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消化器神経内分泌腫瘍(NET),神経内分泌癌,ソマトスタチン受容体シンチグラフィー,オクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン)[長崎甲状腺クリニック]

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内分泌代謝(副甲状腺・副腎・下垂体)専門の検査/治療/知見 長崎甲状腺クリニック(大阪)

甲状腺専門内分泌代謝長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。

長崎甲状腺クリニック(大阪)以外の写真・図表はPubMed等において学術目的で使用可能なもの(Creative Commons License)、public health目的で官公庁・非営利団体等が公表したものを一部改変しています。引用元に感謝いたします。尚、本ページは長崎甲状腺クリニック(大阪)の経費で非営利的に運営されており、広告収入は一切得ておりません。

[Neuroendocrine Cancer UK より改変]

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神経内分泌細胞

長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックです。膵内分泌腫瘍の診療を行っておりません。

消化器神経内分泌腫瘍

Summary

神経内分泌腫瘍(NET)とはホルモンやペプチド(内分泌顆粒)を分泌する神経内分泌細胞性腫瘍。消化器(直腸、膵臓)が約60%を占め、20%未満にカルチノイド症候群。胃神経内分泌癌は粘膜下腫瘍類似、甲状腺転移した報告あり。甲状腺転写因子陽性胃混合型腺神経内分泌癌の報告も。大腸神経内分泌癌も悪性度が極めて高く予後不良。胆のう腺癌と胆のう神経内分泌癌の胆嚢原発混合型腺神経内分泌癌は悪性度高く予後不良。ソマトスタチン受容体シンチグラフィーのオクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン®)が膵・消化管神経内分泌腫瘍の局在診断・転移診断に有用。

Summary

神経内分泌腫瘍(NET)とはホルモンやペプチド(内分泌顆粒)を分泌する神経内分泌細胞性腫瘍。消化器(直腸、膵臓)が約60%を占め、20%未満にカルチノイド症候群。胃神経内分泌癌は粘膜下腫瘍類似、甲状腺転移した報告あり。甲状腺転写因子陽性胃混合型腺神経内分泌癌の報告も。大腸神経内分泌癌も悪性度が極めて高く予後不良。胆のう腺癌と胆のう神経内分泌癌の胆嚢原発混合型腺神経内分泌癌は悪性度高く予後不良。ソマトスタチン受容体シンチグラフィーのオクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン®)が膵・消化管神経内分泌腫瘍の局在診断・転移診断に有用。

Keywords

神経内分泌腫瘍,NET,神経内分泌癌,甲状腺,消化器神経神経内分泌腫瘍,ソマトスタチン受容体,シンチグラフィー,オクトレオチドシンチグラフィ,オクトレオスキャン,診断

消化器神経内分泌腫瘍

神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor/neoplasm: NET/NEN)とは、ホルモンやペプチド(内分泌顆粒)を分泌する神経内分泌細胞性腫瘍の総称。昔、カルチノイド腫瘍と呼ばれていました。

神経内分泌腫瘍 (NET)は、消化器(最多が直腸、膵臓)が約60%、肺や気管支が約30%、精巣、卵巣でも発生します(Neuroendocrinology. 2004;80 Suppl 1:3-7.)。

消化器神経神経内分泌腫瘍の20%未満はカルチノイド症候群を引きおこします。門脈系で血中酵素や肝酵素によりセロトニンが分解されるとカルチノイド症候群起こり難いため、ほとんどのカルチノイド症候群は回腸に発生し、かつ肝転移する神経内分泌細胞癌(neuroendocrine carcinoma:NEC)です(肝静脈から体循環に直接入るため)。神経内分泌腫瘍(NET)は、やや黄色調の粘膜下腫瘍として認識され、ゆっくり増大する事が多いです。

消化器神経内分泌腫瘍 (NET)1
消化器神経内分泌腫瘍 (NET)

(Intern Med. 2017;56(3):289-293.)

消化器神経内分泌腫瘍の病理組織では、粘膜下に境界明瞭、索状構造、リボン状構造をした均質な類円形核を有する腫瘍細胞を認めます。免疫染色ではクロモグラニンA染色、シナプトフィジン染色陽性になります。

オクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン®)が転移診断に有効(増殖能の強い神経内分泌癌は、やや集積悪い)

消化器神経内分泌腫瘍の治療は、膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン 2019年 第2版により

  1. 1cm以内で転移が無ければ内視鏡切除
  2. 転移があれば外科切除、抗がん剤治療
  3. 177Lu-PRRT(ルテチウムオキソドトレオチド-放射性核種標識ペプチド治療)

カルチノイド症候群

胃神経内分泌癌、胃混合腺神経内分泌癌

神経内分泌癌と腺内分泌癌

胃神経内分泌癌(胃内分泌細胞癌)

胃内分泌細胞癌・胃神経内分泌癌は、2010年版WHO分類の改訂により,神経内分泌腫瘍の亜型として分類されます。

胃神経内分泌癌は全切除胃癌の0.05%で稀。粘膜下腫瘍類似の形態を示し、小さな潰瘍を伴うこともあります。

胃神経内分泌癌は高分化腺癌、食道扁平上皮癌が深部浸潤してp53変異などを起こした結果、内分泌細胞癌へ分化したものです。内分泌細胞癌は増殖速度が速いため、表層の高分化腺癌は脱落くしていきます。(Gastric Cancer. 2003;6(4):203-9.)

