で尿管が癒着
非内分泌的には、
- 尿管腫瘍
- 膀胱腫瘍による尿管開口部の閉塞
- 子宮・大腸癌などによる外部からの圧迫
が考えられます。
多発性嚢胞腎
前立腺と甲状腺・副甲状腺
前立腺肥大の治療薬アボルブ®(デュタステリド)はAGA男性型脱毛にも有効。前立腺癌細胞は甲状腺ホルモンのトリヨードサイロニン(T3)受容体を持つため甲状腺機能亢進症は危険因子、甲状腺機能低下症はリスク低下。前立腺癌なくても副甲状腺ホルモン(PTH)でPSA(前立腺特異抗原)上昇。副甲状腺ホルモン(PTH)で前立腺癌が増殖、前立腺癌の骨転移は骨形成性で、血中カルシウムイオンが骨に取り込まれ、代償的に副甲状腺ホルモン(PTH)血中レベル上昇し悪循環。副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrp)は前立腺癌の自己増殖、骨転移に関与。
前立腺肥大は男性ホルモンが原因です。男性ホルモンのテストステロンは5α-還元酵素によって強力な男性ホルモン:ジヒドロテストステロンへ変換されます。アボルブ®(デュタステリド)は5α-還元酵素を阻害し前立腺肥大を抑えます。
副作用は、男性ホルモンを弱めるため、勃起不全や性欲減退、女性化乳房、乳房痛などがおこります。
アボルブ®(デュタステリド)のAGA男性型脱毛に対する臨床効果はプロペシアより強力と報告されています。[J Am Acad Dermatol. 2010 Aug;63(2):252-8.]
男性型脱毛症(AGA)は前立腺がん・前立腺肥大症(BPH)との関連が報告されています(Urol Oncol 2018 Feb;36(2):80.e7-80.e15.)。(男性型脱毛症(AGA))
前立腺疾患と甲状腺機能の関係は、
- 低悪性前立腺癌および前立腺肥大症(BPH)の男性は血中TSHが高い(BJU Int. 2005 Aug;96(3):328-9.)
- 甲状腺機能亢進症は肺癌・前立腺癌の危険因子だが、甲状腺機能低下症は無関係。(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2009 Feb;18(2):570-4.)
- あくまで喫煙者に限定されるが、甲状腺機能低下症の男性は、前立腺癌のリスクが低下する。(PLoS One. 2012;7(10):e47730.)
1.の理由は不明だが、2.3. を説明する理由として前立腺癌細胞は、甲状腺ホルモンのトリヨードサイロニン(T3)受容体を持ち、甲状腺ホルモンにより増殖します(J Androl. 2005 May-Jun; 26(3):422-8.)
PSA(前立腺特異抗原)と甲状腺
PSA(前立腺特異抗原)測定は、前立腺癌のスクリーニング検査として有用です。甲状腺組織でPSAのRNAが発現していますが、それ以上の事はわかっていません。(Clin Chim Acta. 2000 Oct;300(1-2):171-80.)
PSA(前立腺特異抗原)測定は、前立腺癌のスクリーニング検査として有用です。前立腺癌が無くても副甲状腺ホルモン(PTH)の影響でPSA上昇する場合があります。血液中の副甲状腺ホルモン(PTH)値と血清カルシウム(Ca)濃度が高いほど、PSA値が高くなります。
副甲状腺ホルモン(PTH)が正常範囲高値の男性は、正常範囲低値の男性より、PSA値が43%高くなります。
正常な前立腺細胞も副甲状腺ホルモン(PTH)の刺激で増殖する、増殖しないまでも細胞機能が活性化される可能性があります。(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2009 Nov;18(11):2869-73.)
副甲状腺ホルモン(PTH)が前立腺癌細胞の増殖を促進させます(Prostate. 1997 Feb 15;30(3):183-7.)。
前立腺癌の骨転移は骨形成性で、血中のカルシウムイオンが骨に取り込まれるため、代償的に副甲状腺ホルモン(PTH)の血中レベルは上昇します(2次性副甲状腺機能亢進症)(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2008 Mar;17(3):478-83.)。一方、副甲状腺ホルモン(PTH)が前立腺癌細胞の増殖を促進させ、悪循環(負のスパイラル)になります。
副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrp)は、腫瘍随伴体液性高カルシウム血症(HHM)・局所性骨溶解性高カルシウム血症の原因であり、かつ乳癌・前立腺癌の自己増殖、骨転移に関与する調節タンパク質でもあります。(J Pathol. 1997;183:212–217.)(Br Med J. 1991;303:1506–1509.)(Cancer Res. 1991;51:3059–3061.)
