測定キット(エクルーシス試薬、ECLIA法)でFT3、FT4が偽高値・TSHが偽低値,ルテニウム,抗ストレプトアビジン抗体[橋本病 長崎甲状腺クリニック 大阪]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌内科(内分泌骨リ科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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(エクルーシス試薬による測定[ECLIA法]でFT3、FT4 偽高値、TSH 偽低値の症例)
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Summary
エクルーシス試薬による測定[ECLIA法:電気化学発光免疫測定法]では、FT3、FT4が実際の値より高めに出て(偽高値)、TSH不適切分泌症候群(SITSH)と紛らわしい(TSHは偽低値)。試薬中で発色を担うルテニウムに対する患者血清中の阻害物質が原因。臨床症状・甲状腺超音波所見と矛盾する値が出た場合、ルテニウムを含まないケミルミ(1step法)か2step測定法アーキテクトで再測定。FT3、FT4の偽低値、抗サイログロブリン抗体の偽低値、バセドウ病抗体TRAbの偽高値もある。ECLIA法では抗ストレプトアビジン抗体が原因の偽低値、偽高値もある。
Keywords
エクルーシス,ECLIA,偽高値,偽低値,ルテニウム,ケミルミ,2step,アーキテクト,1step,ストレプトアビジン
日本で25%の市場シェアを占める(2026年、筆者の実感では90%以上)ロシュ・ダイアグノスティックス社製の測定キット[エクルーシス試薬、ECLIA法(電気化学発光免疫測定法)]では、FT3、FT4が実際の値より高めに出てしまい(偽高値)、TSH不適切分泌症候群(SITSH)とまぎらわしい事があります(TSHはむしろ偽低値になる)。
改良されたエクルーシス®試薬 FT3Ⅲ、FT4Ⅲでは、偽高値が出る確率は減っていますが、根本的な問題は未解決です。
エクルーシス試薬中で発色を担うルテニウムに対する患者血清中の阻害物質が最大原因と考えられます。ルテニウムを含む試薬を使っているのはエクルーシスのみです。ルテニウムの問題が解決されない限り、エクルーシス試薬の測定結果を100%信用するのは危険です。
長崎甲状腺クリニック(大阪)では、臨床症状・甲状腺超音波(エコー)所見と矛盾する甲状腺ホルモン値が出た場合、ルテニウムを含まないシーメンス社(ドイツ)製の測定キット[ケミルミ1step法]か、前述の2step測定法のアーキテクト®(アボットジャパン)で再測定します。(埼玉県のBML研究所へ検体を送るので、時間が掛かります)
エクルーシス(Elecsys)®試薬を用いたECLIA法(電気化学発光免疫測定法)で、TSH不適切分泌症候群(SITSH)を疑う結果が出た場合、本当のSITSHである確率は?伊藤病院の報告によると、エクルーシス®[ECLIA法]でSITSHが疑われた410名を、アーキテクト®(アボットジャパン)とルミパルス®(富士レビオ社)で測定し直した結果、
- 本当のSITSH 144名(約35%)
甲状腺ホルモン不応症(レフェトフ症候群)14名(約3%)、下垂体TSH産生腫瘍10名(約2%)、家族性異常アルブミン性高サイロキシン血症 (FDH) 1名(約0.2%)、原因不明4名(約1%)、検索不十分15名(約4%)
合計すると約10%。
筆者が推察するに、残りの約25%は、①無痛性甲状腺炎の経過中など一過性、②甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)服薬中と考えられます。
- 偽高値’(残りの約65%)
(第53回 日本甲状腺学会 P-148 伊藤病院におけりるTSH不適切分泌症候群(SITSH)の現状)。
FT3、FT4の偽高値ならぬ偽低値も報告されています。仁和会 小池病院の報告によると、ECLIA 法にてTSH 1.36 μIU/mL(0.27-4.20)正常値、FT4 0.3 ng/dL (1.0-1.8)かなり低値、FT3 0.3 pg/mL(2.2-4.4)かなり低値であり、
- 中枢性甲状腺機能低下症
-
無痛性甲状腺炎の経過中
が疑われるパターンです。チラーヂンS錠(LT4)50μg/日の投与を開始し、1カ月後、TSH 0.387 μIU/mL と改善したもののFT4 0.3 ng/dL, FT3 0.3 pg/mL は全く改善を認めず。ECLIA 法による偽低値を疑い、CLEIA法(化学発光・酵素免疫測定法)で再検すると、FT4 1.08 ng/dL(2.13-4.07),FT3 2.94 pg/mL(0.95-1.74)と正常範囲だったそうです。(第59回 日本甲状腺学会 P2-7-2 ECLIA 法にてFT4,FT3 偽低値を呈した1例)
TSHの偽低値も報告されています。名古屋甲状腺診療所の報告では、ECLIA 法にてTSH偽低値、FT3・FT4 偽高値となったそうです。
ECLIA 法でFT3 10.1 pg/mL 高値、FT4 1.04 ng/dL 正常値、TSH 3.18 μIU/mL 正常値
CLIA 法でFT3 2.3 pg/mL 低値、FT4 0.59 ng/dL 低値、TSH 59.37 μIU/mL 高値
と真逆の結果です。(第68回 日本医学検査学会 107 甲状腺機能検査において非特異反応を示した一例)
下記、長崎甲状腺クリニック(大阪)の自経例でも同様の結果になっています。
エクルーシス試薬を用いたECLIA法(電気化学発光免疫測定法)により、
になる場合もあります。
長崎甲状腺クリニック(大阪)の自経例は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病の診断で当院紹介されたが、FT3、FT4 偽高値TSH偽低値、TRAb不活性型(neutral)もしくはTRAb 偽高値だった85歳女性。本当は甲状腺機能低下症/橋本病だった。、
他院にてFT3 11.9 pg/mL(ECLIA)[2.30-4.0]高値、FT4 2.85 ng/dL(ECLIA)[0.9-1.7]高値、TSH 0.91 μIU/mL(ECLIA)[0.5-5.0]正常下限値、TRAb 23.2 IU/lL(ECLIA)[<2.0]高値。
しかし、長崎甲状腺クリニック(大阪)受診時、FT3 2.4 pg/mL(CLIA)[2.2-4.1]正常値、FT4 0.7 ng/dL(CLIA)[0.8-1.9]低値、TSH 10.4μIU/mL(CLIA)[0.4-4.0]高値と甲状腺機能低下症状態。TRAb 27.5 IU/L高値、TSAb(EIA) 111% (<120)正常値, TSBAb 164% (<180)正常値 , TgAb >4000 IU/mL高値, TPOAb 101.6 IU/mL高値だった。TRAb は強陽性だが、刺激も阻害もしない不活性型(neutral)TR-Abか偽高値と考えざる得なかった。
抗ストレプトアビジン抗体(IgM 抗体)が甲状腺機能検査(甲状腺ホルモン測定)に干渉する可能性があります。[Clin Chem Lab Med. 2020 Sep 25;58(10):1673-1680.]
患者血清中の抗ストレプトアビジン抗体は、測定試薬中のストレプトアビジンに反応し、発光シグナルを減少させるため、甲状腺ホルモン(FT4とFT3)の偽高値をもたらします。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は偽低値、甲状腺ホルモン(FT4とFT3)は偽高値を呈するため、甲状腺中毒症と誤診します。さらに、TRAb も偽高値を示す可能性があり、甲状腺機能亢進症/バセドウ病と見誤ります。
抗ストレプトアビジン抗体による分析干渉は、前述のエクルーシス試薬、ECLIA法で確認されています。[Thyroid Res. 2021 Jul 10;14(1):17.]
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。

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