(甲状腺・副甲状腺・副腎) 腹部超音波エコー検査(肝胆膵腎・前立腺)[日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医 橋本病 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科(第二内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。
甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝・糖尿病に御用の方は 甲状腺編 動脈硬化編 甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など) 糖尿病編 をクリックください
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。現在、腹部超音波検査を行っておりません。また、甲状腺以外の病気には対応しておりません。
Summary
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺超音波エコー検査のみで腹部超音波(エコー)検査は行わず。肝のう胞(肝嚢胞)は甲状腺のう胞(甲状腺嚢胞)と関係なし。甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)全摘出後の再発を調べるI-131 シンチグラフィーで偽陽性。腎血管筋脂肪腫は多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)に発生する非神経内分泌腫瘍の一つ。長期重度の甲状腺機能低下症により卵巣容積は増加し、卵巣嚢胞形成が促進。粘液多糖類沈着と卵胞発育の異常が原因。甲状腺ホルモン補充療法により甲状腺機能が正常化すると、遅れて卵巣容積・卵巣嚢胞は減少。
Keywords
甲状腺,内分泌,腹部,超音波,エコー,検査,腎血管筋脂肪腫,甲状腺機能低下症,卵巣嚢胞,肝嚢胞
長崎甲状腺クリニック(大阪)ではプレミアム超音波診断装置 ARIETTA 850を導入しています。現在は、甲状腺超音波(エコー)検査のみで腹部超音波(エコー)検査は行っておりません。
ARIETTA 850 SE(甲状腺特化型) 詳細は、ARIETTA 850 高画質:日立(現、Fujifilm)独自のテクノロジーを駆使、 高精細な画像が可能になりました。
副腎腫瘍の約75%は副腎腺腫、50%はホルモンを作らない非機能性副腎皮質腺腫ですが、3cm以上の場合、副腎癌(副腎原発1%/転移性5%)の事があります。骨髄脂肪腫 3%。
ホルモンを作る機能性副腎腫瘍はクッシング症候群10%・褐色細胞腫10%・アルドステロン症5%です。
脂肪肝;内臓脂肪の代表。インスリンの反応を妨げ、糖尿病を悪化させ、血圧、血中脂質を上昇させます。正常人の肝臓と腎臓は同じ黒さ(エコー輝度)ですが、脂肪肝は蓄積した脂肪のため腎臓より白く見えます。(非アルコール性脂肪肝炎(NASH)・脂肪肝と甲状腺 )
(C) 肝血管腫;肝血管腫は、甲状腺ホルモンを不活化する3型脱ヨード酵素[T4→rT3, T3→T2]を発現します。甲状腺ホルモンが過剰に分解され、甲状腺機能低下症になります。肝血管腫による、消費型甲状腺機能低下症(comsanptive hypothyroidism)です。(肝血管腫/肝細胞癌で甲状腺機能低下症 )
- (上右)胆石症;胆嚢内に細かい胆石が多数見えます。胆石は40代、肥満の女性に多いとされます。胆嚢内胆石のほとんどはコレステロール結石です。
甲状腺機能低下症で胆石ができやすく、男性の甲状腺機能低下症に多いとの報告があります。甲状腺ホルモン不足により①血清コレステロール値が高くなり、②胆汁うっ滞が生じるのが原因と考えられます。(胆石と甲状腺 ) - 急性胆嚢炎・胆管炎は救急外来で最も多いアンダートリアージ(見逃される病気)との報告があります。
肝のう胞(肝嚢胞):甲状腺のう胞(甲状腺嚢胞)とは関係ありません。病的な意味はなく、見つかっても治療の必要はありません。
甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)全摘出後の再発を調べるI-131 シンチグラフィーで偽陽性(I-131を取り込んだ)を示した肝のう胞(肝嚢胞)の報告が複数あります。[Arq Bras Endocrinol Metabol. 2009 Aug;53(6):777-82.][Clin Nucl Med. 2003 Jun;28(6):527-8.]