前立腺がんは、男性ホルモンに刺激され増殖します。転移・浸潤している進行性前立腺がんには、男性ホルモンを除去する去勢術、
- GnRHアゴニスト/アンタゴニスト注射薬
- 外科的精巣摘除術(睾丸切除)
が行われます。しかし、完全に男性ホルモンを除去できないため、従来は男性ホルモン受容体をブロックする薬(抗アンドロゲン薬)フルタミド(オダイン®)、ビカルタミド(カソデックス®)、エンザルタミド(イクスタンジ®)を併用していました。最近は、男性ホルモン合成阻害薬が開発され併用ました。
前立腺がん治療薬のアビラテロン(ザイティガ®)は、精巣/副腎/前立腺がん組織内の男性ホルモン合成酵素[CYP17(cytochrome P450 17α-hydroxylase/17,20-lyase)]を強力に阻害することで、骨転移や他臓器転移のあるハイリスクな
- 去勢抵抗性前立腺がん(抗アンドロゲン薬に反応しない前立腺癌)
- 未治療の前立腺がん
に治療効果があります。
しかし、強力過ぎて他のホルモン合成も阻害するため、副腎皮質機能低下症、副腎クリーゼ(急性副腎不全)を防ぐのにプレドニゾロンとの併用が必要。具体的には、
アビラテロン(ザイティガ®)1000mgを1日1回空腹時+プレドニゾロン5mgを1日2回食後に服用
アビラテロン(ザイティガ®)の副作用は、併用するプレドニゾロンの副作用(医原性クッシング症候群)もプラスされ、
- 高血圧、めまい、ほてり
- 心不全、不整脈
- 胃腸障害(吐き気、便秘、下痢)
- 低カリウム血症、横紋筋融解症
- 高脂血症
- 肝障害
- 血小板減少
アビラテロン(ザイティガ®)と甲状腺
アビラテロン(ザイティガ®)で治療効果のあった前立腺癌患者では、76.1%が甲状腺刺激ホルモン(TSH)の有意な増加を認めました。一方、治療効果がなかった前立腺癌患者では血清TSH値に変化がありませんでした。
TSH増加で治療効果が予測できる可能性があります。(Anticancer Res. 2014 Jan;34(1):307-11.)
甲状腺と膀胱
過活動膀胱治療薬、ミラベグロン(ベタニス®)は動脈硬化が進み狭心症/心筋梗塞の危険、甲状腺機能低下症に難。QT延長症、血圧上昇させ甲状腺機能亢進症/バセドウ病悪化。甲状腺機能低下症で尿閉①著明な粘膜浮腫で膀胱内尿道口が狭窄②膀胱平滑筋の収縮障害③糖尿病性自律神経障害など神経因性膀胱合併で起こり易い。甲状腺乳頭癌・甲状腺濾胞癌の膀胱転移は肉眼的血尿で見つかる。膀胱移行上皮癌の甲状腺転移もある。糖尿病性自律神経障害で膀胱が尿を出し切れず残尿・頻尿に(神経因性膀胱)。尿路感染症(膀胱炎)起こし易い。
過活動膀胱治療薬、ミラベグロン(ベタニス®)
過活動膀胱治療薬、ミラベグロン(ベタニス®)は選択的に膀胱のβ3アドレナリン受容体を刺激し、膀胱の平滑筋を弛緩させ、頻繁に膀胱が収縮(排尿)するのを防ぎます。
甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病での投与
甲状腺機能低下症の過活動膀胱には短期的に有効です。問題は、ミラベグロン誘発性アテローム硬化性症の可能性が報告されている事です。β3以外のβ1,2アドレナリン受容体へも作用し、褐色脂肪組織が活性化されると動脈硬化巣、プラークの発育が促進されます。(Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 May 28;116(22):10937-10942.)
同時に、甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病では動脈硬化が進行し、狭心症/心筋梗塞の発症率が上がります(甲状腺と動脈硬化 )。これを考えると、これらの状態でもミラベグロン(ベタニス®)の投与はためらわれます。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病での投与
甲状腺機能が正常化していない甲状腺機能亢進症/バセドウ病で使用するのは控えた方が良い。甲状腺機能が正常化した後のバセドウ病なら、甲状腺に関しては問題ない。
- ベタニスはQT延長症→心室性不整脈おこす可能性あるので、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の低カリウム血症がある時は要注意(二次性QT延長症候群)
- ベタニスはβ3以外のβ1,2アドレナリン受容体へも作用し血圧を上昇させるので、甲状腺機能亢進症/バセドウ病が原因の高血圧、頻脈を悪化させる危険
甲状腺機能低下症で尿閉おこす事が稀にあります。
- 膀胱内尿道口を中心に著明な粘膜浮腫で尿道口が狭窄
- 膀胱平滑筋の収縮障害
- 糖尿病などで神経因性膀胱を合併していると起こり易い(糖尿病性自律神経障害 )
免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」に
免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は、「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」にも保険適応があります。尿路上皮癌は、膀胱癌(約95%)と、その他の尿路癌(腎盂・尿管癌、尿道癌)から成ります。
(図; AnswersNewsより)
免疫チェックポイント阻害薬の免疫関連副作用[免疫関連有害事象 (immune-related adverse event, irAE)]として、
- 免疫関連副作用[免疫関連有害事象 (immune-related adverse event, irAE)]で下垂体炎も
- 免疫チェックポイント阻害薬による甲状腺機能障害(甲状腺irAE)
- 免疫チェックポイント阻害薬による甲状腺中毒症[無痛性甲状腺炎(破壊性甲状腺炎)]と下垂体炎の併発
が問題になります。
詳しくは、 糖尿病性腎症、腎エコー(糖尿病性腎症の形態評価)、腎血管抵抗(RI) を御覧ください。
長年に渡る重度の甲状腺機能低下症により、卵巣容積は増加し、卵巣嚢胞形成が促進されます。
その原因として、
- 粘液多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩)の沈着
- それによる卵胞発育の異常
などが考えられます。
甲状腺ホルモン補充療法により甲状腺機能が正常化すると、遅れて卵巣容積・卵巣嚢胞の減少が起こります。(Ann Saudi Med. 2011 Mar-Apr;31(2):145-51.)
※多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は別の病態です。
卵巣嚢腫(卵巣嚢胞) 超音波(エコ-)画像
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
- 甲状腺編
- 甲状腺編 part2
- 内分泌代謝(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊等
も御覧ください
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺(橋本病,バセドウ病,甲状腺エコー等)専門医・動脈硬化・内分泌の大阪市東住吉区のクリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。