放置できない・穿刺排液困難、何度、穿刺排液しても液がたまる甲状腺のう胞腺腫(甲状腺嚢胞腺腫)、経皮的エタノール注入療法(PEIT)[長崎甲状腺CL]
甲状腺:専門の検査/治療/知見① 橋本病 バセドウ病 甲状腺エコー 長崎甲状腺クリニック大阪
甲状腺専門の長崎甲状腺クリニック(大阪府大阪市東住吉区)院長が海外・国内論文に眼を通して得た知見、院長自身が大阪市立大学附属病院(現、大阪公立大学附属病院) 内分泌骨リ内科で得た知識・経験・行った研究、日本甲状腺学会で入手した知見です。
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Summary
気管食道圧迫・縦隔進展・嚢胞内出血・急性化膿性甲状腺炎を来した嚢胞腺腫には穿刺排液。通常穿刺針で排液困難な嚢胞液も太針なら排液可能だが、嚢胞内出血の危険あり。①何度、穿刺排液しても液がたまる巨大嚢胞腺腫(巨大のう胞腺腫)②のう胞内出血や急性化膿性甲状腺炎を繰り返す場合は良性腫瘍でも手術摘出。経皮的エタノール注入療法(PEIT)は①一過性だが、ほぼ100%に反回神経麻痺②高度癒着で将来手術不能に。PEITは甲状腺機能性結節・手術切除不能な甲状腺癌・甲状腺乳頭癌局所再発・リンパ節再発・副甲状腺過形成にも行われるが効果低い。
Keywords
穿刺排液,巨大のう胞腺腫,巨大嚢胞腺腫,手術摘出,穿刺針,排液困難,嚢胞液,経皮的エタノール注入,PEIT
巨大のう胞腺腫(巨大嚢胞腺腫)もしくは通常サイズのう胞腺腫(嚢胞腺腫)が、
には、穿刺排液を行います。しかし、のう胞(嚢胞)中の液体は粘稠なため、通常穿刺針での排液は困難(すぐに詰まってしまう)。太い針でも完全に抜けない事が多い。18G(ゲージ)[輸血用の太い針]を使えば、ほとんどのケースで穿刺排液可能ですが、刺し口から出血して緊急入院になったケースが複数ありました(穿刺時出血)(それ以降、18Gは使用禁止にしました)。18G(ゲージ)でも無理なら、どうしようもありません(海外では16Gの極太針を使用する所もあるようですが・・・)(AJR Am J Roentgenol. 2008 Dec;191(6):1730-3.)。それ以来、無理して太い針を使用せず、抜けない場合は潔く諦めて内分泌外科に甲状腺部分切除(半葉切除が多い)を依頼します。
たとえ穿刺排液できたとしても、前項の如く、
なら、手術切除。
手術すべきか迷う巨大甲状腺のう胞腺腫(巨大甲状腺嚢胞腺腫)。横径 5.49cmで、ほぼ6cm。80歳以上なら全身麻酔のリスクを冒してまで手術しなくて良いかもしれません。せいぜい次項の経皮的エタノール注入療法(PEIT)ぐらいでしょう。
頻回に穿刺排液しても液がたまる巨大のう胞腺腫(巨大嚢胞腺腫)は、良性腫瘍(のう胞型濾胞腺腫:嚢胞型濾胞腺腫)であっても手術適応になります。単に、のう胞(嚢胞)と呼ばれる事も多いですが、甲状腺組織の破壊・変性によるのう胞変性(嚢胞変性)でなく、れっきとした腫瘍です。
さらに、のう胞内出血や急性化膿性甲状腺炎を繰り返す場合も、内分泌外科に甲状腺部分切除(半葉切除が多い)を依頼します。
(岩手県立中央病院の報告) 97 x 71 x 60 mmの巨大な甲状腺のう胞腺腫(甲状腺嚢胞腺腫)で、排液後1週間以内に液が再貯留し始めたため、甲状腺半葉切除したそうです。病理標本を確認すると、のう胞周囲は炎症が強く、炎症性浸出液の可能性が考えられました。(第57回 日本甲状腺学会 P2-070 巨大な甲状腺嚢胞により経口摂取困難となった一例)
のう胞(嚢胞)内に高濃度のエタノールを注入し、局所の脱水・固定によりのう胞腺腫(嚢胞腺腫)を破壊する経皮的エタノール注入療法(Percutaneous Ethanol Injection Therapy;PEIT)もあります。しかし、
- 72.5%でエタノールの漏れによる激しい疼痛
- 15%で39°Cまでの発熱
- 一過性とは言え、反回神経麻痺を、ほぼ100%の頻度でおこす
- 斑状出血
- 不全型ホルネル(ホルナー、Horner)症候群で眼瞼下垂;一過性が多いものの、回復せず手術で改善した報告あり(第64回 日本甲状腺学会 31-6 PEIT後の回復しないHorner症候群による眼瞼下垂症に対して手術を行った1例)
- 高度の癒着が起きるため、将来的に手術が必要となってもできなくなる
などのため、以前ほど行われなくなりました(筆者は、あまりお勧めしません)。[Wiad Lek. 1999;52(9-10):432-40.]
ほとんどの場合、反回神経麻痺は一時的で済みますが、エタノール量が多すぎると永続性になる危険があります。特に、巨大な甲状腺のう胞腺腫(甲状腺嚢胞腺腫)では、使用するエタノール量も増える(2.5mL 以上)ので要注意。
また、エタノールは血中にも移行するので、酔っ払う事もあります。
経皮的エタノール注入療法(PEIT)は、腫瘍組織の破壊を目的として
- 甲状腺機能性結節(機能性甲状腺腫)の治療
- 手術切除が不能な甲状腺癌(試験的に)
- 甲状腺乳頭癌の
①局所再発、リンパ節再発(Thyroid. 2007 Apr;17(4):347-50.)(Eur Arch Otorhinolaryngol. 2017 Sep;274(9):3497-3501.)
②骨転移(Ann Nucl Med. 1996 Nov;10(4):441-4.)
- 慢性腎不全、透析患者の副甲状腺過形成(2次性副甲状腺機能亢進症)(Nephrol Dial Transplant. 1999 Nov;14(11):2574-7.)
にも、極限られた施設で行われています。充実性腫瘤に対する効果は、のう胞(嚢胞)性病変に比べると低く、普及しない原因の一つです。
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長崎甲状腺クリニック(大阪)とは
長崎甲状腺クリニック(大阪)は日本甲状腺学会認定 甲状腺専門医[橋本病,バセドウ病,甲状腺超音波(エコー)検査など]による甲状腺専門クリニック。大阪府大阪市東住吉区にあります。平野区,住吉区,阿倍野区,住之江区,松原市,堺市,羽曳野市,八尾市,天王寺区,東大阪市,生野区,浪速区も近く。





























