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スギ花粉症のアレルゲン免疫療法でバセドウ病再発,減感作療法,舌下免疫療法,シダキュア[橋本病 甲状腺機能亢進症 バセドウ病 長崎甲状腺クリニック 大阪]

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甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪

甲状腺専門長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学 大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科で得た知識・経験・行った研究、甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等で学術目的にて使用可能なもの、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。

アレルゲン免疫療法

甲状腺・動脈硬化・内分泌代謝に御用の方は 甲状腺編    動脈硬化編   甲状腺以外のホルモンの病気(副甲状腺/副腎/下垂体/妊娠・不妊など)  をクリックください。

[Appl. Sci. 2025, 15(9), 4833.より改変]

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。アレルギー自体の診療を行っておりません。

Keywords

アレルギー性鼻炎,オロパタジン,甲状腺,メルカゾール,プロパジール,チウラジール,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,抗アレルギー薬,セチリジン

Summary

①寛解中のバセドウ病にアレルゲン免疫療法(減感作療法)の舌下免疫療法行い、甲状腺機能亢進症を再発させた②甲状腺機能低下症/橋本病を発症した報告あり。甲状腺関連でシダキュアスギ花粉舌下錠による舌下免疫療法不可は①βベータブロッカー服薬中(甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者)②ステロイド薬服薬中(亜急性甲状腺炎橋本病急性増悪リーデル甲状腺炎)③自己免疫疾患(橋本病バセドウ病)④甲状腺癌⑤甲状腺機能が正常化していない甲状腺機能低下症。鶏卵アレルギー発症予防に経口免疫療法が行われる。

Keywords

バセドウ病,アレルゲン免疫療法,減感作療法,舌下免疫療法,甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症,橋本病,シダキュア,スギ花粉,甲状腺癌

スギ花粉症のアレルゲン免疫療法でバセドウ病再発

アレルゲン免疫療法(Allergenimmunotherapy:AIT)の作用機序は

  1. 制御性T細胞・B細胞の誘導
  2. 即時型アレルギー阻止活性を有する特異的IgG4抗体の産生誘導
  3. IgE抗体は開始後増加し、数年後、元の状態に戻る(減少しない)
  4. IL-5など2型サイトカイン産生の減少
  5. インターフェロン産生の亢進

です。

スギ花粉症のアレルゲン免疫療法(減感作療法)は、アレルゲンとなるスギ花粉エキスを舌下(シダトレンスギ花粉舌下液®→販売中止でシダキュアスギ花粉舌下錠®に変更)あるいは皮下に、3~5年間投与するものです(舌下免疫療法)。体の免疫系が、スギ花粉をアレルゲンと認識しない様にするのが目的です。でも、余程、時間に余裕がある人でないと不可能な治療です。3~5年掛けて、治療数年後も年単位で効果が残存し(裏を返せば、どうせ数年すれば効果が消える)、新規のアレルゲン感作拡大リスクを減少させる(成人の花粉症患者で新規のアレルゲン感作?)、喘息発症リスクを軽減する(成人の花粉症患者で新規の喘息発症?)効果があるとの事です。

某学会の作成したガイドラインによると、スギ花粉症治療の第一選択は、春先に限定した抗アレルギー薬中心の対症療法ではなく、アレルゲン免疫療法(減感作療法)だそうです(頭おかしいんじゃない?、普通、春先に限定した抗アレルギー薬中心の対症療法で埒が明かない重症スギ花粉症患者を対象にすべきでしょう)。

寛解していたバセドウ病にアレルゲン免疫療法(減感作療法)目的でスギ花粉エキス(シダトレンスギ花粉舌下液®)を投与し、甲状腺機能亢進症/バセドウ病を再発させた報告があります(第52回 日本小児内分泌学会学術集会 206 スギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法(シダトレン®)の併用によりバセドウ病が再燃した1例)

甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者にアレルゲン免疫療法(減感作療法)を行うのは如何なものかと思います。

また、アレルゲン免疫療法を始めて3か月後に甲状腺機能低下症/橋本病を発症した26歳女性の報告もあります[Indian J Otolaryngol Head Neck Surg

. 2025 Jan;77(1):528-531.]。

その他、アレルゲン免疫療法(減感作療法)・舌下免疫療法が行えないのは、

  1. 重症気管支喘息患者;喘息発作を誘発したら窒息死
     
  2. β遮断薬(ベータブロッカー)服薬中;喘息発作を誘発する危険[ベータブロッカー(β-blocker)投与で気管支喘息が増悪]。甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者では補助薬として投与されている場合が多い。
     
  3. 65歳以上の高齢者;別に65歳以上でも良いと思うのですが
     
  4. 妊婦授乳婦妊娠中に喘息発作を誘発したら母児死亡(妊娠前からの継続は可とのこと)、授乳中の安全性は確立されていない
     
  5. ステロイド薬を服薬中;全身性エリテマトーデス(SLE)ネフローゼ症候群、甲状腺関連は、亜急性甲状腺炎橋本病急性増悪リーデル甲状腺炎(Riedel甲状腺炎)など。
     
  6. 悪性腫瘍;甲状腺癌
    甲状腺がん全摘術の既往歴がある患者に、季節性アレルギーに対するアレルゲン免疫療法注射を行った翌日、急性帯状疱疹をおこした報告があります[Med Acupunct. 2021 Dec 1;33(6):443-446.]。
     
  7. 自己免疫疾患;当然、橋本病バセドウ病も。
     
  8. 免疫不全患者;甲状腺機能が正常化していない甲状腺機能低下症甲状腺機能低下症と免疫力低下

鶏卵アレルギー発症予防(経口免疫療法)

甲状腺機能亢進症/バセドウ病は遺伝性が高く(79%)、バセドウ病家系は珍しくありません。遺伝性はアレルギー性疾患も同じで、バセドウ病かつアレルギー体質の家系なら、いずれバセドウ病が発症・増悪しない様、アレルギーを予防する必要があります。

麺など卵を含んだ食品で起きる鶏卵アレルギー発症予防目的で、経口免疫療法が行われています。少ない量の卵を、徐々に増量しながら毎日食べ、卵にアレルギー反応が起こらない免疫寛容を作り出す治療です。

経口免疫療法の難点は、決められた量の卵を毎日欠かさず食べ続けなければ、効果が薄れていく点です。それが患者の重荷となり、脱落者も出ます。

経口免疫療法

日本小児アレルギー学会の「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」では、

  1. 鶏卵アレルギー発症予防を目的として、医師の管理のもと、生後6か月から 鶏卵の微量摂取を開始することを推奨する
  2. 鶏卵の摂取を開始する前に、アトピー性皮膚炎を寛解させることが望ましい。
  3. 乳児期早期発症のアトピー性皮膚炎、特に重症例では、この提言を実行するにあたりア レルギー専門医( 小児科,皮膚科) や乳児期アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの管理に精通している医師による診療を受けることを推奨する。
  4. 鶏卵の感作のみを理由とした安易な鶏卵除去を指導することは推奨されない。

となっています。

甲状腺関連の上記以外の検査・治療   長崎甲状腺クリニック(大阪)

長崎甲状腺クリニック(大阪)とは

長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。

長崎甲状腺クリニック(大阪)


長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査等]施設で、大阪府大阪市東住吉区にある甲状腺専門クリニック。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市近く

住所

〒546-0014
大阪府大阪市東住吉区鷹合2-1-16

アクセス

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  • 大阪メトロ(地下鉄)谷町線「駒川中野駅」
    徒歩10分
  • 阪神高速14号松原線 「駒川IC」から720m

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