胃神経内分泌癌(小細胞癌)が甲状腺転移した報告があります。[Rom J Morphol Embryol. 2011;52(1):187-92.]

胃混合型腺神経内分泌癌(胃混合型腺内分泌癌)

腺癌・神経内分泌癌が併存する混合型腺内分泌癌は、悪性度が極めて高いです。Thyroid transcription factor-1 (TTF-1:甲状腺転写因子) 陽性神経内分泌癌細胞成分を伴う胃混合型腺神経内分泌癌(胃腺内分泌癌:gastric mixed adenoneuroendocrine carcinoma)の報告があります。[Clin J Gastroenterol. 2015 Apr;8(2):82-7.]

甲状腺機能低下症/橋本病(慢性甲状腺炎)とヘリコバクターピロリ関連萎縮性胃炎から生じた胃混合型腺神経内分泌癌の報告もあります。[Rom J Morphol Embryol. 2017;58(4):1491-1496.]

大腸神経内分泌腫瘍・大腸神経内分泌癌

大腸神経内分泌腫瘍の5年生存率は約95%(日本大腸肛門病会誌 68:61-67,2015)。

大腸神経内分泌癌は、全大腸がんの約0.2%を占めます。悪性度が極めて高く、他の臓器に転移しやすく予後不良です。5年生存率は20%未満(日本大腸肛門病会誌 68:61-67,2015)。

原発性消化管神経内分泌癌は、原発腫瘍を切除すると、肝転移巣の治療に関係なく、非切除の場合と比べて全生存期間が改善したとの報告があります(Annals of Surgery: May 9, 2018. doi: 10.1097/SLA.0000000000002809)。

胆嚢原発神経内分泌癌

胆嚢原発の神経内分泌腫瘍は稀です。筆者自身も出くわした事はありません。

胆のう腺癌と胆のう神経内分泌癌の混在型胆嚢癌(胆嚢原発混合型腺神経内分泌癌)は悪性度が高く、早期より肝・リンパ節転移をきたし予後不良です。

  1. 胆のう腺癌の一部が深部に浸潤して内分泌細胞癌へと分化する説
  2. 未分化幹細胞が腺癌と神経内分泌癌の両方に分化する説

が考えられています[Am J Gastroenterol. 1984 Aug;79(8):645-9.]。

胆嚢原発神経内分泌癌の超音波(エコー)画像(Oncol Lett. 2020 Jan;19(1):247-254.)

胆嚢原発混合型腺神経内分泌癌は、通常の胆のう癌と神経内分泌腺癌の混合型なので、両方の腫瘍マーカー(CEA, NSE)が上昇します。

神経特異エノラーゼ(NSE) :神経内分泌細胞由来の腫瘍(小細胞肺癌甲状腺髄様癌褐色細胞腫インスリノーマなど)で産生される腫瘍マーカーです。

胆嚢原発神経内分泌癌 超音波(エコー)画像

オクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン®)

神経内分泌腫瘍(NET)は、ソマトスタチン受容体を持っているため、放射性同位元素(アイソトープ)でラベルしたソマトスタチン様の合成ホルモン(インジウム111標識ペンテトレオチド)と結合します。(ソマトスタチンは、神経内分泌細胞のホルモン分泌を制御するホルモンです)

オクトレオチドシンチグラフィ(オクトレオスキャン®)と呼ばれ、神経内分泌腫瘍(NET)の局在診断・転移診断に有用です(J Nucl Med 33: 652-658, 1992)。

全ての神経内分泌腫瘍(NET)に有用ではなく、

  1. 陽性率75%以上;膵・消化管神経内分泌腫瘍(特にガストリノーマ)、非機能性神経内分泌腫瘍、カルチノイド腫瘍、パラガングリオーマ、下垂体腫瘍肺小細胞癌髄膜腫
  2. 陽性率40~75%;インスリノーマ甲状腺髄様癌分化型甲状腺癌乳頭癌濾胞癌)、乳癌悪性リンパ腫褐色細胞腫星状細胞腫、増殖能の強い神経内分泌癌
  3. サルコイドーシスなど炎症性肉芽腫、関節リウマチなどの炎症性疾患でも陽性

かなり有用なのは、膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)と下垂体腫瘍肺小細胞癌髄膜腫位でしょうか。甲状腺では、甲状腺髄様癌分化型甲状腺癌乳頭癌濾胞癌)ともに同率で陽性になるため、意味ない様です。

[Neuroendocrinology. 2009;90(2):184-9.]

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長崎甲状腺クリニック(大阪)


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