糖尿病性神経障害治療薬デュロキセチン(サインバルタ®)、ミルナシプラン(トレドミン®)は、甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者に要注意[長崎甲状腺CL]
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甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学(現、大阪公立大学) 代謝内分泌病態内科(第2内科)で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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1型、2型糖尿病を問わず甲状腺疾患の合併が多いとされます[BMC Med. 2016 Sep 30; 14(1):150.][Clin Endocrinol (Oxf). 2011 Jul;75(1):1-9.]。
長崎甲状腺クリニック(大阪)は甲状腺専門クリニックに特化するため、糖尿病内科を廃止しました。
Summary
糖尿病性神経障害治療薬デュロキセチン(サインバルタ)は血中セロトニン・ノルアドレナリン濃度を上昇させるため、甲状腺と無関係に心拍数増加(動悸、頻脈)・不整脈、収縮期血圧上昇・高血圧クリーゼを引き起こす。甲状腺ホルモンが正常化していない甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者に使用すると、セロトニン・ノルアドレナリンが甲状腺ホルモン作用(心拍数増加・収縮期血圧上昇)を増強し、動悸、頻脈、不整脈・収縮期高血圧、高拍出量性心不全、タコつぼ型心筋症、甲状腺クリーゼ、セロトニン症候群、狭心症/心筋梗塞を引きおこす危険。ミルナシプラン(トレドミン®)も同様。
Keywords
糖尿病性神経障害,デュロキセチン,サインバルタ,甲状腺,甲状腺機能亢進症,バセドウ病,動悸,頻脈,ミルナシプラン,トレドミン
デュロキセチン(商品名サインバルタ)は、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)で、元々は抗うつ薬(うつ病治療薬)ですが、糖尿病性神経障害に伴う疼痛にも保険適応があります。日本ペインクリニック学会のガイドラインにおいても神経障害性疼痛に対する第一推奨薬の一つです。めまい、ふらつき、傾眠(眠い)など副作用のためプレガバリン(リリカカプセル®)・ミロガバリン(タリージェ®)が使用できない時に有用。
デュロキセチン(商品名サインバルタ)は、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害作用によって、血中のセロトニン・ノルアドレナリン濃度を上昇させます。その結果、甲状腺と無関係に心拍数増加(動悸、頻脈)・不整脈出現、収縮期血圧上昇(最悪、高血圧クリーゼ)の副作用を引き起こします。[Pain Practice 23(3):p 328, March 2023.]
よって、以下の患者には使用すべきではありません
- 甲状腺ホルモンが正常化していない、あるいは正常化して間がない甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者に使用すると、セロトニン・ノルアドレナリンが甲状腺ホルモンの作用(心拍数増加・収縮期血圧上昇)を増強し、
①動悸、頻脈、不整脈・収縮期高血圧(上の血圧が高い高血圧)などの症状増悪
②高拍出量性心不全、タコつぼ型心筋症、甲状腺クリーゼ、セロトニン症候群 を引きおこす危険
③狭心症/心筋梗塞発症の危険が増す(甲状腺機能亢進症/バセドウ病から急性冠症候群、冠攣縮性狭心症)
- 甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病で動脈硬化が相当進行している場合、狭心症/心筋梗塞発症の危険がある。(甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症から動脈硬化と狭心症/心筋梗塞)
- 副腎腫瘍がノルアドレナリン・アドレナリンを産生する褐色細胞腫患者の症状を増悪させ、褐色細胞腫クリーゼを誘発する危険がある
また、デュロキセチン(サインバルタ®)は悪心・嘔吐を来すこともあります。
これらは、下のようにサインバルタ® 添付文書(薬の説明書) [医薬品医療機器総合機構(PMDA)がネットでも公開]に明記されています。
また、デュロキセチンで可逆性の中枢性甲状腺機能低下症 を来した報告があります。筆者が思うに、視床下部-下垂体にTSH分泌抑制が掛かったためでしょう。[Cureus. 2026 May 29;18(5):e109903.]
ミルナシプラン(トレドミン®:milnacipran)は抗うつ薬デュロキセチン(サインバルタ®)と同じくセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)です。神経障害性疼痛に保険適応がないにも関わらず、日本ペインクリニック学会のガイドラインでは、第一推奨薬無効時における選択肢の一つです。高血圧・心疾患患者には、心拍数増加、血圧上昇、高血圧クリーゼを引きおこすことがあるため、甲状腺機能亢進症/バセドウ病患者、甲状腺機能低下症/潜在性甲状腺機能低下症/橋本病患者、褐色細胞腫患者には要注意です。また、セロトニン症候群 、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)を引きおこす危険もあります。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,東大阪市,生野区,天王寺区,浪速区も近く。