- 胆嚢原発混合型腺神経内分泌腺癌:非常にまれで、筆者自身も出くわした事はありません。悪性度高く、多発性肝転移を起こします。通常の胆のう癌と神経内分泌腺癌の混合型ですので、両方の腫瘍マーカー(CEA, NSE)が上昇します。(胆嚢原発神経内分泌癌)
神経特異エノラーゼ(NSE) :神経内分泌細胞由来の腫瘍(小細胞肺癌、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、インスリノーマなど)で産生される腫瘍マーカーです。
アルコール多飲者の膵臓:膵石がみつかれば、慢性膵炎と診断できます。
慢性膵炎(萎縮した膵臓) 超音波エコー画像
(甲状腺、糖尿病と慢性膵炎)
- (B) 腎臓癌;甲状腺に転移して転移性甲状腺癌となります。また、甲状腺癌が腎臓に転移し、腫瘍破裂・腎被膜下出血を起こす事もあります。[甲状腺と腎臓癌(腎細胞癌)]
- (下右)腎血管筋脂肪腫(結節性硬化症);
超音波(エコー)検査で腎血管筋脂肪腫のように見えた甲状腺癌腎転移の報告があります[J Ultrasound Med. 2006 Nov;25(11):1459-64.]。
多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)に発生する非神経内分泌腫瘍には、甲状腺乳頭癌・甲状腺濾胞腺腫・副腎皮質過形成・肝局所性結節性過形成・腎血管筋脂肪腫があります[Mod Pathol. 1999 Sep;12(9):919-24.]。
多発性内分泌腺腫症4型(MEN4)でも腎血管筋脂肪腫の報告があります[Cardiorenal Med. 2016 Feb;6(2):129-34.]。
内分泌尿路結石(腎結石)は①ステロイド結石:クッシング症候群やステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)剤による骨破壊で溶け出したカルシウムとリンが尿中に過剰排泄されカルシウム結石に②原発性副甲状腺機能亢進症の高カルシウム血症。水腎症は①内分泌尿路結石による尿管閉塞②IgG4関連疾患の後腹膜線維症による尿管癒着。原発性高シュウ酸尿症I型は過剰なシュウ酸カルシウムが肝臓・腎臓・甲状腺・精巣などに沈着して多臓器障害。甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)吸収障害のため大量投与を要す。
尿路結石,腎結石,ステロイド,カルシウム結石,原発性高シュウ酸尿症,シュウ酸カルシウム,甲状腺,甲状腺機能低下症,クッシング症候群,水腎症
(下)腎結石: 内分泌尿路結石は
- ステロイド結石:ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)は骨破壊を促進するため、血中にカルシウム(Ca)とリン(P)が溶け出して尿中に過剰排泄されます。その結果、カルシウム結石が生じます。副腎皮質ステロイドホルモンの1つコルチゾールが過剰に分泌されるクッシング症候群で(クッシング症候群の症状 )や甲状腺以外の病気(膠原病、ネフローゼ症候群など)で合成ステロイドホルモン剤を長期投与する場合などで。クッシング症候群の50%に腎結石症を認め、尿酸の尿中排泄(オッズ比=1.6、信頼区間=1.0-2.5)と全身動脈血圧(要するに収縮期血圧)(オッズ比=2.6、信頼区間=1.1-6.6)が独立した危険因子とされます。[J Clin Endocrinol Metab. 2003 May;88(5):2076-80.]
- 原発性副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症で(原発性副甲状腺機能亢進症の症状 )
腎結石で尿がうっ滞すると、甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)全摘出後のI-131 放射線治療(放射性ヨウ素内用療法)で、うっ滞した尿にI-131が溜まり腎臓転移のように見えます(偽陽性)。[Clin Nucl Med. 2021 Apr 1;46(4):332-334.]
