SGLT2阻害薬を甲状腺機能亢進症/バセドウ病に使用すべきでない,正常血糖糖尿病ケトアシドーシス,脱水,甲状腺癌[長崎甲状腺クリニック 大阪]
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甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科(第2内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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[Heart Fail Rev. 2021 May;26(3):643-652.より改変]
1型、2型糖尿病を問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます[BMC Med. 2016 Sep 30; 14(1):150.][Clin Endocrinol (Oxf). 2011 Jul;75(1):1-9.]。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。
Summary
SGLT2阻害薬を甲状腺機能亢進症/バセドウ病の糖尿病患者に使用すべきでないと筆者は考える。甲状腺機能亢進症/バセドウ病では①脂肪や筋肉などの蛋白分解が亢進し、糖尿病性ケトアシドーシスを誘発する危険がある。一方、SGLT2阻害薬は正常血糖糖尿病ケトアシドーシス(eDKA)を誘発する危険がある②代謝亢進により発汗量が増加して脱水傾向になる。一方、SGLT2阻害薬も浸透圧利尿作用で脱水傾向になる。熱中症も悪化する可能性。SGLT2は甲状腺癌細胞で発現が増加しているため、SGLT2阻害薬はアポトーシスの増加と増殖抑制をもたらす。
Keywords
SGLT2阻害薬,甲状腺機能亢進症,糖尿病性ケトアシドーシス,正常血糖糖尿病ケトアシドーシス,eDKA,脱水,甲状腺癌細胞,アポトーシス,甲状腺
SGLT2阻害剤は、約200~400kcal/日の糖を尿中へ排出する薬です。特にフォシーガ®(ダパグリフロジン)、カナグル®(カナグリフロジン)とスーグラ®(イプラグリフロジン)で減量効果が高い。半年~1年で3~5%の体重減少効果が期待できます。同時に、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)も改善します[Endocrinology. 2021 Dec 1;162(12):bqab157.]。
SGLT2阻害剤は尿中へ糖を排出する薬なので、尿量が増えて体の水分も失われます。腎臓での酸化ストレスを改善させ、糸球体の負担を軽減するため、糖尿病性腎症の進行を抑えます。その結果、透析導入を減らす効果を期待できます。慢性心不全・腎不全の方にも効果があります。
SGLT2阻害薬の中でもフォシーガ®(ダパグリフロジン)は2型糖尿病の有無に関わらず、慢性心不全患者に対しても保険適応があります(ただし、利尿薬、トルバプタン(サムスカ®)など慢性心不全の標準的な治療で不十分な患者に限る)。また、これまで有効な治療法のなかったHFpEF(Heart Failure with preserved Ejection Fraction:駆出率が保たれた心不全)の心不全イベントを抑制する効果も報告されています。
一方、脱水・熱中症に注意が必要で、予想通り脳梗塞の副作用が報告されています。体重は減少するとされますが、脱水の影響も含まれている可能性があります。安易な使用は危険!
インスリンを併用している場合、インスリンが中断されても血糖上昇を伴わないまま糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)へと進行する危険があります。
また、たとえインスリンを併用していなくても、糖が失われ続けると、脳がそれを糖不足と錯覚して、脂肪分解が促進されます。結果、血液中にケトン体が増えてアシドーシスを来します[正常血糖糖尿病ケトアシドーシス(eDKA)]。
その他、尿中に糖が増えるため、尿路感染症を起こしやすくなる。便が硬くなり便秘になる可能性もあります(甲状腺機能低下症との人も要注意)
SGLT2阻害薬を甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者に使用すべきでないと筆者は考えています。甲状腺機能亢進症/バセドウ病では、
- ①甲状腺ホルモン作用で腸からの糖吸収が亢進、②交感神経、グルカゴン、カテコールアミン、ソマトスタチンの感受性が上昇して糖分解が亢進するため血糖が上昇。脂肪や筋肉などの蛋白分解も亢進し、血液が酸性に傾く糖尿病性ケトアシドーシスを誘発する可能性があります。
一方で、SGLT2阻害薬のルセオグリフロジンは、1日60gの糖を尿中に捨て血糖値を改善しますが、極端な糖質制限(例えば1日10g)を行うと脂肪分解が亢進し過ぎてケトン体が血液中に異常増加。結果、血液が酸性に傾くアシドーシスを来します[正常血糖糖尿病ケトアシドーシス(eDKA)]。
[Intern Med. 2022 Oct 15;61(20):3069-3075.]
- 代謝亢進により発汗量が増加して脱水傾向になります。一方で、SGLT2阻害薬が糖を尿中へ捨てると、浸透圧利尿作用で体内の水分も捨ててしまうため、脱水傾向になります。過度の脱水は、血管がへちゃげる脳梗塞、心筋梗塞を誘発します。
SGLT2は甲状腺癌細胞で発現が増加します。SGLT2阻害薬は、in vitro(基礎実験)およびin vivo(動物実験)で甲状腺癌細胞の増殖を弱めます。カナグリフロジンは、甲状腺癌細胞に対する
- 酸化ストレスを介したDNA損傷と細胞周期の停止
- グルコース取り込みの制限
によって、アポトーシスの増加と増殖抑制をもたらします。甲状腺癌に対する抗腫瘍効果を期待できるかもしれません。[Cancer Cell Int. 2022 Feb 11;22(1):74.][Biomed Pharmacother. 2024 Jan;170:115974.]
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。


