ホルモンを作る小細胞肺癌は甲状腺髄様癌に類似[日本甲状腺学会認定 甲状腺 専門医 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー検査 長崎甲状腺クリニック 大阪]
内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪
甲状腺専門・内分泌代謝の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科(内分泌骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。小細胞肺癌・神経内分泌大細胞癌の診療を行っておりません。
Summary
小細胞肺癌はACTH(副腎皮質刺激ホルモン)やADH(抗利尿ホルモン)やセロトニンを産生、クッシング症候群(異所性ACTH産生腫瘍)、不適切ADH分泌症候群(SIADH)、セロトニン症候群をおこす。Eaton-Lambert症候群、傍腫瘍性感覚性ニューロパチー(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)もおこす。小細胞肺癌は同じ神経内分泌細胞由来の甲状腺髄様癌と組織が類似、神経特異エノラーゼ(NSE)、ガストリン放出ペプチド前駆体(Pro GRP)を産生。小細胞肺癌に似た神経内分泌大細胞肺癌もある。Eaton-Lambert症候群は、重症筋無力症、甲状腺機能低下症に類た症状。
Keywords
小細胞肺癌,異所性ACTH産生腫瘍,不適切ADH分泌症候群,Eaton-Lambert症候群,神経特異エノラーゼ,NSE,Pro GRP,甲状腺髄様癌,セロトニン症候群,クッシング症候群,甲状腺
小細胞肺癌とは
小細胞肺癌は喫煙と関係が深く、禁煙で小細胞肺癌になるリスクは減少するされます。
- ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)やADH(抗利尿ホルモン)やセロトニンを産生し、
①クッシング症候群(異所性ACTH産生腫瘍)
②不適切ADH分泌症候群(SIADH)(約15%に合併)
③セロトニン症候群
- Eaton-Lambert症候群
- 傍腫瘍性感覚性ニューロパチー(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)
を呈することがあります。
Eaton-Lambert症候群
小細胞肺癌腫瘍マーカー
神経特異エノラーゼ(NSE)
神経特異エノラーゼ(NSE)は神経内分泌細胞由来の腫瘍(小細胞肺癌、甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、インスリノーマなど)で産生される腫瘍マーカーです。
NSEは癌でなくても上昇する場合があり、紛らわしい事があります。例えば、腎不全・溶血でも上昇します。
ガストリン放出ペプチドProGRP
ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)は、早期の小細胞肺癌の腫瘍マーカーです。ProGRPの肺小細胞癌での陽性率は65~75%で、肺癌の腫瘍マーカーで最も信頼性が高い。再発での陽性率90%以上。大細胞癌でも20%が陽性になります。
最近、甲状腺髄様癌や膵内分泌腫瘍における有用性も示唆されています。腎で代謝されるため、腎不全で偽陽性例になる事があります。
小細胞肺癌治療

小細胞肺癌は、早急な診断確定と治療介入が必要です。
小細胞肺癌の治療は、PS4(寝たきり状態)を除くすべてが抗癌剤適応で
- Ⅰ期(リンパ節転移なし):手術+抗癌剤
- Ⅰ期以外の限局性:[縦隔・同側鎖骨上窩リンパ節までに限局(LD):CDDP(シスプラチン)+エトポシド(VP16)+早期同時加速多分割放射線外照射]
- それ以上の広がり(ED):CDDP(シスプラチン)/カルボプラチン+エトポシド(VP16)/イリノテカン(トポイソメラーゼ阻害薬)⇒完全奏功なら予防的全脳照射
イリノテカンは肺毒性のため放射線外療法と併用できず
2020年8月よりCDDP(シスプラチン)+VP-16(エトポシド)に免疫チェックポイント阻害薬イミフィンジ®(デュルバルマブ)を併用できるようになりました
小細胞肺癌予後
他の肺癌と異なり、一時的な縮小・進行抑制が期待できますが、治癒するわけではありません。放射線外照射は放射線誘発性甲状腺癌の原因になります。
小細胞肺癌の甲状腺転移も報告されています(日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 34 巻 (2017) 2 号 p. 127-131)。
小細胞肺癌との鑑別が困難であった甲状腺髄様癌が報告されています。小細胞肺癌と甲状腺髄様癌は、いずれも神経内分泌細胞由来なので組織が似ています。
甲状腺切除術を受け、数十年経って頚部に腫瘤が現れ、肺にも肺がんを疑わせる腫瘍陰影が存在したとします。甲状腺癌の再発と肺移転?肺がんの頚部リンパ節転移いずれも考えられます。
いつ、どこで甲状腺切除術が行われたのか、なぜ行われたのか?甲状腺腫瘍?甲状腺癌?バセドウ病?甲状腺結核?本人も覚えていない状況で、腫瘍マーカーのCEAが異常高値、穿刺吸引細胞診で腫瘤細胞は結合疎、散在性、核は類円形裸核状、ク'ロマチンは穎粒状に増量。
この時点で、甲状腺髄様癌の再発と肺移転?小細胞肺癌の頚部リンパ節転移いずれも考えられます。
免疫組織染色で、カルシトニン・クロモグラニンA・CEAが陽性につき、甲状腺髄様癌と診断されました。
腫瘍随伴体液性高カルシウム血症(HHM)・局所性骨溶解性高カルシウム血症
を御覧ください。
甲状腺関連の上記以外の検査・治療 長崎甲状腺クリニック(大阪)
長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区も近く。