ほうれん草のアクの主成分はシュウ酸で、カルシウムと結合しやすく、体内でシュウ酸カルシウム結石を形成します。ほうれん草を茹でてアク抜きをすればシュウ酸含有量は減少します。
最近では品種改良が進み、シュウ酸含有量が少ないほうれん草もあるそうです。
ほうれん草は大した量ではありませんが、ヨウ素(ヨード)を含みます。甲状腺分化癌(乳頭癌・濾胞癌)全摘出後のI-131 放射線治療(放射性ヨウ素内用療法)を行う際の低ヨウ素食に、米、淡水魚、ほうれん草、大豆製品制限まで加えた超厳格低ヨウ素食は、治療効果を向上させません[Nucl Med Mol Imaging. 2012 Mar;46(1):34-40.]。
高尿酸血症
シスチン尿症は、遺伝的に尿細管でのシスチン(アミノ酸の1つ)再吸収が障害される病気です。
尿中シスチンの増加により尿路内シスチン結石が形成されます。
シスチン尿症の診断は
- 尿中シスチン測定;400 mg/日以上(正常は30 mg/日未満)
- 排石されれば、結石の成分分析
シスチン尿症の治療は
- 大量の水分負荷
- 尿のアルカリ化(クエン酸カリウム、重炭酸カリウム)
原発性高シュウ酸尿症I型
原発性高シュウ酸尿症I型(primary hyperoxaluria type 1:PH1)は、常染色体劣性遺伝性に肝臓ペルオキシソームのアラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ(alanine:glyoxylate aminotransferase:AGT)が欠損し、グリオキシル酸が蓄積する病態。グリオキシル酸はシュウ酸の前駆物質のため、過剰なシュウ酸カルシウムが肝臓・腎臓・甲状腺・精巣・骨をはじめ全身臓器に沈着して多臓器障害をきたします(I型は重症型)。
具体的には、
- 多発性腎結石、両側性腎石灰化、腎不全
- 甲状腺機能低下症;おそらく甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の吸収障害が生じるため、大量投与を要する。報告では300-400 μg/day(約4 μg/kg)(第66回 日本甲状腺学会 P12-7 原発性高シュウ酸尿症I型を併存症にもつバセドウ病に対する治療経験)
- 原発性性腺機能低下症
- 骨肉芽腫(シュウ酸カルシウム結晶による肉芽腫)→副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)媒介性高カルシウム血症[腫瘍随伴体液性高カルシウム(Ca)血症(humoral hypercalcemia of malignancy: HHM)]
[Endocr Pract. 2017 Dec;23(12):1414-1424.][Hemodial Int. 2011 Oct;15(4):573-6.][J Pediatr. 2000 Feb;136(2):255-7.]
水腎症:写真は左腎の腎盂尿管が拡張していて、左尿管の狭窄・閉塞の可能性があります。
内分泌的には、
- 内分泌尿路結石がつまった可能性
- IgG4関連疾患の後腹膜線維症による尿管癒着
非内分泌的には、
- 尿管腫瘍
- 膀胱腫瘍による尿管開口部の閉塞
- 子宮・大腸癌などによる外部からの圧迫
が考えられます。
甲状腺機能亢進症/バセドウ病治療薬のプロピルチオウラシル(PTU、プロパジール・チウラジール)では胎児奇形がおこらないとされます。一方、妊娠初期の甲状腺機能亢進症妊婦で、プロピルチオウラシル(PTU)誘発性の
- 顔面および頸部の先天性欠損症[鰓裂洞、先天性耳瘻孔、耳介嚢胞(耳介のう胞)];調整ハザード比4.92(95%CI 2.04-11.86)
- 泌尿器系における先天性欠損症[単一の腎嚢胞(腎のう胞)、水腎症];調整ハザード比2.73(95%CI 1.22-6.07)、生殖器の先天性欠損症も合併
が生じるとの報告があります。ただし、メルカゾールによる胎児奇形に比べると遥かに軽症です[Thyroid. 2014 Oct;24(10):1533-40.]
尿路結石がつまって生じる結石性急性腎盂腎炎、閉塞性腎盂腎炎、水腎症性腎盂腎炎は、高齢化に伴い急増しています。免疫の低下した高齢者では敗血症に至る危険性が高い。これらは、緊急に尿管ステントを留置する適応です(尿管ステント留置術)。ステント留置後は劇的に改善する場合が多い。結石が尿管に嵌頓(完全閉塞)しているとカテーテルが結石の横を通過しないので、緊急腎瘻造設術の適応。
結石性急性腎盂腎炎 水腎症 CT画像
多発性腎嚢胞(多発性腎のう胞) 超音波(エコー)画像 ;成人型の常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD) とは異なる。
多発性腎嚢胞(多発性腎のう胞) 超音波(エコー)画像 ;成人型の常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD) とは異なる。
多発性腎嚢胞(多発性腎のう胞) 左腎 超音波(エコー)画像 ;成人型の常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD) とは異なる。
詳しくは、 糖尿病性腎症、腎エコー(糖尿病性腎症の形態評価)、腎血管抵抗(RI) を御覧ください。
長年に渡る重度の甲状腺機能低下症により、卵巣容積は増加し、卵巣嚢胞形成が促進されます。
その原因として、
- 粘液多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩)の沈着
- それによる卵胞発育の異常
などが考えられます。
甲状腺ホルモン補充療法により甲状腺機能が正常化すると、遅れて卵巣容積・卵巣嚢胞の減少が起こります。(Ann Saudi Med. 2011 Mar-Apr;31(2):145-51.)
※多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は別の病態です。
卵巣嚢腫(卵巣嚢胞) 超音波(エコ-)画像
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。